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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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27.ある意味強敵現る


 モモと一緒にホームセンターへ向かう。
 ここから歩いて二十分ほどか。

 マンションを出て、大通りから外れた小道を進む。
 なるべく目立たぬように、ひっそりと。
 ちなみにモモは今は『影』の中だ。
 何かあったら直ぐに出られるように待機している。

 道なりに進み、ホームセンターまであと少しの所で、俺たちは新たなモンスターに遭遇した。
 それは、道路脇の茂みにひっそりと隠れる様に居た。

 大きさはバスケットボールよりも一回り大きい程度。
 青色の半透明の球体で、内部には小さな球が浮いており、コポコポと気泡が浮き出ている。
 ファンタジーにおける超王道。
 ゴブリン、オークに並ぶメージャーモンスター。
 そう、スライムだ。

「おぉー……」

 実際に見てみると、思った以上に不思議な生き物だな。
 某ゲームの様に、目は付いていない。
 デカいアメーバのような、クラゲの頭の部分の様な……何とも形容しがたい姿だ。

 というか、強いのかな、スライム?
 『危機感知』に大した反応が無いって事は、それほど強くはないとは思うが……。

「モモ」

「……わん」

 モモを『影』から出し、様子を窺う。
 スライムはナメクジの様にゆっくりと移動し、覆いかぶさった部分の草を溶かしていた。
 あれって食事をしてるのか?
 こっちに気付いている様子も無いな。

「……狩るか」

「わん」

 モモも頷き、直ぐに『影』をスライムに向けて放つ。
 拘束して、冷蔵庫で圧殺。
 鉄板のコンボだな。

 伸びた影は、一瞬のうちにスライムを拘束する。
 だが次の瞬間、俺たちにとって予想外の事態が発生した。

 ちゅるん、と。
 スライムは影の隙間から抜け出してしまったのだ。
 ぽよんと地面に落ちる。
 そして、そのまま何事も無かったかのように、草を食べ始めた。

 な、なんだと……!?
 モモの影が通じない!?

「うー……!」

 モ、モモが悔しがっている。
 ちょっと可愛い。

「お、落ちつけモモ」

 わしゃわしゃとモモを宥めつつ、俺は冷蔵庫を取り出す。
 大丈夫だ。モモの影で拘束できなくても、あいつの動きは鈍い。
 これで仕留める!

 放たれた冷蔵庫は、スライムを押しつぶす。
 だが、またしても俺たちの予想は裏切られる。
 スライムは冷蔵庫の底から、むにゅーんと体を平らにして這い出てきたのだ。
 中に浮いてる核みたいな部分もぺったんこになってる。
 そして、そのままスライムは何事も無かったかのように再び草を食べ始めた。

「……」

 腹立つ。
 筋違いかもしれないけど、あんな何事も無かったかのように、草を喰い始める姿は何か腹立つ!

「ぐるるる……!」

 モモが呻ってる。
 お、落ち着くんだモモ。
 こんなモモ、初めて。可愛い。

 というか、真面目な話、スライムって物理的な攻撃がきかないのか?
 斬撃ならどうだろうか?
 俺は包丁を取り出し、スライムに近づく。
 これだけ近づいてもスライムは何の反応も示さない。
 『影』や冷蔵庫での攻撃で、もう俺たちの事はとっくに気付いてる筈だが……。
 もしかして攻撃手段が無いのか?
 いや、『敵意感知』にも反応が無い所を見ると、『意思』自体がないのか?

 俺は包丁を振りかざし、スライムの核目掛けてスパッと、いかない!?
 ぐにょーんと形を変えて、スライムは無傷。
 再び草を喰い始める。

 この!この!この!
 ぐにゅーん、ぷるるん、ぽよんぽよん。
 スライムは無傷だった。

 ぐぬぬぬ……!
 手強い。
 何だ、これ?
 スライムってこんな面倒臭い相手なのか!?
 潰しても駄目、斬っても駄目って、これ物理攻撃で倒すの無理っぽいぞ。

 物理は駄目……なら他の攻撃手段はどうか?
 例えば火。
 油とマッチを取り出す。
 ヘアスプレーなんかがあれば、即席の火炎放射器が出来たかもしれないけど、あいにく手持ちには無い。
 自分も火傷しちゃう可能性を考慮し、モモの『影』を手の様に変化させ、油とマッチを持たせる。
 そしてスライム目掛け点火。

「おっ」

 効果はてきめんだった。
 先程まで余裕だったスライムが火をつけられた途端、じたばたと暴れ出したのだ。
 もがいて必死に火を消そうとするが、間に合わない。
 やがてスライムの体は解け出し、そのまま消滅した。

≪経験値を獲得しました≫

 頭の中に天の声が響く。
 スライムの居たところには、緑色の魔石が転がっていた。
 収納してみると『スライムの魔石(極小)』と表示された。

「ふぅー……」

 ある意味、今までで一番手こずったかもしれない。
 物理攻撃が通用しないモンスターなんて初めてだ。
 おまけにかかった時間や道具の割に、経験値のうまみが少ない。
 たった一匹倒すのに、かなりの油を使ってしまった。

 うーん、手間やリターンを考えればスライムはあんまり相手にしない方がいいかもな。
 向こうからは攻撃一切してこないんだし。
 草食ってるだけで無害っぽいし、スライムは見かけてもスルーでいいか。

 ていうか、スライムの弱点は火なのか。
 あのハイ・オークにも弱点みたいなのがあればいいんだけどなー。
 無さそうだよな、あいつ……。

 モモにスライムの魔石を与え、移動を再開する。
 途中でゴブリンを三匹狩った。
 うん、やっぱゴブリンの方が相手にしやすいな。
 でもまだレベルは上がらなかった。残念。


 それからしばらくして、俺とモモはホームセンターへたどり着いた。
 この辺りも、ショッピングモールと並ぶ商業地域だ。
 ホームセンター、スーパー、ドラッグストア、本屋等が並んで立ち、駐車場も広く、利用者も多い。
 見た感じモンスターはいないようだ。
 だが、『先客』は居た。

「だーかーら、ここは俺たちが先に来たんだっつーの!他当たれ、ボケ共!」

「そ、そんな!ここは君たちの物じゃないだろう!私達だって必死になって逃げてきたんだ!」
「自衛隊が助けに来るまでの間だけでいいんです!」
「そうだ!こういう時は助け合うのが普通だろうが!」
「早く中に入れなさいよ!あの化け物たちが襲ってきたらどうするのよ!」

「知らねーよ!勝手に死ね!とにかく、ここは俺たちのもんだ!」

 ホームセンターの入口付近。
 そこには、武器を構えた不良っぽい男子生徒数名が立ち塞がっており、そいつらに詰め寄る様に、十名近い男女が抗議の声をあげていた。

 うわぁー……。
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