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魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第一章「魔剣と王女」

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倒すと守る

翌朝。


霧の残る街道を、四人は歩いていた。


「……次の目的地は?」


リオが言う。


「ヴァレン王国の方角に向かう」


セリスが答える。


「帝国の動きを掴みたい。情報が必要よ」


「遠回りじゃないか」


「安全な道がそこしかない」


ガイウスが地図を見ながら補足する。


「帝国の追跡部隊は東に集中している。西回りが現状最善だ」


リオは黙って頷く。


納得した、というより——考えている顔だった。



しばらく歩いたところで。


リオが口を開いた。


「……なあ、セリス」


「なに?」


「帝国を、どうするつもりだ」


セリスは歩きながら答える。


「止める。これ以上、村が焼かれないように」


「止める、じゃなくて——倒す、だろ」


足が、止まる。


リオがセリスの前に立つ。


目が、真剣だった。


「守るだけじゃ終わらない。帝国を叩き潰さないと、また同じことが起きる」


「……分かってる」


「分かってるなら、なんで村人を助けに行く。なんで逃げる兵士を見逃す。そんなことしてる間に、どこかで誰かが殺されてる」


セリスは、リオをまっすぐ見る。


「あなたは、誰かを失ったのね」


リオの表情が、わずかに固まる。


「……関係ない」


「関係ある」


静かに、しかし迷いなく言う。


「あなたが怒っている理由が、私には分かる」


「……」


「でも」


一歩、前に出る。


「倒すだけじゃ、終わらないとも思ってる」


リオが眉をひそめる。


「どういう意味だ」


「昨日の兵士。あの中に、怯えていた顔があった」


「兵士は兵士だ」


「そう。でも——命令で動いている人間を全員倒しても、命令を出す仕組みが残ったら、また同じことが起きる」


沈黙。


「……きれいごとだ」


リオが言う。


「そうかもしれない」


セリスは否定しない。


「でも、きれいごとでも言い続けるつもり。それが——私が戦う理由だから」



風が、吹く。


リオは、しばらくセリスを見ていた。


やがて。


「……俺には、無理だ」


小さく言う。


「今は、まだ」


それだけ言って、歩き出す。


セリスは、その背中を見た。


(今は、まだ——か)



「……面倒な議論だ」


ガイウスが横を通り過ぎながら言う。


「でも」


一瞬だけ、足を止める。


「お前の言い方の方が、まだ筋は通っている」


それだけ言って、歩き出す。


セリスが目を丸くする。


「……珍しいこと言うのね」


「一度だけだ。忘れろ」



メイラが隣に並ぶ。


「……セリスさん」


「なに?」


「リオ、ああ見えて——ちゃんと聞いてると思います」


「……そう」


「うん」


短く、確かに言う。



『非合理な寄り道が続いています』


ノイエが言う。


「これは寄り道じゃないの」


『……定義の相違ですね』


「そう。これが——旅よ」



四人は、歩き続ける。


霧が晴れ始めていた。


遠くに、道が続いている。


まだ長い。


それでも——


歩く理由は、ある。

最後までお読みいただきありがとうございます!

次回は**【本日21時】**に更新予定です。

新メンバーが加入する回になりますので、ぜひお見逃しなく。

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