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おじーちゃん、『姫プレイ』なう!?  作者: 堀〇
第三章 初イベントにて全プレイヤーに栄冠を示せ!
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クエスト66 おじーちゃん、かくして『聖歌:ほしうた』を大勢に聞かせてまわる

 初イベント『常夜の街の堕ちた太陽を撃破せよ!!』の舞台となって用意された第四の街――常夜の廃都『アーテー』。


 その中央に装飾過多な櫓に祀られた、『イベントボス』と戦える専用フィールドに跳べる転移結晶。そして、その周りで厳かな歌声を響かせる神官服のNPC集団――を、監督するように、すこし離れた位置に立って全体を眺めていた顔見知りの神官NPCにして運営直轄NPCの、以前会ったときは『ジャッジさん』と名乗った男に話しかけることにした儂と、その傍らで黙って追随してくれるローズ。


 果たして、久しぶりの、そして予想外に過ぎるタイミングと場所での再会に驚きつつも声を掛け。挨拶を交わしたあとで、儂はさっそく、いつもの嘘くさい柔和な笑みを浮かべた『ジャッジさん』に訊いてみることに。


「質問なんじゃが、さきの歌の歌詞は――」


 ――これは星唄。星の歌。


 むかし、むかし。そのまた昔から天上には世界があった。


 天上の世界。神々の住まう世界にはすべてがあった。


 天上の世界。光と幸福の満ちる世界にはすべてがあった。


 しかし、ある日。女神アイテールは世界の片隅で一つの『穴』を見つける。


 しかし、ある日。『穴』のなかで泣いていた女の子を見つける。


 暗い、暗い、『穴』の底。一人ぼっちで彼女は泣いていた。


 彼女は星の子。下界の子。


 『穴』は下界。『穴』は世界。


 下界は神さまの『要らないもの』で創られる。


 世界は神さまの『要らないもの』で彩られる。


 だけど、その『穴』には何もない。


 だから、その下界は神さまに忘れられた『穴』。


 しかし慈悲深き女神アイテールは女の子を見つけた。


 そして慈悲深き女神アイテールは『穴』へと飛び込んだ。


 果たして、世界に光ができた。女神の神気で下界にも『星』ができた。


 優しき女神は自ら降格。星の精霊となり、女の子と一緒に暮らしました。


 これが始まり。


 これが星唄。


「『――ああ、優しき始祖星霊さまよ、ありがとう』と。もしかして、こんな内容じゃったりせんか?」


 あいにくと、彼らが歌っているのを最初から聞いていたわけではなく。【翻訳】をセットするまで内容を窺い知ることはできんかったが……それでもその歌詞が、儂が以前に『資料館』で目にした『ほしうた』というタイトルの『児童書』らしき『絵本』に綴られていた『詩』と同じだった。


 ゆえに、不思議に思いつつも件の『古代の児童書』――『ほしうた』に載っておった『詩』をそのまま諳んじて問いかければ、柔和な笑みを浮かべたままに青年神官は、笑みの質を僅かに困ったときのそれに変え、


「申し訳ございません。あの歌に関する情報を開示できるのは同じ〈神官〉に就く者だけでして――……と、言っている間に『転職ジョブチェンジ』させる手際はさすがでございますね」


 ふむ。呆れこそしてはいるが、称号【七色の輝きを宿す者】の効果による任意のタイミングでの転職行為にも驚かず、儂の就いている〈職〉を瞬時に見分けられるのは、彼が相応の【スキル】を有しているからか、それとも運営直轄NPCゆえか。


 ……なんにせよ、このように『条件付けされたうえで秘匿されておる情報』なんて美味しそうな餌をまえに黙っているわけにも――


「お察しの通り、先ほど私たち星霊教会の神官どもが歌わせていただきましたのは、『ほしうた』――いわゆる『星霊さまによる創生神話』と『偉大なるアイテールさまを讃える祝詞』を歌としたもので。皆さま風の言葉にすれば、『呪歌』の旋律の1つ、『聖歌:ほしうた』でございます」


