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おじーちゃん、『姫プレイ』なう!?  作者: 堀〇
第三章 初イベントにて全プレイヤーに栄冠を示せ!
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クエスト65 おじーちゃん、再会に際して『ランドセル』を自慢する

 『アーテー北の迷宮』のレベル40以上のモンスターが出現する階層に、極稀に現れる稀少ユニーク・個体モンスター――『スケルトン・ソーサラー』を撃破することで手に入る『闇の魔石』。


 これを武器や防具を造る際の素材とすることで特殊な効果を持たせられるというのは知っていたが、どうやらそうして得られた特殊効果を『闇の魔石』を『強化』の素材とした使用することで強くすることができるのだそうで。さっそく、「ふむ。では、全部使って『強化』を頼む」と言って、手持ちの3つすべてを『トレード機能』でアキサカくんに渡し。それまで彼が提示してくれていた、『原作もとネタ』では死神少女ヒロインが振るっていた大鎌――『混沌大鎌カオス・デスサイズ』をしまい、トレードを成立させるや素早く店の奥へと駆けていく店主を見送ることに。


 果たして、一人とり残された儂は、再度『フレンドリスト』を開いてローズのログイン状態を確かめ。合流予定時刻である現実世界の16時を数分すぎているが、何かあったのか? と、首を傾げつつ、とりあえず〈学者〉と【看破】のレベル上げがてら『副職』に〈商人〉を設定して≪マーケット≫を開き、出品されたアイテムを『視て』時間を潰すことに。


 ……ふむ。たしかに、アキサカくんの言う通り『闇の魔石』の出品は無いようで。やはり、レベル40以上のモンスターが出現する階層でしか現れない稀少ユニーク・個体モンスターである『スケルトン・ソーサラー』は、それだけ討伐し難いのじゃろう。


 かく言う儂にしたって、軽く100時間近くダンジョンに籠って3体しか出会っておらんし。それこそ、『蒼碧の水精遺跡』の『フィッシャー・マジシャン』探しをしたとき同様、『スケルトン・ソーサラー』だけを狙って戦闘や罠解除を避け。『誰もその階層に居なくなった場合、モンスターは再配置される』というダンジョン独自の仕様を利用して駆けずり回る、でもしない限り、そうそう数を稼ぐことは出来んじゃろう。


 そして、そういう意味で言えば、狙ったわけでもないのにレベル上げのため、片っ端からモンスターを掃討し続けただけで『闇の魔石』を3つも手に入れ。【慧眼】で『視て』も『素材アイテムとして使った場合、「闇」の能力を帯びる』としか無く、下手したら冒険者ギルドで売っていたかも知れないことを思えば……ふむ。儂は、運が良い、と言えるのか。


 とにかく、こうした効果の付いた素材アイテムを『強化』の際の素材とした場合、『強化』後の外観が変わってしまうらしいので、アキサカくんは今、その修正を『加工』系の【スキル】にて行ってくれておるんじゃろうが……『条件付きでMP回復』の特徴こうかを付与できるらしい稀少な『闇の魔石』を4つ以上使用した『混沌大鎌カオス・デスサイズ』は、果たしてそれに見合う性能を示してくれるのか否か。


 それは、まぁローズと合流して『イベントボス』の強さの確認をしながらで良いとして。今はまず、


「……≪ステータス≫、オープン」


 そう呟き、眼前に表示させたウィンドウを操作し。仮想敵を『イベントボス』として、現状の儂にとっての最強モード――つまりは〈戦士〉に『職種』を変更ジョブチェンジしたうえでの≪ステータス≫を睨む。



『 ミナセ / 初級戦士Lv.43


 種族:ドワーフLv.18

 職種:戦士Lv.25

 副職:商人

 性別:女



 基礎ステータス補正


 筋力:4

 器用:11

 敏捷:11

 魔力:2

 丈夫:15



 装備:初級冒険者ポーチ、薔薇柄のスカーフ、デスティニー作JS制服セット



 所有資格

【運び屋・壱】



 固有技能

【収納術】【暗視】【聞き耳】【槌術】



 スキル設定(7/7)

