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八重桜~恋の実木~

「ああ

そんな悲しそうな顔するんじゃないよ

えばりたい奴にはえばらせてやりゃいいのさ

人なんて、みんな自分の言いようにあれやこれや言い換えてることが多いんだから

気にすることはないんだよ?

それに…賀陽が怒らなくても、あの女将の命は一年もつかもたないかだから」

「……え?」

乙蝶の口からでた最後の言葉に、賀陽は目を大きく開いて驚く

「…本当に、極稀な事だからね

木草花達が、人間から精気を吸い取るのは

本来なら、人間へ木草花達の精気を送るのが大半

お前なら、わかるだろ?

スズランの【化身】であるお前なら」

流し目で賀陽を見ながら、乙蝶は意味ありげに言い放つ

賀陽は、こくりと強く頷く

「精気は、草木花たちと人間も一緒だ…無くなった力は二度と戻らない

あの女将は元気に見えてかなりの量を銀杏に吸われていたそのうち、体が重くなって………朽ち果てるだろうね

銀杏が通る道だった場所のように……」

「…代わりになっただけだね」

「そ、代わりになっただけ

それを治ったなんだかんだと言い触らしている女将は、ほんと、憐れだね

……己が齎した出来事が、自分に戻ってきていることに気づかないでいる…」

乙蝶は、苦笑しながら言い放つ

そう、気づかないだけ

命を粗末にしたものの代償は、遅かれ早かれ己に返ってくるのが世のキマリゴト

今はそれで善くても、後々は苦しい末路を辿る

「世の中はうまく廻っているもんだね」

「片方だけ苦しむ間違ってるからいい」

賀陽の言葉にぷっと吹き出す

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