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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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73.それぞれの関係性


「なんで……どうして?」

 うわごとのように、同じ言葉を繰り返すイチノセさん。
 知り合い……いや、もしかして、さっき言ってた仲が良かったって子か?
 ……あの子が?
 イチノセさんとはまるで正反対のタイプに見えるけど……。

 いや、それは今は置いておこう。
 今はダーク・ウルフの方が先だ。
 どうする?追跡するべきか?
 今ならまだ追いつける。
 西野君たちは知らないだろうが、アイツの群れは俺達がほぼ潰した状態だ。
 ダーク・ウルフ自身もかなり弱っている。
 仕留めるには絶好のチャンスだ。

「わんっ」

 モモは既に俺の影から出て、服の裾を引っ張って催促している。
 モモも、追いかける事に賛成なのだろう。
 いつになく積極的だ。

 よし、決まりだな。
 モモの嗅覚でアイツの後を追う。
 今まで散々追い回されたんだ。
 ここらで反撃といこう。
 ここでアイツを仕留める。

「イチノセさん、ダーク・ウルフを追います。背中に乗って下さい」

 おんぶした方が速いしね。
 それにイチノセさんは胸威的な感触も無いし、走ってる時の集中力も乱れない。
 さあ、カモン。

「……って、あれ?イチノセさん?」

 返事がない。
 どうしたのだろう?
 後ろを見れば、未だに六花ちゃんの方を見つめているイチノセさん。

 そんなに気になるのか……って、おい!何してんだ!
 あろうことか、イチノセさんは俺の手を振りほどいた。
 そして、フラフラとおぼつかない足取りで前に出て、口を開いて、

「リッ―――」

 ばっ―――止めようとするが、間に合わない。

「~~~~~ッ!(ふるふるふる)」

 だが、刹那。イチノセさんに張り付いていたアカの分身が、彼女の口を塞ぐ。
 次に流れるようにモモが『影』でイチノセさんを拘束した。

「むーむーっ!」

「申し訳ないですが、しばらくそのままでいて下さい!」

 イチノセさんを抱えて全力で走る。
 すぐにその場を後にした。
 危なかった。もう少しで、俺達の存在がバレるところだった。

「旧知の方と再会できたようですが、今は我慢して下さい」

「……」

「あの場には生徒会のメンバーも居ました。他に大勢の生徒たちも。現段階で俺達の姿を見せるのは、あまり得策ではありません」

「……」

「お知り合いの方の姿は見たのですし、『メール』の送信対象にはなったでしょう。後で、それで連絡を取ればいい。どうしても会いたければ、秘密裏に場所を指定するなど方法はいくらでもあります。だから、今は我慢して下さい」

 走りながら、必死にイチノセさんを説得する。
 ……あ、ヤバい。喋りながら、走るってつらい。
 脇腹めっちゃ痛くなる。
 ステータス上って女性一人抱えながらめっちゃ速く走れるようになったのに、何でこういうところは常識の範囲内なんだよ。くそっ。

 ん?というか、ちょっと待てよ?
 今の俺達の姿を、他人が見たらどう思うだろう?

 フルフェイスヘルメットの男(俺)が、銃(イチノセさんの物)を持って、黒い縄(モモの影)でぐるぐる巻きにされ、猿轡(アカの擬態)を噛ませた美少女イチノセさんを抱えて、息荒く全力で走っている。

 ……アカン。どうやってもアウトな絵面だ。
 完全に通報案件である。
 ま、まあ、いいか。
 どうせスキルのおかげで気づかれないし。

 だいぶ学校から離れた場所に来たな。
 ここまで来れば問題ないだろう。周囲に人の気配もない。
 イチノセさんの拘束を解く。

「ッ……ぷはっ、はぁはぁはぁはぁ……」

「手荒な事をしてすいません。ですが―――」

「す、すいませんでした!」

 イチノセさんを地面に下ろした瞬間、彼女は土下座した。
 あれ?

