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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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47.オークとの戦いと不穏な動き


 身を隠しながら、じっとオークを観察する。
 オークはしきりに周囲を見回している。

 ……獲物を探してるのか?
 いや、それにしては動きが不自然だな。
 まるで何かを警戒している様な感じだ。
 オークはしきりに鼻をひくつかせている。

「ッ!……フゴッ!」

 そして、その視線が俺の方を向いた。
 まさか―――気付かれた?

「フゴオオオオオオオ!」

 オークは武器を構え、こちらに向かって来る。
 迷いのない動き。
 ……間違いない。コイツ、俺たちの存在に気付いてやがる!

 そういや、豚の嗅覚って犬よりも良いんだっけ?
 オークにもそれが適用されるのか。
 くそ!シャドウ・ウルフだけじゃなくて、オークにも『潜伏』系のスキルは通じないのかよ!最悪だな。

 心の中で悪態をつきながら、俺は覚悟を決める。
 幸い、『索敵』に他のモンスターの反応はない。
 『危機感知』もそれ程大きく警鐘を鳴らしていない。
 オークの強さは、シャドウ・ウルフと同等か、少し上くらいか。
 それに相手は一匹だ。
 冷静に戦えば、勝機は十分にある。

 『潜伏』が通じない以上、じっとしているのは無意味。
 俺はオークへ向けて走り出した。

「フゴオオオオ!」

 俺の姿を見た瞬間、オークも走る速度を上げた。
 距離はどんどん縮まり、スキルの有効範囲内に入る。
 今だ!

「モモ!」

「わん!」

 モモが『影』から勢いよく飛び出す。
 そのまま影を伸ばし、オークを拘束しようとする。

「フゴオオオオオオ!!」

 だがオークは手に持った首切り包丁で影を強引に払いのける。
 やるな。でも、動きは十分阻害出来てる。
 これで仕留める!
 俺はオークの頭上へ向けて、重機を放った。

「ッ!?」

 突然現れた巨大な質量に驚くオーク。
 咄嗟に逃げ出そうとするも、間に合わない。
 モモの『影』が邪魔をし、往く手を塞ぐ。

 オークは必死に抵抗を試みるがもはや逃れられない。
 でもこれで終わりだ。
 自衛隊や自衛隊やショッピングセンターに居た人たちとの戦いを見るに、通常のオークの耐久はそれほど高くない。『アイツ』と違って。
 この質量なら押しつぶせる筈。
 俺は勝ちを確信する。

「……え?」

 だが、その瞬間、『危機感知』が警鐘を鳴らした。
 オークが手に持った首切り包丁を俺に向けて『投げた』のだ。
 明らかに狙った動き。
 刃が凄まじい速度で俺に迫る。
 ヤバい……ヤバいッ!
 避けられないと悟った俺は、アイテムボックスで壁を作り出そうとした。

「―――(ふるふる)!!」

 だが、それよりも先にアカが動いた。
 俺の服に『擬態』していたアカ。
 その体がボコボコボコ!と膨れ上がり、飛んできた刃を受け止めたのだ。
 勢いを殺された首切り包丁は、そのままアカの体に包み込まれて止まり、そのまま地面に落ちる。

 その光景を見て、呆然とするオーク。
 そして大質量の塊が、ヤツを押しつぶした。

≪経験値を獲得しました≫

 オークが絶命したことを告げる天の声。
 あ、危なかった……。間一髪だった。
 心臓が音を立てて鼓動し、背中から嫌な汗が出る。

「サンキュー、アカ。助かったよ……」

 お礼を言いながら撫でると、アカは嬉しそうに体を震わせた。

「はぁー……」

 ……油断したな。
 最後の最後で気が緩んだ。
 その隙を相手に突かれた。
 改めて、俺が戦っている相手は意志を持った本物のモンスターなんだって思い知らされる。
 向こうだって必死だ。
 死にたくなければ、最後の最後まで抵抗するだろう。

 重機を回収し、落ちていた魔石と首切り包丁を拾う。
 アイテムボックスに入れると『オークの魔石(小)』、『オークの包丁』と表示された。

「モモ、悪いけど、今回の魔石はアカにあげていいか?」

「わん」

 モモも頷いたので、アカに魔石を渡す。
 お礼としては些か不足だろうが、それでもこの魔石はアカにあげたかった。
 アカは嬉しそうに体を震わせながら、魔石を取り込んだ。

「さて、それじゃ移動すっか……ん?」

 立ち上がろうとした瞬間、また『索敵』に反応があった。
 オークがやってきたのと同じ方向だ。
 それも今度は数が多い。

「まさか、さっきのオークの群れか……?」

 『望遠』を使い、『索敵』の反応した方を見る。
 すると、そこにはシャドウ・ウルフの群れが映り込んだ。
 かなりの数だ。十匹以上いる。
 シャドウ・ウルフたちは地面の匂いを嗅ぎながら、こちらへ向かってくる。

 ……もしかして、さっきのオークはあれから逃げていたのか?

 だとすれば、あの不自然な動きも辻褄は合う。
 モンスター同士でも戦っているのか?
 いや、考えるのは後だ。
 早くこの場を離れないと。
 流石にあの数のシャドウ・ウルフを相手にするのは分が悪い。

「くそ……また来た道を引き返すのか……」

 せっかくここまで来たのに逆戻りとは。
 俺たちは渋々、元来た方向へと引き返すのだった。




 一方その頃、マンションの屋上にて―――。

 一之瀬奈津イチノセ ナツは、メール画面を見ていた。
 返事が来ない。
 一体どうしたのだろうか?
 モンスターと戦っているのだろうか?
 それとも、単に返事を忘れているだけ?

