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人がつかう魔法
ようやく、最後です。
ジョーは黙ってウィルの肩をたたき、むこうのニワトリ小屋からでてきたトムを目でさした。
了解したように歩き出した男が、突然、かろやかに振り返る。
「 ジョー、 いろいろ、 その、ありがと。 ―― ずっと、トムのことも任せてて、 つまり、・・・ 感謝してる 」
さっ、とまたむきを変えて去ってゆく男の首元が赤くなっているのを、笑いをかみころしジョーは見送った。
あれでも、精いっぱいの感謝の言葉なのだと理解している《元聖父》は、ウィルの背に祈り、羊たちの群れへと足をむけた。
しばらく羊を追い、戻るために振り返って見た先では、まだ、ウィルが車の横に立ち、トムとはなしをしていた。
年寄があんな顔で笑うのは、ウィルがいるときだけだ。
「 愛は、・・・人がつかえる、ただひとつの《魔法》かもしれない 」
ジョーの言葉にこたえたのは、あの子羊だけだった。
風は暖かさをふくみ、季節がまたうごくことを知らせていた。
最後までおつきあいくださったかた、目をとめてくださったかた、
ありがとうございました!
これもながかったですね。。。申し訳ございません・・・
次は、もっと短い はずです。。。




