95話:セーフ、なのだろうか
私とロウたちブルーリムは騎士たちの待機所みたいな所に連れてこられた。ローズさんと奥さん、店主は別室に通されているのを見たよ。騎士に確認したら、話す内容がそれぞれ違うから、別室対応なんだそうだ。よく分からないけど、3人に危険はないし、罰があるわけじゃないって言われたから、納得しておく。
ところで、私には罰があるんですかね? バックラーの皆様には被害がないようにお願いしたいんですけど。
「冒険者たち、全員いるな」
キャシー姉さんに叱られそう。そんなことを考えながらぼーっとしていたら、いかにも「騎士」って感じの人が入ってきた。いや、ここに案内してくれた人も騎士だし、私たちを見ている、部屋の隅に立っている人も騎士なんだけどさ。漫画とかでよく見るナイトって感じの人。
観察していたら、フェンの背筋が伸びた。それにつられて、ロウの背筋も伸びる。エリオと私は変化なし。召喚獣たち? ミケは私の後頭部にしがみついてるし、緑子は二の腕にしがみついてるし、イノは床で寝てる。たまに「ふごっ」て聞こえるくらいには熟睡してる。大物かな?
「イノさん、ちょっと起きてよ」
「構わないよ。寝かせてあげてくれ。正直、生きてるウォー・ボアに見つめられたらと思うと、怖いからね」
「はぁ」
騎士がそんなこと言って大丈夫なのか? いや、これはイノと私に配慮しての言葉か。
「私はフロリアン・アルドレウス・グレイシア。アルヴェリア国商人エリアの警備隊長をしている」
「苗字があるってことは……」
「あぁ、グレイシア家は伯爵家だが、この場では気にしなくて大丈夫だ。君たちに礼儀作法を強制するつもりはないよ」
それでいいのか。周りの騎士の様子を見てみるけど、何も言ってこないということは、無知ゆえの無礼をしても手打ちにはならないということだろう。よかったー。王侯貴族への対応なんて、全く知らないからね。今度、キャシー姉さんに聞いてみるか。知ってるかは知らんけど。
「君たちをこの場に連れてきたのは他でもない。クレア=ドミニオンの王子への体裁を整えるためさ」
「体裁? それはどういう」
「君たちがカイルス王太子殿下に行ったことは、すでに本人と野次馬をしていた国民から聞いているよ。そのうえで、君たちに非はないと我々は判断した」
「えっ」
それは、おとがめなしってことですかね。それはめっちゃありがたいけど、なんでだ?
「そもそも、冒険者ギルドは国から独立した組織だからね。王族や貴族であろうと、冒険者を好き勝手に裁くことはできないんだ」
「まして、今回の騒動はカイルス王太子殿下が国民を無理に連れて行こうとしたことが発端です」
「アルヴェリア国民を守ろうとしてくれたんだ。我々、アルヴェリアの騎士にとって、同志を罰することなんてできないさ」
ひとまずはよかった、のかな。私の肩の力が抜けたのがわかったのか、ミケがテーブルの上に乗って騎士さんの方にぶりっ子しに行った。やめなされ。あとに続くように緑子ものそのそとテーブルの上をくるくる這っている。頼むから落ち着いてくれ。ロウたちが「お前正気か?」って顔をしてるからさ。
私が好きでミケたちをはしゃがせてるわけじゃないわい。
「おぉ……。マナキャットを触れるなんて、貴重な体験だね」
「なぁん」
「!」
「お、おぉ」
「隊長がマナキャットとミアズマワームに囲まれている!」
「脅威を知ってる身からすれば、怖いな」
なんか、うちの子がすみません。
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