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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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42.進化


「わん!」

 影の中からモモが元気よく飛び出して来た。
 おお、モモ!一体どんな姿に―――って、あれ?
 ……あんまり変わってない?

「……モモ?」

「わふ?」

 モモの姿をよく見る。
 その姿は、影に包まれる前と、なんら変わっていなかった。
 あれ?どういう事だ?
 てっきりレベルがカンストして、『進化』したのかと思ったけど……?

 いや、よく見れば幾分『凄み』が増したか?
 ……気のせいだな。
 いつもの可愛いモモだ。
 撫でる。
 うん、良い毛並みだ。
 モモも気持ちよさ気に目を細める。

「モモ、どこかおかしなところはないか?痛いと事か、変な感じはしないか?」

「わん!」

 モモはだいじょうぶだよーと、元気良く尻尾を振るう。
 問題ないみたいみたいだな……。

「うーん……」

 あ、そうだ。
 ステータスプレートを開いて、確認すれば良いじゃないか。
 さっそく開いて、パーティーメンバーの項目を見てみる。

モモ
暗殺犬LV1

 そう表示されていた。
 …………暗殺犬?
 なんか、随分物騒な名前だな、おい。
 警察犬や盲導犬があるんだから、暗殺犬があってもおかしくない……のか?
 いや、おかしいよな。

 まあ、モモや俺の戦闘スタイルを考えれば、納得出来るけどさ。
 『影』で相手の自由や視覚を奪い、その隙に接近してシュッと刺して捻る。
 うん、確かに暗殺だわ、これ。

 納得の進化だ。
 いや……というか、進化なのか、これ?
 どっちかと言えば、俺と同じような上位職への転職に近い気がする。
 俺はてっきりあのシャドウ・ウルフみたいな、ああいう感じに『進化』をするんじゃないかと思っていた。
 それこそ、モモがモンスターの様な姿になるんじゃないかと想像していたのだ。
 でも結果的には、変わらずにいてくれてよかった。
 元の姿のままなら、大手を振って今まで通りに行動できる。
 なにより可愛い。これ大事。一番大事。

「それにしても……」

 モモを見ながら、俺はふと思う。
 飼い主と犬が揃って職業『暗殺者』と『暗殺犬』ってどうなんだろう……?
 物騒すぎない?
 他人が見たら、百パー誤解される自信があるんだけど。

 うん。絶対、隠し通さないとな。
 他人にばれたら色んな意味でヤバい。
 きちんと説明できる自信がない。

 結論。今まで通りに行動しましょう。

 うん、それがいい。
 ……なんか俺、順調にソロ(孤独)の道歩んでないか?
 気のせいだよね?

「くぅーん?」
「……(ふるふる)」

 おっと、考え事をしてたら、モモたちが心配そうに俺を見ていた。
 ごめんごめん、大丈夫だって。
 うん、そうだ。
 俺には、モモもアカもいる。
 決してぼっちではない……筈だ。

 それに、今のことろ進んで他人と関わる気はないし。
 遠距離タイプの仲間が欲しいとは思ったけど、あくまでいればいい程度だし。
 そこまで孤独に飢えてるわけじゃない。

 他人との関わりも、ビジネスライクな関係で行きたいんだよな。
 互いにメリットがあって、必要以上に干渉しない。
 そんな関係がベスト。
 まあ、現実はそう都合よくはいかないんだろうけど……。

「とりあえず、移動するか……」

 進化したモモの能力、スキルについて確認したい。
 ここじゃ、万が一人目に付くかもしれないし。
 細心の注意を払い、俺たちはその場を後にした。



 その後、適当に放置された空き家にお邪魔し、モモの新たなスキルについて確認した。
 いきなり実戦で確認するだなんてバカはしない。
 事前にしっかり確認しないと。

 その結果、モモは俺と同じようなスキルを獲得していた。

 『気配遮断』、『無音移動』の様なスキルに、相手の急所を見極めるスキル。
 それに『影』を操るスキルもパワーアップしていた。
 効果範囲が広がり、影の拘束力、攻撃力も強くなった。
 それに身体能力も向上している。
 多分、以前戦ったシャドウ・ウルフと同等かそれ以上。
 いや、小回りが利く分、動きのキレに関してはシャドウ・ウルフを完全に超える。
 総じて、今までのモモの上位互換と言った感じだ。

