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八重桜~恋の実る木~

 「というか、あの人勘違いしてます」

 ぷくっと頬を膨らませながら賀陽は言い放つのをみて、乙蝶はあぁ…と苦笑する

 「主が診たのはあの屋敷にあった銀杏【イチョウ】の木です

数年も手入れされてなくて、朽ちそうになった銀杏が最後の手段であの女将の精気を吸っていたんですよね?たしか…

それを主はきちんと治して、銀杏を元気にしたから、女将も元気になったんです

人間を診たなんて、嘘ぱちもいいところです」

ぷんぷんといった感じに賀陽はまくし立てる

それを、くすくす笑いながら聞く乙蝶

「笑い事ではないです」

「いやいや、賀陽を笑ったわけじゃないよ

人間というものは、自分に都合のいい説明をするんだなと可笑しくなってね」

「?」

今一わからない賀陽は首を捻りながら乙蝶を見る

「いいかい?あの男は、女将が言っていたと言っていた

多分にして、あそこの女将は周りの住民に言い触らしているんだろう

不治の病が治った、特殊なやり方で診るんだとかなんとか言って?

しかも、大金注ぎ込んでやったとかなんとか、あることないこと言ってそうだね?」

「主は金とらない」 「そうだね」

乙蝶の説明に、賀陽はムスッとしながら付け足すかのように言い放つ

それに対し、乙蝶は優しい声色で同意の言葉をかける

草木花達を診るのだから、人間みたいにお金を払うことはない

それに、治療には主に乙蝶の力を使っている

本当に、最悪の状態になっていなければ、乙蝶の特別な力だけでも十分回復するのだ

たた、時々稀にだが、心底草木花を好いている人間から、お礼にと、金を渡される事はある

そういった場合には、遠慮はせずに受け取っているが………

「あの人がそれを信じているなら、主がかわいそうです

あの女将は、銀杏の木なんかなんとも考えてなかったです

それが分かっていたから、敢えて金はいらないと主は言ったのに、しつこいくらいに金を受け取れうるさかったから、仕方なく貰ったに過ぎないです

それを…まるで主がせびったみたいに聞いたことになります」

賀陽は、泣きそうな顔で言う


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