44話 あの日、私が聴こえたその声はここにあった
〝エルー・ザ・エフ〟の存在は大っぴらには公表していない。
それは内陸政府や他国からギリギリまで目をつけられないための措置だったが、避難を求める人には一切情報が広まらないというデメリットが必然的に発生した。
そのため内陸に設置されたサンクミー飼育施設を拠点にしながら避難誘導の規模を地道に広げていた。
沈没都市が制御を手放したためセキュリティは全く機能しないものの、頑丈な建物ではあるため扉を開かないよう工夫すれば要塞としては十分だ。
七草学園が以前校外学習の際に使ったサンクミー飼育施設とは別の施設で、マナの意識はうっすら戻った。
なにやら怪我人の運搬について悩ましい話し合いが聞こえる。
ここから〝エルー・ザ・エフ〟まで徒歩で移動するとしたらここから二日はかかるようだ。
車を使いたいところだがそれらはもとより数が少なく、より遠い場所にいる避難を求める人たちや軍人の移動が優先だ。
生憎全て出払い、マナを〝エルー・ザ・エフ〟に連れて行くには徒歩しかない現状だった。
流未や乾、支援員が話し合う間も、何回か避難のための拠点として利用する人たちが出入りしている。
長方形のテーブルを囲い、流未はなかみのない精密兵器の頭部を置いた。
「…日本、カナダ、オーストラリア、グリーンランド…とりあえず〝エルー・ザ・エフ〟にいる責任者はみんなこの〝ジャルヘッド〟を持てているみたいね。良かった」
次々と通信手段が内陸の紛争によって使えなくなる中、エンドレスシーを利用して連絡を取り合えるこの精密兵器の頭部〝ジャルヘッド〟が遠く離れた同士を繋ぐ糸だ。
怪我人を寝かせるエリアで目を覚ましたマナは左右に視線を動かした。
ぐったりとした人たちが6人ほど。
回復しても歩けそうなのは2人くらいだ。
マナはあることに気が付いた。
自分に沈没都市が使っている培養医療品、細胞再生シートを施されている。
それなりに重傷だったが、そのうち動けるようになる兆しを身体で感じる。
高級な手段を施されている、その事実に苦い気持ちが胸の中で広がった。
起き上がろうとしているマナには気づかず、流未は輸送班班長や第一実働部隊隊長、副隊長の乾と頭を悩ませた。
「次の車が来るのはいつ?」
流未の質問に隊長は悩ましい顔のまま答えた。
「明日には。…ただ燃料の備蓄があまりありません。〝エルー・ザ・エフ〟ではまだサンクミー飼育施設は完成されていないのでしょう?」
「ええ。地下に造る必要があるから時間がかかっているの」
「そうなると〝エルー・ザ・エフ〟で燃料の補給ができないので車をここに戻すことができません。…怪我人にはつらいですが馬での移動となります」
流未は馬車や車を管理する輸送班班長に尋ねた。
「ここにいる馬は何頭?」
「4頭です。昨日、エレナという女性や近辺の取り残された人たちを運ぶのに使ったので。あと3時間もあれば5頭は帰ってきますけど…」
輸送班班長は恰幅の良い中年の女性だ。落ち着きはあるもの表情は苦い。
成績落ちで内陸に移住したというその人は内陸育ちが多くいる輸送班をまとめ上げている。
荒っぽい性格が多い部下をまとめ上げているだけあって貫禄は部隊隊長にも負けていない。
そんな彼女は怪我人にそれだけ待たせることに懸念を抱き、言葉を濁した。
流未も苦い顔になる。
車体を2頭の馬に引かせるので、馬車は2つ使うことができる。
スピードを考えるのなら一つの馬車に4人。
マナを入れれば全員で9人なので、比較的軽傷な人をひとり、残すことになる。
だがここから〝エルー・ザ・エフ〟は馬車で2時間半はかかる。
軽傷とはいってもいつ戦地になるかわからないここに怪我人を置くことはリスクでしかない。
「帰ってくる馬を待っていたら日が暮れます。怪我人の移動は実質、二回目は明日になる…」
