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奴隷からはじまる下克上冒険  作者: 明石 遼太郎
冒険休息編
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38/123

セインズ村にて滞在中

 セインズ村の元“賢者”ベリンは魔法杖をついてある場所に向かっていた。

 すでに“賢者”の天紋を持っていないベリンの魔法杖は、もうただの杖にしかならないが、愛着があるようで手放せないようだ。


 ベリンが今向かっている場所はチヨの家から1分も歩かない所にある、白い壁で三角屋根の家だ。

 セインズ村の家である木と藁で作られた家と違い、そこだけ頑丈性が明らかにすごい家。


 その家にベリンはかれこれ1ヶ月、この家に通い続けている。


 その家の扉の前にやって来たベリンは杖で扉をドンドンドンと叩く。

 すると、すぐに中の方から返事が返ってくる。

 しばらく待つと、ガチャッと言う音を立てながら扉が開かれる。


 そこにいたのはーー


「……また徹夜でもしたのか?君」

「えぇ、まぁ。新作の武器がもうすぐで完成でして……」


 濃いくまを作っているノブナガさんだった。



 **********************



 ノブナガたちがイクレたちと一緒にセインズ村に帰還してからもう1ヶ月が経過した。


 この1ヶ月、ノブナガたちはセインズ村に滞在し、それぞれレベルアップと訓練に励んでいた。

 特に魔族に勝てなかったと唸るエリーナ、ザン、カレンにアリンカは4人で頻繁に魔物を狩りに行ったり、戦闘訓練に勤しんでいた。


 こちらが現在のみんなのステータス。


 ======================

 ノブナガ 12歳

 天紋:剣士・暗殺者・投術師・拳闘士・槍術士・斧術士・水術師・闇術師・錬成師・魔法剣士・魔導師・治癒師・魔弓士・魔闘士・魔術師・精霊術師・守護師・賢者・勇者・召喚師 レベル:53

 HP:49690/49690

 MP:46560/46560

 PP:19542/19542

 PHY:50270

 STR:44200

 VIT:43670

 INT:50340

 MND:45240

 AGL:46870

 スキル:簒奪[+殺奪]・投擲術[+即擲][+連擲][+感応操作]・剣術[+二刀流][+身体強化][+武器強化]・歩法術[+立体移動][+無拍移動][+無法移動]・短剣術[+二刀流]・気配探知・格闘術[+身体強化][+振動粉砕]・錬成[+鉱物鑑定][+遠隔錬成][+錬金]・水魔法[+遅延発動][+並列発動][+氷魔法][+省略詠唱]・闇魔法[+遅延発動][+並列発動][+省略詠唱]・隠形[+影狼]・遠目・属性付与[+武器強化][+遅延発動][+複数付与][+遠隔付与]・槍術[+武器強化][+身体強化]・斧術[+身体強化][+武器強化]・金剛・剛力・生成[+術式鑑定][+複数生成][+術式構築]・全属性魔法[+遅延発動][+並列発動][+省略詠唱]・回復魔法[+状態看破][+状態自己回復][+遠隔回復]・夜目・魔力探知・風読・弓術[+連放][+放矢操作]・豪腕・空間魔法・盾術[+衝撃反射][+魔力反射]・毒呪耐性・重力魔法・豪脚・追跡[+標的固定]・先読・分身[+多重分身]・空踏・魔法構築・結界構築・全武具術[+身体強化][+武器強化]・召喚魔法[+主従契約][+幻獣召喚]・魔力変換・高速魔力回復・限界突破・精神魔法・時刻魔法

 ======================


 ======================

 エリーナ・アンディエル 13歳

 天紋:聖女 レベル:54

 HP:4870/4870

 MP:4890/4890

 PHY:4880

 STR:4320

 VIT:4320

 INT:4880

 MND:4880

 AGL:4870

 スキル:回復魔法[+状態看破][+状態自己回復][+遠隔回復][+広範囲回復][+自己自動回復]・再成魔法

 ======================


 ======================

 ザン ????歳

 天紋:剣 レベル:314

 HP:3140/3140

 MP:1566/1566

 PP:39972/39972

 PHY:3139

 STR:3139

 VIT:3139

 INT:1566

 MND:3132

 AGL:3139

 スキル:剣化[+大剣][+短剣][+双剣][+浮遊剣]・光魔法[+遅延発動][+並列発動][+省略詠唱]

