257──エピローグ③
明るい青空。穏やかな太陽の光に満ちた世界。
吹き渡る風は穏やかで、まるで今のこの世界の現状を語ってるようだ。
「······」
そして、平和になったユートピアタウン。
もう悪夢が襲ってくる事はない。
そう語るかのような風にさらされ、この丘にも穏やかな時間が訪れていた。
その静かな墓所に立つ一人の少女。
やっぱりここに居た。
なんとなく、そんな気がしてたんだ。
今日は、本当に良い天気だから。
俺はあまりうるさくならないように、ゆっくりとその少女の近くに歩いた。
墓の前に膝をついて一心に黙祷を捧げる少女に。
「······」
「······こんにちは、リゲル」
「!!」
声をかけると、リゲルが弾かれるように立ち上がり、こちらを振り向いた。
「レグルスさん!」
駆け寄ってきて、抱きついてくるリゲル。
でも、熱い抱擁とは少し違う、静かな温もりを合わせた。
あの決戦で、最悪の敵と戦った少女は、今こうして目の前に元気な姿でいる。
「良かった······きっと目を覚ましてくれると信じてたけど······良かった」
「ごめん、心配かけて。お見舞いに来てくれていたんだってな」
「えへへ。でも、こうして元気な姿を見れて良かったです」
離れてにっこりと笑うリゲル。
「改めて。レグルスさん、回復おめでとうございます」
リゲルと二人で並び、町を眺める。
「でも、信じられないよ。俺、あの中で助かったんだな」
「あの中? あ······」
リゲルが目を伏せる。
「ごめんなさい。私、あの時······」
「あ、ごめん。別に責めたりしてる訳じゃないんだ。あの時、やれって言ったのは俺なんだし」
余計な事を言ったな。反省だ。
「でも、あんなすごい威力の技なのにって思ってさ。シリウスの奴が塵になって消えていくのは見えたし」
「はい。実は、あの最後の星の駆けた後、レグルスさんは何ともなかったんです」
「なんとも?」
「はい。もちろん、その前に負った傷とかはそのままだったんですが、私による怪我は無くて。不思議でした」
うららかな日の下で会話もゆっくり流れる。
「なんだか嘘みたいです」
「ん?」
「こんな穏やかな日がくるなんて。こんな和やかな気持ちになれる日がまた来るなんて」
「そっか」
本来は、それが当たり前だったんだ。
平和で、何かに怯える事のない楽園。幸せは決して壊れる事のない理想郷。
それが普通だったんだ。
あれは······この短い期間の事は悪い夢だったんだ。
「そうだ。リゲル。お礼を言うのが遅くなった。気絶してる間に、俺の事を助けてくれたんだよな。どうもありがとう」
「いえ、そんな。お礼だなんて。むしろ私が言いたいです。どれほど言葉に尽くしても言い足りませんが、レグルスさん。あの戦いで、何度も助けてくれてありがとう。それと······私に希望をくれて、ありがとう」
「はは。少しは頼れる大人なとこ、見せられたかな?」
「はいっ、もちろん!」
大輪の花が咲くような笑顔。
「レグルスさんは、私の憧れの素敵なヒーローのお兄さんですから!」
「ありがとう」
俺みたいな人間でも、誰かの役に立てた。
誰かにヒーローだって言ってもらえた。
俺にも、俺のやった事にも意味があった。
「······そう言えば。俺と一緒にイルスの奴も助けてくれたんだよな? イルスは、いったいどこから現れたんだ?」
そう訊ねると、リゲルも少し真剣な面持ちになった。
「それが不思議なんです。レグルスさんが空から落ちてきて、それを受け止めた後。辺りに光の粒みたいなのがたくさん漂っていたんです。それが一ヵ所に集まって、光ったと思ったら、イルスが倒れていて······」
「そうだったのか」
どうして俺がこの世界に来たのか。
それは最後まで分からなかった。
どうしてイルスが戻ってきたのか。
それなのに、なぜ俺は消えないのか。
分からない事だらけだけど、一つだけ言える事がある。
なんにせよ。良かった。
強引な結論かもしれないけど。
諦めていたイルスを救えたんだ。
でも。まだ終わりじゃない。
イルスが生きてるなら、まだやり残した事がある。
「······なあ、リゲル」
「はい?」