乾の発言に流未は額に手を当てながら頷いた。
それまでの間に救助した人たちが一時的にここへ来るだろう。
怪我人も多くいるはずだ。
今まで怪我人の移送を滞らないようなんとかやってきたが、限界は徐々に迫ってきている。
事態の悪化に流未たちが頭を悩ませている中、マナは静かに怪我人のスペースから抜け出し、このサンクミー飼育施設から出た。
ちょうどいい。
今怪我人がひとり抜ければ馬車はすぐ使える。
真っ当な理由がれば、体は素直に動いた。
曇った昼下がりだ。
〝ラダル〟を使わなくとも遠くで爆発音が聞こえる。
ずっとこんな感じなら、じきにここもなにかしらの襲撃を受けるだろう。
他人事みたいに思って、マナはふらつきながら歩こうとした。
「おい!おいってば!」
背中を向けたサンクミー飼育施設から、ひとり少年が声をかけて駆け寄ってきた。
スラリと背の高い、活発そうな表情をした…サクタの友達。
日色はマナのもとへ来るとマナの顔を覗き込んだ。
「意識がもうろうとしてるってやつ?外でたら危ないから戻れよ。トイレ行きたいの?」
奇行だと思われているようだ。
だがマナは興味なさそうに日色から目を逸らして歩みを進めようとした。
すると日色はわぁわぁと騒いだ。
「ダメだって!お前怪我してんだよ!昨日までちょっと熱まであったんだぞ⁉ああもう引っ張るからな⁉」
日色は不器用な手つきでマナの手首を掴んだ。
が、マナの器用な体重移動で地面に体が倒れた。
「うおっ⁉︎イッ…たぁ、くはないな。そんなに…」
綺麗に仰向けに転がされた。
そのまま少し視線を上げれば、虚ろで無感情なマナの瞳と目が合った。
そういえば俺、こいつに撃たれたし殴られたな…なんてのんきに思いながら、仰向けで転がったままマナに声をかけた。
「…死にたいのか?」
まるでその瞳がなにを思っているのか知っているような質問だ。
マナもまた、七草学園を襲撃した日色とは違う、今の日色の様子が気になったようだ。彼の視線を受け止めて答える。
「別に。でも生きたいわけでもない」
「…そっか。…少しだけ分かる。俺もそう思って生きてた時があるから、少しだけ分かるよ。
でもさ、お前は俺と違って学校もサクタのことも守ろうとしてたし、俺と同じじゃないかもしれないけど、
…サクタの…友達だったんだろ。それは俺と同じだよ。
ここにいる意味はきっとあると思う」
「守れなかったよ。なにも。
……私はここにいることを選ばない。あなたとは違う」
お互い、お互いがマシだと言い合っているみたいで、日色は泣きそうな顔で少し笑った。
「俺もまだなにも守れてない。…一緒だよ」
最後の言葉は涙を飲み込んだせいで掠れてしまった。
気休めの言葉に聞こえなかったのは、日色の顔があまりにも悲しそうだったからだろう。
マナは言い返すこともため息もつかず、ただその言葉を胸に落とした。
すぐに異変に気付いた乾が流未を呼んだようで、二人までサンクミー飼育施設から出てきた。
「マナ‼どこへ行くの‼」
彼女もまたマナの腕を掴んだが、日色みたいにひっくり返したりはしなかった。
マナは静かにその剣幕を受け止めて、静かに返答した。
「どこでも。ただここじゃない」
簡潔で冷たい答えに流未はぐっと口を結んだ。
あの朗らかな笑みの下にこんな冷え切った一面があるなど思いもしなかった。
他の子より、本音というか、心が遠くにあるような〝距離〟を感じてはいたけれど、こんなにも揺れる波を持たない子は初めてだった。
「どうして、ここじゃだめなの?」
流未が切実な気持ちで尋ねる。
無視をされるか質問の趣旨を躱されるか、どちらの準備をしていたが、マナから返ってきたのは意外なものだった。
「どうして私がここにいていいと思うの?」
日色みたいなヤケではない。
ただ心底そう思っていそうな疑問だった。
