表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【毎日更新!】魔剣に選ばれた王女 〜亡国から始まる反逆の戦記〜  作者: 筑紫隼人
第六章「悪魔と呼ばれた者」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/155

第147話 繋がる断片

三日間——準備をした。


山への食料。


防寒のための衣類。


ベックへの連絡。


ライラが——一つずつ、手配した。



その間に。


セリスは——一人で、記録を見ていた。


ガウスから受け取った写しと——ベックから聞いた情報。


そして——ベルフェゴールが言っていた言葉。


「その剣の本当の名前を——いつか、知ることになる」



(……繋がっている)


(でも——全体が、まだ見えない)


(断片が——ある)


(でも——全体を繋ぐ何かが)


(まだ、足りない)



「……何を見ているんですか」


メイラが——来た。


「記録です」


「ガウス教授の?」


「ええ。それと——ベックから聞いたことも」


「何か——わかりましたか」


「……断片は、ある」


「でも——繋がりきっていない」


「どんな断片ですか」



セリスは——紙を、メイラに向けた。


「魔導石は——ルシファーの封印と同じ力で作られている」


「知っています」


「バール教の光の神バールが——封印を維持しようとしている」


「ええ」


「ヴェストファーレン公爵が——私をヴァルキリーとして育てようとしていた」


「……ヴェストファーレン公爵」


メイラが——少し、止まった。


「エルマさんの旦那さんでしたよね」


「義兄です。エルマさんの兄」


「……あの方が、セリスさんをヴァルキリーとして?」


「そういう節が——あった」


「ガイウスも——62話で密偵の兆候に気づいていた」


「……でも、なぜですか」


「……まだ、全部は分からない」


「でも——一つ、引っかかっていることがあります」



「何ですか」


「公爵が——私に偽名を用意していた」


「セラ・エーレンベルク」


「帝都に入る前から——用意されていた」


「……事前に知っていた、ということですね」


「ええ」


「私が帝都に向かうことを——知っていた」


「それは——どういうことか」



メイラが——少し、考えた。


「……計画していた、ということですか」


「そうかもしれない」


「でも——公爵が、なぜセリスさんのことを」


「……そこが——まだ、分からない」


「でも——引っかかっている」


「引っかかりを——たどっていく」


メイラが——頷いた。


「ノイエみたいですね」


「……そうかもしれない」



「……ガイウス」


セリスが——呼んだ。


「何だ」


「一つ——聞いていいですか」


「ああ」


「ヴェストファーレン公爵について——どう思いますか」


「どう、とは」


「あの人が——何者なのか」



ガイウスが——少し、間を置いた。


「……正直に言う」


「ええ」


「あの男は——人間ではないと思っていた」


「……人間ではない?」


「62話に——密偵の兆候を感じた、と言った」


「ええ」


「あの時——感じたのは、密偵の兆候だけではなかった」


「何を感じたんですか」


「……人間が持つ——限界を感じなかった」


「限界?」


「人間は——情報を収集する時に、どこかで限界がある」


「知らないことがある」


「間違えることがある」


「でも——あの男は」


「私が気づいていないことを——すでに知っていた」


「私の過去を——調べていた痕跡があった」


「それが——自然すぎた」


「人間が調べた、にしては——あまりにも」



「……自然すぎた」


セリスが——繰り返した。


「ええ」


「人間が調べれば——どこかに、痕跡が残る」


「でも——あの男の知識には、痕跡がなかった」


「初めから——知っていたような」


「そういう知り方だった」



「……ノイエ」


セリスが——静かに、呼ぶ。


『……はい』


「ヴェストファーレン公爵について——知っていることがありますか」



長い——沈黙。



『……』


返事が——なかった。


「……ノイエ?」



また——間があった。


今度は——いつもより、長かった。



『……引っかかります』


「何が?」


『……その名前が』


「ヴェストファーレン公爵の名前が?」


『……はい』


「なぜですか」



また——沈黙。



『……分かりません』


『でも——引っかかります』


『強く——引っかかります』



「……強く」


「以前より——強い引っかかりですか」


『……はい』


「どんな感じですか」



少し——間があった。



『……近い、と思います』


「近い?」


『……何かが——近い』


『あの男が——何者なのか』


『答えが——近い気がします』


「でも——分からない」


『……分かろうとしています』



セリスは——少し、止まった。


(……ノイエが感じている)


(強い引っかかりを)


(私も——感じている)


(答えが——近い)


(でも——まだ、届かない)



その夜。


セリスは——一人で、考え続けた。



公爵が——偽名を用意していた。


公爵が——エルマさんを呼び寄せた。


エルマさんが——私を養子にしようとした。


公爵が——状況を設計して、能力を引き出す方式で動いていた。


神が——ヴァルキリーを育てようとしていた。


その方式が——同じだ。


状況を設計して——直接命令しない。



(……同じだ)


(公爵の動き方と)


(神の動き方が)


(同じだ)



「……ノイエ」


「一つ——聞いていいですか」


『……はい』


「神は——人間の姿をとることができますか」



長い——沈黙。



『……できます』


「できる?」


『……神は——器を持てます』


『人間の体を——借りることができます』


「借りる?」


『……完全に乗っ取るのではなく』


『人間の体を——媒介として、存在できます』


「その場合——その人間は、どうなるんですか」


『……長くは、持ちません』


『でも——短い期間なら、可能です』


「長くは持たない——」



セリスは——止まった。


「……公爵は」


「エルマさんの兄は——長く生きていました」


「ずっと——公爵として」


「それは——一人の人間が、神に乗っ取られていたのではなく」



『……あるいは』


ノイエが——静かに言った。


『……最初から』


『人間ではなかったのかもしれません』



「……最初から」


「人間ではなかった」


「神が——人間の姿を作り出した」


「ヴェストファーレン公爵という——存在を、作り出した」


「そのために——エルマさんを兄として持つ、という設定も含めて」



『……分かりません』


『でも——引っかかります』


「強く?」


『……はい』


「……私も、強く引っかかっています」


「でも——まだ、確信が持てない」


「証拠が——ない」



「……証拠を探す必要がありますか」


メイラが——静かに言った。


「聞いていたんですか」


「少し——はい」


「……証拠がなくても」


「セリスさんが——そう感じているなら、そうなのかもしれない」


「証拠がなくても、動けることはある」


「感じていることを——信じていい時がある」



「……ノイエ」


「あなたが——強く引っかかっている」


「その感覚を——信じますか」



少し——間があった。



『……分かろうとしています』


「その感覚を——信じることを?」


『……はい』


「……私も、同じです」


「まだ、確信は持てない」


「でも——信じようとしています」


「公爵が——神かもしれない」


「その可能性を」



沈黙。



「……次の山への干渉が終わったら」


「もっと、近づけるかもしれない」


「ノイエが——封印核に触れることで」


「何か——分かることがあるかもしれない」


『……はい』


「一緒に——たどっていきましょう」


『……はい』



夜が——深くなっていた。


灯りが——小さくなっていく。



(……答えが、近い)


(でも——まだ届かない)


(でも——近い)


(それだけで——今夜は、十分だ)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


突然ですが、作者からコンサル的お願いがございます。


「ブックマーク・評価」という施策を打てていない読者様、費用対効果は最高です。ワンクリック・5秒・無料。これ以上のROIはありません。


次話の更新速度というKPIに直結しますので、何卒ご支援のほどよろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【開始12時間で100PV突破の注目の新作!】意志を持つ禁忌の魔剣は、彼女を守る剣か、それとも彼女を喰らう器か? 復讐に燃える王女が世界の真実を斬り拓く、本格ダーク戦記。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