不穏
星明かり1つない夜の森の中を、1人行く者があった。
『永久の夜』の異名を持つこの森の、鬱蒼と茂った木々のヴェールはドーム都市の天頂で点滅する警告灯のレイピアのように細く鋭い光すらも通さない。
屋根があるだけまだ暖かいドーム都市に背を向けて、その者は怖れる素振りもなく凍えた外気の中を歩き続けた。
驚くべきことに、身体全体をすっぽりと覆う外套の中にチラリと覗くその顔は、まだ幼い少年のものだ。
時刻は午前2時。子供が1人で出歩く場所でもなければ時間でもない。だがそれを諫めようにも、それが出来る誰かは地平線の向こうまで見渡しても発見できない。
絶対の孤独の中、少年は歩き続ける。氷混じりの風の音が、自らの荒い呼吸音さえ塗り潰す。
その足が止まった。力尽きたか。いや、辿り着いたのだ、目的地に。
少年は、顔を上げる。
その眼前には、雪と氷に覆われた墓場があった。
さして大きいものではないが、幼い少年からすればそこは巨大な古代遺跡に見えた。
居並ぶ墓標の中、何の取り柄もない、ただそこに転がっているだけの岩と区別のつかない墓石の前で少年は足を止めた。
懐の中でずっと握っていたものを取り出す。それは寒さに身を縮こまらせた兎だった。足を麻縄で固く縛られ、逃げられないようにしてある。その体温は、此処に来るまで少年がわずかばかりの暖を取るのに役立ってくれたが、兎の本当の役割はこれからだった。
「……ゼケガリョジ ルーアイ ルームナ ルグナ ロロナト……」
奇怪な呪文を唱えながら、少年は微かに蠢く兎を墓石の前に横たえると、ナイフを取り出した。
「……クーラナラヨ リーラシ!」
ナイフが兎の腹に突き立てられる。呪文を繰り返しながら、少年は滅茶苦茶にナイフを動かした。弱々しくもがく兎の上に、凶刃は一切の躊躇なく振り下ろされた。血に濡れた白刃が閃くその拍子に麻縄も断ち切られたが、その時にはもはや兎に逃げる力は残っていなかった。血の泡を吹きながら目玉をグルグルと動かすだけだ。やがてそれも止まった。刃が視神経を断ち、押し出された眼球が転がり出て夜の闇に消えた。
突然、少年はぴたっと動きをやめた。耳を澄ます。針の落ちた音さえ聞き逃すまい、というかのように全身を緊張させる。
そして――。
口元が緩んだ。そのまま口角はつり上がり、少年は三日月のような笑みを浮かべた。
「神よ、感謝します」
少年はナイフを両手で掴み、己の左目に突き立てた。
* * * * * * * * * * * * * * *
精が出るね、と声をかけられて○△□はヘルメットを脱いだ。バイザーに投影されていた砂漠の光景と『YOU DIED』の真っ赤なテロップが消え、薄暗いガレージの風景とこちらにタオルとペットボトルを差し出す∀の姿が出現する。
トレーニングディスクを抜き取って、○△□はテクターから降りた。汗を拭い、水を含む。ぬるい。
駐屯地、いやヒエムス駐留部隊そのものの壊滅から一週間。本国からの支援はまだ来ず、田中の部隊は民間の貸倉庫を拠点として活動していた。残ったわずかな戦力をいつでも出動可能な状態に保つのを最優先とし、余った時間で基地跡の探索を行っている。
それが限界だった。基地の復旧どころか瓦礫の撤去すら出来ていない。軍務上の機密書類が焼け残っているかも知れないうちは民間業者に委託するわけにも行かず、かといって自分達で片付けるには手が足りなさすぎて、本国からの支援が到着するまで基地の無残な屍を風雨にさらしておくしかないのが現状だ。
○△□がそんな中で何かの役割を果たしているかというと、特に何もしていないというのが実情だった。今まで敵が使用した神獣の情報をレポートにまとめ、整備員達の『おてつだい』が終わってしまえば本当にやれることはなかった。