「イルスとは、その後話したりしたか?」
「えっと······」
少し困った顔をするリゲル。
「実は、アジトへ行っても顔を合わせてくれなくて。キエラが仲を取り持とうとしてくれてるんですけど······前みたいに乱暴な事はしてこないんですけど。私、嫌われちゃってるみたいで」
「そっか······。今でも、イルスの事は友達だと思ってるか?」
俺の質問に、リゲルは迷う事なく頷いた。
「もちろんです。大切なお友達です。いつか······一緒にパンを食べたり、笑ったりしたいです」
「そっか」
俺がこの世界に来た理由は分からない。本当に。なんでなのか。
でも、分からないなら。俺が思うまま、感情が求めるまま。やるべきと思った事をやればいい。
「リゲル。今日にしないか?」
「え?」
キョトンとするリゲル。
「イルスと仲直りして、そんな明るくて楽しい未來を始めるのをさ。今日にしよう」
「でも、イルスは······」
「あいつも本当は君と仲良くなりたい。でも、色々な気持ちがごちゃごちゃして素直になれなかっただけなんだ。············。そうだろ、イルス?」
「え?」
俺の声を合図に、近くの木の陰からイルスとキエラが現れる。
イルスは下を向いてうつむき、隣に寄り添うキエラが呆れた顔をしていた。
二人がすぐ目の前にまで来る。
「あんたさ~、まーたすぐに他の子とイチャイチャして、節操なしだと思わない?」
口を尖らせるキエラ。俺にはジト目を向けてきたが、リゲルにはにこやかに笑って手を小さく振った。
「やっほー、リゲル。バカを連れてきたわよー」
「キエラ······それに······」
「············」
イルスは横を向いたり、地面を見たりして顔を上げない。
「イルス······」
「······兄貴が、誘ったんだ。別に、俺はここに用なんてねえけど······」
「イルス」
まだ意気地が持てない彼の肩を叩く。
「ほら、リゲルに言いたい事言ってみな」
「······でもよぉ······」
「男だろ?」
「う············」
イルスはまだ顔を上げなかったが、観念したようにため息を吐いた。
「リゲル。その······」
まだ下を見たまま。
「俺は~······あー。えーっと······」
「······」
「お前の事嫌いだし、見てるとムカつくし、正直ぶっ飛ばしたいけど······いてっ!?」
「あんたねえ、そんなんで仲直り出来ると思ってんの?」
「うるせえな! 言いたい事言ってるだけだろ!」
キエラの肘にやられた脇腹を押さえながら、イルスがようやく顔を上げる。
リゲルと、真正面から向き直った。
「······俺は············」
「······」
頑張れ。イルス。
もう、間違えるなよ。
「············~~っ! だあっー! 駄目だ~!」
「!?」
突然頭をかきむしるイルス。
「なんか体が痒くなる~!」
「······ぷっ」
目の前で奇行を始めるイルスに、リゲルが小さく笑った。
イルスがムキになったようにリゲルを睨む。
「今笑いやがったな?!」
「ふふっ······ごめん、ごめん。でも、なんだか、そんなに一生懸命なイルスなんて初めて見たから」
「なに?」
「イルス」
虚を突かれたようなイルスに、リゲルから一歩前に歩み寄る。
「今までごめんね。私、わからず屋なとこあった。だから、自分が正しいって思ってた。でも、そうじゃない。色んな人が居て、色んな考え方があって、色んな幸せがあって、色んな日常がある。レグルスさんが教えてくれた」
こちらに微笑んでから、また前を向く。
「だから、ごめんなさい。何度も喧嘩しちゃって。私、イルスと仲良くなりたい。お友達になりたい。仲直りしてくれるかな?」
「っ······!」
驚くイルスに差し出される手。
イルスはそれを穴が空くほどに見つめていたが、やがて震える手を差しだし、しっかりと握った。
「お、お前がそう言うんなら······」
固く交わされた握手。
イルスは耳たぶまで真っ赤にし、俯いたままで、リゲルは今にも踊り出しそうなくらいな満面の笑みを浮かべていた。
