188話 連携
今、目の前で飛んで行った人型が開けた天井を呆然と見ていると金属の天井が自然に塞がっていく。
そして、次の瞬間には建物が振動し始めた。
「なんだ?」
俺はその部屋を一旦出ようとすると、先ほどの通路には蜘蛛型が通り抜けられないほど集まっており、一斉に刃物の付いたアームを出して襲いかかってきた。
何だよこの数。さっき少しこの部屋に留まってただけなのにこんなに増えてるなんて、、、
早く合流しないと、人型が2人のところ行ったらヤバいじゃんか。
通路が通れない。片っ端から潰していくしかないか。
俺は仕方なく目の前の敵のボディを壊して、中の魔核を握り潰していく。そんな全く同じ動作を繰り返し、何もワクワクしない戦いを淡々と続けていくのだった。
ピィー
ピィー
ピィー
数十分、とめど無く押し寄せてくる蜘蛛型を処理していると、どこかで警報音が鳴鳴り響く。
すると目の前にいる蜘蛛型が突然停止する。
「終わったのか?」
だが、それは嵐の前の静かさだった。
「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」「緊急」
蜘蛛型は警報音に反応したのか、アームをしまい、180度回転して逆方向へ進み始めた。
もしかして、あっちで何かあったか!?
とりあえず数は減らしておくか。
俺はそう思い蜘蛛型の波に流されながら一体ずつ処理していく。
破壊している俺のことは完全無視で移動し続ける蜘蛛型はベルトコンベアのある工場エリアを越え、数を増やしながら入り口付近に到達し、全個体が外へ移動している。
はぁ、やっと外に出れた。
だが、建物から出ると少し遠くにはなんかヤバいクレーターが出来ており、多分人型とてっちゃんが戦ってるっぽい。
少し離れてトシくんがいる。
そして、人型もなんかトラン○フォームしてる気がする。
しかし、何だこの地形の変わり様は、、、
一体何があったというのだろうか。あの人型が想像以上にヤバいボスだったのだろうか。
だとしたらトシくんとてっちゃんの事が気がかりになるが、ちゃんとあそこに2本の足で立ってるので多分大丈夫。
この蜘蛛型もあっちに向かうだろうからなるべく数を減らさなければな。
ドドドドドドドドッ
蜘蛛型は止まらず、あの人型の方へ真っしぐらだ。
俺は蜘蛛型のボディに飛び乗り、腕を突っ込み魔核を壊し、違う蜘蛛型に飛び移り、潰して、また飛び移り、破壊しながら勝手に少しずつ移動してくれている。
ボディの上で揺られながら戦っていた俺は、てっちゃんとトシくんと目を合わせられる距離まで到着することができた。
「てっちゃん!トシくん!大丈夫だったか!?今どんな状況だ!?」
「やっときたか!マサト!この人型の背中、ぶっ壊してくれ!そこが弱点だ!」
てっちゃんは人型と攻防を繰り広げながら指示をくれる。
「マサトくん!トドメよろしくね!多分あと少しだと思う!」
俺は今乗っている蜘蛛型を潰してから目の前の空いてる地面に着地し、足に拳撃を使い一気に地面を弾く。
弾丸の如く人型へ追突し、両腕の拳撃で正面の外装に拳を叩き込む。
その衝撃で金属の巨体は後方少し上に浮き上がる。
「てっちゃん飛べっ、最後よろしく!」
続いて宙に浮いた人型の下に潜り込み、ほぼ昇○拳と同じフォームで人型に特大アッパーを喰らわせる。
ドガンッ
週末世界の空に飛んだてっちゃんに向かって、迫り来ていた大量の蜘蛛型から一斉にミサイルが発射されてしまう。
バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ
「安心してっ!!」
それを読んでいたトシくんはすでに大量の魔法矢の弾幕をてっちゃんが攻め込むであろう空中に放っていた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ
空中でミサイルと魔法矢が衝突し、爆風が巻き起こるがその中をてっちゃんは魔核に向かって急降下。
ガラ空きの背中から剥き出しになった魔核にてっちゃんの鋭いナイフが静かに埋まっていく。
縦横斜め、その素早いナイフ捌きで魔核は細切れだ。
「はいっ!おつかれさ〜んっ!」
空中にあった金属の塊はふっと霧となり消えていく。
現代世界にはない物体の消え方だ。
周囲にいた大量の蜘蛛型も完全に停止し、静まり返っている。
終わったみたいだな。
俺は着地したてっちゃんへ近寄る。
「てっちゃん、お疲れ、てか、大丈夫だったか?」
「おう!ギリなっ!マサト来てくれてマジで助かったわ〜!サンキューなっ!てかな、今回トシが凄かったんだぜ!マジでマサトにも見せたかったわぁ!」
てっちゃんはあっけらかんとしていていつも通り明るい笑顔で俺を見てくる。
そこへトシくんが駆け寄ってくる。
「2人ともお疲れ様〜!やっと倒せたね!今回大変だったんだよ、マサトくん!」
「トシくんもお疲れ。なんか、トシくん凄かったみたいだな。てっちゃんが言ってたよ」
「いや、でも、今回は本当に危なかったよ。僕も今更だけど良く大丈夫だったなぁって自分に感心してるよ」
「そんなにか」
「そんなにだったね。でも、成果はしっかりあったから結構ポジティブだよ!とりあえず今日はなんだか疲れたし、もう帰還しない?」
「もちろんだ。転移陣登録して日本に帰るか」
どっと疲れて重い足を持ち上げながら週末世界を歩いて帰還することになったが、俺たちはさっきあった戦闘を部室で話すかの様な明るい雰囲気で語らいながら帰還するのであった。
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