 ミナセさんの知る『ほしうた』という古文書は、この雛型である『子供に読み聞かせるための絵本』でしょうね、と。そう嘘くさい、いつもの感情を感じさせない笑みに戻って告げるジャッジさんは、そのあとで手に1つのアイテムを出し。それを「どうぞ」と差し出してきた。


「ふむ。これは……」


 さっそく〈学者〉に『転職ジョブチェンジ』し、【慧眼】で『視た』ところ……差し出された『小冊子』のようなアイテムは、表紙に『遺失言語』で書かれた『星唄』というタイトルの、どうやらさきほど歌っていた『聖歌うた』の歌詞カードのようなもので。使用することで歌詞と旋律が綴られたそれが≪メニュー≫のなかの『呪歌』の項目に載るようだったので、まずはそれらの効果を表示したウィンドウを撮影。あとで志保ちゃんに報告するとして、さっそく『星唄ほしうたの歌詞カード』というアイテムを使おうと――


「ちなみに、それを使うことができるのが〈神官〉だけだったりします」


 ……さきに言ってくれんかのぅ。


「さらに、【属性魔法:光】と【呪歌】という2つの【スキル】が無ければ、そのアイテムを使用できなかったりもします」


 加えて、さらに〈神官〉のレベル10以上――〈初級神官〉以上でなければ、という条件もありますが、と。そう相変わらず内心を窺えない微笑を浮かべて告げるジャッジさんに、思わず半目を向け。それを儂はおろか〈神官〉に就いてすらいないローズにも聞かせてくる辺り、どういうつもりなんじゃ? と思わなくもないが、おそらくはパーティ内に一人でも条件を満たす者が居れば情報の開示はされるのじゃろう、と無理やり納得。


 そして、こうなれば意地だ、と。隣の深紅の巻き髪令嬢に【属性魔法:光】と【呪歌】の取得方法を訊ねると……【呪歌】が〈吟遊詩人〉に就いて『呪歌』に載った旋律を歌っていれば取得できるのに対し、【属性魔法:光】は現状、【スキル】のレベル合計200以上達成での報酬――『スキル変換チケットC』を使用しての取得意外には判明していない、と言われ。


 ならば、と。その『チケットC』と、さらに【スキル】のレベル合計400以上達成で手に入れた達成報酬――『固有技能変換チケットA』という、使うことで任意の固有技能を得られるアイテム――を消費して【呪歌】の固有技能を得れば条件を満たせるわけで。


 しかし、だからと言って即決できるわけもなく。特に『複合スキル』までをも取得可能な『チケットC』と、割かし苦労させられた『レベル合計400以上』の達成報酬ゆえ、よく知りもしない『呪歌うた』のために単なる意地や浅慮で消費などできようはずがない。


 ゆえに、ジャッジさんに提示された条件をすべてクリアできる手立てがあっても、まずは『聖歌:ほしうた』の効果を訊くことにして。……儂の興味本位に突き合わせ、待たせてしまっているローズには悪いが、聞き出した内容次第では貴重な『チケット』の消費を考えるつもりじゃった儂は――結論から言って、2つの達成報酬を消費したうえで『聖歌:ほしうた』を覚えることに。


 もっとも、この一連の流れというか遣り取りに、相方ローズは呆れておったが……『これから』を思えば、儂が今回取得を決めた『聖歌:ほしうた』の有用性はわかっているのじゃろう。彼女はため息一つですべてを飲み込み、このあとすぐに相対する『イベントボス:堕ちた太陽の申し子』戦についての情報交換をもう一度。それから、揃って転移結晶のまえへ。


 果たして、件の『イベントボス』が封じられているという設定の専用エリアに転移――するまえに、眼前に浮かぶウィンドウに、何やら打ち込むローズ。聞けば、それはダイチくんたち、クラン『薔薇園の(ローズガーデン・)守護騎士キーパー』のメンバーが占有しているという場所フィールドに跳ぶための『16桁のパスワード』なのだそうで。


