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3/11

さん

少し短いかもしれません。

「若葉は帰ってたかい?」

「ええ。真純、貴女もちょっかい出し過ぎない」

「あいたっ!」


真純の頭を軽く小突いて、周りの様子を観察していく。水上が着替えに行った事を見て、去って行くギャラリー達。その中でも数人の生徒はまだ残ったまま。彼女達の目的は、目の前に居る真純だ。


「ほら、他の部員達も片付け済ませて、更衣室へ行ったのだから、私達も着替えてかえるよ」


真純の右腕を捕掴まえて、弓道場を後にする。

鍵は、顧問が最終確認をしてから掛けられる。


「暴力はんたーい」

「誰が暴力だ。あんたが大人しくしないからでしょ」

「はいはい」


真純目当ての生徒達も、私達が弓道場を出ると解散となる。中には、この機会を狙って告白してくる輩も居るが、隣に居る私を見て、早々と去って行ってしまう。去るのなら最初から告白しに来なければ良いのに。


「文香? 眉間にシワ寄ってるけどどした?」

「シワを寄せる様な事させてるのは何処の誰?」

「ごめんなさい」

「全く······」


更衣室の中へ入れば、既に部員達は帰った後だった。私達もさっさと着替えてしまわないと、下校時間はとっくに過ぎているので校門が閉まってしまう。


「真純、急いで着替えないと門閉まるよ」

「文香···」

「ちょ、ちょっと···」


お互い下着姿のままで、真純に背後から抱き着かれた状態だ。早く着替えないと本当に学校から出られなくなる。だけど、抱き着いてきている真純はそんな事お構い無しに、抱き締めている腕の力を更に強めてきた。


「ちょ、真純。早く着替えないと···」

「そうだけど···少しだけこのままで居させて」


良く見ると、抱き着いてきている真純の腕が震えていた。

振り返り彼女を見ると、涙で顔中濡れていた。


「真純」

「一人にしないで···私を置いて行かないで···」

「···置いていくわけ無い。真純を一人になんてさせない」

「ほんとう?」

「嘘はつかない。私はずっと真純の傍に居る」


正面から真純を抱き締めてやると、真純も抱き返してくれる。

普段は好き勝手な事をしているが、本当は誰よりも臆病で、怖がり、そして寂しがり屋。

そんな真純の全てを知っても、私は変わらずにずっと一緒に居る。それは真純を好きになった時から変わらない。


「文香···好き」

「私も、真純の事好きだよ」


最初は軽いキスから、だんだんと舌を絡める濃厚なキスに変わり、気付けばお互いの服は乱れていた。

最後にもう一度『ちゅっ』と軽くキスをして、どちらからとも無く顔を離す。


「帰ろっか」

「······門閉まって無ければ良いが」


鞄を手に取ると、寄り添う様に更衣室を後にした。





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