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名門落ちの俺、二流実戦校で初日から上級生を半殺しにしかける  作者: ボンゴレ11代目


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第5話 朝訓練


翌朝。


まだ日も昇りきらない時間に、俺は訓練場へ来ていた。


石畳の上に立ち、深く息を吸う。


身体強化。


昨日までみたいに、雑に一気に流し込まない。

脚、腰、肩、腕。順番に、細く、丁寧に通す。


じわりと身体が熱を帯びた。


「……昨日よりマシだな」


拳を打つ。


空気を裂く音が少し鋭い。


もう一度。

もう一度。


無駄を減らすだけで、同じ魔力量でも動きが軽い。


微々たる成長だが大きく実感できる。


考えてこなかっただけだ。


力押しで勝てる相手ばかり殴ってきた。


そのツケを昨日払っただけだ。


「感心しないわね」


後ろから声がした。


振り向かなくても分かる。


「朝から嫌味言いに来たのか」


「努力している人間を笑う趣味はないわ」


エリシア・ノヴァ が訓練場の入口に立っていた。


制服姿のまま、腕を組んでいる。


「ただ、やり方が雑だと思っただけ」


「お前、それしか言えねえのか」


「事実だから」


むかつく女だ。


エリシアは近づいてきて、俺の足元を見た。


「踏み込みが深すぎる。重心が前に流れてる」


「……」


「だから次動作が遅れる」


言いながら、俺の立ち位置を足先で少しずらした。


「こう」


「近い」


「黙って」


そのまま俺の肩に触れ、姿勢を直される。


「肩に力が入りすぎ。腕だけで殴ろうとしてる」


「触るな」


「子供みたいなこと言わないで」


こいつ、本当に遠慮がない。


「……なんで教える」


俺が聞くと、エリシアは少しだけ目を細めた。


「昨日のあなた、悔しそうだったから」


「は?」


「負けて終わる顔じゃなかった」


そう言って、少し離れる。


「もう一度打ってみなさい」


言われた通り構える。


脚、腰、肩、腕。


流れを意識して拳を突き出す。


鋭い音。


昨日より明らかに違う。


「……おい」


「何?」


「今の、かなり良かった。ありがとう」


「当然よ。私が見たんだから」


腹立つ言い方なのに、否定できねえ。


そこへ、眠そうな声が飛んできた。


「朝から仲良しだなあ、お二人さん」


ユウト・セルヴァ があくびしながら現れた。


「違う」


「違うわ」


二人同時だった。


ユウトはにやにやする。


「息ぴったりじゃん」


「殺すぞ」


「朝から物騒!」


ガヤガヤしているうちに、生徒たちが少しずつ集まり始めた。


一限目の授業が始まる時間だ。


やってきた ガイゼン教官 は、俺たちを見るなり鼻で笑った。


「ほう。落第生も早起きくらいはできるらしいな」


「誰が落第生だ」


「名門落ちだろうが」


……言い返せねえ。


教官は全員を見回した。


「今日から基礎訓練に入る。走る、殴る、制御する。それだけだ」


生徒たちから不満の声が漏れる。


「地味すぎる!」

「実戦やらせろ!」


ガイゼン教官は怒鳴った。


「基礎もできねえ雑魚が実戦語るな!」


一瞬で静まる。


「特にクロウ」


「……なんだよ」


「お前は昨日、才能だけで戦って負けた」


図星だった。


「悔しいなら基礎からやり直せ。できねえならまた負けるだけだ」


周囲の視線が集まる。


俺は拳を握った。


悔しい。


でも、その通りだ。


「やってやるよ」


教官は獰猛に笑った。


「その顔だ。嫌いじゃねえ」


朝日が訓練場を照らす。


昨日までとは違う一日が、始まろうとしていた。

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