「良かったな。イルス」
「へー。まさかあのイルスがね~」
「ん?」
聞き覚えのある声が、すぐ近くからした。
声のした方を見ると、いやに太い木があり、声はその裏から聞こえた。
──ボワンッ──
その木がたちまち煙に包まれると、そこには化けていたシュユ。そして、カーリー、レン、メル。ペールにカミラ、ローナまで。あの時の決戦メンバーが揃っていた。
「お、お前ら?」
「リゲルの様子を見に来たら、なんかただならない空気だったからさ。シュユ達も来てたから少し覗き見させてもらったよ」
ニヤッと笑うカーリーに、びっくりしたようなレンとメル。
「イルスがリゲルと和解するなんて」
「びっくりだよ~!」
ガヤガヤとこちらに来る一同に、イルスが面食らって後ずさる。
「お、お前ら! 何時からそこにいやがったんだよー!」
「まあまあ、固い事いわないでよ。あたいだって女だ。やることやったら今までの事は水に流すよ」
カーリー達、正義のヒロインズが俺の方を向く。
「レグルスっ。あんたならきっと大丈夫だって信じてたよ。大人だもんね!」
「心配はしていました。でも、またこうしてお会い出来ると信じてました」
「レグルスさんはすごいお兄さんだもんね!」
背中をバシッと叩いてくるカーリーに、握手してくるレン。それに腕を持ってぴょんぴょん跳ねるメル。
「おいっ、おめえら! 兄貴に気安く触れるんじゃねえ!」
「別にいいっしょ。レグルスだって嫌じゃないでしょ~?」
「え、あ、うん。そりゃあ······最高だ」
「あ、兄貴~!」
「鼻の下伸ばしてんじゃないわよっ」
「不潔っス」
「眷属う~! この浮気者~!」
「ほんと、しょうのないアホじゃわ」
「あの、メルには変な事しないでね······」
呆れるようなファミリーからの野次に苦笑していると
「ま、それはそれとして」
と言って、カーリーとレンがズイっとイルスを両側から掴まえた。
「さあて。リゲルとは仲直りしたのはいいけど、あたいらとはまだだったねー」
「はえ?」
「そうですね。私達もやることやったら綺麗サッパリに全て許しましょう」
「へ? へ? な、何の話だよ?」
「とぼけてもらっちゃ困るねえ。あたいらの事縛り上げて、ずいぶんスケベな事したよねえ」
あ。
スカート捲ったりした時の事か。
四天王やキエラからのジト目が俺に突き刺さる。
「な、何の話だあ~?! 俺が何したって言うんだよ~?!」
「私達に恥辱を与えた事です。覚えてない、とは言わせませんよ」
「し、知らね~~!! あ、兄貴~! こいつらに何とか言ってやってくれ~!」
「あー············アレだ。イルス。罪の清算ってやつだ。頑張れっ!」
「あ、兄貴いぃ~!!」
「それじゃあ······」
カーリーがニヤアッと笑う。
「成敗!」
「覚悟!」
カーリーとレンの二人でイルスの両腕を背中で捻りあげる。
「ほんげえええぇ~~~?!! いででででっ!? お、折れるうぅ~~!!?」
「ふ、二人とも。お手柔らかにね?」
メルとリゲルは困ったように笑っていた。
「あんぎゃああ~~~?!!」
穏やかな丘に、イルスの悲鳴がよく木霊した。
「すまん。イルス······」
「はいっ、焼きたてパンです!」
「お~っ、待ってたぞ、眷属チズア~!」
「えへへ、カミラちゃん、たくさん食べてね」
「ちゃんはやめろ、ちゃんは」
少しして。
リゲルの実家が近くだったので、丘の上にみんな揃って焼きたてパンを堪能する事になった。
ちょうど工房に居たチズアが運んできてくれ、みんなでバクバクと食べる。
「昼飯食った後なのに、みんなよく食うよなあ」
「そういうあんたも、まだ食べんの~?」
俺の両手のパンを見て、キエラが苦笑した。
「太るわよー?」
「大丈夫だ。ウチには優秀な栄養士が居る。な、ペール」
「むう。浮気者にはご飯あげないっス!」
「なんでだよっ?」
「レグルス。野菜なら太らない。私も頑張る」
「うぅ、ありがとなローナ」
「泣くな、浮気者! レグルス~! 眷属のくせに貴様は~!」
「いててっ、カミラっ、爪が食い込んでる!」
「よいぞ、もっとやってやれカミラや。こんなスケベに飲ませる酒は無いわ」
