ep.32『Stand By Me』
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紗和がボウとの交際までを語り終えた。
紗和:「それからバンドは少しずつファンを集めていきました。そして私とボウの仲も順調に進んで、出会ってから2年後に結婚しました。
その翌年くらいからバンドは人気が出て、
たくさんのライブやイベントが続く中で、ボウは忙しくても一生懸命頑張っていて、本当に輝いていました。」
一同が紗和の話を振り返りながら、
冬月:「ボウさん、なんか意外と好青年な印象ですね。」
礼堂:「確かに。もう少し…なんていうか、尖った感じかと思ってました。」
野田が感慨深そうに語り始める。
野田:「ボウは実際、優しくて情に熱い男だったよ。ステージ上では、いつもファンの求める姿でいようとしてたんじゃないかな。たぶんだけどね。」
すると夜魔が何度か頷きながら、、
夜魔:「なんか…その気持ち、分かる気がするな〜。」
礼堂 & 冬月(心の声):「なんでアンタが分かるんだよ…。」
礼堂と冬月が心の中でツッコミを入れながらも、秀治が口を開く。
秀治:「でも、ヒットし始めた頃には音楽性も変わって、完全にロックバンドって感じになってたよね。ステージでの雰囲気も。」
野田:「ああ、そうだな…」
そう呟くと、野田は少し下を向き、考え込むような表情を見せる。
富士田が会話に加わり、質問を投げかけた。
富士田:「ところで川端社長って、どのタイミングでジャンク・バスターズのファンになったんですかね?」
秀治がその問いに応じる。
秀治:「売れ始めた頃にはもう観に来てたと思うね。」
礼堂は興味深そうに秀治を見つめ、問いかける。
礼堂:「秀治さん、なんでそんなこと分かるんですか?」
秀治:「よく撮影してたからね。川端の顔も覚えてるし、熱心なファンだったからね。僕も撮った動画は何度も見返してたから、常連さんの顔はだいたい覚えてる。」
紗和:「へぇ〜。川端さんってどんな方なんですか?」
冬月がスマホを取り出し、会社のHPに載っている川端の顔写真を一同に見せる。
紗和:「う〜ん…見覚えないかも!」
一同:「ズコッ!」
その場の空気が和んだところで、今度は野田が何かを思い出したように口を開く。
野田:「待てよ…こいつ、最近どこかで見たぞ!」
その一言に、一同が一斉に驚く。
礼堂:「野田さん、本当ですか!?どこでですか!?」
野田は目を閉じ、記憶を手繰り寄せるようにしながら話し始める。
野田:「あっ、オフ会だ!確かにいたぞ、あいつ!」
再び、一同がズッコケる。
紗和:「もう、やだ〜野田っち!」
礼堂が呆れた様子で紗和に振る。
礼堂:「はぁ…紗和さん、話の続きお願いしますよ。」
礼堂に促され、紗和が続きを話そうとすると
野田が割って入り、、
野田:「紗和ちゃん話してばかりじゃ疲れちゃうだろうから、俺も手伝うよ。」
そう言いながら、今度は野田が語り始める。。。
野田:「俺達ジャンク・バスターズがさ、、、、
ーーーーーー回想ーーーーーーーーーーーーーーーー
ジャンク・バスターズ4年目(ボウ・紗和30才)
ジャンク・バスターズも結成から4年目となり、着実にファンを増やしたボウたちは、インディーズシーンでの人気をモノにし、ロックファンからも注目を集める存在となっていた。
そんなある日のこと、ジャンク・バスターズはスタジオ練習を終え、ボウと野田はいつもの居酒屋で飲んでいた。
ボウ:「いやぁ〜、俺たち、やっとスタート地点に立てたなぁ!」
野田:「だなぁ!ボウちゃん!」
ボウ:「でも、勝負はこれからだよ。」
野田:「あぁ、そうだな。それにしても、結成当初と比べたら見違えるようになったよな。」
ボウ:「まぁね。俺たち、ロックを追求しつつ、自分たちの色を消さないようにやれてると思うよ。」
野田:「それで十分だ!でもさ、あんまり根詰めすぎるなよ。ボウ。」
ボウ:「分かってるって。ただ、ファンのみんながノッてくれたり、アツく叫んでくれる姿を想像すると、自然と曲を書きたくなるんだよな。」
野田:「ライブはやっぱ最高だよな!ハハ!ボウちゃんには次の新曲も期待してるぜ!」
ボウ:「おぉ!任せてくれ!」
野田:「そういや、ボウちゃん。紗和ちゃんとはどうなんだ?」
ボウ:「紗和?元気だよ!今はライブハウスは辞めて、また会社員やってるんだ。でも、今の会社ではうまくやれてるみたい。もっと売れて、紗和が働かなくてもいいようにしたいとは思ったけど、なんか仕事自体は嫌いじゃないみたいだね。」
野田:「紗和ちゃんらしいな。たまにはライブにも顔出してほしいよな!」
ボウ:「まぁ、初期の頃の曲が好きらしくてさ。『昔の曲やるなら行く〜!』とか言ってたよ(笑)」
野田:「そりゃやらないとダメだろ!なぁ、ボウちゃん!」
ボウ:「そうだな(笑)」
その後もボウと野田の熱い話は続き、二人はすっかり飲み明かしたのだった。