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協力者、発見

「え、スカーレットがいた?」

「半年前から臨時講師やってるんだとよ」


 俺たちに来る任務は、魔法に関することなら何でも、本当に何でもあり。

 失せ物探しから、移動の護衛まで。

 魔法学園への定期的な教師の派遣もその一つ、とは聞いていたが。



「最近あんまり任務一緒じゃなかったのは、ここにいたからか」

「まさかこんなところで会うとはな」


 トレードマークである真紅の仮面から、ついた呼び名がスカーレット。派手好きに見えるが性格は慎重そのもので、それを表すかのように魔法の使い方は繊細。失せ物探しは抜群の精度を誇り、指名される場面を何度見たことか。

 ただ、俺はほとんど組んだことがないので魔法省の中ですれ違えば会釈する、その程度の関係。


「それで、どんな様子だった?」


 それなんだよなぁ、と小さく呟いたのは正面に座るユリエスにもしっかりと聞こえたらしい。

 ちらりと目線だけで先を促してくる。


「全部を聞いたわけじゃないんだけど」


 授業の質は悪くない、むしろ生徒側からも意見が出たりしてスカーレットもこの半年で新たな気付きを得たりしていい環境だそうで。

 それより、気になる噂が広まっているらしく、近々教師たちが噂の元を確かめる、なんて話になっているとのこと。

 まだ裏が取れているものはないけど、と申し訳なさそうな顔をしながらも教えてくれた。


「それで、噂ってのが……」



「誰もいないよなー? ってなんだまだ残ってるのか」

「先生」

「おお、ラングートか。そっちは」

「僕の幼馴染です」

「そうか。悪いがそろそろ閉門の時間だ。話の続きは寮でやってくれ」


 施錠を確かめるように窓際に寄った教師はそのまま半分閉められていたカーテンを開いていく。


「たまにいるんだよ、夜まで残っている奴がな。あとは、侵入者対策だ」


 今まで一度もあったことはないが、と笑いながら残りのカーテンもまとめていく。このまま話していてもしょうがないし、言われた通りに寮に帰るとするか。


「聞いてるだろうが、閉門してから通り抜けるには色々と手続きが面倒だからな」

「そうですね、ありがとうございます」


 行こう、とユリエスに促されるまま教室を後にする。

 廊下には生徒の姿はほとんどなかったが、寮に着くまでの話題は当たり障りのないことばかり。


「夕食後、話の続きをしよう」

「そしたら、ユリエスに来てもらったほうがいいな。教科書でも持ってたら理由になるだろ」

「そうだね、部屋はどこだったっけ」

「一番上の右奥、角部屋だ」


 魔法以外にもいろんな事を学ぶための寮生活だが、意外にも基本は一人部屋。

 安全対策として決められた時間以外に外に出るのには申請が必要だが、それ以外は自由なんだそうだ。

 その代わり、理由もなく授業に遅刻したりするとたくさんの課題を出されたりする、らしい。


「それじゃ、また後で」


 ユリエスは一階の部屋なのか。三階までしかないけど、食堂だって一階にある。毎回この階段の昇り降りがないのはちょっとだけ羨ましい。


「とはいえ、昇らないと部屋に着かないしな」


 そのうち、見つからないように楽な方法考えよう。


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