 検証も終わったし、次はテストも兼てのレベル上げだな。

「お、丁度いいな……」

 『索敵』に反応があった。
 ゴブリンが数体。
 それにホブ・ゴブリンもいる。
 モモの実力を試すには丁度いい相手かもしれない。

「行くか、モモ、アカ」

「わん!」
「……(ふるふる)」

 ゴブリン達の居る方へ移動する。
 俺たちには気付いていない。
 ギリギリまで接近したところで、モモへ合図を送る。

 モモは頷き、『影』を出し、ゴブリン達を拘束する。
 『影』を出すスピード、相手に巻きつくまでの時間。
 どれも今までのモモとは比べ物にならない。

 あっさりとゴブリン達の無力化に成功した。
 進化したモモの『影』の拘束力は、あのホブ・ゴブリンすら振りほどけない程強力な様だ。
 必死に抵抗するが、影を破る事は叶わない。

「わん!」

 更にそれだけでは終わらなかった。
 モモの影の拘束力が更に増し、ゴブリン達をそのまま絞め殺したのだ。
 首や体がおかしな方向に折れ曲がりゴブリン達は絶命し、魔石が転がる。
 すげぇ。もうゴブリン程度じゃ、束になってもモモの敵じゃなさそうだな。

 唯一残っていたホブ・ゴブリンにも俺が止めを刺す。
 ゴブリンも、ホブ・ゴブリンも急所の位置は変わらない。
 弱点は同じだ。
 シュッと刺して捻る。
 あっさりとホブ・ゴブリンは絶命した。

≪経験値を獲得しました≫
≪経験値が一定に達しました≫
≪クドウ カズトのLVが11から12に上がりました≫

 レベルアップを告げる天の声。
 昨日、スーパーで戦った時とはえらい違いだな、

 順調に強くなっている気がする。
 でも慢心はしない。
 むしろ、自身のレベルが上がったことで、『アイツ』との力の差がはっきり分かってしまう。

 ―――まだまだ足りない、と。

 そう思わされてしまう。
 それに妙な胸騒ぎもする。
 もう少しレベルを上げたら、さっさとこの街を離れた方がいいかもしれないな。




 一方その頃、ショッピングモールにて―――。

 そのモンスターは退屈していた。
 楽しくない、全く持って面白味がない。

 地面の横たわる死体を踏みつぶしながら、彼は考える。
 この退屈を吹き飛ばす獲物は、一体いつになったら現れてくれるのだ?

 待てど待てども、現れるのは歯ごたえの無い雑魚ばかり。
 己の姿を見れば怯え、竦み、逃げまどう腰抜け共。

 彼の望みは蹂躙ではない。
 戦いだ。
 戦いとは己が本能を満たし、生の充足を与えてくれるに足る神聖な儀式。
 それに値する相手。
 それは一体いつになったら現れる?

 空を駆け現れた者達には多少期待したが、期待外れだった。
 先程現れた者たちなど、木端も良い所だった。

 苛立ち紛れに彼は、拳を大地に叩きつける。
 同胞たちが怯える。
 知った事か。
 彼は弱い同胞にも失望していた。

 ああ、もう駄目だ。
 もう待てない。
 我慢の限界だった。

 来ないのならば、こちらから探そう。
 この飢えを満たすに値する獲物を、敵を見つけ出しに行こう。

 彼は叫んだ。
 その叫びは大地を震わせ、大気を引き裂いた。

 彼は動き出す。

 さあ―――うたた寝の如き時間は、もう終わりにしよう。
 
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