【強化:筋力Lv.4】【看破Lv.19】【慧眼Lv.7】【忍び足・弐Lv.3】

【潜伏・弐Lv.2】



 控えスキル


【盾術Lv.28】【斧術Lv.26】【翻訳Lv.3】【鍛冶Lv.21】【水泳Lv.25】

【回復魔法Lv.22】【罠Lv.19】【漁Lv.11】【投擲術Lv.11】【調薬Lv.16】

【二刀流Lv.3】【槍術Lv.11】



 称号

【時の星霊に愛されし者】【粛清を行いし者】【七色の輝きを宿す者】【水の精霊に好かれし者】【贖罪を終えし者】【武芸百般を極めし者】【闇の精霊に好かれし者】   』



 なお、〈運び屋〉の『資格アビリティ化』は『副次効果:装備可能な重量とインベントリの容量増化』の永久付与で。兼ねてからの予定通り、【収納術】を『固有技能スペリオル化』したことで、常時『副職』に〈運び屋〉を設定した状態の、【収納術Lv.30】相当の容量を持つインベントリとなり。【収納術】無しでは『強化』した装備一式≪マーケット≫で法外な値段に設定して『保管』しなければ『薬草』を大量買いすることが出来なかった少しまえの面倒くさい時分を思えば、その手間を省けるぶん楽になり。常時、装備可能な装備の重量も僅かに上がって大変に有り難いんじゃが……〈運び屋〉のような『何もせずともレベル上げができる職』を失うのは、やはり惜しい気がするのぅ。


 ゆえに、あとでまた〈職〉の『資格アビリティ化』などで『職歴』に空きが出来れば、その辺を補完できるものを、と考えておるが……はてさて。それはいつになることやら。


 なにせ、現在の『職歴』に登録された〈職〉は〈戦士Lv.25〉、〈学者Lv.13〉、〈漁師Lv.9〉、〈鍛冶師Lv.14〉、〈商人Lv.15〉、〈探索者Lv.14〉、〈治療師Lv.21〉、〈狩人Lv.17〉、〈薬師Lv.13〉、〈神官Lv.14〉、〈斥候Lv.14〉、〈魔法使いLv.4〉、〈勇者Lv.1〉の13種類で。最後の〈勇者〉が『職歴』に登録可能な〈職〉3つ分を埋めているせいで称号【武芸百般を極めし者】の効果によって増えた、最大15個登録可能な『職歴』の枠をすべて埋めておるからのぅ。


 そして、次に『資格アビリティ化』ができる最大レベルの30に近いのは……〈戦士〉と〈治療師〉、か?


 しかし、近々ダイチくんたちと一緒に『レベル15開始ダンジョン』の走破と、もしかしたら『イベントボス討伐』を手伝うことになるやも知れん現状、この2つの〈職〉を失うわけにはいかんじゃろうし。せめて、〈戦士〉に代わる物理戦をできる〈職〉と、〈治療師〉に代わる『魔力』にSPを全消費している〈職〉の育成――具体的には〈神官〉と〈魔法使い〉のレベルをもう少し上げてから、でなければ〈戦士〉と〈治療師〉を安易に『資格アビリティ』とするわけにもいかん、と。


 そして、それ以外の〈職〉は……〈斥候〉が敏捷値特化に育ってくれたゆえ、資金さえ溜まれば即座に『資格アビリティ』にできる〈商人〉か? 加えて、相手を選ぶ戦闘職である〈漁師〉などは『職歴』に無くても良いように思える――が、前者はレベル30まで上げるのに軽く100万Gを越える資金を貯める必要があるし、後者に至っては狩り場の関係でイベント期間中はレベル上げし難いわけで。ままならんと言うか、少なくともイベントが終わるまで『職歴』に空きを作ることはもちろん、レベル上限に達した〈職〉の『昇格ビルドアップ』も出来そうにない、か。


