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光と共に  作者: 藤咲梗花
序章 その日々が、光だった。
19/24

4話 王族(7)

 



「それもそうだけど、本題はちがう」


 佐倉聖さくら きよはそう口にする。それを聞いて私の名を指示しじを出す王。



礼離れいり人払ひとばらいを」


「は。続きは30分後とする。すみやかにれ」


 私の言葉を合図あいず臣下達しんかたち退散たいさんして行く。人がなくなれば佐倉聖は私を見てから王に言うのだ。



「……わるいけど、光輝みつきと2人で話したい」


「……礼離れいり


 その王の言葉に、私は王を見てあつを送り、王……。とつぶやく。そしていきこぼして私は玉座ぎょくざから出て行った。


 外で待機たいきする私は、部屋へやの中の声を拾う魔法まほうを使用して話の内容ないようを聞く。その内容に、私はまゆひそめる事になるのだ。




 ◇◇◇




「あの……レイ、ちゃん……」


「ん。どうかしたわけ?」


 湯船ゆぶねかりながらあたしはレイちゃんに声をかける。2人きりの風呂ふろの中であたしは質問しつもんこぼす。



「きよくんとレイちゃんは、……友だちなんですか?」


 そうこぼせば、目を丸くしてからフッとわらうとレイちゃんは答える。



「おれときよは家族みたいなモンだな」


「かぞく……」


「聖は手のかかる兄貴あにきみたいなモンだ」


「兄上……ですか」


 家族みたいなモノだと言われたあたしは、母さんと父さんのことをまた思い出してしまってきそうになってしまう。



わるい。……きっとつらい目にあったんだよな」


 レイちゃんはそう口にすると、あたしの方に来てあたしをめる。



「泣かせようと思って言ったんじゃないんだ。ごめんな」


 その言葉にあたしはこくこくとうなづいて。あたしをめてくれた優しいレイちゃんを困らせないために、なみだを流さないように我慢がまんする。



「だいじょうぶ。聖も言ってたけど、ここでらすならアメリアのことはおれもまもるからな」


(──それがきっと、あの人への恩返おんがえしにもなるはずだ)


 レイちゃんの思っていたことは、当然とうぜんあたしには分からない。



「ありがとうございます……。レイちゃんも()()()()んですね?」


 そうレイちゃんをふり返って言えば、レイちゃんはそうか? と口にする。



「当然のことをしてるだけだけどな」


「そうなんですか?」


「だれかがこまってたら助けるのは当然だろ? それが小さな子どもなら、なおさらな」


(──おれらはそうやって助けられて、ここにいるんだからな)


 レイちゃんはそうやって自身の過去かこ回顧かいこする。レイちゃんの過去についてあたしが知るのはまだまだ先の話だった。



「……だれかが()()()()たら助けるのはとうぜん……」


 あたしはレイちゃんの言葉をつぶやいて反芻はんすうする。


 おさないあたしはその言葉に母さんのことを思い出してしまって、我慢がまんしていたなみだこぼれた。



『アメリア。──こまっている人がいたら、花や鳥さんを助けるみたいに助けてあげようね。母様かあさまとの約束やくそく


『はい! 母上!』


 返事をして、そして母さんにきつくあたし。



「母上……、……ッ」


 ぽろぽろと涙がこぼれる。何を考えても、母さんと父さんにつながってしまって。幼いあたしにはとてもえられる現実じゃなかったんだ。


 レイちゃんはその様子にあたしを強くめる。



「すみません……レイちゃん、ごめんなさい……」


 あたしはなみだ我慢がまんできなかったことをあやまる。その間も涙は止まることを知らない。



「だいじょうぶ。おれはそばにいるからな。きたいだけ泣けばいい」


 あたしはレイちゃんの言葉に、レイちゃんにきついて泣いたんだ。








 風呂から上がって、かみ魔法まほうかわかして。そうしてあたしは洗面所せんめんじょから出てダイニングに行く。



(……え?)


 あたしは心の中で声をらした。



「あがったぞー」


 とレイちゃんが洗面所せんめんじょから出てくる。ん? とレイちゃんは口からこぼして。



「聖いねぇじゃん」


 レイちゃんがダイニングととなりのリビングを目にして口にした。レイちゃんの言葉の通り、聖くんの姿すがたがなかったんだ。



気配けはいもないしな。しろにでも行ったか?」


 レイちゃんがそうこぼす。



()()()ですか?」


 そうレイちゃんにたずねるおさないあたしは、聖くんの姿すがたがないと分かった瞬間しゅんかんからむねが不安でいっぱいになる。



「たぶんな。……まあ、すぐもどってくるだろ」


 レイちゃんはそう言うととなりのリビングに移動いどうしてソファにすわる。



「聖が心配か?」


 レイちゃんの言葉にあたしは小さくうなづく。



「……だれにも。……だれにも、いなくなってほしくないんです」


 あたしがそうこぼせば、アメリア……とレイちゃんはあたしの名前を口にする。



「よし、なら今からしろでも行くか?」


 レイちゃんはそう言ってソファから立ち上がった。



「待てるならいいけど、心配なんだろ?」


 レイちゃんは立ちくすあたしの方に歩きながらそう言う。すると、玄関げんかんからカギける音がして。


 あたしとレイちゃんは玄関げんかんの方を見る。



「帰ってきたみたいだな」


 レイちゃんがそう言うと、玄関げんかんとびらが開いて。そこには聖くんがいた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様ですっ。 聖君と王様が二人何やら密談を……今後の話の進展に関わるもの、と気になる要素がありつつ、メインはアメリアちゃんとレイちゃんのお話でしたね。 アメリアちゃんはやはりま…
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