「お、シュユ。酒持ってきてたんだな。用意の良い奴」
パンを貪り、やかましく騒ぐ席。
でも、みんなで楽しい賑やかな席。
「ペール、あたいも料理のレパートリー広げたいんだよね。今度教えてくんないかい?」
「いいっスよー。その代わり、髪型は清楚な乙女に戻すっス」
「だから、これは地毛なの!」
「これ、レンや。盃が乾いてしもうた。注ぐがよい」
「もう。身体に障りますよ」
「カミラー! このクリームパンあたしとチズアちゃんで焼いたの! 食べてみて!」
「あむっ。おお、美味いじゃないか。メル、貴様も眷属にしてやるぞ。ブドウジュースを注げ」
「もう、横柄なんだから! お姉ちゃんも何か言ってやってよ~!」
「カミラは良い子だよ。メルも眷属になろう」
「ええ~?!」
本当にやかましいピクニックだ。
「ははは。こんなに騒がしいなら、ここに眠る人達も寂しくないな」
近くには墓地がある。この世界に遺された爪痕だ。
でも、何時かはその悲しみも癒えていく。
時代と共に風化していく。
きっと、ここでこんな風に流れてる時間だって。誰にも知られないまま、ここには新しい景色が生まれる。
「······」
でも、それでいい。
生きるってそういう事なんじゃないか。
全てが過ぎ去って、過去にはなるけど。
今もこうして、胸の中で情熱が光輝いている。
「ヒャ~! このパン、クソうめえ~~! ウンコうめえぜ~! おいっ、リゲル! この変なドロの入ったパンは何なんだ!?」
「ドロじゃなくて、あんこだよ~!」
「あんた、そんな事も知らないの?! バカ通り越して、非常識じゃない?」
「あんこくらい知ってるわ! けどよ~、パンに入れるもんだとはな~」
「私の大好きなパン、あんパンなの。レグルスさんのお気に入りでもあるんだよ」
「なに?! マジかよ兄貴!」
「ああ。これがやっぱ一番だよな」
あんパンを夢中で貪るイルスと、それを呆れて眺めるキエラに、楽しそうにニコニコ笑うリゲル。
「レグルスさんっ」
「うん?」
「生きてるって、嬉しいですね!」
「ふふ、そうだな」
あったな。そんな歌が。
「レグルス~。あんたリゲルにベタベタし過ぎじゃなーい?」
「え? そうか?」
「そうよ。まったく、あんたって奴は······男ってみんなそんなもんなのかしら?」
「んだよキエラ~。妬いてんのか~? ヒャー! なら、俺の胸は空いてるぜ~? うべっ!」
「やかましい」
鳩尾を押さえてうずくまるイルス。苦笑して拳を納めるキエラ。
そして、やっぱりニコニコしているリゲル。
「······この世界の本当の姿はこうだったのかもしれないな」
「レグルスさん、何か言いました?」
「ん? いや。あんパンのお代わりあるかな?」
「もちろんです!」
穏やかな空には星はまだ見えない。
でも、今ここには満天の星空がある。
『ありがとう』
誰かの声がしたような気がした。
────おしまい────
大変お疲れ様でした。これで終わりとなります。
最後にこの作品の評価をしていただけると、今後の活動の大変な励みになりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
予定ではこの半分くらいの文量の物語になるはずだったのですが、私には要点を纏める力がなかったようで、この長さになってしまいました。
ここまで、最後までご愛読していただき、本当にありがとうございました。
たくさんのいいねや、誤字報告を頂き、大変な励みとなってここまで書き上げる事が出来ました。
重ね重ね、お礼申しあげます。ありがとうございました。
本来なら、ここで後書きは終わりなのですが、最初のプロローグの前書きで述べた事を書かなくてはなりません。
『何の話?』という方もいらっしゃると思うので、軽く触れておきますと、この作品にはとある裏話があるという旨を示した前書きを一番最初に書いたのです。
『そんなん覚えてないし、興味ない!』
という方も居れば
『俺はそのためだけに読んでたんだー!』
という方も居るかもしれません。
ですので、この先にその裏話を書きたいと思います。
先に申し上げておくと、全然大した話ではありません。ほんとに。
