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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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36/58

36.それは分かっていても抗えない魅力を秘めている


 交差点の中央に鎮座する宝箱を見つめる。
 怪しい……怪しすぎる。
 あれ、どう見ても罠だよな?
 罠というか、もしかしてモンスターとか?ミミックとかいう奴。

 でも『敵意感知』や『危機感知』、『索敵』に反応ないんだよな。
 でもあんなあからさまだとなぁ……。
 『反応が無い』っていうのが、逆に怪しいような気がする。
 そういう『感知を妨害するスキル』の可能性もある。
 『鑑定妨害』ってスキルがある時点で、妨害系のスキルがあるのは予測できるし。

「でも本物の宝箱って可能性もあるんだよなぁ……」

 本物だとしたら中に何が入っているのだろう?
 お宝?魔石?それとも武器とか?
 気になると言えば気になる。

「ちょっと試してみるか」

 交差点から死角になる位置へ移動し、身を隠す。
 とりあえず石を投げてみる。
 当たった。
 反応はない。

「モモ」

「わん」

 モモに『影』を伸ばしてもらい、開けれるかどうかを試してみる。
 そして、モモの『影』が宝箱に触れた瞬間―――


「シャアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 宝箱が開き、やどかりの様な姿のモンスターが飛び出した。
 明らかに宝箱よりもデカい図体をしている。
 どうやって中に入ってたんだ?
 物理法則仕事しろよ。

「ていうか、やっぱりモンスターかよ……」

 宝箱じゃない。ミミックだった……。
 畜生、本物かもしれないと思った俺の期待値を返せ。

 そしてミミックが姿を現した瞬間、『敵意感知』、『索敵』が反応を示した。
 やっぱ『妨害系』のスキルを持ってたらしい。
 でも宝箱から出れば効果は無くなるようだ。

「シャアアアアア―――アア…………ァ?」

 ミミックは自分の周りに獲物が居ないと気付くと、「あれ?」という感じの仕草をした。
 その仕草が妙に愛嬌がある。
 でもモンスターはモンスターだ。
 容赦はしない。
 ミミックの居る場所は、俺のアイテムボックスの効果範囲。

「―――潰れろ」

 先程、工事現場で失敬した重機をミミックへ向けて放つ。
 ぐちゃっと、鈍い音がした。

≪経験値を獲得しました≫

 天の声が聞こえる。
 今の一撃でミミックは死んだらしい。
 意外と大したことはなかったな。

 素早く重機を回収する。
 ミミックの居た位置には、茶色い魔石が転がっていた。
 アイテムボックスに入れてみると、『ミミックの魔石(極小)』と表示された。
 脅威的には、ゴブリンやレッサー・ウルフと同じくらいか。
 まあ、あからさまな罠だったしなー。

 でも、もし宝箱以外に『擬態』してるミミックが居れば厄介だよな。
 何でもない日用品―――タンスとかゴミバケツとかに『擬態』してれば危険度は一気に跳ね上がるだろう。
 用心しておくに越したことはないな。

「次は『感知』系スキルのレベルを上げていくか……」

 『索敵』や『危機感知』のレベルが上がれば、ミミックの擬態も見破れるようになるかもしれないし。
 『肉体強化』や『剣術』よりも、そっちを上げておいた方が良かったかもしれない。
 スキルポイントの割り振り、もうちょい考えるべきだったかも。
 まあ、過ぎた事を後悔しても仕方ない。
 次に生かせばいいのだ。

「さて、んじゃ行くか、モモ」

「わん!」

 再びホームセンターを目指し、俺たちは歩き出した。



 ―――舞台はホームセンターへ移る。

 ホームセンターの休憩室。
 そこには、西野を筆頭に学生たちが集まり、今後の方針を話し合っていた。
 テーブルの上には町の地図が敷かれ、所々にマーキングが施されていた。

「それじゃあ、柴田と大野は二手に分かれて周囲を捜索してくれ。食料の確保は最優先だが、くれぐれも無茶はしないでくれ。いいな?」

「うっす」
「わ、分かったよ」

 不良っぽい容姿の柴田と眼鏡をかけた気弱そうな容姿の大野がそれぞれ返事をする。
 その後ろには数名の学生たちが控えている。

「それと、他の避難所も探して行こう。ココよりも安全そうな場所であれば、ルートを確保してそこへ移動する。他の避難民が先行してれば交渉だ。……みんなの家族もいるかもしれない。頑張ろう」

 地図を指差しながら、西野はみなに説明する。
 割り当てられた地域やルートは、合理的であり皆が納得出来るものだった。
 学生たちは頷く。

「じゃあ、出発してくれ。皆も頼んだぞ」

「「「「はいっ!」」」

 元気よく返事をして探索グループの学生たちは部屋を出て行く。

「残りのメンバーは、今まで通りここの防衛だ。昨日レベルが上がった避難民の人達にも手伝わせてくれ。ローテーションはみんなに任せる。でも、あんまり神経を張りつめないような」

「「「了解」」」

 返事をして、残りのメンバーも部屋を出て行く。
 残ったのは、西野と髪をサイドテールにまとめたギャルっぽい女子高生の二人だけだ。

「皆行ったか……。よし、それじゃあ、俺と六花りっかは、まだレベルの上っていない奴らのレベル上げに行くか。いいな?」

「えー、マジで?すっげー面倒臭いんだけど……」

 六花と呼ばれた少女はあからさまに不満そうな表情になった。

「そう言うなよ……。俺たちの中では、お前が一番強いんだし、スキルの相性を考えれば、俺とお前がペアになるのが一番いい。それに、理由は昨日説明したろ?今は少しでも戦力が欲しいんだ」

「うーん、まあニッシーの言ってる事も分かるけどさぁ……」

 腕を頭の後ろで組みながら、六花と呼ばれた女子高生は口をとがらせる。
 ニッシーと言うのは、西野のあだ名らしい。

「しょーじき、あの手のおっさんって、無理やりレベル上げても、足手まといにしかなんないとおもうよー。特にあのハゲおやじとか。未だに、モンスター殺すのなんて無理だって喚くし。マジ、ウザい」

「……」

「それならさー、いっそ事故に見せかけてヤッちゃった方がいんじゃない?その方が私達の経験値にも―――」

「六花ッ!」

 西野に怒鳴られ、六花はハッとなる。
 口に手を当てて、申し訳なさそうに目を逸らす。

「ッ……ごめ、今の忘れて……」

「その事は二度と口にするな。それだけは、まだ皆にも知られるわけにはいかないんだ。もし知られたら、絶対に一線を越える奴が出てくる。それだけは……駄目だ」

「……うん、分かった」

 西野と六花は休憩室を出る。
 その表情はどこか張りつめていた。
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