 ……なんにせよ、ダンジョンに潜るまえの目標であった【スキル】の合計レベル400以上は達成しており。これによって『合計レベル400以上で達成報酬が得られる』ということが確認できたので良し、と。


 もっとも、おかげで『〈職〉の合計レベル400以上』の達成報酬もありそうだとわかったが、こちらはさすがに今日明日中に確認などできそうにないので、とりあえず今は忘れておくことにして。


 なにはさておき、




「――お待たせしました、ミナセさん」




 果たして、装備の相談やら新しい装備を買うのに代金を払う、受け取らないなどの『お約束』も済ませ。最終的に、アキサカくんと二人、『ヲタク』談義に熱くなっているところに待ち人は現れ。退店。


 かくして、儂は深紅の巻き髪令嬢と連れ立って『イベントボス』の討伐――は無理にしても、その戦力を測る一助となるべく歩き出し。


 その道中、「……申し訳ありません、ミナセさん」とローズは深く儂に頭を下げ。詳しい経緯などは語らなかったが、家の人間――おそらくは親御さん――に捕まってAFOにログインするのが遅れた、と。現実世界とAFO内の時差からして、儂のことを随分と待たせてしまったことは勿論、そうした自身の都合によって合流が遅れることを報せることが出来なかったことを少女が深く悔やんでいるようじゃったが……同時に、ローズには儂のプライベート用のアドレスを教えていなかった、と思い出し。


 そして、少女の下げられた頭と前髪の奥に隠された泣き顔を範囲知覚で『視て』、今更ながらに後悔する。……ちっ! 馬鹿か、儂は!!


 これが気心の知れた、真の意味で同性、同級生の友人であれば『ちょっと遅れた』ことも、『連絡することも出来ず、結果的に待たせてしまった』ことも、ただの『ごめんなさい』の一言で済んだじゃろうし。彼女をここまで追い詰めることも無かったろうが……最悪なことに、儂の正体は、水無瀬家という現在ではそれなりに大きな家の前当主で。


 ローズは、そんな儂の正体を美晴ちゃんたちとAFOで再会したことで知り。そのうえで、儂が『正体を隠したいと思っている』と察して、敢えて普通に接してくれていたが……こうして彼女自身が原因で迷惑をかけた――と、本人は思っているようじゃが、儂はそこまで気にしていない――場合、彼女自身が名家の令嬢であるからこそ、同じく名家の、それも前当主に対して礼を失したとして、不必要なほど重く受け止めてしまうのじゃろう。


「…………本当に、申し訳、ござぃ……ま、せん!」


 そう声を震わせ、密かに涙を零す彼女の胸の痛みはいかほどのものか。……まったく、今日まで儂自身、長いこと家柄による『しがらみ』や『面倒くささ』に顔をしかめてきたと言うのに、情けない。


 けっきょくは、年端もいかぬ少女の優しさに甘え。傷つけ。苦しめて、泣かせて――……本当に、儂は何をしているんじゃろうな。


「……ふぅ。やれやれ」


 頭をかきかき、思わずイラつきのわかる声音を出して眼前の少女をまた不必要に怯えさせてしまったが――もはや後戻りはできん。


「顔を上げよ、ローズ」


 そう低い声で、告げる。


 それで顔を上げた少女が、いっそう顔色を悪くするのに申し訳ないと思いながら――




「ごめんなさい!」




 ――そのまま、突き進む!


