挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

49/58

49.遭遇


 ホームセンターにて―――。

 西野と六花が入口に着いた時、既に状況は劣勢だった。
 数体のオークを相手に、学生たちと避難民は防戦一方となっている。

「みんな、大丈夫か!?」

「に、西野さん!」「コイツら強いです!僕達じゃ、とてもじゃないですけど対処しきれない……!」「どうすればいいんだ?」「くそ!こんなところで、死んでたまるかよおおおおお!」「来るなあああ、化け物どもめ!この!このおおおお!」

 二人が来たことに皆は安堵するも、その声には余裕はなかった。

(これは……不味いな……)

 ここから見える範囲だけでも、オークは十体以上居る。
 それに一体一体が強い。
 昨日戦ったゴブリンやレッサー・ウルフよりも遥かに。

(俺のクラスメイトはまだしも、避難してきたおっさん達にどうにかなる相手じゃない……くそ、まだ最低限のレベル上げすら済んでないのに)

 実際、既に避難民の何人かは武器を捨て、売り場の奥へ逃げ込んで震えていた。
 昨日からの連続で、既に心が折れているのだろう。

(くそっ……役立たず共め。普段は無駄に文句ばっか言うくせに、何の役にも立たないのか)

 こうなった以上、奥に逃げた避難民たちは戦力にカウントしない方がいい。
 かといって、今ここに居る人達だけで何とかできる程、この状況は甘くない。
 何より、一番気になるのは、あの後方に控えた赤銅色のオークだ。

(……明らかに他の奴とはレベルが違う。あれが、柴田の言っていたヤツか……)

 赤銅色のオークは、今は動く気配はなく、自分達を遠巻きに眺めている。
 西野の頬を冷や汗が流れた。
 マズイ、アレが動いたら『終わりだ』と、彼の本能が訴えていた。

「……六花」

「なあに?」

 西野は隣で鉈を構える六花に問いかける。

「あの赤銅色のオーク、相手に出来るか?」

「んー……」

 六花は気怠るげに返事をしながらも、後方に控えるオークの姿を見据える。
 ほんの数秒。
 そして、大きく息を吐いた。

「……ごめん、ニッシー。アレは無理だわ、死ぬ」

 普段と変わらない緊張感のない口調。
 だが、それは何よりも雄弁に今の状況、そして彼我の戦力差を物語っていた。

「最大まで『狂化』しても、無理か?」

「うん、無理。私じゃ勝てない」

「そうか……」

 六花がこうまで断言するのであれば、自分達に勝てる見込みはない。
 ならば、打つ手は一つだけだ。
 西野は覚悟を決め、叫んだ。

「みんな!作戦4だ!どうにかして、生き延びるぞ!」

「えっ!?」「うそ、4番……?」「マジかよ……」
「お、おい!ちょっと待て、そんな番号、俺は聞いてないぞ?」
「わ、私もよ!どういう作戦なの?」「何か手があるのか?」

 西野の声を聴き、反応はきれいに分かれた。
 すなわち、学生と避難民とである。
 西野は作戦を1~4で大雑把に分けていた。
 そして4番とは、彼の中で最悪の想定の一つ。

 すなわち―――『避難民を囮にして逃げる事』である。

 無論、この作戦を聞いているのは、彼と行動を共にしていた学生たちのみ。
 避難民たちには知らされていない。
 学生たちはその意味を知り、僅かに顔を曇らせた。
 避難民たちは、意味は分からないが、何か手があるんじゃないかと僅かに希望を抱いた。

「防衛を維持しながら、少しずつ店内に入るんだ!オークたちが店内に入ったところで作戦を実行する!裏口と窓だ!いいな!」

「りょーかい」

 六花は迷いなく頷いた。他の学生たちは僅かに逡巡した。

「お前ら!このままじゃ、死ぬぞ!絶対に生き延びるんだ!そうだろ!」

「「「……ッ!」」」

 西野の必死の叫びを聴き、学生たちも覚悟を決めた。
 避難民たちはその意味が分からず、ただ素直に従うだけである。

(……そうだ、死ぬわけにはいかないんだ。こんなところで、絶対にっ……!)