 ======================


 ======================

 カレン 94歳

 天紋:炎竜 レベル:31

 HP:4700/4700

 MP:5050/5050

 PHY:4800

 STR:5050

 VIT:4700

 INT:5400

 MND:4700

 AGL:4450

 スキル:竜化[+竜鱗硬化][+竜爪鋭化]・炎魔法[+遅延発動][+並列発動][+省略詠唱]・時空魔法・咆哮[+火炎放射]

 ======================


 ======================

 アリンカ 13歳

 天紋:剣聖 レベル:54

 HP:4940/4940

 MP:4320/4320

 PHY:4990

 STR:5440

 VIT:4910

 INT:4320

 MND:3790

 AGL:4890

 スキル:剣術[+身体強化][+武器強化]・属性付与[+遅延発動]・気配探知[+特定探知]・金剛・剛力・風魔法[+遅延発動][+並列発動][+省略詠唱]・魔力探知・先読

 ======================


 ご覧の通り、ノブナガさんのチート力は更なる輝きを放っています。

 さり気ななくマサルとマモンから天紋を“簒奪”してるノブナガ……


「君、また武器を作っているのか……?」

「えぇ、まぁ。国にケンカ売ったんですから、それなりの対策は必要でしょ?」

「今すぐ君1人で突っ込んでも国の1つや2つ軽く手を入ると思うだが……?」


 ベリンの真っ当な言葉を軽く無視するノブナガ。

 そんなノブナガにため息を吐き、さっきまでノブナガが作業してたであろう物を見る。


「それが新作か?」

「はい。自分だけじゃなくて、みんなの分も作ろうと思いまして。自分がいつも傍にいるわけじゃいって、タルワーリア町の方でわかったので」


 筒のような物の中にレンズが入っているものだった。

 一見すれば巨大な望遠鏡に見えるが、その形状は変だ。

 望遠鏡でいう所の覗く部分が8つあり、そのすべての部分にレンズが組み込まれている。


「……相変わらず、よくわからん凶悪なやつを作りおる」

「凶悪、って……俺がいつそんな物作ったって言うんですか?」

「この村を城塞都市以上の防衛機能を作ったのは、どこの少年だったか……」


 ベリンの言葉をまたもやスルーを決め込むノブナガ。

 今のノブナガは都合のいい聞く耳持たん状態のようだ。


 さぁ!説明しましょう!!

 この1ヶ月でノブナガが仕掛けた防衛機能を!!

 なぜなら、今回は説明回だから!!


 セインズ村は空間を歪める結界で覆われている。

 しかし、これが何らかの方法で突破された時の事も考え、更なる防衛機能を設置した。


 まず、結界を突破され、村の一定範囲に侵入された瞬間、防衛装置の第1段階が起動する。

 侵入妨害の防壁、結界が展開。

 さらに非殺傷系の魔法と空間転移、重力による強制後退による軽傷レベルの追い払いが侵入者を襲う。


 それでも突破された際には、第2段階が起動。

 重力魔法による足止めが開始される。

 さらにそこに昔の木の壁が嘘のように立派になった5メートルの岩の砦、そこから砲台のような物が飛び出し、全系統の初級魔法が放たれる。

 ここで骨折レベル。


 それすらも突破されれば……もちろん起動しますよ、第3段階!

 侵入者が荒い息をしながら砦に手をついた瞬間、急に岩が変形してトゲに変わる。

 ホッとした時の不意打ち、流血レベルだ。


 だが、それだけじゃ終わらないよ!第4段階!!

 突如、背後に召喚されるフェニックスさん。

 言わなくてもわかる火の海です。

 塵も残さず消滅します。

 これ消滅レベル。


 もう既にここにたどり着いた者に命……というか身体はない。

 だが、なぜかあるのが第5段階!!


