後日談 「もうひとつの夏」
後日談です。エリザベスの環境が悪役令嬢過ぎるwww
佐伯悠馬君のお話はここでいったん終了となります。
シリーズとして書いているので、ルイスやマックス達の話もいずれ出す予定?
ゆるゆると出すのでまた見ていただけると幸いです。
夏、ハミルトン邸。
変わらないようで、
少しずつ変わっている。
いつもの庭。
芝生に笑い声が響く。
リリーがしゃがんでいる。
その前に
小さな女の子。
エリザベス・櫻子。
三歳。
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「リズ、こっち!」
リリーが手を振る。
エリザベスは、小さく笑って走る。
少し危なっかしい。
「だめよ、転ぶわよ」
そう言いながらも、リリーは楽しそうだ。
「ほんと、かわいい……」
ほとんど独り言。
少し離れたところに、ノアがいる。
しゃがみ込んでいる。
同じ目線。
「リズ、こっちもおいで」
両手を大きく広げる。
エリザベスはそれを見て、
ちょっと迷う。
リリーを見る。
ノアを見る。
それから。
リリーの方へ走る。
ノアはそれをみて固まる。
「え、ちょっと待って」
リリーは笑う。
「当然でしょ!ね、リズ!」
ノア。
「俺、叔父だよ?」
リリー。
「だから何?」
エリザベスがきゃっきゃと笑う。
ノアはしばらく固まって、
それから立ち上がる。
「……よし」
数秒後、またしゃがむ。
「リズたん!こっち!!」
完全に負けている。
庭、やわらかい空気。
少し離れた森。
小さな小屋。
以前より、
少しだけしっかりしている。
中にいるのは
マックスと、ルイス。
床に座っている。
窓から差し込む光。
少し静か。
マックスは壁にもたれる。
「なあ」
ルイス。
「うん」
マックス。
「お前、来年だよな」
ルイス。
「何が?」
マックス。
「パブリックスクール」
少し間。
ルイスはあっさりという。
「行かないよ」
マックス。
「……は?」
ルイス。
「約束だろ」
マックスは少し眉を寄せる。
「いいのかよ」
「おじい様、絶対許さないだろ」
ルイスは少し考える。
でも、強く首を振る。
「大丈夫だよ」
マックス。
「何がさ?」
ルイス。
「ちゃんと味方もいる」
少し間。
マックス。
「……誰」
ルイスが少しだけ笑う。
「悠馬叔父上」
マックス。
「あー……」
納得した顔。
少し静か。
外。風。
マックス。
ぽつり。
「でもさ」
ルイス。
「うん」
マックス。
「ここじゃだめなのか」
ルイス。
窓の外を見る。
広い庭。
遠くに見える大きな家。
たくさんの人。
全部、ここから見える。
少し間。
ルイスはゆっくりと言う。
「ここは、戻る場所、だよ」
マックスは黙る。
ルイスは続ける。
「でもさ、ここじゃないところも」
「見てみたい」
静か。
マックスは小さく笑う。
「変わんねえな、お前」
ルイスは少しだけ笑う。
「そうかな」
遠くにノアの声が聞こえる
リリーの笑い声も。
そしてエリザベスのはしゃぐ声。
少し離れた場所に悠馬が立っている。
小屋の方を見る。
何も言わない。
ただ少しだけ目を細める。
その背後にエドワード。
腕を組んでいる。
「……好きにさせすぎだ」
低い声。
悠馬は振り向かない。
「まだ決まっておりませんから」
エドワード。
「決まる前に止めるものだ」
少し間。
悠馬。静かに言う。
「止めても、行く時は行きますよ」
エドワードは何も言わない。
さらに少し離れた場所。
ノアがリズを抱えながら、
こちらを見ている。
表情は、読めない。
ただ、少しだけ複雑だ。
夏の空気。
変わらない景色。
でも。
中にいる人間は、
少しずつ、変わっていく。
小さな小屋。
かつての秘密基地は、
もう遊び場ではなく、
“選択の場所”になっていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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