↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/85

深紅の斧

300PVとか初めて行きましたよ…

ブックマーク、評価ありがとうございます!

--深紅の斧


 一晩明け、あと1時間程で商隊の出発の時間になる。

 一階に降りるとおかみさんが昼食がてらのパンと肉を用意してくれていた。

 朝食を食べつつそのお弁当ともいえる昼食を貰い、鞄に詰めたふりをして玩具箱へしまう。


「じゃあ押しつけちゃったようだけど頑張って。気をつけるんだよ」

「ほんとですよ…まぁ死なない程度に頑張りますよ」


 確信犯のくせに。


 朝食を食べきり、部屋に戻って軽く用意をした所でそろそろ日が昇る。

 さぁて行きますか。


 宿を出て門へと向かうと今日の門番もリックだったようで「よう」と声をかけられる。


「おやまたリックさんか」

「なんだ、俺じゃ不満か?」

「いえいえ。商隊のみなさんはもういらしてるので?」

「あぁ、門を出た所で積み荷の確認をしているぞ。挨拶でもしてきな。」

「そうですね。ありがとうございます。」

「気をつけてな。また気が向いたら足を運んでくれ」

「今度は嗜好について飲みながら語りましょう」


 それはいいや。と笑い声を上げているリックに挨拶をし商隊へと向かう。


「おはようございます」


 ロタラさんを見つけたので挨拶をすると「おはようございます」と返事を返してくれた。

 だけど積み荷の確認で忙しそうなので少し荷馬車から離れたところにあった切り株の上に座る。


 積み荷の確認をしている荷馬車の裏あたりで深紅の斧のメンバーが武器や鎧の手入れや点検をしていた。

 こちらが見ていることに気がつくと軽く手を上げて挨拶をされたので頭を下げておく。


 モスさん、リシアさん、グラスさん。だっけ。

 ドワーフの二人は両手斧持ってるから前衛ってのはわかるんだけどリシアさんは何も持っていないように見える。

 魔術師さんですかねぇ。

 なお、真っ平らでした。何がとは言わないけども。


 そうこうしている内に荷馬車の準備も終わったようでロタラさんがこっちに歩いてくる。


「お待たせしております。後は子供達なのですがまだいらっしゃってないですよね?」

「そうですね、こちらには来ていないです」

「深紅の斧の方々の方にも来ていないようですし、寝坊ですかね」

「どうなんでしょうね。冒険者としての心構えが若干薄い気もしますが」


 護衛依頼を受けてないとはいえ遅刻してくることで商隊のスケジュールとか遅れるということを考えなかったのだろうか。


「まぁ子供ですし」

「ロタラさんが言うならいいですけどね」


 仮にも冒険者というのであればこういうことはきっちりした方がいいとは思うのだが。


----


 ロタラさんやモスさんと通る道の確認や野営ポイントや注意ポイントの話し合いをしていると子供達が慌てた様子で走ってきた。

 そしてルブラ君が到着早々口にした言葉が「ウォートが寝坊してて」という言葉だった。

 それを聞いたモスさんが「遅れてきて最初に喋る言葉が言い訳か?おまえらはそれでも冒険者か?」と威圧を放つ。

 ですよねー。

 威圧を受けた4人は一歩後ずさり、ブルブル震えながら下を向いてしまっている。


「いいかおまえら。早朝に出発するという事は昨晩の段階で決まっていたはずだ。」


 モスさんが威圧をしたまま話を続ける。


「夜早く寝なかったのか寝られなかったのかは知らないが、朝になって寝坊していることに気がついたら先にこっちに連絡に来ることだってできただろう」

「はい…」

「そもそも約束の時間に来ないなら一人が連絡、一人が残りもう一人が起こしに行けばよかっただろう」

「はい…」

「さらに言えば遅れてきて最初の言葉。言い訳じゃなく謝罪が普通だ」

「はい…」


 モスさんのお説教が止まりません。


「まぁまぁそのへんで」


 さすがに見かねたのかロタラさんがモスさんを止める。

 とはいえロタラさんも一言言いたいのか、ルブラの前に立ち、しゃがみ込み目線を合わせる。


「あなたたちは当商隊のお客様ですか?護衛ですか?」


 その言葉を聞いた4人は顔を合わせて不思議そうな顔をする。


「村の方々に連れて行ってくれという依頼は受けましたがあなたたちの立ち位置をどうするかというのは聞いていません」


 え、そうなの?


「改めて問います。あなたたちは『冒険者として当商隊の護衛を受けるもの』ですか、『お客様として庇護を受けるもの』ですか?」

「僕たちはまだEランクですが冒険者です。庇護される対象としては扱わないでください」

「なら冒険者としてやることをきちんとやってください」


 ロタラさんが立ち上がり子供達から離れる。

 子供達は俺のほうを一瞬見るがすぐに目を反らす。


「この度は申し訳ありませんでした。以後はこのようなことの無いように気をつけます」

「「「すみませんでした」」」


 4人それぞれがきちんと頭を下げ謝罪の言葉をロタラさんとモスさんに向かって行う。

 あ、俺にはいいよ?