そこで○△□はテクターの操縦訓練を始めることにした。田中は先日の独断専行から○△□がテクターに乗り続けることに対していい顔はしなかったが、∀が快く自分の機体を貸し出してくれたので、最終的には黙認されることとなった。
「何度死んだかわからない。自分の鈍くささに辟易するよ」
「昨日今日乗ったばかりにしてはいい方じゃないかな」
「おまえに言われてもな」
浅間∀がテクターに初めて乗ったのはたった二週間前だという。それでいて既に手足のように動かしているのだから、○△□にとっては凡才と天才の差をまざまざと見せつけられる思いだった。
∀は元々軍人ではない。薙刀の名手で、武者修行のために平和なヤマト帝国から情勢悪化中のヒエムスにやってきた。道場破りがしたかったが道場そのものが少なかったので、力試しと社会平和が両立できる場所として軍の門を叩いたのだと彼は嘘か誠かわからない口調で語ってくれた。
「駆鎧より禍啄の方が動かしやすいんだけどなあ。黄寺さんと交代で動かしてたんだが、修理不可能なレベルで壊れちゃったんだよね。軍がこうなったんじゃ、来るはずだったもう1機もお流れになるのかな」
「なんて言うか、上手く動かすコツとかないの? アドバイスをお願いしますよ、先生」
「では、まず目をつぶるんだ」
「目をつぶる」
「そして自分を拡張しろ。自分の領域を足の先から床に、床からその上にあるものに広げ、己と繋がる世界を感じるんだ。最終的には目と閉じていても己の周囲に何があるかを把握できるように」
「……ちなみに、把握できたとして、それからどうする?」
「バーッとやってビシューってやってヒュバってする。状況に応じてズドドドド、シュパ、キュイーン、だ」
ね? 簡単でしょ? といった表情の∀に○△□はタオルを投げつけた。
「……しかし、○△□クンといる時にそれをやると、なんだかいないはずの人の気配を感じる時があるんだ。勘がなまったのかな?」
首をかしげる∀。○△□と、彼の隣に立つアシータは顔を見合わせた。
「それで悪いんだが○△□クン、テクターを使った作業があってな。返してもらえないか?」
「ああ、すまない」
シートにひらりとまたがって、∀はテクターを再始動させる。エンジンの駆動音も高らかに、赤い駆鎧はガレージを飛び出していった。乗り手がいいとテクター自身も喜んでいるようだと○△□は思い、そんなメルヘンチックな発想をする自分に失笑する。どうしたの、とアシータが訊いてきたが、言えば馬鹿にされること請け合いなので無視する。
「テクターの特訓を始めたのって、やっぱり、クズノハさんを取り戻すため?」
「それだけじゃありません。今アステリオーに対抗できる戦力は、サーベラスしかない。神獣を強化することは出来ないのだから、せめて俺自身がサーベラスより先に死なないようにするしかないんです」
あれ? とアシータが呟く。彼女としては「それ以外に何がある」という返答を予想していたのだが。
アステリオー。リ・アージュの神獣を2度襲撃し、瞬く間に撃破した謎の神獣。たまたまその場にサーベラスがいなかっただけで、その牙がこちらにも向かないという保証はない。タラスクスとの戦いで物理攻撃が全く効かないわけではないと判明したが、依然として有効な対策は思い浮かばない。
「クズノハさんが敵に使役されて、君はもっと自暴自棄になるものと思っていたよ」
「むしろ助かりました。敵が何処にいるかも、何処を目指し何をしたいのかわからない相手ではなく、此処で戦っていればいつかまた相まみえる相手とわかっただけ、今は問題を保留できる。当面はまずアステリオーへの対策を早急に打ち立てないと。それより――あなたは最近静かですね。何か悩みでもあるんですか?」