 これを入力することによって初めて転移できるわけじゃが、そのさきが『イベントボス』の居るフィールドというわけではなく。そのまえに、どこか競技場スタジアムのような建築物のなかへ転移させられ。


[ここは、アーテーの『可能性の間』です]


 そんな現在地を示すインフォメーションを尻目に、眼前でひときわ目を惹く競技場スタジアムの中央部――その台座のようなものの上に立体表示されておるのが、どうやら『イベントボス』が居る場所フィールドじゃろうか?


 その周りをぐるりと囲う観客席のようなココが、どうやらアーテーの中央にあった転移結晶によって移動できる場所のようで。見上げれば、流星が雨のように降りしきる夜空が広がっており。よくよく台座の上の『ボスフィールド』を見れば、どうやら縮小表示されたアーテーの街なかのようじゃったが……封印の櫓というか転移結晶のあった場所が、無い?


 立体映像を注視すれば、眼前に儂が焦点を合わせていた場所の拡大された映像を映すウィンドウが浮かび。それに手を当てて動かしたり、さらに拡大したり、消したりといろいろ試して、おおよその仕様を確認。そのうえで、おそらくは現在、表示させておる場所さきで、実際に戦っているのだろうプレイヤーと、そして彼らを襲うひときわ大きなモンスターを見て、瞳を細める。


「……ふむ。あれが、『イベントボス』――『堕ちた太陽の申し子』か」


「ええ。……思っていたより、大きい、ですわね」


 儂らの視線の先に居るのは、体長おおよそ3メートルほどの、6対12本の爬虫類を思わせる脚と鳥のような顔の、黒い羽毛が頭から背中へと生えた、それ以外を鱗と蛇腹のある、赤い光を放つ眼の――有体に言って、『バケモノ』じゃった。


 ……ふむ。なるほど、これが『最終目標ボス』か。


 相対する最大100名からなるプレイヤーを圧倒し、蹂躙し、君臨するモンスター。それをつぶさに観察し。記憶し。解析しながら、それとなく『これ』に挑むためにはどうすれば良いのかを周囲のプレイヤーの動きを『視て』、確認。


 ……ふむ。要は、眼前の『ボスフィールド』を映すウィンドウの、いずれかの場所を手か視線で『クリック』すれば良いのか? と、検討をつける頃には、観客席のような場所の端っこに『可能性の間』における各種機能や仕様の説明を参照できる石碑モニュメントを見つけ。念のためにローズと二人、その石碑にも触れて『仕様説明書』を呼び出し、一読。


 『イベントボス:堕ちた太陽の申し子』に挑むには、まずアーテーの東西南北にあるいずれかの迷宮ダンジョン走破クリアし。そして、その走破したことのある迷宮があった、街の四隅に建てられた『塔』を、中央の立体映像ないし、それを拡大表示させたウィンドウ越しにクリックすれば転移することが出来て。『最大100名』まで『ボスフィールド』に居られるのだそうで。


 現在、『ボスフィールド』にて『イベントボス』に挑んでいる人数も、この石碑モニュメントか『戦場』へ転移しようとすれば『現在、〇〇名の冒険者が挑戦中。転移しますか? YES ・ NO 』というふうに選択肢ウィンドウとともに表示されるようで、そこで確認できるようじゃが――


「……まぁ、なんにせよ、一度挑んでみんことには何もわからんよな」


「ですわね」


 そんなわけで、適当な『塔』を選択クリックして『現在、78名の冒険者が挑戦中です。転移しますか? YES ・ NO 』という選択肢ウィンドウを呼び出し、『YES』とコマンド。


