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彼女はアニソンを口遊む




「カラオケなんて久々ー」

松原と井上は声を上げる。

「とりあえず、飲み物頼むか」

中田が仕切り、それぞれ飲み物を注文する。


他所の部屋からの歌声を聞きながら、皆は勉強道具を出して勉強を始める。

井上は持参していた小説を取り出し、1人読み始めた。


「ねぇ、はーちゃん。これは?」

松原が尋ねたのは世界史の問題だった。

「んー。そこら辺は覚えなくていいかも」

井上は答える。

「んーとねー、先生が言ってたのはー…」

井上は教科書を見やる。


「多分、あの先生はここら辺出してくるかなー?」

「何でー?」

「楽しそうに話してたから」

井上は苦笑しながら答える。


「結局ね、テストって先生の裁量もあるわけよ。そりゃ基礎基本の問題は出るし、有名なことやこれは覚えとけよ、って言ってたやつは出る。あと、先生によって傾向があるじゃん?」

井上は説明する。


「ね、中田」

井上は中田に話を振る。

「傾向……あー、まあ、あると思う」

分かってないような答えだった。

井上が少し呆れたのが俺には分かった。


「えーっとね…」

井上は松原に耳打ちし出す。

ふむふむ、と松原は頷きながら聞いている。


「待て待て。俺にも教えてくれよ」

山口が声を上げる。

「えー。仕方ないなー」

井上は山口に小声で話し始めた。


田原に聞かれないようにしているのだろう。


「勉強会なんだから、皆で共有し合った方が良くない?」

田原が痺れを切らして言う。

「え、私とみかで勝負するんでしょ?なら、言うわけないじゃん」

井上はすぱっと正論を吐く。

まさにその通りである。


「ゆうき!聞いてよ!あんな言い方するんだけど!」

田原が栗原に愚痴る。

「勝負してるのか?」

栗原は呑気にそんなことを尋ねる。


知らないって幸せだな、と俺は言いそうになったがグッと堪えた。


「そう!でも勉強会なんだから、勉強共有した方がいいと思わない?」

魂胆が見え透いている言い分だった。

「勉強会は確かにそういう意図があると思うけど、勝負してるならダメでしょ?」

松原がシャーペンを動かしながら、口を挟んだ。


「みかちゃんはさ、はーちゃんの勉強の進み具合を知りたいだけでしょ?」

松原はズバッと言った。

どうやら、松原はあの場にいなかったのにも関わらずテスト対決を知っているらしい。


井上も少し驚いていた。


「リカから聞いたの?」

井上は小声で松原に尋ねる。

「まあね」

松原は頷く。


「ねぇ、はーちゃん。ここは?教えてよ」

松原は田原のことなど、どうでも良さげに井上に話を振る。

今回は松原が同行で正解だったかもしれない、と俺は思った。


本田リカなら喧嘩を売るだろうし、田中沙紀なら何も言えないだろう。


「俺も教えて欲しいんだけど」

中田が声を上げる。

「中田は賢いんだから知ってるじゃん」

井上は答える。

「いやいや、そんなに賢くないし」

「中間テストの順位で言ったら、私より中田の方が賢いからね」

井上は言うと、足を組む。


あ、あんまり機嫌が良くない感じだな、と俺は察する。


「なぁ、昼飯食わないか?」

俺は提案する。

「お、食べようぜ。今日朝飯食べてなかったから、お腹空いてるんだよなぁ」

山口も同意する。

「じゃあ、食べようぜ。何にする?」

俺はメニュー表を見せる。


「私、これー」

「じゃあ、私これで」

「OK」

中田が井上と松原の注文を覚える。


「頼んでてくれる?私、ちょっとトイレ行ってくる」

井上は立ち上がる。

これは、気分転換だなと俺は察した。


井上が部屋からいなくなった後、俺は彼女に連絡を取る。


『大丈夫か』と。

『何とかね』

井上はそう返信してきた。


そして、もう一通。

『私、早めに抜けるかも』

『いいと思う。もう充分疲れてるだろ?』

『ちょっとね。15時くらいまでは頑張るわ』

そういうやり取りをしたのち、井上が部屋に帰ってきた。


「あ、Butter-Flyだな。懐かしい」

他所の部屋から聞こえてきた曲に、俺は思わず呟く。

「バタフライ?」

田原と松原が聞き返す。


「ん。懐かしい。名曲」

井上は同意する。

男子達は必然的に分かるようで、口ずさむ。


「無限大な夢のあとの〜」

「何もない世の中じゃ〜」

懐かしい。


そして、そのあともアニソンが流れてきた。


「いつもいつでも上手くゆくなんて〜」

「保証はどこにもないけど〜」

これは大抵が知っているだろう。


松原も田原も「あー!」となった。

初代が小学校低学年の時だ。懐かしい。これで育ったようなものである。


「さて、次は何かな」

井上の言葉に全員が耳を澄ます。


「蒼い風が今、胸のドアを叩いても〜」


「テーゼか。うわー、歌いたくなるな」

俺は呟く。

「だね」

井上は苦笑しながら同意する。


「テーゼってあれだろ?エヴァだろ?」

山口は問う。

「そうそう」

「歌だけ流行ってるやつ」

中田はそんなことを言う。


おっと。その発言はいけない。

俺は井上をチラッと見た。


井上とエヴァの話はしたことがないが、ダンガムを見るくらいなのだから、勿論履修済みだろう。


井上の雰囲気が少し怖くなる。


「アニメは知らないけど、映画めっちゃ流行ってるよな」

中田は、栗原と山口に同意を求める。

「あー。やってるな」

山口は同意する。


「アニメも面白いぞ」

俺は口を挟む。

「そうなのか?でも、アニメ映画ってアニメのリメイク版だろ?だから、映画でも話一緒だろ?」

中田は言う。

「んー。基本はね。でも、まあ、アニメ版とエンディングが違う映画も存在するから、一緒とは言い難いよね?」

井上が口を出し、最後俺を見た。


「そうだな。これはアニメ見た方がいいな。最終話、は?ってなったけど、それはそれで面白いから」

俺は答える。

「え、やっぱり、は?ってなった?」

井上は笑う。

「なったな。今も子供だが、流石に見た当時はもっと子供だったから、理解出来なかったな」

「だよねー。あれは、どういった意味だったのか調べた調べた」

井上がからからと笑いながら話す。

少し機嫌が良くなったようだった。


テーゼの後に流れてきたのは、アクエリオン。これもまた、有名どころ。


「この歌詞いいよねー」

田原が言う。


一万年と二千年前から愛してる。確かに田原が好きそうだ。

なかなかにオーソドックスなアニソンが聞こえてくるので、皆も口ずさめる。


さて、次は何を歌うのか楽しみに待つ。


「君の手で〜切り裂いて〜」


「お」

俺と井上は思わず声を上げる。

丁度集合前に本屋でその漫画の話をしたところだ。


「懐かしい」

井上は思わず呟く。

「確かにな。これ歌うってことは、もう一つも歌う感じだな」

俺は応える。


そして、予想通りの歌詞が聞こえてきた。


「軋んだ想いを吐き出したいのは〜」

「存在の証明が他にないから〜」

井上が口ずさむ。


やっぱり知っている。

井上の機嫌が良いのを見て、俺は安堵するのだった。




デジモンはご存知ですか⁇

小学生時代はポケモンは映らなかったので、デジモンを見てました。

面白いですよね。

すごく王道かもですが、アグモンが好きです。

是非、機会があれば、デジモン見てみて下さい(*´-`)

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