アシータは目を丸くした。目の前の少年がクズノハのことを一時棚上げにしているのも驚いたが、幽霊である自分の心配までしてくれるなんて、本当に、これっぽっちも予想していなかった。
「『人の成長は時として竹よりも早い』――か」
「は?」
「ううん、なんでも。そんなに――わたし、変だったかな?」
「最近、俺と2人になっても考え事をしていることが多いでしょう? 自覚してなかったんですか?」
自覚はある。だが今自分が何を思い悩んでいるか、童嶋○△□には知られたくなかった。いくら会話に飢えているといっても、話せないことの1つや2つはあるものだ。
「わたしは大丈夫だよ。○△□君が心配されるほど、お姉さんはまだモウロクしていないのだよ」
アシータは○△□の頭上の空間に手を伸ばし、撫でるように円を描く。
「……心配なんてしてませんよ。さっさと成仏なり消滅なりして欲しいだけです」
怒らせてしまった。○△□はぷいとそっぽを向いてガレージの外へ向かう。
せっかく他に人がいなくなったんだからもっとお話ししようよ、とアシータはその後を追いかけた。
このところ、丑峰貴咲は妙な夢を見る。何かを追いかける夢だ。追いかけられるのではなく追う夢というのは珍しいと思うが、更に珍しいことにその舞台は見知った何処かの風景ではなく、広大な宇宙空間だった。
宇宙というものがとにかく広いものだ、ということを貴咲は知識として知っている。だが夢の中の貴咲は特急電車で隣町に行くような感覚で銀河から別の銀河へ渡り歩いていた。
色とりどりの惑星が矢のようなスピードで視界の隅を流れていく。そこにどんな世界が広がっているのか、どんな生き物が棲んでいるのか貴咲は微かに好奇心を抱いたが、物見遊山に興じている余裕はなかった。
自分が宇宙を飛び回っているのは旅行ではなく、何かを追跡する使命を与えられたからだ。しかし何を追跡しているのか、誰から与えられた使命なのかは全くわからず、それを疑問にも思わないあたりがいかにも夢らしい。
そう、他愛もない、取るに足らない夢だ。
しかしそれが一週間連続で、となれば不安にもなる。しかも、夢の中の状況は日に日に不吉なものになっていた。
最初はただの宇宙飛行だった。しかし夢の中の彼女は探しているものが見つからない怒りか、あるいは探しているものそのものに対する憎しみか、夜ごと苛立ちを募らせていた。
今朝などは、起きてしばらくその怒りを引きずっていたくらいだ。
何かの前触れなのか、それとも心を病み始めている前兆か。
「チカちゃんに会いたいな……」
だが、千華本人から総督府に来ることを固く禁じられていた。可能なら本国に帰れとも言われている。
あのアレクシィとかいう黒い鉄仮面の演説から、街はおかしくなってしまった。周囲の人々がなんだか余所余所しくなったような気がする。道で会えば挨拶していたくらいの付き合いがある間柄でも、最近はそそくさと視線を外され、気付かなかったふりをしてくる。
大学など、変化の最たるものだ。貴咲は教室の窓から広場で騒ぐヒエムス人学生の一団を見た。このところ彼等は講義そっちのけで空き教室や食堂に集まり、なにやら演説めいたものをやっている。
どうやら政治的な話をしているようだが、理念的な話か現状への批判ばかりで具体的にどうしたいのか、どうするのかが見えてこないし、政治家になるつもりならそんなところで油を売っていないで真面目に勉強したらどうだろうかと思う。それにあんなに威圧的な話し方で人心が得られるものなのだろうか。
老教授が教室を見渡して何度目かのため息を吐いた。政治に傾倒するヒエムス人学生は日ごとに増えているし、ヤマト帝国人の学生は不穏な空気を察して登校してこないわで、出席者は両手の指にも満たない。
