第6話 出会い
朝。
霧の残る森を、セリスは歩いていた。
足が重い。
それでも、止まれない。
「……水……」
喉が焼けるように渇く。
その時。
気配が走った。
ノイエ・ジールが、すぐに反応する。
『……右前方に三名。武装を確認。敵対する可能性が高いです』
「……戦うのは」
『……推奨します』
「だめ」
セリスは、小さく首を振った。
だが、その直後。
「動くな!」
鋭い声が森に響く。
矢が、こちらへ向けられていた。
木々の影から、三人の男が姿を現す。
装備は粗末だった。
それでも、その目には強い警戒が宿っていた。
「帝国の犬か?」
セリスは答えようとする。
その瞬間だった。
『……排除します』
身体が動く。
「やめ──!」
声は間に合わない。
剣が振り下ろされようとした、その寸前。
ぴたりと止まった。
「……?」
『……制御権を返却します』
セリスは、目を見開く。
初めてだった。
ノイエ・ジールが、自ら攻撃を止めたのは。
ゆっくりと両手を上げる。
「違います……私は……」
言葉に迷う。
名乗るべきか。
一瞬だけ、ためらう。
それでも。
「……エルデン王国第一王女、セリス・アルヴェリアです」
森が静まり返った。
三人の表情が変わる。
その中の一人。
若い青年が、一歩前へ出る。
「……証明は?」
セリスは、静かに剣を掲げた。
その瞬間。
空気が変わる。
青年の目が細くなった。
「……その剣」
視線が、刃に釘付けになる。
「……お前、何を持っている?」
それは、誰の目にも明らかだった。
その剣は、ただの剣ではなかった。
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