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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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40.新たな仲間


 足元で震えるレッド・スライムを見つめる。
 スライムはどこか期待した感じで俺を見つめていた。
 いや、眼ないけどさ。

 どうにもこいつは俺の仲間になりたいらしい。
 自分で言うのもなんだけど、俺のどこに惹かれたんだよ。
 このスライム、節穴だろ。あ、眼無かったわ。
 ぽりぽりと頭を掻く。

「……前にも言ったけど、俺は別にお前を仲間にするつもりは―――ん?」

 喋ってる途中で、ある事に気付いた。
 レッド・スライムの体内。
 梅干しの様な小さな核以外に『もう一つ』浮かんでる物があったのだ。

「それ……魔石か?」

 レッド・スライムの体内に浮かぶ茶色い魔石。
 どこか見覚えのある形、というか……。

「それ、もしかして俺が持ってた魔石じゃないか?」

 俺がそう言うと、スライムは体を振るわせた。
 多分、正解とでも言っているのだろう。
 こいつ……。

「返せよ、それはモモにあげるつもりの―――」

「わん!」

 俺がスライムに手を伸ばそうとすると、その間にモモが割って入った。

「……モモ?」

「わん!わふぅ」

 モモはスライムを庇うように俺に吠える。
 え、モモ、どうしたの……?
 俺なんか嫌われるようなことした?
 ヤバい、ちょっと泣きそうなんだけど……。

「わ、わん!」

 狼狽する俺を見て、モモは慌てて、ちがうよーと弁明した。
 そして、スライムの上にぽてっと前足を置いて俺を見た。
 ぷるんと震えるスライムの体。その仕草、ちょっと可愛い。

「モモ……もしかして、そのスライムを仲間にしたいのか?」

「わん」

 モモは頷いた。
 どうやらモモはこのスライムを仲間にしたいらしい。
 というか、もしかして……。

「なあ、モモ。もしかして、さっき魔石を外に投げたのって、コイツにあげるためだったりする?」

「わん」

 再びモモは頷く。
 やっぱりか。さっきの食事の時にモモがした謎の行動。
 魔石が好きなモモにしてはおかしいと思ったが、そう言う事だったのか。

 モモはこのスライムが外に居る事に気付いていたのだ。
 そして、何らかの考えがあって、このスライムに魔石を与えたのだ。

 魔石を与える理由……思いつくのは強化か、もしくは『スキル』。
 モモがシャドウ・ウルフの魔石を食べて『影』のスキルを得たように、このスライムももしかして……。
 スライムを見れば、丁度ミミックの魔石を消化しきったようだ。

「わん」

「……(ふるふる)」

 モモがスライムに向かって吠える。
 すると、スライムは震えて、体を『変化』させた。

「お、おぉ……」

 思わず声が漏れる。
 スライムの体は徐々に変化してゆき、空のプラスチック容器へと変化したのだ。
 あ、これ俺がコイツに食わせたゴミじゃんか。

「変身……いや、擬態スキルか……」

 これは凄い。
 見た目には違いなんて分からないぞ。
 試しに触ってみたが、触感も変わらない。
 ただ、重さが違う。多分、スライムの時の重さのままだ。
 それにミミックの時と同じように、『索敵』にも反応しない。
 凄いスキルだ。

「わん」

 モモが再び吠えると、スライムはまた元の姿に戻った。
 そして、元の姿に戻ったスライムはモモと共に、期待した眼差しで俺の方を見つめてくる。

 ……もしかして、今のはコイツらなりのアピールだったのか?
 俺こんな事が出来ますよ!みたいな。

「……モモ、お前まさか気付いてたのか?スライムにミミックの魔石を与えれば、擬態スキルを得られるかもって」

「……わふぅ」

 たぶん、なんとなくそんなきがした。
 そんな感じにモモは答えた。
 野生の勘ってやつだろうか?
 だとしても凄すぎるだろ、モモの勘。

≪レッド・スライムが仲間になりたそうにアナタを見ています。仲間にしますか?≫

 再び響く天の声。
 俺はモモとスライムを見つめる。
 そして、大きく息を吐いた。

「はぁー……分かったよ、モモ。俺の負けだ」

 擬態スキルを持つスライム。
 これなら確かに、俺のスキルの邪魔にならない。
 それどころか物理攻撃が効かない分、戦力としては申し分ない。

 なにより……モモが初めて自分の意見を言ったんだ。
 なら信じるしかないだろう。
 モモの事も、このスライムの事も。

 今度は、頭の中でイエスを選択する。

≪レッド・スライムが仲間になりました≫
≪一定条件を満たしました≫
≪職業『魔物使い』が獲得可能になりました≫
≪職業『獣使い』は『魔物使い』に統合されました≫
≪職業『魔物使い』を選択する場合はLV2からのスタートになります≫

