友人だから
このあたりから、イヤな犯罪のはなしとなり、残虐、流血などでてまいりますので、ご注意ください。
「おれたちに、 ―― 《あの男》の仲間だと疑われると思ったのか?だから黙ってたっていうのか?」
「ああ、そうだよ。言ったらぜったいにマイクにひきわたされると思ってたさ」
「そんなわけねえだろ」
「そうか?ほんとうに?すくなくとも身元調査はもう一度するよなあ? 《あいつら》の仲間かもしれないって疑いをもって」
「疑ってほしいのか?なら疑ってやる。 たしかに。いままで黙ってて、このタイミングでそんなこと言い出すなんて、おれだっていらつく」
「だから、このまえ言えなかったのは悪かったと思ってる。自分でもあんなに取り乱すなんておもってなかったんだよ」
「今日じゃなきゃ、まだマシだったんだよ」
「はあ?」
「 ちょっとまて 、ふたりとも。いったん離れるんだ」
ジャンとルイの間にニコルは自分のふといからだをわりこませる。
顔をそむけるように二人は離れた。
「 ―― いいか?あそこで悠々とおまえらをながめてるウィルが、あんなににやけた顔してるってことは、何か言うことがあるのに、まだ言ってないってことだ。 それと、あっちの新人が、お前たちの机も直してくれたことに礼を言う前に、―― おれたちは《レイのあのはなし》を、ザックにちゃんと説明してやらなきゃならないんじゃないか?」
元通りにした自分の机にすわり、男たちの様子を黙ってながめていた新人が愛想よく手をあげた。
「いいよ、気にしないで。 おじさんたちのはなしに入れなくても新入りなんだからしかたないと思ってる。 ―― だけどさ、さっきからずっとレイの名前が出てくるのがきにいらねえ」
しかも、『事件』という単語もきこえた。
それに答えたのはザックと同じ位置でもめ事をながめていたウィルだった。
「ザック、・・・このはなしは、誰もが知ってることじゃなくて、きみもレイの友人だから、これから話すんだってこと、覚えておいてくれ」
きいたこともないまじめな話し方できりだした。
「彼は・・・、」と手をくちもとへやり、さぐるように言葉をだした。
「―― レイは、こどものころに誘拐されて、殺されそうになったんだ」




