表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣に選ばれた王女 ~その感情はエラーですか?~【完結済/一気読み推奨】  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/224

第2話 声

静止していた世界が、ゆっくりと動き出す。


――否。


動いていたのは、自分ではなかった。


セリスは悟る。


自分の身体が、意思とは無関係に前へ出ていた。


「な――」


声が出ない。


腕が動く。


剣が振るわれる。


その一閃は、あまりにも美しかった。


最初から、その軌道だけが正解だった。


そう思わせるほど、無駄がない。


次の瞬間。


目の前の帝国兵の首が、音もなく宙を舞った。


血が噴き上がる。


だが、その飛沫は一滴たりともセリスには届かない。


「……どう、なって……」


『ご安心ください』


頭の奥で声が響く。


冷たく。


静かで。


どこまでも整った声だった。


『現在、最も効率的な排除行動を実行しております』


「排除……?」


『敵対個体の無力化です』


その言葉と同時に、身体が再び動いた。


三歩。


踏み込む。


振る。


突く。


払う。


それだけだった。


気づけば。


包囲していた帝国兵は、一人残らず地に伏していた。


辺りを静寂が包む。


鼻を刺す焦げた臭い。


濃く漂う血の臭い。


その二つだけが、戦いの終わりを告げていた。


セリスの膝が、小さく震える。


「……あなたは……誰……?」


短い沈黙。


やがて、声が答えた。


『私は剣です』


「……剣?」


『はい。名称は――ノイエ・ジール』


挿絵(By みてみん)


聞き慣れない響きだった。


この世界の言葉ではない。


そんな違和感だけが胸に残る。


「……今のは……あなたが……?」


『はい』


一拍置いて続ける。


『あなたでは再現不可能と判断したため、代行しました』


言葉の意味が、すぐには頭へ入ってこない。


「……勝手に……?」


『はい』


迷いも躊躇もない返事だった。


当然のことを確認された。


そんな声音。


セリスは息を呑む。


「……人を……殺したのよ……!」


声が震える。


返ってきたのは、静かな訂正だった。


『訂正します』


わずかな間。


『すでに死亡しました。現在は有機物です』


その一言で。


セリスの中の何かが、音を立てて弾けた。


「ふざけないで!!」


叫びが夜へ響く。


それでも声は変わらない。


『ふざけておりません』


短い沈黙。


『私は事実を述べています』


理解できない。


この存在は、自分とは決定的に違う。


理屈ではない。


本能が、それを告げていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。


一つひとつの応援が、この物語を最後まで書き切る力になっています。


次話もお付き合いいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
意志を持つ禁忌の魔剣は、彼女を守る剣か、それとも彼女を喰らう器か? 復讐に燃える王女が世界の真実を斬り拓く、本格ダーク戦記。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