「勝手な行動をして、クドウさんにご迷惑をかけてしまいました……。パーティーを組んでるのに……本当にすいません」

 声が震えて、今にも泣き出しそうである。
 やめて。女性が泣くと、なんか無条件でこっちが悪いみたいになっちゃうから、ホントやめて。
 というか、どうしたの?
 さっきと全然態度が違うんだけど。
 あ、落ち着いて、いつものイチノセさんに戻ったのか。

「い、いえ……とりあえずギリギリ間に合いましたし、頭を上げて下さい」

「無理です。すいません、本当に……」

 だから、やめてって。
 なんでか知らないけど、罪悪感が半端ないから。

「と、とりあえず、一旦休みましょう。ほら、そこに丁度いい空家がありますし」

 こんな状態じゃ、ダーク・ウルフの追跡なんて無理だ。
 心を落ち着かせるためにも、一旦休もう。
 俺達は空き家に入る。

「喉が渇いたでしょう。ほら、どうぞ」

「……」

 アイテムボックスから缶コーヒーを取りだし、イチノセさんに渡す。
 デミタス◯ランデの微糖だ。甘くて美味しいよね。
 これ、東北限定らしいけど、ほんとかな。

「わんっ」

「はいはい。モモの分もちゃんとあるよ」

 缶コーヒーじゃなくて、水だけどね。
 取り皿に水を注いで、モモに与える。
 適当に腰かけて、俺も一息つく。
 うん、甘い。糖分とカフェインが体に沁み渡る。

「少し休んだら、出発しましょう。今ならまだモモの鼻で追跡出来る筈です」

「わん」

 モモも頷く。
 うん、頼りにしてるよ。
 頭を撫でると、ふにゃっとなるモモ可愛い。

「……聞かないんですか?」

 手に持った缶コーヒーを弄びながら、イチノセさんは呟く。

「何をです?」

「あの、さっきの事です……」

 ぽりぽりと、俺は自分の頬を掻く。

「そうですね、気にならないと言えば嘘になりますが……」

 正直、めっちゃ気になる。
 でも―――

「俺は別にそれを無理に問い詰めて、今のイチノセさんとの関係を壊したくはありません」

「っ……」

 これからも彼女とはパーティーメンバーとして円滑な関係で行きたいのだ。
 これは彼女の問題だし、俺がズカズカと立ち入っていい領域じゃない。
 誰だって話したくない心の内側を持っている。
 俺だってそうだ。

「だから、そこはイチノセさんに任せます。話したい時に話して下さい。俺はそれまで待ちます」

 話したければ、話せばいい。
 話したくないなら、話さなくていい。
 それは俺が決める事じゃない。
 だから俺は待つ。

「……はい。ありがとうございます」

 俺がそう言うと、イチノセさんは少しだけ笑ってくれた。
 もう大丈夫そうだな。

「さて、それじゃあ、出発しましょう。ダーク・ウルフを追います。良いですよね?」

「はいっ」

 イチノセさんは元気よく返事をし、銃を受け取った。
 さて、それじゃあ行動再会だ。
 ダーク・ウルフを追いかけるとしようか。



一方その頃、学校では―――。

「……んー、あれー?」

「どうしたんだ、六花?」

「いや、何か懐かしい感じがしたんだよね。その……あり得ないんだけどさ、ナっつんの声が聞こえた気がしたんだ」

「……冗談だろ?彼女がここにいる筈ない」

「そうだよねー。……はは、何言ってんだろ、私」

「意外だな。お前がまだ彼女の事を覚えてるなんて」

「当たり前じゃん。忘れる事なんて出来ないよ。だって、一番仲のいい友達だったんだからー」

「……一番イジメてたの間違いだろ?不登校まで追いこんでおいてよく言うよ」

「ハハ、だよねー。そうだった、そうだった。うん、この話、おーわり。んで、次なにすればいいんだっけ?」

「負傷者の手当てと、探索メンバーとの顔合わせだ。さっさと行くぞ」

「ほいほーい」



≪経験値を獲得しました≫
≪熟練度が一定に達しました≫
≪モンスター隷属がLV5から6に上がりました≫
≪使い魔強化がLV3から4に上がりました≫

「ちっ……まさか、一人も殺せないなんてな……。まあ、いい。こいつの性能は十分分かった。次が本番だ」

「ウゥ……グルル……」

「なんだ、その目は?ご主人様に逆らうのか?犬っころの分際で!」

「ギャウンッ!」

「あっひゃっひゃ!どうしたよ、不満が!あるんだろ!オラッ!オラッ!」

「ガッ……グッ……」

「はっ、下僕の分際でご主人様に逆らうからだ!」

「……」

「せっかくこんな世界になったんだ。こんな力が手に入ったんだ。欲しいもんは全部手に入れてやる。誰にも邪魔させねぇ」

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