「…………ぇ?」


「……ごめんなさい、ローズ」


 そう今度は儂が頭を下げ。都合、2回も謝罪すれば深紅の巻き髪令嬢の涙も止まったようで。


 目を丸くしてこちらを見やる少女を『視て』、密かに「狙い通り」とほくそ笑みつつ。頭を下げたまま、「ごめんなさい」ともう一度謝罪して。


「え、ぁ。い、いいえ、今回の件はわたくしの――」


 何かを言いかけたローズに「ごめんなさい!」と、強めに言って遮り。顔を上げて。


 狐耳令嬢の顔をまっすぐに見つめて、告げる。


「今回の件は、連絡先を教えなかった儂にも落ち度がある。ゆえに……自身をそうまで追い詰めてくれるな」


 加えて言えば、『おかげさま』で良い買い物もできたしの、と。最後に笑顔を作り、片目を瞑って見せれば、ようやく少女も気を持ち直してくれたようで。


 そして、ようやくと言えばようやく、儂が『何か赤い、固そうな革製の背嚢』を背負っていることに気づいたようで。『おや?』という顔になるローズに、今度はニヤリと笑いかけ、「いや、じつは儂も驚いたんじゃがな」と言いながら、くるり。その場で反転。


 少女に背中を――その背に担いだ『それ』を示しながら、


「この赤い背嚢――『ランドセル』は、とある作品においては一般的な女児用の学校指定鞄のようなものとして登場していた物なんじゃがな。驚いたことに、この背嚢ランドセルはプレイヤーメイドの『冒険者ポーチ』のようで」


 制作者のアキサカくんに曰く。この『デスティニー作ランドセル型アイテムバッグ』は、『冒険者ポーチ』と同じで『収納しておけるアイテム数に限りがある代わりに、手で触れて、欲しいと思ったアイテムを瞬時に手元に出現させる』効果を持っており。


 収納可能数こそ20個までと『初級冒険者ポーチ』と同じでありながら、この『ランドセル』自体が割と重く。装備可能な合計重量のうちの幾らかを占有してしまうことになるのじゃが、その代わりに装備しているだけで防御力が上がる、言ってしまえば防具の一種のようで。さらには『収納しているアイテムの重量を幾らか軽減する』特徴こうかが付与されているおかげで、今回、アキサカくんに貸与してもらった各種装備がしまっておけるようになった、と。


「ほれ、儂の装備――『クラブアーマー』や『シールドセット』などは『水場の戦闘にも適応』という特徴を持たせているぶん、今回のイベントの舞台となるダンジョンなどでは『重量の割に防御力は今一つ』と言うか……戦場が『蒼碧の洞窟』ないし『水精遺跡』で、魚人などによる『水属性』の攻撃に対しては十分なんじゃが、アーテーのダンジョンに出現するスケルトン相手では無駄が多くなってしまうからの」


 そして、その辺を相談したところ、いったん『クラブアーマー』や『シールドセット』に『特殊武装:斧槌』をアキサカくんに預けることになり。代わりに今回のイベントに適した武装――有体に言えば、『特徴:属性(闇)』のある武装を借りることになった、とローズに話し。


 対して、「ああ、そう言えば〈鉱夫〉が――」と狐耳令嬢も知っていたのか、鉱山街『カベイロス』との行き来が簡単になった現状、イベントの舞台であるアーテーに訪れる【採掘】の【スキル】を持つプレイヤーが増えて。結果、ダンジョン内に『特徴:属性(闇)』を付与できる鉱石系の素材アイテムを採掘できる場所がある、という情報が広まり。≪マーケット≫にそれらのアイテムが出品されることも多くなって。


 儂は知らんかったが、≪掲示板≫などでは既に『アーテーのダンジョンに出現するモンスタースやイベントボスの攻撃は闇属性』というのが知れ渡っているのだそうで。それらと効率的に相対するためには『特徴:属性(闇)』を持つ防具類は必須、らしい。


 ゆえに、今回、アキサカくんが貸してくれた――彼の厚意によって今回は『貸与レンタル』という形で、決して壊さず、失くさないことを条件にしばらく無償で借り受けることになった――武装は、そのすべてが現イベントに合わせたもので。


