シーブリーズ
シーブリーズの蓋はカバンの中で勝手に空いて、中身がすぐに溢れる。2,3回使うとすぐにそうなる。わざとなんじゃないかな。
放課後帰宅途中、急に背中に違和感を覚えた。リュックを開けてみると、ペンケースが真っ白く濡れていた。またこれである。土手道のランニングコースに座りこんで一旦休憩がてら中身を確認することにした。
最近、学校でシーブリーズのキャップを交換することが流行っている。ただ交換するのではなく、カップルにならないと交換できないらしい。だから、鶫橋での告白には、必ずマイ・シーブリーズを持参しなければ流行りについていけないのだ。
そして昨日、私はある人に告白された。別に今付き合っている人もいないし、良い人そうだったので軽くOKした。女子高生っていうブランドがある以上、彼氏はステータスでありいなくてはならない存在なのだ。だから、好きじゃなくてもとりあえず付き合いはする。今の女子高生は我ながら恐ろしい。
問題はやはり告白である。私ももちろんマイ・シーブリーズを持っていった。彼も持ってきていた。しかし、問題はそのシーブリーズにあった。そう、キャップの色が同じだったのである。二人共、綺麗な水色だった。青とか緑とか黄色とか、最近はいろいろな色があるのに、まさかここで色被りとは。これでは付き合っているという自慢の証拠にならない。
ただ、新しい彼氏はひょうひょうとしていた。
「別によくない? なんか秘密の恋愛って感じで!」
いや、こちらはみんなに自慢したいわけで。
「好きな香りが一緒っていうだけでなんか嬉しいし」
ふーん、そんなもんかね。
私は割と冷たい人間なのかもしれない。いや、むこうが私を好きすぎるのかもしれない。
でも、そうやってなんでもプラス思考と言うか、なんというか。
そういうところは付き合っていく上で良いかもしれない。
新しい彼氏にプラス10点。何点満点かは知らないけど。
一応交換しておいたシーブリーズの蓋は、やっぱり同じ形で、もともとゆるゆるだった蓋問題は解決されることはなかった。
カバンにまた詰め直して、家路を急ごうと思ったけど、引き換えすことにした。
校門前に、新しい彼氏を忘れてきちゃったので。




