エピローグ
最終話となります。ここまで読んで頂きありがとうございます。楽しくエンディングを向かえたいと思います!
あの日以来、祝福をしても私が光るようなことはなかった。たまに残ってた小さな瘴気を消しに行くことがあるくらいで穏やかに過ごしている。
今日は、ヴォカロちゃんとユーアさんの結婚式。友人席で良かったんだけど主賓でのお招きとなりました。ユーアさんは、光沢のある濃紺のドレスを来ていた。こっちの花嫁さんは、白いウエディングドレスじゃないんだねと言ったら、ユーアさんに『そんな色を着るのはお貴族様だけよ』と言われちゃった。えっ、ヴォカロちゃんって騎士爵もらったよね? 『あっ、そうだった。アハハ』って豪快に笑ってたから由としよう。
ワンゲルの分院で厳かに式が執り行われていた。
バーン!
えっ、まさかね。真っ赤な髪をゆっさゆっさと揺らして入って来ました。駄目でしょ! 結婚式の最中なんだから!
「ヒンス、お前に先を越されるとはな。ハハハ」
「ジャッカス、場所を弁えて!」
「殿下も早く聖女様と結婚したいでしょ。アハハ」
「ここで一緒に式を挙げてしまおうかな。ハハハ」
「費用を持ってもらえるならいいわよ。アハハ」
「「「ハハハ、アハハ」」」
ええっ、こんな感じでいいの? 皆、式の最中なのに……ははは。
帰りの馬車の中で、何故か私はジャッカスにしっかと抱きかかえられている。
「何でこうなってるの?」
「俺も早く式を挙げたいと思ってな」
「それとこれは関係ないんじゃない。それに式は半年後に決まってるし」
「待てない」
「そんなこと言ったって仕方ないじゃない」
「お前さ、俺との年の差を気にしてただろう。お前再来月が誕生日だろう。半年後の式だと二十四になってるってことだ。俺と四つ違いになるぞ。但し、今なら三つ違いだぞ」
「み、三つ違い……」
ジャッカスのその言葉に惑わされ、不覚にも馬車を神殿に向かわせてしまった。慌てたのは、就任したばかりの新人神殿長さん。婚姻誓約書にサインして晴れて二人は夫婦となってしまいました。めでたし、めでたし……じゃな~い!!
国王陛下に王妃様、宰相さんに黒髪さんまで加わって、大目玉を食らいました。神殿に誓約書を提出してしまったけど、体裁と言うものがあるから、半年後に予定通りきちんと式は挙げるということで叱責の場から漸く解放されました。目を三角にして怒るってこういう目なのだと実感した次第です。
半年後、サイズ直しで縫製の匠の手を何度も煩わしたにも拘わらす、披露宴の最中に悪阻で退場するというアクシデントは、後々の笑い話とはならず、お若いご令嬢やその親御さん方への教訓となりました。
どんどん大きくなるお腹を見て、私の小さな体には無理なのではないかと心配したジャッカスが、軽量魔法が使える魔道士を連れてきた時には驚いた。『赤ちゃんに何かあったらどうするのよ』って二発ほど頭を叩いておいたけど、後もう一発くらい叩いておけば良かったかな。そうしたら馬鹿が直ったかも。
そういえば、黒髪さんの奥様サランさんが話し相手に来てくれたんだけど、子育ての大先輩だもの期待大。実際にお話してみると、お淑やかな美女って感じの見た目と違って口調とかも固くて軍人さんなのかと思ったら、元は黒髪さんの上司だったって聞いて納得。祝賀会でお見かけしたんですよって言ったら、とんでもない返事が返ってきた。
『ああ、あの馬鹿者が人前で……自分はあの時、避けられなかった事に、今、思い出しても腹がたちます。只、直後にヒールで反撃はしております』
って言ってた。ヒールかぁ。黒髪さん、ご愁傷様です。
披露宴から更に半年後、私は黒髪の男の子と真っ赤な髪の女の子の双子を煌めく光の中で産みました。感情の昂りが引き金なんでしょうか。久しぶりに光ってしまいました。待機してくれていた神官さん達が、奇跡が起きたと歓喜していたそうです。
心配しすぎて仕事がずっと手に付かず、周りの皆さんにご迷惑をお掛けしまくっていたジャッカスが、喜びすぎて大泣きをした事は、私の大切な思い出となりました。ビデオカメラが有ったら最高だったんだけどな。流石に無かった。
お母さん、私はこっちの世界でコインスデンスが得られなかった幸せを掴めました。誰かさんに似ず堅実だったというラルスの子孫も誠実でしっかりした人達です。だから、もう貴女は貴女の幸せを掴んでくれて大丈夫ですよ。お父さんは、どんな貴女であったとしてもきっと支えてくれる筈だと。うん、心からそう願っています。
フェイト、コインスデンス、聖女、女神、そして千東優美。たくさんの名前を持つ事になったお母さん。どうか、お元気で。欲張りな私は、もっともっと幸せになるから。
最後までお読みくださってありがとうございます。
全8頁の作品のサクッと読める
『見知らぬ者として会った貴女のために』
((N4089MV))も公開中です。
宜しければこちらもお読みください。
皆様の感想や評価が、次の物語を描く活力となります。
また別の作品でもお会いできることを楽しみにしています。