 ゆえに、


「ふふふ。ローズも楽しみにしておると良いぞ?」


 なにせ、儂の新装備はどれもこれもカッコイイからの、と。そう言って笑いかければ、深紅の巻き髪令嬢もよくやく笑ってくれて。「ええ。そうですね」と頷き、狙い通り合流時間に遅れてきたことに対する負い目を減らすことが出来たようで。良かった、良かった。


「――さて。それじゃあそろそろ『イベントボス』とやらの居る場所まで、案内を頼めるかの?」


 果たして、そう気持ちを切り替えるように促す儂にローズは頷き。道中、これまでに判明している『イベントボス』――『堕ちた太陽の申し子』という名前らしいソイツについての情報を教えてもらい。学校で話したらしい志保ちゃん監修の、今日までに≪掲示板≫にあがっていたと言う、現時点で判明している攻撃モーションと能力などを聞き。注意点などを頭に入れ。相対する際の立ち回りを議論し。


 狐耳令嬢が事前に教えてもらっていたらしい、『イベントボス』と戦える専用フィールド――に転移いどうできる転移結晶のあるらしい、『アーテー』という街の中央を目指して儂らは歩き。


 そして、




 ――まさか、街なかで骸骨スケルトン腐乱死体ゾンビに襲いかかられるとは思わなかった。




 いや、事前に『試験版では街なかでもモンスターとの戦闘をしていた』と聞いていた。が、それはやはり聞いて、知っていただけであり、『街なかにはモンスターは侵入できない』というのが『常識』として刷り込まれつつあった儂は、一瞬、意味不明な出来事に思考が停止してしまった。


 ……ああ、まったく情けない。歳をとるとどうにも予想外、常識外のことに対しての反応が鈍って我ながら不甲斐ない。


 とりあえず、隣の相方ローズが大して驚いた様子もなく、淡々と戦闘準備を整えているようなのを『視て』、


「――『知覚加速アクセル』」


 まずは知覚を加速し。時間の流れがゆるやかとなった世界で、視界に映るモンスターを〈学者〉に『転職ジョブチェンジ』したうえで【看破】で調べ。連中のレベルが、下が4から上が17までとバラバラなことに内心で眉根を寄せ。


 次に戦闘できる〈職〉――今回で言えば、『筋力』以外の補正に、上から順番にSPを振っていくことにした器用貧乏オールマイティ型の〈神官〉に就くことにして。『副職』に〈治療師〉を設定。【スキル】も【強化】と【看破】、【慧眼】はそのままに、【盾術】、【回復魔法】、【斧術】、【投擲術】へと変更。


 武装は、今回唯一アキサカくんから購入した『混沌大鎌カオス・デスサイズ』を選択。さっそく、手の中に呼び出し、癖の強い形状ということもあって本番まえに軽く動作の確認をすることにして。体感時間の操作を、解除。


 感じられる時間が平時のそれへと戻るなか、右手で握った『とある作品において、死神少女ヒロインの持っていた大鎌ぶき』兼『魔法の杖』の柄を軽く振って感触をたしかめ。


「『ヘイトアピール』――からの、『エリア・ヒール』!」


 初戦だけは、ローズには大人しく見ていてもらうことにして。まず【回復魔法】のレベル15で使えるようになった『MPを消費して発動。選択した起点を中心に、一定範囲内の全員を回復させる』魔法――『エリア・ヒール』を使用。


 と、これだけでレベル1桁のモンスターが2体、光になって消えるのを目にして舌打ちし。地味に『モンスターを大鎌で倒すことでMPを回復する』という特徴こうかを活かすのが難しいことを再確認しつつ、今度はもうほとんど残存HPの無いゾンビを切り捨て、MP回復量を確認。


