自称アーリーアダプターな私
放課後の部室。
高橋と佐伯が机を挟んでUNOをしている。
俺は窓際でぼーっとスマホを見ていた。
ガラッ。
「西村さん! 今日も実験中の横顔が素敵です!」
坂口華音が勢いよく入室。手には差し入れのプリン。
西村(手を止めず)「……また来たの」
坂口「ええ。今日は決めました。私、この部活に入ります!」
佐伯「え、唐突すぎない?」
坂口「推しを近くで見守れる環境、これ以上の幸福はないです!」
ガラッ(ほぼ同時)
「私も入部します。今ならアーリーアダプター枠で」
入ってきたのは朝比奈環。ドラッカーの本とタブレットを抱えている。
高橋「……枠って何だよ」
朝比奈「新しい価値は早く取り入れる者が独占するんです。この部活、ポテンシャルあります」
佐伯「いや、これ相談室みたいな部活なんだけど」
朝比奈「顧客は誰か、成果は何か。それを決めるのが経営です」
坂口(小声で西村に)「この人、味方ですか?」
西村(チラッと見て)「……坂口は私に一直線のベクトル。朝比奈は45度ズレてる」
高橋「方向音痴なロケットってやつだな」
朝比奈(腕を組んで)「修正すれば使えるってことですね。それ、経営でも同じです」
西村「そう。調整すれば推進力になる」
坂口「やっぱり西村さん、解析が美しい……」
——ドアがまた開く。
国枝先生「おー、人数増えてるじゃん。そういや俺のSNSフォロワー、ついに6,000人超えた!」
高橋「……顧問もアーリーアダプターかよ」
俺「いや、それはただの暇人だ」
部室に妙な笑いが広がった。