 果たして、それで――世界が、切り替わる。


 ……ふむ。まぁ、まずは『副職』に『気配隠蔽の効果上昇』という『副次効果』を持つ〈狩人〉を設定し、【潜伏】と【忍び足】で隠れつつ、【聞き耳】と【察知】などの索敵系【スキル】を駆使してプレイヤーとモンスターが比較的多く集まっている方へと向かおうかの、と。そう隣にいる、同じくそれらすべてを有する純支援補助役メイン・サポーターに告げれば、少女は頷き。


 もっとも、【忍び足・弐】や【潜伏・弐】のように『上位化』まではいかずとも、それなりにレベルの高い隠密行動に関した【スキル】持ちの狐耳令嬢はともかく。現在の、『上位化』すぐでレベルの低い儂は、そこまで『かくれんぼ』に自信は無いが……いざとなれば即座に〈戦士Lv.25〉ないし〈治療師Lv.21〉に『転職ジョブチェンジ』すれば一撃死はあるまい。


 ……しかし、最大100名が一同に介することができるというのだから、てっきり入場には規制ないし順番待ちなどが出来ているものと思ったが、儂が来る段階で78名とはのぅ。


 最大人数の8割を下回り、最高戦力だろうダイチくんたち『主人公と愉快な仲間たち』を欠いたクラン『薔薇園の守護騎士』のメンバーがどれほどのものか、じっくりと試させてもらおうか?


「――などと上から目線で語れるほど、今の〈初級斥候Lv.32〉の儂が強いわけもないんじゃがな」


 そう冗談めかして告げる儂に半目を向けるローズ。何かを言いた気にしつつも、けっきょくは飲み込み、ため息へと変えたようで。「……まぁ、さっさと移動しましょう」と促し、歩き出す深紅の巻き髪令嬢に従い、その背を追うことに。


 そして、


「――見つけましたわ」


「ふむ。……交戦中か」


 それなら、手はず通りに、と。そう告げて〈治療師〉に転職。相手に全ステータス上昇の付与魔法マジック――『ブースト』に、念のための防御力上昇の『プロテクション』。攻撃力上昇と『水』の属性ダメージを与えられるようにする付与魔法マジック――『エンチャント・アクア』をかけてもらいながら『副職』に〈神官〉を設定。さらに『呪歌』――『聖歌:ほしうた』を最大限利用するための『スキル設定』に変更して。


 背中の赤い背嚢ランドセルから大鎌デスサイズを取り出し。駆け出して。


 決して止まらず。走り、駆け寄りながら息を整え――『呪歌』に載っていた歌詞を、『外』で一度耳にした『聖歌:ほしうた』の旋律を、奏でる。


「『――これは星唄。星の歌』」


 歌い、唄い、謡いながらも速度を緩めず。


 まずは、範囲知覚で『視まわした』範囲にプレイヤー以外の、死霊系モンスターの『スケルトン』と『ゾンビ』しか敵性存在が居ないのを確認。次いで、その頭上の三角錐シンボルを可能な限りクリックして、しっかりと『聖歌:ほしうた』が『聞いたものすべてを癒す歌』であり。普通のプレイヤーならばHPを回復し、『カルマ』の数値の高いものやモンスターであればダメージを与える『無差別範囲魔法』であることを確かめ。


 そのうえで、歌っている最中はMPがどんどん減っていく代わりに、効果自体も持続するという『呪歌』の特性をあらためて把握。【呪歌】のレベル30相当だろう『固有技能化』した旋律うたに、〈治療師〉の『回復量増加』の『副次効果』で味方プレイヤーはより多く回復し、敵であるモンスターは〈神官〉の『「カルマ」の数値の高いものにダメージ増加』効果で多くのHPを削る『聖歌:ほしうた』は、言ってしまえば今回のような大人数での戦闘に適した『呪歌まほう』であり。


 加えて、外で歌っていた神官NPCのそれを【翻訳】の【スキル】を介して調べてレベルが上がったことから――


[ただいまの行動経験値により【翻訳】のレベルが上がりました]


 ――やはりか!


