表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚士なのに前に居る  作者: マナ
3章:ポテラ村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/60

35話:譲られた命のかたち

「ぶもっ」

「にゃぁん」

「ぶぅ、ぶ」


 私がヴィンセントさんに叱られている横で、ミケはグレートボアと何か話していた。お互いに頷いたり、鳴いたりして意思疎通できているみたい。動物の言語をわかる方法ってないんですかね。とっても気になるんですよ。


「……今日はここまでにしておいてやる。で、ミケとグレートボアは何を話してるんだ?」

「にゃうにゃう、んにゃにゃ」


 話しかけられたのでミケが一生懸命に説明してくれる。しかし、猫語がわかる者がいないので、可愛いなぁって感想しか持てませんでした。


「何言ってっかわかんねぇな」

「ヴィー、猫の獣人だからわからないかしら」

「猫の獣人は猫じゃないからわからん」


 そんな人間達の呟きを、ミケはしっかりと理解しているようだ。不機嫌そうに尻尾が地面を叩き、私の腕をべちべちと叩いてうなっている。猫が怒ってるの可愛いね。


「ふご」

「わっ、びっくりした」

「……ぶぅ」


 私の傍に来ていたグレートボアが、私を事切れているグレートボアのほうに押す。本人は軽く押したつもりなんだろうけど、STRが初期値の私はいともたやすく亡骸の上に乗り上げた。とても痛いです。


「ぐぅっ」

「え、なになに、剥ぎ取りナイフをどうしろと」

「にゃあん」


 ミケとグレートボアに促され、剥ぎ取りナイフを手に取る。2匹はそれを亡骸に突き立てるように手を押してくる。私は、ちゅんの幻でこのボロボロになったグレートボアがこの死んだ子を守っているのをはっきりと見た。動かなくなった後も、自分の体を盾にしてまで守っている様子があったのだ。それなのに、剥ぎ取りナイフを刺すなんてできるわけがない。


「君の大事な子なんじゃないの? 剥ぎ取りナイフを刺すなんて、できないよ」

「ぶもっ!」

「いや、”やれ!”みたいに鳴かれましても」


 グレートボアの勢いに押されつつも抵抗していると、タークスさんが間に入ってきた。私がグレートボアに潰されそうになっていたので救助に入ったのと、グレートボアの思惑に気付いたからだった。


「ウラナ、剥ぎ取ってやれ。ここで埋葬したら、きっとゴブリン達に掘り起こされちまう。そして、アイツらの糧になる。それがコイツは嫌なんだと思うぞ」

「そ、そうなの?」

「ぶもぉ」


 肯定するかのように頷いている。ミケも頷いているので、タークスさんの言ったことは当たっているんだろう。後ろ髪を引かれながらも、私は亡骸に剥ぎ取りナイフを突き立てた。3回剥ぎ取れて、大猪の革が2枚、牙が1本、採取できた。亡骸が素材になったのを見て、グレートボアは満足そうにひとつ鳴いた。

 本当にこれで良かったのだろうか。私が何とも言えない感覚に頭を悩ませている横で、当の本人、ならぬ本猪は森の中に消えようとしていた。ボロボロの体を引きずってである。慌ててグレートボアを引き留めた。このまま返したら、ゴブリンに襲われてやられてしまう。


「タークスさん、グレートボアを治療しちゃ駄目でしょうか」

「そうだなぁ。本当は良くねぇんだが、このゴブリン共に糧をやるほうが今はマズいか」

「ヒール、じゃなくて回復薬で治療しておくか。逃げられる程度でいいだろう」


 やはり、魔物の治療はあまり良い事ではないようだ。それも今回のゴブリンの異常さを考えると、致し方あるまいという感じなのだろう。私は自分の鞄から回復薬を取り出し、手近にあった大きな葉っぱを器にして、グレートボアに差し出す。最初は警戒していたグレートボアも、ミケが飲んで見せたことによって警戒を解き、がふがふと飲み始めた。大きな傷は薄くなり、細かい傷が消えている。完全回復とはいかないが、これで逃げる程度の体力は戻っただろう。


「ぶも」

「にゃん!」


 今度こそお別れだ。私もミケも、彼の大きな背中が見えなくなるまで見送った。貰った素材は、大事に使わせてもらうね。

お読みいただき、ありがとうございます。

ブックマークや評価、感想など頂けると今後の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