 フェニックスの火を逃れた侵入者がやっとの思いで村に入った瞬間、第5段階ーー空間転移が起動する。

 飛ばされる場所は……第1段階が起動する範囲の一歩手前の位置。

 精神魔法で心を粉々にする。

 これが最終段階、絶望レベルである。


「どう考えても、第5段階はいらんだろ。というか、心を粉々にしたのは絶対精神魔法じゃないだろ」

「……」


 見事に正解を言い当てられ膨れ面になるノブナガ。

 男の膨れ面に需要なんてねぇ……


「……まぁ、安全性が増したのは事実だ。それに、そんな過度な防衛機能のおかげで、安全で快適な生活が出来るようになったしな」

「あぁ、各家庭に送ったアレですね。使い心地はどうでした?」

「それに関しては文句の付け所がない。本当に快適だ」


 各家庭に送った物とは、地球で言うところの家電製品だ。

 もちろん、本物の家電製品ではなく、魔力で動く製品ーー魔動製品だ。

 白熱電球のような形をした光を灯す物、箱の中を一定の温度で保存する物、壁上に付けた冷風と温風さらに送風を流す物などなど。

 地球の家電製品に似て否なる物を作って、各家庭に配布したのだ。

 それだけでも、この世界じゃ貴族以上の快適な生活になる。


 だが、この動力源は魔力だ。

 ほとんどの人が非戦闘系の天紋の中、これらのアーティファクトを起動させ続けるMPを持っている者がいるかと言われれば、沈黙を余儀なくされるだろう。

 そこでノブナガはある物を村の中に建てた。


 それはエネルギー魔力変換アーティファクト。

 村の中でも比較的開けた各所に風車、ノブナガの三角屋根には黒い板を設置。

 その風車と黒い板には“魔力変換”が“生成”されていて、魔力をエネルギーに、エネルギーを魔力に変換する事が出来る。

 それを使い、風車が回って出来た電気を魔力に、太陽が当たって出来た熱を魔力に変換する事で、その魔力を各家庭に送り込んでいるのだ。


 このエネルギー魔力変換機能は元々ノブナガの鬼畜防衛機能と空間を歪める結界を維持する為に作った物なのだが、普段はただ魔力を溜めているだけになってしまうので魔動製品を作ったに過ぎない。

 つまり、ノブナガが理不尽かつ鬼畜な防衛機能を作らなければ、今の快適な生活はないのだ。


「まったくよく思いつくものだ」

「閃いただけですよ。でないと思いついてません」


 地球の物を魔力型に変えただけです、とは言えない。


「謙遜するな。君は私が長年研究していた重力魔法を完成させ、さらに新たに2つの魔法も創った。平和な世であれば、間違いなく賞賛ものだ」


 そう、説明はしていないが、さりげなくある事に気がついただろうか。


 精神魔法。

 これは書いて字の如く、精神に干渉する魔法だ。


 そして、時刻魔法。

 これはカレンの時空魔法を参考に出来た魔法。

 時間を巻き戻したり、早送りするのはまだ難しいが、時間の伸縮が可能だ。

 時空魔法自体は複雑すぎて今のノブナガでは完成させる事は出来なかった。

 それでも、理論上は時刻魔法と空間魔法を組み合わせれば時空魔法になるだろうが。


 ちなみに、エリーナの再成魔法も参考にしたノブナガだが、こちらは対象の時間を巻き戻している事しかわからず、ノブナガも習得出来なかった。

 それでも術式としては運用できたので、アーティファクトにいくつか“生成”している。


「それで、君たちが帰ってきてもう1ヶ月になる。国の方も騒動が収まったのではないか?」

「そうですね。マーレさんの報告では騎士の人たちも落ち着いてきたそうですけど……出発はまだですね」


 ノブナガは今の現状を確認し、旅の出発を先送りにする。

 ノブナガのアーティファクトも完成していないし、何よりエリーナたちがまだまだ強くなろうとしているのだ。

 それを無視するわけにはいかないし、彼女たちの為にならない。


「ただいま〜」

「あー、疲れたぁ」


 と、そこで狩りに行っていたエリーナ、ザン、カレンにアリンカが帰ってきた。


「お帰り、みんな」

「只今戻りました。これ、今日集めた魔石です」

「ありがとうございます。て、結構入ってますね」

「今日は調子が良かったんスよ!炎がボォボォだったスから!!」


 本当に調子が良かったようで、カレンが両手を広げてはしゃいでいた。

 そんなカレンにノブナガは頭をなでなでする。

 すると、はしゃいでいたのが嘘だったのように落ち着き、気持ち良さそうに目を細めるカレン。

 実はノブナガのなでなでがカレンの最近の楽しみだったりする。


(ホントに猫みたいだな……いや、竜なんだけど)


 このまま顎の下も撫でようかとか考えるノブナガ。

 そんななでなでされるカレンを見て、エリーナとアリンカが羨ましそうに見ている。

 さらにそんな2人を見て、ニマニマしているザン。

 その構図を、居心地の悪そうな顔で見るベリン。



 その肩身の狭い思いはノブナガが昼食の支度を切り出すまで続いたらしい。

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