驚いたが流未は一瞬にして切り替える。
マナの心は遠いだけでないわけではない。…そしてきっと、サクタとの出逢いから少しずつ動いているのだと信じた。
マナの問いが言葉になるまで、いろんなことがあったのだろう。それを察しながらも、流未はあえてシンプルな本音で答えた。
「あなたは私の生徒だもの。変な方向に歩いていきそうなら止めるわ。
みんなあなたと出逢ったもの。ひとりでいるなら声をかけるわ」
答えに足らないと思ったのか。
それともなにか気に障ったのか。
無表情だったマナの顔が少し歪んだ。まるで怒っているように。
マナは自分の腕を掴む流未の手首を押さえた。離せ、と言っているように力を込める。
「私はあなたの生徒じゃない。あの学園の生徒でもない。
もともと、場合によってはサクタのことだって殺すつもりだった。
必要なら学園の襲撃に乗じてサクタを連れて行くことだってした。
…組織から与えられた役目のためならなんでも捨てて良かった」
吐き捨てるような声と呼応するように、流未の腕を締め付ける。
縄で締め上げられたような痛みに、流未の顔が歪む。
乾が反射的に助けに入ろうと身体を動かしたが、流未が小声で「大丈夫」と乾を制止する。
乾が間に入ればマナも本気で抵抗するだろう。
乾はマナがギフト持ちであることや、泥蛇の組織の人間であることを思い出す。
…最悪、沈没都市の軍人であった自分より強い可能性がある。
命を懸ける戦闘はこの場でなにも意味をなさないと判断して、彼は流未の制止に従った。
マナは乾への警戒を続けながら流未の手首へいっそう力を強める。
自分より弱いくせに、それでもその手を離さない彼女のことがいっそう苛立った。
「私のいた組織は内陸の武装集団をそそのかしていた。
学園への襲撃だって一枚噛んでる。…サクタも、他の人も殺すために。
だから私はあなたたちの敵だよ。
なのに手当して、助けて、…どうしろって言うの?
贖罪のために戦えって言うの?
私は戦ったよ。サクタを死なせた後も戦ったの。でもだめだった。
守れたものなんてなにもない。
なにも変わらない。変われない。
…もう…私にできることはなにもない。
全部、無駄に終わったの」
息が詰まるような空気が流れた。
マナの怪我を見れば分かる。彼女なりにサクタの死を悔やんで懸命に向き合ったのだろう。
文字通り、命を懸けて。
サクタをきっかけに動き始めたマナの心は動いた分だけ傷ついた。
また遠い場所へ引き返してしまいそうなマナを、流未は自分の方へ引き寄せるように左腕で抱きしめた。
マナに握られた右手首ごと自分の胸へ沈める。
厳しさを声に込めて、流未はマナを諫めた。
「悔いがあるかもしれない。失敗で終わったかもしれない。
でもあなたが歩いてきた道には彼がいて、私がいた。
あなたが見つけたもの、あなたの身体になにも残ってないの?
…かけらみたいに小さいから、見えづらくて分かりにくいかもしれない。
けどそのかけらを使えるのはいつだって自分だけよ。
それがあったからあなたはここでまた、私たちに逢えたんだと思うの。
なにもないなんて絶対にあり得ない。
私は…あなたを見つけたよ」
彼女の声は身体のなかに響く潮騒みたいだった。
その波が引くと、砂に埋もれていた小さな宝石が顔を出していく。
砂をかけるように泣いていたけれど、波に持っていかれないくらい重くて小さな宝石たちがある気がした。
(〝これ〟は…私の何だろう)
非力なサクタが、沈没都市住民の資格を得ても内陸に帰ると言ったのはなぜ?
たった一言の感謝のために、平凡なキースが戦えたのはなぜ?
復讐のための戦いなら〝笛持ち〟は使い物にならないマナを生かす必要はなかった。それでも一緒に戦おうと言ったのは――。
海底施設でペトラが「〝フラム〟があなたで良かった」と言ったのはなぜなのか?