 お、新たな職業が追加されたな。
 『魔物使い』か……。
 今の天の声から察するに『獣使い』の上位職みたいだな。
 どんなスキルが得られるかは気になるけど、それは三番目の職業が解放された時か。

「……(ふるふる)」

 受け入れられたことが嬉しいのか、スライムはプルプルと体を震わせた。
 モモもよかったねーとスライムを撫でている。
 わんわん、ぷるぷる、もっふもふ。
 ……なにこれ、可愛い。

 ステータスを見てみる。
 一番下のパーティーメンバーの項目にスライムが追加されていた。
 レッド・スライムLV5と表示されている。
 やっぱモンスターにもレベルがあるのか……。
 モモと違って名前の表記は無しか。
 でも、名前が無いと呼ぶときに不便だよなぁ……。

「なあ、レッド・スライム。もしお前さえよければ、名前を付けても良いか?」

 俺がそう言うと、スライムはピクンと反応した。
 どうやら付けて欲しいらしい。

「んー……じゃあ、『アカ』でどうだ?」

 レッド・スライムだからアカ。
 我ながら安直なネーミングセンスだとは思う。
 だが、レッド・スライムは気に入ったらしい。
 嬉しそうに体を震わせた。
 おう、餅みたいに体を伸ばしてる。

 ステータスを見ると、レッド・スライムに名前が追加された。

モモ
柴犬LV9

アカ
レッド・スライムLV5

 そして何気にモモのレベルが上がっている。
 もうちょいでLV10に届きそうだ。

「んじゃ、行くか」

「わん!」
「……(ふるふる)」

 こうしてレッド・スライムのアカが仲間になった。
 新たな仲間と共に、俺たちはマンションを出た。




 一方、その頃―――。

「うああああああ!し、柴田!た、助け……あああああああああああああ!!」

 鮮血が舞い、また一人仲間が倒れる。
 柴田はその様子を呆然と見つめていた。

 意味が分からなかった。
 この状況は何だ?
 なんでこんな事になった?


 食料調達の為に探索範囲を広げ、彼らはここまでやってきた。
 道程は非常に順調だった。
 現れるモンスターも、ゴブリンやゾンビが一匹か二匹。
 レベルを上げ、徒党を組んだ自分達の敵ではなかった。

『もう少し先まで行ってみようぜ』

 それは誰の言葉だったか。
 反対する者は居なかった。
 モンスターを倒し、レベルが上がり、新しいスキルを手に入れた事で、柴田たちは調子に乗っていたのだ。
 やれる。自分達ならもっと強いモンスターだって相手に出来る。
 大量の食糧を手に入れ、みんなを驚かせてやろうぜ。
 そう思い、捜索範囲を広げ、ここまでやってきた。

 だが、彼らの快進撃は唐突に終わる。
 たどり着いた大型ショッピングモール。
 そこには自分達の想像をはるかに超える『化け物』が居た。

「……な、なんなんだよ、あいつはッ……!」

 近くの茂みに隠れながら不良っぽい外見の学生、柴田は震えていた。

「ぎゃあああああああ!」

 また一人、仲間の悲鳴が聞こえる。
 助ける?いや、駄目だ。敵う訳がない。
 アレはレベルが違いすぎる。

「ハッ……ハッハッハッ……!く、クソ!」

 浅い呼吸を繰り返し、柴田は決断した。

「お、おい!柴田!?どこに行くんだよ!?は、早くアイツらを助けないと―――う、うあああああああああ!!」

 仲間の悲鳴を背に、柴田は逃げだした。
 彼は『逃げる事』を選んだ。
 アイツが仲間に気を取られてる隙に、少しでも距離を稼ぐように柴田は走る。

(すまねぇ……みんな、すまねぇッ……!)

 心の中で友を見捨てる事に懺悔した。
 それでも彼の足は止まらなかった。

「……い、急いで西野さんに伝えないと。早く……早く……!」

 誰かが……、誰かが生き残って伝えなければいけないのだ。
 あのモンスターの存在を。生き残っている仲間へ下へと。
 震えながら走る彼の耳には、ずっとあのモンスターの叫び声が響いていた。
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