 彼らの決死の作戦が始まる。
 生き延びるための、他者を犠牲にする作戦が。



 一方、その頃―――。

 『嫌な感じ』が増えてるな……。
 俺たちは、シャドウ・ウルフの群れと、オークの群れに遭遇しない様に、慎重に街の中を移動していた。
 ゴブリンクラスならまだしも、オークやシャドウ・ウルフクラスのモンスターを群れで相手にするなんて、流石に今のレベルじゃ不可能だ。
 おまけに、オークの群れの方には、あのハイ・オークが居る。
 あの時は運よく見逃されたが、次もあんな幸運があるとは思えない。
 絶対に遭遇するわけにはいかない。

「位置的には、丁度二つの群れに挟まれてる感じか……」

 しかもどちらも鼻が利くモンスター。
 相性最悪だ。
 うまく切り抜けるにはどうすればいいだろうか……?
 考えながら、空を見上げると、どんよりと曇っていた。
 水滴が鼻に落ちる。

「……また雨が降って来たな……」

 ここ最近、雨が続いてる。
 本格的に降り出す前に、出来るだけ距離を稼いでおきたい。
 とりあえずは『嫌な感じ』がしない方向へ向かって進んでいくか。
 戦闘は最低限に済ませる様にしよう。

「……ん?」

 ふと見上げると、遠くの方から黒い煙が上がっているのが見えた。
 火事か?
 煙の大きさから言って、かなりの規模だ。

 あっちって確か、ホームセンターが在る方角だよな。
 オークの群れが向かっていった方角でもある。
 もしかして……。

 俺はちょっと気になり、イチノセさんにメールを送る事にした。
 彼女の居る高層マンションからなら、出火場所が分かるだろう。
 メール画面を開く。
 『未読』が一件あった。
 受信時刻を見ると、つい先ほど、送られてきたようだ。
 開いてみると、以下の様な内容だった。

『ホームセンターで火災があったみたいですね。オークの群れが向かってましたし、ホームセンターに避難している人たちと戦闘になった可能性が高いと思います。オークたちは積極的に人間を狩っているようですし、我々も気を付けなければいけませんね。あ、それはそうととパーティーの件は、まだ結論は出ないのでしょうか?よろしくお願いします』

 情報、早っ!
 俺が聞こうと思った事を、先に送って来たよ、このヒト。
 あと、さりげなくパーティーの件、急かしてやがる。
 ブレないな、この人……。

 でも、そうか……。
 やっぱりあの煙はホームセンターからか。
 それもオークの群れとの戦闘。
 ご愁傷さまとしか言いようがない。

「上手く逃げきれていればいいけど……」

 まあ、俺も他人の心配をしている余裕はないけど。
 『嫌な感じ』のする方向を避けながら、再び進んでゆく。
 途中から雨がひどくなってきたので、アカに『カッパ』に擬態して貰った。

「……ん?」

 雨の中移動していると、『索敵』に反応があった。
 モンスターではなく、人の気配だ。
 数は二人。
 場所は……近くの公園か。
 籠城してる人じゃなくて、外を出歩いてる人なんて珍しいな。
 少しだけ興味が湧き、俺は『索敵』の反応があった方へ向かった。

 そして、近づくにつれて違和感を覚えた。
 おかしい……。
 この人達、『索敵』の反応があった場所から、少しも動いていない。
 どういう事だ?

 反応のあった場所にたどり着く。
 ブランコとベンチだけがある小さな公園だ。
 その隅にある僅かな茂みに隠れる様に、その人たちは居た。

「あれって……」

 建物の陰に隠れながら、様子を窺う。
 見覚えのある顔だった。
 学生だ。
 一人は、西野君。
 もう一人は髪をサイドテールにまとめた女子高生。
 名前は……り……何だったっけ?
 まあ、いいや。
 ともかくだ。
 問題なのは、二人の状態だ。

「……ボロボロじゃないか」

 二人の姿は、離れていても分かる程にボロボロだった。
 特に女子高生の方は、かなり出血している。
 かなりマズイ状態だ。
 もしかしなくても、オークの襲撃にあって逃げてきたのだろうか?
 すると、西野君がこちらの方を向いた。

「……そこに、誰かいるんですか?」
知り合いの作家さんに「位置情報どうなってんの?」と聞かれたので、めっちゃ簡単な地図を作りました。
だいたいこんな感じです。適当です(逆に分かりずらい……orz)
ちなみにシャドウ・ウルフたちはどんどん中心部分へ移動してます
挿絵(By みてみん)
ツギクルバナー
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