不快な塊だと思っていたそれはいつしか、忘れることのできない形に変わった。
覚悟を決めても間違えて。
誓っても挫けてしまう、この重たくて面倒な身体に。
何度だって問い質すための燃料は暴力でもなければ証明でもない。
火のついた意志を誓いと呼ぶならば。
宣誓で燃える宝石が己に問い質し、答える力となる。
流未を拒絶していた手はいつの間にか緩んでいて、気が付けば流未が握っていた。
(私には…
彼らが私に残してくれた、忘れられないかけらがある。
あぁそうか。
これが…
泥蛇の使命でもなく、ニーナとの破滅でもなく、
私の身体を動かす燃料になるんだ)
身体の中で己の誓いが問いに答えた時。
〝ラダル〟がーーー、
たとえ闇の中でも見つけることができる〝彼女〟を感じた。
それと同時。
サンクミー飼育施設から顔面を蒼白にさせた支援員が何人か走ってきた。
「大変です‼流未さん‼――ロシア内陸から…いいえそこだけでなくて――南米も、西アジアも中国も‼
アスタロトが現れたって連絡が‼」
流未や乾、日色も心臓が止まったような顔になる。
途端、ズウウゥゥゥンンン‼と縦揺れの地震が足元を揺らした。
全員ふらつき、倒れないよう近くの木に掴まる。
流未はついに来た脅威に震えるも、すぐに指示を出した。
「日本の内陸には生息していないみたいね。でも海を渡って来られるそうだから、〝エルー・ザ・エフ〟の実働部隊に連絡を‼
囮に使える資材の移動を始めてちょうだい!
実働部隊から守備警部隊を切り離して〝エルー・ザ・エフ〟を守るよう伝えて!
第三までの実働部隊の出動も!」
「は、はい!鉄と燃料が食べられるってほんっと意味わかんないですよね!」
「ついでに人間も食べるんだって!」
「そのうち野菜まで食べるぞきっと‼クソが‼」
その支援員たち恐怖と不安をヤケクソに吐き出し、まだ揺れが残る地面を必死に歩いてサンクミー飼育施設へ戻って行った。
流未は手を離してしまったマナにもう一度手を差し伸ばした。
「とにかくあなたや他の怪我人は〝エルー・ザ・エフ〟へ行きましょう。話はそれからで…」
彼女の手にゆっくり手を伸ばして――マナはそっと降ろさせた。
拒絶の色はなく、流未はマナの様子を慎重に窺った。
なにか考えるように俯いていたマナは顔を上げ、真っすぐと流未を見つめた。
その視線は乾へとずれ、あることを尋ねた。
「私のガーバーと拳銃、返してもらっていいかな。
…アスタロトとの戦闘の前に、内陸に残っている武装勢力をできるだけ排除した方がいい。
アスタロトには人類兵器がほとんど通じない…てことは分かっているみたいだね。アスタロトの名前も特徴も知っているってことは」
もはや、イングとソーマの手引きが内陸で行き渡っているとマナは推測した。
でなければこんな冷静に流未たちが対応できるわけがない。
マナの問いに答える前に、乾は確認を取った。
「俺達と戦う、という意志で間違いないのか?」
マナは乾のこともじっくりと見つめる。
…日色と同じく、以前七草学園の校外学習で会った時の乾とは違う。
どう違うのか、今のマナには上手く説明はできないが、今の二人を見ていると少しだけ憧憬に近い念を覚える。
(…〝Causal flood〟の真相を知って内陸にわざわざ来る人がいるなんて思いもしなかった。
自分の価値を証明してくれる場所からどうして、〝ここ〟を守りに来たんだろう。
怖いって思わなかったのかな。
…。…。
ううん…。
今なら分かるか)
サクタと出逢ったあたりは、彼に対しても、流未に対しても、理解できないことばかりだった。
まだあの時から一年も経っていないけれど、懐かしいくらいだ。
マナはほんの少し視線を下げて、〝彼女〟の気配を感じながら乾の確認に応えた。
