挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

46/58

46.どこにでもいるスライム


 とてもいいお知らせがある。
 イチノセとのメールを終わらせた俺は、再び『メール』スキルを隅から隅まで調べ上げた。
 その結果、『ブロック機能』は見つからなかったが、『マナーモード』の様な物を発見することが出来たのだ。
 メールを受信しても、天の声さんが頭の中に響かない様に出来るらしい。
 しかもLV1の状態でも、設定可能。素晴らしい。
 これ幸いと、俺は早速メールをマナーモードに設定した。

 これで脳内がとても静かになり、快適な状態が約束される事となった。
 ああ、良かった。
 大事だよね、マナーモード。
 携帯だって、会議の時や得意先に出向くときはきちんとマナーモードに設定するのは社会人の常識。
 取引相手との会話中に、スマホ鳴らして断りも入れずに電話に出ちゃったりするのは、最低のマナーだよ。
 まあ、何はともあれ、これで落ち着いて行動することが出来る。
 やったぜ。

≪熟練度が一定に達しました≫
≪スキル『メール』がLV1から2に上がりました≫

 …………。
 うん、聞かなかったことにしよう。
 『メール』はLV1のままだ。
 そう言う事にしておこう。

≪条件を満たしました≫
≪『メール』にチャット機能が追加されました≫
≪現在チャット可能な登録者は一名です≫
≪チャットを行いますか?≫

「……」

 俺は無言で、ノーを選択。
 次いでメール機能を確認をした。
 ……うん、追加されてる、チャット機能。
 こんちくしょうが!
 なんで、このタイミングでレベル上るんだよ!
 おかしいだろ!
 レベル上るんなら、もっとこう『剣術』とか『急所突き』とか他のにしろよ!
 頑張って使ってるんだからさ!

 とりあえず、チャット機能を確認する。
 あ、オンオフ可能だこれ。ラッキー。
 迷わずオフにしておく。

 『未読』が一件増えてる。
 ……後で確認しよう。
 それがいい。
 というか、見たくない。

 さ、探索を再開するか。
 何もかも見なかったことにして、俺はモモたちと共に歩き始めた。



「田んぼが増えてきたな……」

 しばらく歩いていると、田んぼが見えてきた。
 ここは郊外でも、更に端っこの方だし、こんな景色も珍しくない。

「もう五月だし、田植えの時期だもんなー」

 田んぼには水が張られて、青い稲が植えられている。
 もっとも、この稲がこれから育つ事はもうないだろう。
 育てる人が居ないのだから。
 でも良い景色だなー。
 『メール』で痛んだ俺の心を癒してくれる。
 そして、未読を見るのが怖い。一杯溜まってそうで……。

「……ん?」

 そんな事を考えながら、田んぼを見ていると、ふと目に付くモノがあった。

 ―――スライムだ。

 田んぼの中に、スライムがぷかぷかと浮かんでいた。
 それも結構一杯。
 コイツら、こんなところにも居たのか。
 まあ、例によって何をするわけでもなくただ浮かんでいるだけの様だ。
 流れに身を任せながら、たまーに稲にくっ付いて食べている。
 のんびりしてるなー。

「くぅーん?」

 コイツら、どうするのー?とモモが問うてくる。
 どうするって言われてもなぁ……。
 倒すのに手間かかるし、このままでいいんじゃないか?

「……(ふるふる)」

 俺がそう思っていると、アカが何やら震えだした。
 擬態を解除し、モモへと近づいていく。
 どうしたんだろうか?

「……(ふるふる、ふるふる)」

 アカが震える。
 すると、モモはこくりと頷いた。
 え、もしかして、今のって会話してたの?