本文ともほとんど関係の無い話となりますので、ここで去る方のためにも前もって別れの挨拶をさせて頂きます。興味のある方はそのまま下にスクロールしていって下さい。
お疲れ様でした。
またどこかでお会い出来れば幸いです。
はい。
ということで、裏話コーナーです。
この作品を読んでいて、気づいた方も多く居るかもしれません。
『? なんか、このキャラ構成とか、度々出てくる言葉とか、どっかで見たような聞いたような······』
そう思った方。その通りです。
この作品は元々、私がとある作品の二次創作として思いついたプロットを元に書いた物なのです。
おそらく、この国に生まれた人なら知らない人は居ないであろう超有名作品を元に、私が思いついたシナリオです。
先に結論から申しましょう。
そう、その有名作品とは
『それいけ!アンパンマン』です。
そう、アンパンマンです。
あのアンパンマンです。
丸くてあんこがいっぱい、夢いっぱい、勇気りんりんの、あのアンパンマンです。
マント一枚で空を飛ぶ、あんパンで出来た頭部を有した未確認飛行物体的な存在でありながら、誰もが一度はその活躍を見た事であろう──
くどくなるので、この辺りにしておきます。
『なるほどねー』『やっぱりな』『ええー?!』というように、色々な方がいらっしゃると思います。
ですので、最初に例を。
カーリー→カレー、カリー。
レン→食パン、プレーンブレッド、プレーン、レン。
メル→メロン、メル(やや強引)
ローナ→ロール・パンナ、ローナ。
こういった具合です。
イルスはもちろん、ばいきんまん。
ばいきん→ウィルス、イルス。です。
キエラは少々強引に、ドキンちゃんからキを抽出してHeart(心臓)からearを抽出して並べかえてくっつけたり。
リゲルはアンパンマンです。
『何も似てないじゃないか!』
すみません。その通りです。
アンパンマンは命の星から生まれたので、星繋がりだけです。
そもそも、リゲルが本当にアンパンマンみたいなキャラだったら、主人公の力なんか必要なくなってしまうというか、出番無くなってしまうので、かなり未熟な少女として描いてます。
ですので、リゲルはアンパンマンポジションにこそ居ますが、ほとんどオリジナルキャラです。アンパンマンをあまり参考にはしていません。アンパンマンの善の部分を少し意識してるくらいです。
では、ここからは何故アンパンマンを元に二次創作を思いついたのか。その経緯を追っていきます。
私はアンパンマンガチ勢ではありませんが、第一話から三百話くらいまでならそこそこアニメを見た人間です。1988年から1996年くらいまでの間の話ですね。
映画も、最初の映画から数えて大体十数本視聴いたしました。全然関係ない話ですが、『いのちの星のドーリー』や『勇気の花がひらくとき』は大人でも楽しめる作品ですのでオススメです。
個人的には『つみき城のひみつ』も推したいです。
話が脱線しました。
ともかく、そんな風にアンパンマンを見ていた時に、とある映画作品ですごく印象に残ったシーンがあったのです。
タイトルはたしか、『恐竜ノッシーの冒険』だったと思うのですが、その終盤のあるワンシーンが、私に今回のインスピレーションを与えました。
ここからは映画のネタバレがあるので、ご注意ください。
ものすごく端的に説明いたしますと、
映画の終盤、アンパンマンはばいきんまんによって石化されてしまいます。
その時のばいきんまんは『やったー!ついにアンパンマンを倒したぞー!』的な感じで投げキッスを振り撒きながら喜びを表現します。
コミカルですね。
しかし、アンパンマンお約束の新しい顔が到着してしまい、それを持った恐竜の子供のノッシーがアンパンマンの元に辿り着いてしまいます。
ばいきんまんも『あっ! やっべ!』というような反応をしますが、時すでに遅し。ノッシーが石になったアンパンマンの頭の上に顔を乗せます。
何時ものお約束勝利確定BGMが流れ、元気が100倍に覚醒したアンパンマンがアンパンチでバイバイキーン。
なりませんでした。
石化したアンパンマンは、新しい顔が入れ替わらなかったのです。