チャイムが鳴る。講義が終わっても生徒達の顔は暗い。これから何処かに遊びに行こう、という空気はもうすっかり見られなかった。アレクシィに感化された暴徒に危害を加えられないよう、さっさと家に閉じこもるのだろう。貴咲もその1人だ。
今日出席したのは気分転換のつもりだったが、かえって気が滅入るだけだった。明日からはもう行かないでおこうか。いっそ休学届を出してしまおうかとさえ貴咲は思う。
「あれ、丑峰さんじゃあないですか」
「童嶋君?」
通用門を出た瞬間、貴咲はまさにばったりという表現が相応しい勢いで童嶋○△□と鉢合わせした。
「あっれ~? 奇遇ですねぇ~? 今お帰りですか~?」
「う、うん、そうだよ」
「OKOK、じゃあ僕が家までお送りしますよッ!」
「え? いや、1人で大丈夫だけど……」
この子、こんな風に喋る子だっただろうか。病院で会った時とは別人のような○△□のテンションの高さに貴咲は警戒心を抱いたが、そもそも入院していたくらいだから元気がなかっただけ、これが彼の常態と言われればそうなのかも知れない。気分が落ち込んでいる時に相手をしたい子じゃないな、と思う。
だから穏便に断ろうとしたのだが、○△□は流れるような動作で貴咲からバッグをとりあげてしまった。
「ちょっと――」
流石に貴咲も声を荒げる。
女の子の重い荷物を持ってあげるというのは、男の子として、まあ、いいことだろう。ただしそれは恋人とか夫婦とか信頼関係のあるカップルの場合であり、ほとんど他人に近い間柄の、しかも相手の了承を得ずにやればひったくりと変わらない。
だが少年は貴咲の態度にはおかまいなく、さっさと歩いて行ってしまった。
「ほら、こっちですよ、早く早く!」
「ま、待ってよ!」
○△□は彼女の家のある方向とは正反対の路地裏に進んでいく。こんな時チカちゃんなら即座に怒鳴りつけてバッグを取り返しているはずなのに。貴咲は凍り付きやすい歩道で転ばないよう、小走りで○△□の後を追った。
目の前を歩いていたヤマト帝国の女が路地裏に姿を消したのを見て、男達は走り出した。
何の苦労もせず大きくなったような異国の女。顔も肢体も上玉、帝国人なら懐具合だってあの胸くらい豊かに違いない。それでいて警戒心に乏しい。キャンパスから今までずっと視線を向けていたが、気付いたようにも見えない。
しかも、あの先は袋小路ではないか。子供が1人いるが、障害のうちにも入らない。
まさに『ジャガイモと塩胡椒を抱えて歩くソーセージ』ということわざがピッタリの相手――つまるところ、いいカモである。
ならば、喰らってやるのがカモに対する礼儀だ。あの女だって、本心ではそれを望んでいるんじゃないか?
男達の顔に野卑な笑みが浮かぶ。
アレクシィの言うとおり、ヤマト帝国は――余所者は、ヒエムスを散々食い物にしてきたのだから、自分達が余所者から何かを略奪してもそれは正当な復讐であって、正しいことなのだ。
これは正義で、自分達は正義の行使者だと男達は信じていた。少なくとも、そうであって欲しいと望んでいた。
彼等は鬱屈した日々を送っていた。人生を捧げるべき目標もなく、未来に展望もなく、ただ代わり映えのない無味乾燥な日々を送るだけ。豊かな生活ではないが、何をどうすれば豊かになれるのか、その道標すら見つからない。人生とは往々にしてそんなものだが、それを受け入れるには彼等はまだ若すぎ、世界を変えるには弱すぎた。
そんな彼等にアレクシィは敵をくれた。自分達は何も悪くないことを、全ての悪の根源は誰なのかを教えてくれた。共にそれと戦おうと手を差し伸べてくれた。それは決して夢物語ではない。現実に彼には帝国の軍隊すら退けたのだ。
充分に勝ち目のある話だ、と彼等は思った。乗らない奴がいたら間抜けだ。
――立ち上がるのだ! 我が神の軍勢、【時代を呼び戻す者】の旗の下に! ヒエムスは不滅なり!