 ……うぅむ。期待していたほどの回復量は無い、か。


 さすがにレベルを上げて得られたSPのすべてを『器用』に振っていた〈薬師Lv.13〉の、【調薬Lv.16】で造った『MP回復ポーション』ほどの回復量は無くとも、まさか本当に『ヒール』1回にも満たないような気休め程度の回復量しかないとは思わなかった。


 まぁ、幸いにして、そんな微々たる回復量であっても回復しているのは間違いないし。それによって〈治療師〉の経験値を加算させていけるぶん、これまでの『物理攻撃で倒すとその分の経験値は加算させられなかった』頃よりはマシ、か。ついでに、骸骨スケルトンどもを相手する場合は『槌』系統の打撃武器の方が有効だったゆえ、伸び悩んでおった【斧術】のレベル上げにもなるのだから、文句を言うだけ贅沢かのぅ。


 なんにせよ、再度の範囲回復エリア・ヒールの魔法で敵は一掃でき。それから中央に着くまでに3度ほど団体さまと遭遇するも、狐耳令嬢と協力してさっさと殲滅。いちおう、新装備をそれぞれ取り出して具合をたしかめたが……『大鎌』という癖の強い武器であることを差し引いても、こうした継続戦闘に適した効果を有する武装は悪くないもののように思えたし、他の装備も相応に癖の強い外観ではあったが、まぁ悪くはない感触じゃった。


 ……もっとも、それら貸与武装を見たローズは「うわぁ……」とでも言いたげな、それはもう微妙そうな顔をしてくれていたが。さておき、ついに辿りついたアーテーの中央は、言ってしまえば『どうにか瓦礫や廃材を撤去して無理やり造った空き地』で。辛うじて『柵?』といった感じの敷居が無ければ、正直、ここが特別な場所だとうは思えんかったろう――というのが、試験版における『中央』の認識であったらしいが、正規版いまではココに装飾過多な櫓に祀られた転移結晶があり。その結晶に触れることで『イベントボス』という現イベントの目玉とも言える存在に会いに行ける場所ということで、ほかに何もない割にはプレイヤーがそれなりに常駐している、らしい。


 もっとも、この地へ初めて訪れた儂とローズは、そんなみすぼらしい空き地や派手派手しい櫓などより、それを囲んで厳かな歌声を響かせる神官服のNPCの集団を目にして固まり。いったん顔を見合わせ。どちらの表情にも、この事態に対する回答が無かったのを確認しあったうえで、


「……ふむ。この『歌』に使われとる言語は、たしか以前に冒険者ギルドにある『資料館』にて『蔵書』を紐解いていったなかにあった『遺失言語』の1つ、じゃったか?」


 そう呟き、まぁ調べものなら〈学者〉じゃろう、と大して考えもせずに『転職ジョブチェンジ』し、【翻訳】を設定して歌を聞いてみることに。


 果たして、時間にして5分ほどじゃろうか。視界の隅に[ただいまの行動経験値により【翻訳】のレベルが上がりました]というインフォメーションが流れる頃には、彼ら神官服を着ていたNPCの歌が何を謡っていたのかを確信し。とりあえず、彼らの歌が終わるのを待って、唯一、顔見知りの神官NPCへと歩み寄って口を開いた。


「久しぶりじゃのぅ。そして、前回はずいぶんとためになる助言をありがとう――ジャッジさん」


 そんな儂の呼びかけに、彼は――『ジャッジさん』と名乗った、今の儂では頭上の三角錐シンボルをクリックしたところで〈職〉を見通せぬ高レベルNPCにして運営直轄NPCである彼は、わずかに目を丸くして驚き。それからどことなく嘘くさい笑みをたたえて「お久しぶりです、ミナセさん」と挨拶を返してくれたのだった。



『軽装皮鎧』+『ヌンチャク』か~ら~の、

『水着甲冑』+『ハルバード』か~ら~の、

『セーラー服』+『赤ランドセル』+『死神大鎌』なう!w

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