この事にメロンパンナちゃんなどが驚愕しますが、私が一番目を見張ったのはばいきんまんのリアクションです。
無言で固まる。無表情で。
呆然とした。と言っても良いかもしれません。
ばいきんまんはその場で、固まっていました。
その後、すぐに爆笑し、『これでもう二度と会わないなアンパンマン!』みたいな事を言っていたと思います。
泣きながら爆笑してました。
あれは嬉し涙なのか。それとも······。
いずれにせよ、あの不気味な無表情の沈黙の間がすごく印象に残ったのです。考え過ぎかもしれませんが。
そこで思いついたのです。
『もし、ばいきんまんが本当にアンパンマンをやっつけてしまったら、ばいきんまんはどう思うんだろう?』
多分、普通に喜ぶと思います。映画作品によってはアンパンマンを殺害(描写的に)した後でもハヒフヘホーと高らかに鳴いていましたから。
でも、あのノッシーでのばいきんまんの顔が私にふっとインパクトを与えたんです。
『お前、本当は誰よりもアンパンマンの復活を信じていたんじゃないか?』
そして、考えたアンパンマンストーリーが以下のようなものです。
主人公は、誰もが知るアンパンマンの世界でばいきんまんとして目覚める。
バイキン城で、鏡を見て驚き、ドキンちゃんやカビるんるんを探すけど見当たらない。
殺伐として荒れ果てた部屋。
新聞には『アンパンマン死亡』の見出し。
いつもの軽口なく襲ってくるカレーパンマンや食パンマン。
アンパンマンを失い、暗く沈むパン工場。
アンパンマンの代わりに風車をこっそり直したり、バレないように人助けしたり······。
そうしてる内に、みんなアンパンマンが生きてると信じ始めて、主人公は葛藤していき······。
そして、タイムマシンを作り(ばいきんまんはタイムマシンを作った事があります。天才ですね)過去に行って運命を変えるばいきんまん(主人公)。
隕石の上での死闘(アンパンマンの映画では、小型の星がアンパンマンワールドに迫って、それを巡る戦いなどもあります)によって、アンパンマンを死に追いやってしまったばいきんまんの後悔を、主人公が変えてみせる······。
といった具合のプロットを思いついた訳です。
ですが。
私は馬鹿なので、二次創作ガイドラインに引っ掛かるのかイマイチ分からず(多分引っ掛かかるとは思う)二次創作での発表は諦めました。
あと、もっと言えば。
日本を代表する神作品に、私ごときが世界観ぶち壊しのエゴシナリオで泥を塗るのはアンパンマンへの冒涜、ひいては全日本人に対する侮辱に値すると思ったので、この作品はお蔵入りする事にしました。
ですが、一度思いついたアイディアはなんとかして世に出したいと思うのが悲しい性。
そこで苦肉の策と言いますか、悪あがきとして誕生したのが今作です。
骨子はアンパンマンからいただき、オリジナル要素を肉付けしていって出来上がったのが今回の作品、『クソゲーの~』になります。
ペール、カミラ、シュユなど、一部はオリジナルキャラですが、登場人物の半分近くがアンパンマンワールドキャラモチーフですね。
以上の話をまとめると、次のような形になります。
『アンパンマンのシリアス二次創作書いてみたかったが、色々ダメな気がするから止めたけど、やっぱり我慢出来ないからオリジナル作品にアレンジして発表してみました』
なろうのタイトルっぽい一文になりました。
これが裏話となります。
引っ張ったわりには、大した事なく、バレバレだったかもしれませんが、これで全てです。
きっかけは、断念したアンパンマン二次創作でしたが、私が前から考えていたオリジナル要素なども盛り込む事が出来たので、個人的には楽しく仕上げる事が出来ました。
繰り返しになってしまいますが、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
特に、今ここまで読んでくれた物好きな貴方には感謝感激です。
それでは、長くなってしまいましたが、これにて後書きも終わりにさせて頂きます。
では改めまして。
大変、本当に大変お疲れ様でした。
またどこかでお会い出来れば幸いです。