「……もしかして、メール送りすぎたのかな?」

 ほぼ初対面の相手にメール45件はやりすぎたかもしれない。
 今更ながら、その事に気付く彼女であった。

「面倒な奴って思われてなきゃいいけど……」

 せっかく見つけたパーティーメンバー候補に可愛いワンちゃん。
 出来る事なら、仲良くしたい。あと、モフモフさせてほしい。
 メールを送るのは、少しだけ控えた方がいいかもしれない。

「とりあえず、返事待ちかな……」

 一応、数分おきにメールはチェックしよう。
 それまでは、レベル上げをしておこう。

「飼い主のクドウさんも意外と良い人っぽかったし、やっぱ仲間にしてほしいなぁ……」

 彼女の中で、飼い主の印象はそれ程よくなかったが、メールのやり取りをしている内に、多少は改善されたらしい。
 ぼっちは基本、自分に構ってくれる人にはすぐ懐くのである。
 でもどんな顔かは覚えていない。モモは覚えてるが。

「あ、居た……」

 スコープ越しに、モンスターを見つける。
 ゴブリンだ。
 数は一体。狙い目だ。
 照準を合わせ、彼女は引き金を引いた。
 狙い通りに弾はモンスターの眉間を貫き、絶命させる。

≪経験値を獲得しました≫

「……ん、順調」

 その後もゴブリンやレッサー・ウルフを倒し経験値を得る。

「やっぱ、強いなーこの銃……」

 愛おしげに彼女は己の相棒の銃身を撫でる。

「……私の貧弱ステを補って余りある強さだよ」

 彼女のステータスは軒並み低い。
 殆どが一桁で、唯一MPだけが二桁に達している。
 それは彼女の選んだ職業が原因だった。

「あーあ、やっぱ『引き籠り』なんて選ばなきゃよかった……」

 つい好奇心から、選んでしまった職業『引き籠り』。
 この職業を選択した瞬間、彼女のステータスは軒並み低下してしまった。
 職業の影響か、レベルが上がっても彼女のステータスは殆ど変化がない。

「でも、この職業を選ばなきゃ、この銃や他のジョブやスキルも手に入らなかったんだけどね……」

 『引き籠り』の所為で軒並み低下したステータス。
 代わりに、手に入れたのは二つの特殊なスキルだった。

「景気づけにもう一回やっておくかな」

 スキルの欄から、あるスキルを選択する。
 『引き籠り』を選んだ時に獲得した、二つあるスキルの内の一つ。
 そのスキルを選択すると、目の前に一メートル程の『箱』が現れた。
 箱は透明なケースで、中には丸い球体がいくつも入ってる。
 カプセルトレイ。いわゆるガチャと呼ばれるものだ。

≪SPを1消費して、ガチャを回しますか?≫

 脳内にアナウンスが流れる。
 彼女はイエスを選択する。
 スキル『ガチャ』はSPを1ポイント消費する代わりに、様々な景品を得られるガチャを三回回すことが出来るスキルだ。
 景品の幅は広く食料や日用品、果てはジョブやスキルまで手に入る場合もある。
 スキル『メール』も、このガチャを回して手に入れたのだ。

「さて、何が出るかな……」

 レバーを回すと、白いカプセルが出てきた。

「外れか……」

 白はレア度が低い。
 開けると、それはカップラーメンに変化した。
 赤いのと緑のヤツが三つずつ袋詰めされている。
 食料は嬉しいが、今欲しいモノではない。

 二回目。
 今度は青いカプセルが出てきた。

「お、結構いいかも」

 カプセルを開くと、頭の中にアナウンスが流れる。

≪SPを1獲得しました≫

 彼女は内心ガッツポーズをする。
 『ガチャ』はこうして、SPやJPも手に入る事がある。
 今1ポイント手に入ったという事は、実質タダでガチャを回せたのと同じだ。

「ラスト一回……」

 ドキドキしながら、レバーを回す。
 出てきたのは黒いカプセルだった。
 彼女は笑みを深くする。
 黒いカプセルはレア度が高いモノが入ってる可能性が高い。
 ワクワクしながらカプセルを開くと、頭の中にアナウンスが流れた。

≪スキル『身体強化』を獲得しました≫

「やった……!」

 全身で喜びを表現する。
 ようやく欲しかったスキルが手に入った。
 ステータスを確認すると、力や耐久が増えてる。

「これで動きやすくなる……」

 今回のガチャは大成功だ。
 前回は結局ステータスアップのスキルが手に入らなかった。
 手に入れたのは、『鉛筆』、『爪切り』、『ビタミン剤』と言ったどうでもいいもの。
 おかげで、ここまで来るのにやたら苦労した。

 でも、念願のスキルが手に入ったし、これで少しは改善されるだろう。
 気分よく、彼女はレベル上げを再開する。
 すると、スコープに気になるモノが映った。

「……何アレ?」

 それはオークの集団だった。
 数は十匹以上いる。多い。
 更に、その中に一匹だけ、明らかに違う個体が居た。
 赤銅色の肌をした、一回りも大きなオーク。

「アレは、無理かな……」

 一匹だけなら何とか狩れない事も無いが、集団では厳しい。
 それにあの赤銅色のオークは、明らかに強さが違う。
 自分では無理だ。

「どこに向かってるんだろう?」

 目的も無く彷徨っているという感じではない。
 どこかに向かって移動している感じだ。

「あっち側にある建物……」

 彼女は地図マップを開き、あの周辺の建物を確認する。
 そして、目に付いたのは―――。

「―――ホームセンター……?」
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