5話 空の騎士(5)
◇◇◇
「…………」
「…………」
「…………」
ゔ〜!!! この沈黙!!! いつまで続くのかな!? 怖いんだけど!?!?
黒咲さまは機嫌がめっちゃ悪そうだし……!!! レンさまはもともと静かな方とはいえ、この沈黙、辛すぎるんだけど!!!
アタシは心の中でめっちゃ叫びながら、そんな素振りを少しも見せずに、お2人のあとに続いていた。
美琴のバカ〜!!! なーにが夕方からデートだから! なのさ〜!!!
アタシは、魔導騎士団〈日向の誓い〉の仕事ナカマの友だち、美琴に対して悪態をついた。
アタシが1人は心細いからと、守上さまに許可をとって美琴を誘えば、デートを理由に出張はムリ! と断られて。その結果がこれなんだから、悪態もつきたくなるよね。
心の中でうんうん、と1人頷きながら、アタシは歩く。
――と、その瞬間だった。チッという舌打ちが小さく響く。その舌打ちは黒咲さまだった。黒咲さまがアタシの前に腕を伸ばして制していた。
「感じたよな、オマエも」
レンさまが黒咲さまの言葉に頷く。険しい顔つきのまま、黒咲さまが続ける。
「おい、女」
「っ。は、はい! 花園です!」
黒咲さまの声に言葉が一瞬つまるものの、返事をする。
「この魔力なら、オマエもこの距離でも感じるよな」
「?」
アタシは、その言葉に感覚をとぎ澄ます。
「あっ」
「解ったらしいな」
アタシも、その魔力とやらを感じて。声をもらせば、黒咲さまが反応する。
「死にたくないなら、ココにいろよ」
行くぞ――そう短く口にして。その言葉を発したが最後、黒咲さまは消えたんだ。
そこにいたはずのレンさまも消えてる。
「ちょっ! 連絡役なのに!!!」
アタシはたぶん瞬間移動の魔法だと思って、あとを追おうと思った――けど、足が動かない。冷や汗が出ていた。
感じた魔力が、これでもかってくらい膨大で、そして感じ続けると悪寒が走ってくる魔力だったから。
(――ああ)
死にたくないなら、という意味がわかった気がした。
◇◇◇
チッと大きな舌打ちが心の中で響いた。――念話を双子の片割れに飛ばす。
『おい! このクソなんだよ! 魔具じゃないのか!』
大きなバック宙返りで咄嗟に後退する――あーメンドクセぇ。
『黙ってないで教えろー!!』
念話を飛ばして地面を蹴った。刹那――その地面は穿たれて粉々になる。クッソ……!!
(紫桔舞のヤツ、ツーマンセルで来させたのはこれを見越してだな!)
戦力として数えない連絡役の女を除いて考えたオレは、紫桔舞の顔を思い出してムカつき始める。
(空間魔法『圧縮されし重力』――!!)
対象に手を伸ばし、オレは重力を一点集中でそのデカブツにかけた。そのまま、レンの横に魔法で瞬間移動する。
「で!? アレなんだよ!!」
「――……魔物が取りこんだ……姿だと思う……」
レンが口にした瞬間、魔法が弾ける――
(!!)
デカブツをふり返る。
「あのクソ!! オレ様の重力を!!」
膨大な魔力を放つデカブツが、禍々しい魔力を放ってオレの魔法を破っていた。オレは後方支援型のレンを巻きこまないため、そのデカブツにすばやく近づいていく。
『元が魔物なら、異能が効くだろ!』
レンに念話を飛ばしながら、デカブツに魔法をかける。が、弾かれた。レンの言葉通りなら、魔具を魔物が取りこんだってことになる。信じたくない話だけどな!!!
『おい! オレの魔法にオマエの異能を合わせろよ! いいな!』
オレは念話でレンに伝えると、オレらしくもない――けど、〈混沌の矛盾〉として過ごしてきたナカマってヤツを信じることにした。
そして。
レンにもタイミングが分かるよう、大声で魔法を口にした。
「属性魔法『絶対零度』――!!!」