「サクタが守りたかったもの、今の私は守りたいと思うの。
私を守ろうとした人に、…その想いにできるかぎり応えたい。
私が守れなかったものは戻ってこないけど、忘れられない。
…私に残ったものは〝ここ〟にある。
他の人も同じだって今なら理解できる。
また失うことを考えると全て捨てたくなるけれど、…本当は…、残されたものを守りたい。
そのための力を私は貰ってる。…貰ってたんだ。
だから私は一緒に戦えるよ」
自分のなかみが初めて、形となった。
柔らかくて冷たい毒ではもう二度と、マナの涙を止めることはできない。
Fageで最も無価値だと言われた宝石がマナに勇気を与えるから。
マナのはっきりとした解答に、流未の胸は痛んだ。
自分の激励がこの少女を戦場に送り出したようなものだ。
皮肉にも、今ほどマナの心を近くに感じたことがない。
でも時間をかけてやっと意志を示したマナを止められはしないだろう。
この意志の強さがどれだけ自分に勇気を与えるか、流未はよく分かっている。
流未の内面を悟りながらも、乾はマナの答えに頷いた。
彼女に武器を返すため、一同はサンクミー飼育施設へ戻った。
―-------――
武器の返却と、乾ら第一実行部隊と共にマガジンなど武器の補給をしながら、マナは〝彼女〟のことを考えていた。
〝彼女〟の気配は本来〝ラダル〟では感じ取れない距離だった。
サクタも、キースもいない今、〝フラム〟が正常に作動することはないはずだ。
それでも〝彼女〟を感じ取った、その理由は。
(…向こうも〝ラダル〟を使って敵意をわざとぶつけたんだ。
〝ここにいるぞ〟って私を呼んでる)
愛とそっくりな彼女の毒は、かつてマナの傷口を塞いだ。
それがなければまた痛くなるから、彼女と決別するくらいなら一緒に沈んでも良かった。
(ねえ、ニーナ)
使い慣れたガーバーと、愛銃のカーアームズK9を装着し、通常のマガジンとオーバークォーツの花を使ったマガジンをそれぞれ二本、太腿にしまう。
手慣れた所作のマナに回りの軍人は感心と少しの畏怖を覚える。
外見は穏やかで毒気のない少女だというのに、今の彼女の目つきと手つきは子供ではない。街中ですれ違っても彼女の脅威に気づけないことがなにより恐ろしかった。
周囲のそんな視線に気づきながら、マナは一つ、疑問に思った。
どうして〝フラム〟は〝ラダル〟と繋がったのか。
ギフト使用の制限として一つのギフトとしか繋がれない理屈は理解できる。
けれどそれがなぜ、よりにもよってニーナと同じギフトだったのだろうか。
泥蛇にとっては幸運だっただろう。
もとよりニーナのギフトはソーマたちをかく乱させるために隠蔽していた。
そんな時、マナという新入りが偶然にもその隠蔽の効果をさらに強めることとなった。
その偶然に理由があるのなら…。
(帰る場所のない私たちは怪物の用意したあたたかい泥の中にいる。
生きる価値もない私たちは怪物がいないと生きていけなかった。
…そう思っていたから、あなたが私と一緒に沈んでくれるというならそれで良かった。
でも本当にそれでいいのか、今の私は以前と答えが違うの。
私は卑怯だね。自分勝手にあなたを求めて、自分勝手にあなたを捨てるみたいで)
マナを含め、軍人たちの武装準備が終わる。
アスタロトは強靭な力で泳ぎ、日本に上陸するとしたら3日で上陸する。
〝エルー・ザ・エフ〟は内陸の中心にあるとはいえ、上陸されてしまえば一日足らずで潰されるだろう。
未来に繋がる砦を守るため、彼ら実行部隊は日本海側を目指す。
恐らくその場所にニーナも来るだろう。
〝Causal flood〟の終焉を変えるべく、マナは乾たちとサンクミー飼育施設から出立した。