 予想通り、『遺失言語』を用いた歌声を聞かせる『呪歌』は、『その言語の意味を正しく相手に伝える』効果の【翻訳】をセットしたうえで使えば――【翻訳】のレベル上げに使える!


 これまで、必要ではあっても経験値を得られる機会が限られ、レベル上げが遅れ気味だった【翻訳】じゃが――それも範囲内に敵味方問わず20を越える聴者が居れば話は別。あるいは、敵モンスターに対しては意味を伝えられず【翻訳】の経験値になっていないかも知れんが……それでも誰彼構わず『呪歌』を聞かせるだけで【翻訳】のレベル上げが出来るのは大きい。


 可能なら、この機会に【翻訳】を最大レベルまで引き上げて『固有技能化』まで持っていきたいところじゃが、


「――ッ!? お、おい、チビっ子! 止まれ、〈吟遊詩人〉のくせに前線まえに出るなッ!!」


「つーか、こんなモンスターの多いとこで、そんな無駄に敵意ヘイト稼ぐような真似してんじゃねーよ!!」


「馬鹿が……。あーあ、わらわらとモンスターが――」


 なにやら外野が心配しているのか、呆れているのか、馬鹿にしているのかわからん野次を飛ばしてくるが、無視。で、手のなかの大きな死神の鎌――『混沌大鎌カオス・デスサイズ』を、迫りくる6体からなるモンスターに振るって、切り捨てる。


「……え?」


「は……?」


 呆然と、こちらを見たまま固まるプレイヤーに『視て』、大鎌を振るった際の運動エネルギーを回転、円運動として逃がして止まり。髪とスカートがふわりと靡いて落ちるのを待って、視聴者に優雅に一礼して見せ。


 この周辺のモンスターを狩り付くしたらしいことを【聞き耳】のレベル30相当に値する『固有技能スペリオル化』したそれで拡大された【察知】――の効果を内包した【慧眼Lv.7】の範囲索敵ミニマップで確認し。次に向かうべきモンスターの多そうな場所にあたりをつけて。


「お疲れ様です。ミナセさん」


 追いつき、呆然とこちらを眺めるプレイヤーに苦笑しながらローズ。そして、彼らの代表だろうプレイヤーが儂らのことを問い、それに狐耳令嬢が礼儀正しく答えて行くの横目に、≪ステータス≫を確認。……ふむ。6体撃破で、おおよそ素体の消費MP分は回復できたか。


 もっとも、倒したレベルがバラバラ、モンスターの種類も2種類とあって正確な『1体につきどれくらいの回復量』というのが事前に測れず。それらを計算したうえで魔法戦をし続けられないのがダンジョン外のモンスターを相手にするときの面倒くささと言うか……。やはり、階層ごとに出現するレベルとモンスターの種類がある程度統一されているダンジョンは、レベル上げに最適なようじゃのぅ、と再確認。


 そして、とりあえず挨拶も済んだようじゃし、次の狩場へ――と言おうとした儂の手を引き、ローズ。なにやら笑顔でありながら僅かに怒っているような、初対面時を思わせる威圧感プレッシャーを放ちつつ、


「とりあえず、ミナセさんは彼らに一度謝罪を」


 曰く、こうしたMMORPGにおいて、『すでに戦闘中の場所に、何を言うでも無く突然に乱入して得物を掻っ攫っていくのはマナー違反』なのだそうで。てっきりローズは、儂が先に『声掛け』ないし『乱入の許可をとって』から突っ込んでいくものと思っていた、と。


 ゆえに、狐耳令嬢が「この子は長く入院しておりまして、この手のMMORPGはAFOが初めてで」と説明する傍ら、神妙な顔をつくって正座し。「この度は皆さまのレベル上げを邪魔してしまい、誠に申し訳ございませんでした」という謝罪とともに頭を下げる相方ローズに合わせるように儂も土下座のごとく地に額をつけて「ごめんなさい」したのであった。



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