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第15話 そして俺達は走り出す

 胸に暖かさを感じる。じわりじわりとゆっくりとだが確実に体の中に広がっていく。母親の温もりとはこのようなものなのだろうか?思い出すことは出来ないがなんとなくそうなんじゃないかと思った。ふと暖かさの中に優しく撫でる手の感触があることに気づく。ちょうど怪我をしたところだな。誰の手だろう? 俺は気になってそっと目を開けた。


「目覚めたようですな勇者殿。治ったようでなによりですぞ。」


 …………正体はジジイだった。シワの深い顔はいたって真顔だ。見なきゃ良かった。好奇心は猫をも殺すというように間違いなく俺は死んだ。心が死んだ。あの感想の後にこの真実は辛すぎる。


「そんな嫌そうな顔しないでくだされ。私とて男に触るのは嫌なんですぞ。」


「あーあー悪かったよ。それよりもじいさんは一体何者なんだ? まさか!」


 致命傷と言っても過言じゃない傷だったはずだ。それを治すなんてのは只者じゃない。マイヤやファフィーと並べても遜色ないレベルに思える。


「バレてしまいましたか。お察しの通り合流予定の司祭とは私のことですぞ。」


「じいさんが最後の仲間だったのか。」


「それならなんですぐにそう言ってくれなかったの?」


 不思議そうに首を傾げるファフィー。最もな質問だ。俺とファフィーはジーッとじいさんを見る。すると観念したようにじいさんは…………


「そんなのはパーティーに入ってしまえば面倒事に巻き込まれてしまうではないですか! 外側から助言をしつつ最後に合流して功績だけは分かち合う、そういうプランだったのに台無しですぞ!」


 このジジイいい性格してるな。怒るよりもなんだか呆れてきてしまった。


「じいさん名前は? まだ聞いてなかったよな。」


「私の名はゴライアスですぞ。」


「ゴライアスか。よろしくなじいさん。」


 何はともあれ最後の仲間とは合流出来てよかったぜ。


「そういえば他の人たちは大丈夫なのか?:


「怪我はしてますけど勇者殿よりもひどい怪我を負ってる者はいませんぞ。ただ……」


「ここまで戻れたものはか。」


 亡くなってしまった人達が多すぎる。

 俺は体を起こして周囲を見る。


「なっ!マジかよ。」


 ドリュッヘルの街の至るところで炎が燃え盛っている。いや、街だったところと言うべきかもしれない。


「燃え尽きてるじゃないか。やりすぎだろ。」


 焼失するドリュッヘルの街を見つつ頭を抱えたくなる。そして火は下火になってあっという間に消える。街を道連れにして。そしてコロシアムからは街の人たちがおっかなびっくりと顔を出し始め、俺と同じ景色を見て絶句している。この街に住む人ならその衝撃も凄まじいものだろう。


「ライル様!作戦通り街ごと邪神の軍勢は消しました。ライル様の望み通りに街は燃やし尽くしました。」


 俺の前に何故か跪いたマイヤが大声でもって告げている。


「いや、俺そんなこと言ってないだろ」


「だからどうか、どうか酷いことはしないでください。うぅぅぅ。」


 俺の声をかき消すような声だ。そして当然のようにドリュッヘルの市民にも聞こえている。よよよと泣き崩れる振りをしているマイヤもしっかりと見えているだろう。


「やりすぎだろ。私達の街をなんだと思ってるんだ!」


「それに酷いことだって! あんな女性を脅してやらせたのか!クズだな。」


「.そういえばアイツはサンドラ様を必要以上に痛めつけてた奴よ!」


 市民達の視線が痛い。彼らの手には商人から買ったのか、それとも元から持っていたのか武器が握られている。


「違うんだ。これは誤解だ。話せばきっと分かる。」


「ふざけるなクズ!俺達の怒りを思い知れ!」


 何でこうなったんだろうか?俺は仲間にアイコンタクトを贈るべく首を巡らす。キョトンとしてるファフィー。笑いをこらえるのに必死な感じなマイヤ。後で覚えてろよ。そしてじいさんはいつの間にか消えていた。逃げ足速すぎだろ!

 市民達は今にも爆発しそうだ。話なんて聞いてくれるようには見えない。怒りに身を任せる彼らを止めるのは至難だろう。


「みんな、逃げるぞチクショウが!」


 そして俺達は走り出したのだった。

ここでひとまず一区切りです。

申し訳ないのですがここで一旦休ませてもらってこの先の展開を練り直してきます。こんな下手くそな内容を読んでくれてありがとうございます。再開したらまた読んでくれると嬉しいです。

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