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出会い
朝。
霧の残る森を、セリスは歩いていた。
足は重い。
だが止まれない。
「……水……」
喉が焼けるように乾く。
その時。
——気配。
ノイエ・ジールが即座に反応する。
『右前方、三名。武装。敵対の可能性高』
「……戦うのは……」
『推奨します』
「だめ」
セリスは首を振る。
だが。
次の瞬間——
「動くな!」
矢が突きつけられる。
森の影から現れた三人。
粗末な装備。
だが目は鋭い。
「帝国の犬か?」
否定しようとした、その時。
『排除します』
身体が動く。
「やめ——!」
遅い。
だが。
剣が振られる直前——
止まった。
「……?」
『……制御権を返却します』
初めてだった。
ノイエ・ジールが、自ら止まったのは。
セリスはゆっくりと手を上げる。
「違います……私は——」
一瞬、迷う。
だが。
「……亡国の王女です」
沈黙。
三人の顔が変わる。
その中の一人——青年が、前に出た。
「……証明は?」
セリスは剣を見せる。
その瞬間。
空気が変わった。
「……その剣……」
青年の目が細くなる。
「……お前、何を持ってる?」
——ただの剣ではない。
それだけは、誰の目にも明らかだった。




