183話 てっちゃんの装備
「俺も毒系の武器、一応持って置こうかな。どっかでもしかしたら使えるかもだし」
目の前の禍々しい色のハ○ターハ○ターに出てくるクロロが使ってたベンズナイフみたいなナイフのコレクションをじっくりと観察する。めっちゃかっこいい。普通に欲しい。
「力とか魔法に耐性があるモンスター出てきた時とかね!これからあるかもだから僕もこの毒矢、大量に買っておこっと!」
10分後。
試着コーナーからてっちゃんが出てきた。
「お待たせぇ!なぁ、これめっちゃカッコ良くね!?もう見た目、完全に暗殺者なんだけど!」
てっちゃんは全身黒ずくめ、表情さえもっとクールに決めれば、装備の見た目だけで畏怖を放てる雰囲気を醸し出せている。
「小僧。その装備はな、この街にある装備の中でも特にスピードに特化したものなんだが、その割りに防御力がかなり高い優れものだ。小僧の特性を更に強化してくれるだろう。
しかも、さっきまで小僧が着ていた風魔法の付与された装備の上位互換だ。
移動時や空中戦にもってこいな魔法が付与されている。
籠手、ブーツ、胸当て、バトルスーツの一つずつに2回分付与されてっからな、なんと風圧で8回も空中で足場を作れる。だが、魔力消費だけは気をつけろよ」
「マジか!ヤベェな!オッサンありがとう!」
「てっちゃんの立体起動早く見たいなっ!」
トシくんは目を輝かせててっちゃんの装備を見つめる。
「おう!心臓を捧げるぜっ!調査兵団にいた人類最強の男の動きを越えてやるぜぇ!」
てっちゃんはまだ硬い質感の装備のまま、左手は後ろに、右拳はガシッと握り締め、左胸に持ってくる。
「てっちゃんずるいな。俺も空中で方向転換してみたい。ブーツだけ買っとこうかな」
てっちゃんはフルセット、俺はブーツを購入。もちろんカッコいい暗器も少し買っておく。
トシくんは毒系の矢やスクロールを大量にストックしておくみたいだ。
「よし!オッサンありがとな!また来るぜ!」
「小僧、暴れてこい」
強面の店主の口角が一瞬上がった様に見えたが気のせいだったかな。
目的の買い物を終わらせてダンジョンから帰還しようと街の大通りを歩いていると小学生くらいの子供達が無邪気に遊んでいる。
視界の片隅にわずかに入っていた女の子と男の子が笑顔で鬼ごっこをしながらこちらに向かってくる。
ほんのわずかに嫌な予感がした俺は念のためてっちゃんとトシくんの前にスッと移動した。
その子達は遊んでいて気づきませんでしたと言わんばかりに俺にぶつかってきたのだ。
ガキンッ
俺の皮膚は金属音を捉えた。
マジかよ、やばっ。
「えっ!?マサトッ!どうしたっ!?」
「何の音っ!?大丈夫っ!?」
トシくんとてっちゃんは子供たちを警戒していなかったみたいで驚いているが俺は何ともない。
「ああ、特に問題ないぞ」
「チッ。逃げるぞっ」「待って!兄ちゃん」
子供たちは失敗したとわかった瞬間、一目散に逃げていった。暗器を出すモーションも自然で暗殺者の街って知らなかったら大惨事になるレベルだったな。
それからも街の外に向かって歩いていると買い物前の平穏が嘘の様に奇襲の嵐が降りかかってくる。
だが、トシくんもてっちゃんもしっかり警戒出来ているので新装備のいい訓練となっているみたいだ。
「なぁ!見たかよ、今の動きっ!立体起動やべぇ楽しいぜ。もう少し無駄を省けたら凄いことになりそうだ!」
「てっちゃんヤバいよっ!!もうさっ!人間の動きじゃないね!!!」
トシくんの目が興奮でキマッてきている。
「確かに。極めたら中忍試験のリーの八門遁甲行けるんじゃないか?」
「それな!俺もついに努力の天才になる時が来たか」
バトルロワイヤルな訓練もひと段落してきて、街の外へ出る門がやっと見えてきた。思い返せばこの街で襲ってきたのは子供や女性が多く、レベルの低い人たちが積極的に奇襲してきたのだろう。
何だか衝撃的すぎて印象深い街だったな。
こうして俺たちの70階層買い物旅は無事、幕を閉じたのだった。
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