「わん!」

 モモは一鳴きすると、『影』を田んぼに向けて伸ばした。
 そのまま、スライムを一匹捕まえる。
 スライムは特に抵抗もしないまま引っ張られ、モモの傍まで引きずられてきた。
 クラゲ釣ってるみたいだ……。

「モモ、アカ、そのスライムをどうするんだ?」

 気になって訊ねると、アカはスライムへと近づいてゆく。
 すると、アカは驚きの行動に出た。 
 なんとモモが捉えたスライムを『取り込み』始めたのだ。

「えっ!?」

 驚きのあまり声が出る。
 アカはスライムの体を覆うように広がり、徐々にその体を取り込んでゆく。
 取り込まれている方のスライムも全く抵抗せず、されるがままだ。徐々にその体が小さくなってゆく。
 時間にして一分ほどだろうか。
 アカは捕えたスライムを完全に取り込み、満足そうに体を震わせた。
 ほんの少しだけ、取り込む前より体が大きくなった気がする。

 中々に衝撃的な光景だった。
 知らなかった……。スライムって、仲間のスライムを食べるのか。
 いや、種族的には、食べると言うよりも融合に近いのかな……?

 すると、アカは俺の方へとやって来て、再び体を震わせる。
 今度は何だ?
 注意深く見守っていると、今度はアカの体が二つに分裂した。
 な、なんだと!?

「「……(ふるふる、ふるふる)」」

 二匹になって震えるアカ。
 心なしか、一匹の時より体が小さい。 
 一匹だった時の三分の二くらいのサイズだ。
 そのまま、じーっと俺を見つめてくる。

「ん?なんだよ?」

「「……(ふるふる)」」

 心なしか、褒めてもらいたそうな気配を感じる。
 どう?こんなこともできるんだよーと胸を張ってる……気がする。
 もしかして、俺に褒めてもらいたいがために、他のスライムを取り込んだのか?

「お……おー凄いな、アカは。こんな事も出来るんだな!うん、凄い!」

 俺がそう言うと、二匹のアカは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。
 ぜんぜん飛び跳ねれてないけどね。
 撫でて欲しそうだったので、撫でておく。
 ひんやりとして、思いのほか撫で心地が良かった。
 アカは嬉しそうに体を震わせる。

「うー……」

 すると、モモが体を擦り寄せてきた。
 どうやら自分の事も撫でてほしいらしい。
 ははは、愛い奴め。

「ああ、モモも偉いぞ。アカの手伝いをしてくれて、ありがとな」

 そう言って撫でると、モモは嬉しそうに目を細めた。
 そのまま、しばらくモフモフを堪能する。
 至福の時間だった。

「―――もっと仲間を取り込みたい?」

 一通り撫で終えた後、アカはそう提案してきた。
 どうやら、仲間のスライムを取り込むことで、アカは自分の性能を上げる事が出来るらしい。
 俺としては願ったりかなったりだが、アカはそれでいいのだろうか?
 一応同族なんだし、忌避感はとか無いのかな?
 そう訊ねると、問題ないとの事。
 どうやら、スライムにはそう言った仲間意識などは無いらしい。
 ならば、俺としては言う事は何もない。
 俺とモモはスライムを片っ端から捕まえ、アカに与え続けた。

 田んぼの中だけでなく、排水桝の方にもスライムは一杯居た。
 流れに身を任せてる内に、そこに密集してしまったのだろう。
 おかげで、大量のスライムをアカに与える事が出来た。

「よし、んじゃ、そろそろ別の場所に行くか」

 あんまし一箇所に留まるのもよくない。
 移動しようと思い、田んぼから離れると『索敵』に反応があった。
 人じゃない……モンスターの気配だ。
 それも、今までよりも強い気配を感じる。

 すぐさまモモを陰に忍ばせ、アカを擬態させる。
 俺もその場に身を伏せ、『潜伏』を使い、様子を窺った。
 『望遠』を使い、反応のあった方を見る。

「アレは……」

 そのモンスターの姿を見て、俺は思わず目を見張った。
 でっぷりと太った巨躯に、豚の頭を持つモンスター。
 オークだ。

 鼻をひくつかせ、周囲を見回しながら、こちらへと近づいてくる。
 ……何かを探しているのか?

 どうする?
 数は一匹だ。
 逃げるべきか、それとも戦うか……。
ツギクルバナー
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