03
冒険者の男子は意識を取り戻して、大きな声でマルゲスに尋ねました。
「これはどういう事だ??」
「お前にギルド長に報告されたら困るんだよ、偽ポーションを売れなくなっちまうからな!!」
「なんだと??仕入れ先からの不良品が混ざっていたと言ってたじゃないか?」
「あんなもん嘘に決まってるだろうが!!この工房で密造してるんだよ。偽ポーションをな!!」
「偽ポーションの密造だと??」
「本物のポーションが入っている瓶をゴミ捨て場から拾ってきて、その中にポーションと同じ色の液体を入れて本物のポーションとして売りさばいていたのさ。当然ただの青く濁った水だから傷を癒す効果なんて全くない。」
「貴様??そんな事をしていたのか??」
「見ただけではほぼ判別ができないうえに、冒険者共は買ったポーションの確認なんてしやがらないからな。そのままアイテムボックスにほうりっぱなしにする。奴らはポーションを使う時は大体がピンチの時だ。そんな時になって偽物のポーションだと気づく。だがその時はもう手遅れで絶滅してしまうだろう。俺にとっては最高の終わり方だ。口封じの必要もなく勝手に死んでくれるんだからな!!」
「お前そんな事をして買っていってくれた人たちに悪いと思わないのか?」
「全く思わないね。青く濁った水を奇跡の薬ポーションだと勝手にありがたがって買っていくんだ。そんなアホ共死んでしまったって全然構わないだろう。いやむしろ勝手に死んでくれてありがたいね、なにせ口封じをしなくても勝手に死んでいくんだからな。お前もそのままお仲間と共にダンジョンで死んでしまえば良かったものを。」
「貴様!!」
「お前にはここでおとなしくしていてもらうぞ。この偽ポーションの事を言いふらされてはたまらんからな。」
冒険者の彼が大声で言いました。
「ここから出せ!!」
「くそー!!」
するとマルゲスが方向転換をしてこちらに向けて歩き始めました。
まずいマルゲスが戻ってくる。
私は慌てて錬成室へと戻りました。
錬成室に戻った私はすぐに偽ポーションを作っているフリをしました。
少ししてマルゲスが私に尋ねました。
「おい!!何か聞いたか??」
私はしらばっくれました。
「えっ??何かあったのですか??」
マルゲスが不機嫌そうに言いました。
「聞いていないならいい。それよりも明日までにエリクサーを千個準備しておけ。俺が帰ってくるまでに出荷できるようにしておくんだ?」
私がマルゲスに聞き返します。
「どこか出かけるんですか?」
「そろそろ在庫が貯めってきたからな。大きい取引を持ち掛けにいくんだよ。」
「大きい取引??」
「テメエが気にする事じゃない。それよりもエリクサーだ。エリクサー千個を明日までに作っておくんだぞ!いいかくれぐれも本物のエリクサーを錬成するんじゃねえぞ。間違えるんじゃないぞ。緑色の水だけ入れとけばいいからな。それで千個だ。分かったな。」
「はい、分かりました。」
「よし、明日の夕方には戻る。」
そういうとマルゲスは錬成室から出ていきました。
ベーだ。だれが偽物のエリクサーなんて作るもんですか。
しばらくしてマルゲスがどこかに出かけていきました。
私はそれを確認した後で倉庫の方を見に行きました。
すると倉庫に積まれていた偽ポーションがごっそりとなくなっていました。
きっとアイツが持っていたんでしょう。
そうだ、マルゲスに捕まった冒険者の彼に何か持っていかないと。
私は厨房からパンと水をカップに注いで、彼が閉じ込められているであろう牢屋へと向かいました。
私は秘密の隠し階段を作動させて、地下へと降りていきました。