ヒエムスは不滅なり、と何人かが唱え、それに呼応して全員が唱和した。
しかし――。角を曲がった彼等の血走った目が見たものは、三方をビル壁で囲まれた、誰もいない薄暗い路地裏だった。
路地裏に入った途端ロケットで打ち上げられたような衝撃に襲われ、次の瞬間にはビルの屋上に立っている自分を貴咲は発見した。
「いったい、何が……?」
○△□がサーベラスを――路地のサイズに合わせた大きさで――召喚し、2人の身体を屋上まで引き上げさせたのだった。
「気をつけた方がいいですよ、このところ物騒ですからね」
眼下の男達は怯えたように去って行く。幽霊を見たとでも思ったに違いない。彼等が往来の向こうに姿を消すのを○△□はビルの屋上から見届け、サーベラスを御霊石に収納した。下ではアシータが手を振っている。わたしも引っ張り上げて、もしくは早く降りてこい、と言っているようだが、気のせいだろう。うん、気のせいだろう。
「アレクシィの件は御存知でしょう。あんな胡散臭い鉄仮面でも英雄視する人は結構いて、その中でも狂信的な奴や、何でもいいから暴れる理由を探しているような奴は外国人ってだけで喧嘩を売ってくるんです。さっきだって危ないところだったんですよ」
「そうだったんだ……。気をつけてたつもりだったんだけど。ありがとうね、童嶋君。それからごめんなさい。あなたのこと、厚かましくてうざったい子だと思っちゃった」
「…………」
確かに貴咲を路地裏に連行するために強引に迫ったのは演技だが、面と向かって厚かましいとかウザいと言われるのは精神に来るものがあった。
――結構、無自覚に毒舌なのかな、この人。
貴咲がくしゃみをした。風を防ぐものも少なく、またあまり人が来ない所為か清潔とは言いがたい屋上は長居すべき場所ではない。
「さて、今度こそ本当にお家まで送りますよ、丑峰さん。何なら直線距離でひとっ飛びです」
「すごいね、童嶋君は。魔法使いみたい」
「はは、魔法使いですか。どうせなら降神師って呼んでもらいたいですね」
「ちょっと、いつまで屋上にいるの!?」
屋上の扉をすり抜けてアシータが現れた。肺も心臓もない幽霊のくせに肩で息をしているのは何故なのか。
「そ、そりゃ階段を使ってきたからよ。ここ、7階まであるくせにエレベーターなかったし」
幽霊の生態――死態というべきだろうか――は謎だ。幽霊本人の思い込みが能力に多様なばらつきを生むらしい。だから生者の生理反応に縛られる必要がないと理解し実践するだけの知能を持った悪霊や、そもそも肉体の限界を知らない水子の霊は降神師にとって下手な悪鬼より厄介な相手となりうる。
その点、アシータは頭が堅いかまたは悪いらしい。
「……今、わたしのこと馬鹿にしなかった? 正直に言いなさい、お姉さん許さないから」
「許さないと明言されて火に油を注ぐ馬鹿がいますか。それよりアシータさん」
「……シータ」
「もういいですよそのやりとり」
「ねえ、わたしと貴咲さんで扱い違いすぎない……?」
「胸に手を当てて考えてみたらどうですか」
「おっぱいか? おっぱいの差か?」
「なんでそうなる。人間と悪霊の差ですよ」
「仲がいいのね、2人とも」
「否定します」「誰がこんなマザコンと!」
漫画だったらこういう時、2人の否定する声が重なったりするんだけどな――と○△□は思い、直後違和感に気付いて首をかしげた。
「……あの、丑峰さん?」
「はい?」
「……誰と誰が仲がいいって?」
その言葉にようやく気付いたアシータが、はっとする。
「まさか、この娘――?」
「アシータの姿が見えるんですか?」
2人はまじまじと貴咲を見る。貴咲はニッコリと笑い、
「アシータちゃんっていうの? 見えるけど、何かおかしい?」
2人にとって衝撃的な真実をさらりと言ってのけた。




