186話 トシくんの必殺技
「マサト、ちゃんとボディだけぶっ壊してくれてるな!ありがてぇぜっ!」
あの建物から続々と出てくるロボットのボディの穴を見ながらてっちゃんは言った。
でも、71階層の敵と戦って、僕たちのパーティの欠点は火力が弱いことなんだと改めて実感した。
マサトくんしか高火力の攻撃手段がなく、僕の魔法の矢は多分、中火力くらいだからこのロボットたちのボディを貫通させることは難しい。
でも、もしかしたらこの前新しく考えたアレならいけるかもしれないから後で試してみよう。
そんなことを考えながらロボットの魔核を華麗に処理していくてっちゃんの援護をする。
「てっちゃん!調子乗らないでよ!本当にさぁ!」
「わかってる、わかってるぅ〜!」
「調子乗ってるじゃん!もぉ!!」
てっちゃんはいつ致命傷を受けるかわからないあのレーザーを新しい装備の効果で宙を縦横無尽に駆け回りながら避けていく。
レーザーとかミサイル避けまくって攻撃できるとかどんな反射神経してるの。凄いや。
感心しながら僕はバーストの矢でミサイルを迎撃する。
マサトくんまだ戻ってこない。
中で何かあったのかな、、、まぁでもマサトくんの心配してもあの身体の硬さじゃ大丈夫か。
そう自分の中で勝手に納得した瞬間、遠くに見えている建物の上部が破裂音と共に吹き飛んだ。
「てっちゃん!何か凄い音したよ!?」
「ああ、何か出てきたんじゃねぇか?一応警戒するぞ!」
「おっけーだよ!」
上空を見上げると薄暗い空に浮かぶ何かが少しの光を反射し、居場所を知らせてくれる。
僕はアイテムの効果をフルに使い目を凝らす。
「てっちゃん!人型のロボットが飛んでるよっ!あそこっ!なんかやばそう、、、」
「全然見えねぇよ!どんな状態だ!?」
「えっとね、、、なんかこっち見てる」
「それやばくねぇか!?」
人型ロボットは姿勢を変え、背中からジェットを噴射させながら、とてつもないスピードでこちらへ迫る。
「迎撃いくよ!」
僕はバーストの矢を連射する。
その矢は勢いよく標的に飛んでいくがどこからか飛んできたミサイルに撃ち落とされてしまった。
「なっ!?蜘蛛のロボットたちが人型を守り始めたよ!?ミサイルが邪魔で届かないっ!」
「やばい!空中からも、蜘蛛のロボットもこっち来てるじゃねぇかよ!トシ逃げろ!俺が囮になるからっ!」
僕は上の人型を視界に捉えながら素早く後退を始め、てっちゃんは蜘蛛型をおびき寄せながら僕とは逆方向に後退していく。
だが、その間にも人型は直線的に宙を切り裂き、こちらへ迫ってくる。
待って待って、この軌道狙われてるの僕じゃない!?
ヒュンッ
斜め上から人型が降ってくる。
僕は自分の出せる精一杯の力で飛び退いた。
皮一枚、ギリギリ避けるが勢いで盛大に横転し、ゴロゴロと転がる。
ドゴンッ
すぐ後ろの地面にクレーターを作った人型は不気味に光る無機質な目でこちらを見てくる。
「最弱ノ個体カラ殲滅開始シマス」
ヤバっ。
そう思った瞬間には人型の腕からシルバーの刃が飛び出し、僕の方へ迫ってくる。
僕は護身用に収納にしまっていた小さなシールドを取り出し防ごうとしたが、その刃はあまりの切れ味にシールドごと構えた肩を同時に貫いた。
「ゔぐっ、、、」
そして、その刃はそのまま下へスッと移動していく。
クソ、死ぬ、ホント痛い。
そこへ囮で遠くにいたてっちゃんが駆けつけて人型の刃と応戦し始めてくれる。
痛い、、、
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
声にはせず、歯を食いしばる。
我慢したぞっ。
もう治ってきてる。この痛みに慣れることはないけど、どのくらいで痛みが和らぐかは何回も試したんだ。
もういけるっ!
思考はクリアだ。
クロスボウを構え、効くかわからないけど一か八かブラインドの矢を避けられた時用に5発放つ。
人型は避ける気配もなく、そのまま上部が闇に包まれた。
よし。効いたぞ!
すぐさまてっちゃんが追撃を加える。
カンッカンッガッ
「関節ならちょっとイケそうだ!やってみる!」
「気をつけて!僕も特大技いくから避けてね!」
「おうっ!わかったぜ!」
てっちゃんがナイフで応戦している間に少し離れて準備する。
僕は収納から水魔法のスクロールを出す。
「アクアボムっ!!」
スクロールを広げると魔法陣が浮かび上がり人型に向かって飛んでいく。
その魔法を発動したと同時にブリザードの矢を数本まとめて少し上方向に放ち、お次はしっかり上方向にフレアの矢を複数撃ち上げる。
ブラインドで目隠しされた人型はてっちゃんの攻撃を何故か8割くらい防御しながら激闘を繰り広げている。そこへ広範囲のアクアボムが襲来する、と同時にてっちゃんはすぐに後退してくれた。
そして、次の瞬間ブリザードの矢がカツンと金属のボディに命中すると何層もの氷が瞬時にボディを覆い始める。
「やったか!?」
「てっちゃん!まだだよ!」
数秒後、フレアの矢が上から降り注ぐと人型の周囲を超高温の炎が瞬時に包み込む。
その一瞬で音が消え去った。
人型の関節から入り込んだ水は氷で圧縮され、その後に襲いかかった炎により、瞬時に水蒸気へ変化する。
そして、超高性能ロボのボディは密閉されていたことにより水蒸気の逃げ場はない。
関節の隙間から眩い光が衝撃波と共に外へ放たれる。
ドガンッ
高熱の爆風と僅かな金属片が離れた僕のところにまで届く。
やった!僕にも高火力技できたんじゃない!?
爆風が止み、煙が晴れてゆく。
先ほどまで人型がいた場所はクレーターが出来ており、その中心にはボディが吹き飛び、手足がない人型が仰向けになって倒れていた。
「や、やったよ!てっちゃん!!!僕、倒したよ!!!」
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