↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか勇者となる君は  作者: Norinα
第一章 娼館暮らしの冒険者
PR
17/34

〜Side カーズゥ〜

 我が名はカーズゥ・グッドビートなのねん。


 朝っぱらから大事件なのねん……。


 最初から最後まで聞いた訳ではないのねん。


「今日、特別な依頼を用意しておきました。これで死んできてください……この犯罪者」


 これは聞こえたのねん。


 看過できる訳が無いのねん。


 事情を知っていそうなエイラも連行するのねん。


 話を聞く。


 ノリが仮に犯罪者だった場合、問題があるねん。


「ノリが娼館の一室で暮らしていました」

「ノリが娼館の女性の娘を自分の部屋に呼んでいたわ」


 ソレどういう状況ねん……。


 うらやまけしからんねん。


「その娘とやらは、嫌がっていないのねん?」


「私も詳しい状況までは……エイラ」

「その娘は、自分でノリの部屋に入って、自分でベッドに入っていたわ……」


 娘の年齢が不明ではあるが、あのオババが不法行為を犯すとは考えにくいねん。


 住み込みなら、成人年齢に達しているはずねん。


 聞く限り、娘もそのつもりでノリの部屋へ行っているねん。


 そもそも、ディークの行きつけの娼館で、犯罪行為が見過ごされる訳が無いのねん。


 ディークに話を聞く必要はあるねん。


 だが、現状は圧倒的なのねん。


「ノリが娼館の一室で暮らしていると言うことは……どう確認し……まさかエイラ、不法侵入したのねん?」


 ……エイラは黙って頷く。


 両手で頭を抱えるねん。


「リリカ、先程の発言は職務放棄であり、ハラスメント処罰対象になることは理解しているねん?」


 ……リリカは頷く。


「現状、ノリは一つも悪いことをしてないねん。リリカは処罰対象、エイラは犯罪行為ねん。どの口でノリを侮辱するかぁあああ!!!!」


 思わず怒鳴ってしまった。


 ビクリと震える2人。


 監督責任は私にあるねん。


「少なくとも、謝罪するねん。エイラは後で一緒に娼館に行くねん。一緒に謝るねん。オババも話の分からん方じゃないねん。逆に謝罪に行かないなら、法的処罰だけじゃ済まないことになりかねないねん」


 冗談抜きの大真面目ねん……。


 エイラは震えた声で言った。


「……ご、ごめんなさい……」

「私も、すみませんでした」


 リリカも謝罪してくるねん。


「謝罪する相手が違うねん。ノリに謝りに行くねん」


 そう言うと、2人の顔付きが不満に変わる。


 あからさまに不機嫌な顔になりやがったのねん。


 ……男に変な夢見てるっぽい2人ねん……。


 ノリには悪いが、2人のためにも、その幻想はぶち壊すに限るねん。


 2人の首根っこを掴んで、ノリの前に立たせたねん。


 だが、どうして、ノリが退会するねん。


 ノリの言い分は、まさにこの西ギルドを想ってのことねん。


 リリカとエイラは、事情が事情だけに辞めさせられないし、謹慎も厳しいねん。


 だから、ノリの選択は、西ギルドの運営にとっては最善の行動なのねん。


 退会届は、法的に怪しいが一時預かりにしたのねん。


 ノリは最後に、2人に礼を言い、去ったねん。


 2人に悪びれる様子は無いねん。


 むしろ、せいせいしたと言わんばかりねん。


「あーあー! せっかくの相棒が辞めちまったなぁ! だぁれのせいだぁ!?」


 ディークが2人に迫るねん。


 ただ、それは私が阻止するねん。


「どの口が言ってるねんディーク! お前のせいで辞めた冒険者、1から言ってやろうかねん!?」


「ぐぅ……」


 良いグゥの音が聞けたねん。


 少しは反省するが良いねん。


 ただし――。


「ディーク、ノリの話を聞かせるねん」


「ここで良いな?」


 ディークは、ギルドロビーの真ん中に、椅子を4つ並べたねん。


 全員に聞かせるつもりかねん?


 ……時と場所は弁える男ねん。


 乗ってやるねん。


 リリカとエイラも座らせる。


 そして、事の顛末を聞いたねん。


 リリカとエイラは、顔を青くして、俯いてしまった。


 ノリが『呪いの薔薇』で壊滅寸前だった娼館を救い、命の危機に瀕した親子を救った話を聞いて。


「ディーク、そんな重要な話、どうして黙ってたねん……」


「いや、『呪いの薔薇』だぜ? ノリ曰く、薬を量産してオババ経由で他の娼館にも配ってるって話だ」


 ……待つねん。


 それは――。


「公爵閣下の耳にも入ってんだろ。ノリはそれを承知で、少しでも先に実績の方を上げるつもりだ。『呪いの薔薇』を含む他の呪い――性病とやらも、このウェスタリアから撲滅させる気らしいぜ。本気でな」


 不治の病の一種である『呪いの薔薇』を打ち払うだけでなく、それ以外も?


「待つねん、ノリにメリットが無いねん。それで金を稼ごうという訳でも無いねん?」


 ディークは足を組んでテーブルに乗せ、天井を見上げて言ったねん。


「大厄災【魔王の檻】に対処するには、冒険者だけじゃなく、騎士団、そして街に生きる全ての者が健康であるべきだ。それが『僕のメリット』だとよ」


「……まるで【勇者】の思考ねん。まさか――」


「ノリは勇者じゃねぇ。今はな」


 ……そういうことにするねん。


「はぁ、忙しくなるねん……」


「だな」


 私の溜息にディークも、やれやれと言う顔をするねん。


 最後に、ディークが体を起こして言う。


「だからオババのところへ行くなら今すぐに行け。そして、これは俺として、とてつもなく不本意な話ではあるが――」


 まだ何かあるねん?


 ん?


 リリカとエイラに顔を近付けて……何言うねん?


「娼館暮らしを始めて1か月、ノリは未だにどのお嬢にも手を出してねぇ」


 ……ウッソねん、ノリ。


 それはウソねん……。


 リリカ、エイラ、なんで食い付き気味に復活するねん。


「ついでに言っておく。ノリに対して、オババからお嬢共へは、いつでも無料《タダ》で相手をしていいと言われている。だが、誰にも手を出していない。お嬢どもは忙しい中でもノリに怒りを覚え始めている」


 ん?


 なんか不穏な空気なのねん?


「『タダで相手をしてやると言っているのに来ない? そんなに魅力が無いのか』ってな。お嬢共はプライド高ぇからな」


 ぉん?


 ノリ、実はモテモテなのねん?


 まぁ、そりゃモテるねん。


 男側から見てもノリは優良物件ねん。


「ま、言いたいことはアレよ。ノリが女に迫られ……ゲフンゲフン、女を作るのも時間の問題。ノリに惚れてる嬢が……悔しいことだがマジで多い。ま、正直、お前らじゃ勝てないかもなぁ?」


 うらやましっ!


 が、煽り過ぎねんディーク!


 リリカとエイラの頬がプックプクに膨れ――。


 良いぞディーク、もっと煽るねん!


 リリカとエイラは同時に立ち上がった。


「マスター。大変お手数ですが、娼館へ案内をお願いします」


「マスター、私が全面的に悪かったです。心から謝罪します。ノリにも、娼館の主にも、謝りたいと思います」


 明らかに目付きが変わったねん……。


 不純な動機な気もするねん……。


 あとは、やることやるだけねん。


 オババか……久しぶりに会うねん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。