「ではケジメもつけていただいたことですし出発しましょうか」


 そういうとロタラさんは一番前に陣取っている馬車へと歩いて行ってしまった。

 後ろでは子供達が「やっぱおまえのせいで」とか「さっきの威圧怖かった-」とか小声で話している。

 反省…したのか?こいつら。


 ほっといて深紅の斧のグループの所に向かい、モスさんに話しかける。


「一応世話役として謝罪させていただきます。すみませんでした」

「おう、気にするな。悪いのはおまえさんじゃない」


 「そろそろ出るぞ」といい、俺の肩をポンと一叩きし、馬車のほうへと向かっていく3人。

 まぁ大人ですなぁ。


----


 出発してだいたい4時間が経過。

 俺はロタラさんが乗っている第一馬車の御者席に座っている。

 あ、当然運転は御者さんね。


 第二馬車の荷台に子供ら4人、第三馬車の横にモスさんとグラスさんがそれぞれ左右に。

 第四馬車の後ろにリシアさんが陣取った陣形で街道を進んでいる。


 突然後ろから「右方向500m!」といった声が聞こえる。

 この声はリシアさんかな?


 リシアさんはそのまま後ろに残り、モスさんとグラスさんが馬車の右方向に移動した所で子供達も馬車から飛び出してきて同じく右方向に集まろうとする。


「馬鹿野郎!挟み撃ちされないように左側を警戒しやがれ!おまえらの頭は何のためについてるんだ!」


 まぁ経験薄い冒険者ならしょうが無いって。

 前方向は俺が見てるから大丈夫ですよー。

 しかし子供らだけで何ができるのよ…と思った俺は悪くない。


 ドワーフの二人は斧を構え、戦闘態勢にて敵を待ち受ける。


「大鬼(オーガ)か…」


 ちょっと小高くなっている丘から現れたのは赤い肌をして、2.5m程の大きさで、頭に一本角を生やした、いわゆるオーガ。

 手には木でできた棍棒を持ち、こちらに向かってゆっくり歩いてくる。

 オーガにも二種類あって、でっぷりとした体型のタイプとがちムチの体型のタイプがいる。

 ちなみにこのオーガは後者。

 オーガは確かCランクモンスターだったっけかな。

 Bランクならソロで討伐可能。Cランクならパーティ6人で同等。といった魔物だ。


 …こいつ再生能力半端ないんだよな。

 まぁ深紅の斧のお手並み拝見といきますかね。



 まず飛び込んだのがグラス。

 こちらの斧は赤くないけど真っ黒。

 黒鉄製かな。重そう。


 腰に構えた状態で走って近づき、オーガの斧を躱して左の太ももあたりを切りつける。

 ドパンッっていういい音を立てて足の半分を切り離す。

 血が噴き出しグラスを赤く染めるが痛みで一瞬体制を崩したオーガの右腕を返す斧で切りつける。

 足も手も部位切断まではいっていないが骨が見える所まで切り込まれている。


 そこにモスが駆けつけ、しゃがみ込んでいるオーガに対して斧を振るう。

 その斧の軌跡はオーガの首を素通りする。


 次の瞬間オーガの首は地面に落ち、噴水のように一気に血が吹き出る。


 やるねぇ。


 前衛のドワーフ二人は返り血で真っ赤になっているのを遠目で見ているロタラさんが少し震えているが後で水で綺麗にしてあげようかね。


 リシアさんの攻撃は出番が無かったのか警戒態勢のまま動いてはいなかったけど、このパーティ、意外と強いな。

 護衛任務を1パーティだけで請け負う訳だ。


 ドワーフ二人はオーガの体から魔石を取り出そうと解体を始めるが、そのタイミングで子供達のほうから悲鳴が上がった。

 あぁやっぱり予想通り。

 ドワーフさん達。子供らだけで警戒させてても対応できないんだから魔石は後にしましょうね。減点1。


 子供らの方を見ると、左側からもオーガが来ていたようで、すでに一人怪我をしたのか地面に倒れている。

 あの子はウォートくんかな。

 ルブラくんは頑張ってオーガの攻撃を避けているが、攻撃が軽すぎてダメージが全然入っていない。

 ウィステリアちゃんとマヤカちゃんも頑張って魔術を唱えて攻撃しているがこちらもダメージは皆無。


 んー、しょうがない。


「氷槍(アイスジャベリン)」


 オーガに向けて手を翳し、言葉を紡ぐ。

 言葉と同時に頭の上に氷の槍が5本でき、キュインという音を立ててオーガに飛んでいく。


 氷槍(アイスジャベリン)はかろうじて目に見える速度で飛び、次の瞬間にはオーガの頭に全てが刺さり、瞬時に頭部を凍結させていた。


 オーガは何が起こったのかわからないまま、豪快な音を立てて地面に倒れ込む。


 それを見たロタラさんを筆頭に子供達も唖然とした表情でオーガを見ていた。


 …あれ?なんかやらかした?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。