77話「戦国時代①-織田家へ」
気が向いたら投稿・・・
地球降下後を超スローペースで投稿します。何ヶ月も投稿ペースが落ちるでしょう
ピピピッ
「マスター、やはり機械的な反応がありません」
「流石にが人工衛生はバンバン飛んでいるだろう?」
「いえ、以前マスターが仰っていた宇宙デブリが見当たりません」
「変だな・・・」
「とにかく軌道圏内まで行くしかないわね」
光学観測装置では限界もあるしな・・・
「やはり人工物は周回軌道上には存在いたしません・・・宇宙デブリも隕鉄を含んだ物ばかりです」
地球が間近に近づき目視できるレベルになっても俺たちの思っている物は何一つなかった。
「月にも何もありません」
近距離高精度スキャンでも引っかからないとなると、どうなっているんだ?
「光学観測で日本の様相は見れるか?」
「分かりました」
ゴゴゴッ
艦を移動させて日本の軌道圏内に入る。
「ズームします」
500倍ズームで日本の様子が映し出される。
「これが関東か?」
殆ど何もない関東が映し出された。
表現するなら平野が広がっているだけだ・・・
「地球滅亡したか?」
人工物は少しあるようだが1回建ての家屋がチラホラと数軒程度残っているが、コンクリートで出来たビル郡・・・東京すらなかった。
「放射能汚染は検知できません・・・あらゆる生物が生存可能な環境です」
「マザー、あの人たちを映してちょうだい」
「はい」
家屋から丁度でてきた人々を映し出す。
「・・・随分古くないっすか?」
「そうね・・・和服っぽい感じよね」
「あっちの人を写してください・・・武器を持っている感じですよ」
位置をズラすと武装した集団が映しだされた。
槍や刀らしき物を持っている。
「可笑しいっすね・・・俺には戦国時代の人に見えるっすよ」
「馬鹿な」
「他の大陸文明を見ましたが蒸気機関程度が最大と推測されます」
マザーから他の大陸情報が知らせてくる。
「もっと詳細に知りたい・・・回収ドローンにはステルス機能があるだろう?」
「あります」
「ステルスモードでの大気圏降下は可能か?」
「はい」
「では、数十機を地球に降下した後に日本全土を観察し情報を集めろ」
「かしこまりました。艦内の全回収ドローン及び戦闘ドローン10,000機にて日本の様子を伺います。更に500機ずつを各大陸に配置し周辺国の情報も並列で監視します。解析に1ヶ月ほどお待ち頂けないでしょうか?」
「わかった・・・何十年間も待ったんだから1ヶ月じゃ問題ない。わかり次第招集する」
一旦、俺達は1ヶ月待つ事にした。
・・・
「監視した結果を報告致します」
「話せ」
「現在日本と呼ばれる国は日の本と呼ばれております。また、日本自体は数十という国に分かれて戦を繰り返しております。時間が経つにつれて領地が合併吸収されている模様」
「主に有名国の名前は?」
「北から南部家・最上家・伊達家・上杉家・北条家・武田家・今川家・斎藤家・織田家・朝倉家・浅井家・毛利家・長宗我部家・大友家・龍造寺家・島津家といった所でしょう」
「どれも聞いたことのある武将の家だな」
「戦国時代なんすかね?」
「でしょうね・・・この中で一番古い時代の人って」
「オレじゃろう・・・第二次世界大戦時じゃ」
「それより以前は居ないんじゃないか?」
・・・
リウイより前の時代の者は居ない。
「予想外だな・・・」
「まさか、過去の時代に来たなんてね」
少し沈黙が続く。
「でも地球なんでしょ?」
唯一地球出身者ではないキャメリアが不思議がる。
「地球は地球でも文明があまり進んでいない日本だ・・・俺達の生きたどの時代でもない・・・未来であればなんとかなったが過去の時代だと動きづらいな」
「僕達はどうすれば良いでしょうか・・・」
「下手に俺達が介入するのはダメだろうな」
「そうね・・・何百年先のテクノロジーや知識を持った私たちが下手に介入すると未来を変えかねないわ」
「例えばどんな事っすかね」
「有名な織田信長を本能寺の変で明智光秀から救ったとしよう・・・その後に起こった織田家の内部分裂は起こらず歴史は織田が日本統一を果たすだろうな・・・つまり徳川家による江戸幕府が作られなくなる。それによって俺達の先祖が出会う運命が掻き消えて俺たちも消滅する事も十分に考えられる。歴史も大きく変わってしまう」
「それはマズイっすね」
「俺達が生まれなければ、娘たちも生まれない運命になる」
「絶対阻止しなくてはならないわ。リンやツヨシが居ないなんて嫌だわ」
コクり
全員が頷き事の重大さを再認識する。
「現状の問題点としては彼らにはどう説明すればいいかだな」
「ありのままを言うしかないんじゃないかしら?」
「フェリス、ハイパースリープ装置はいくつあるんだ?」
「予備も含めて私たちの分を含めて20台ですね」
「足りないな・・・」
「オレでも作れない技術じゃな・・・」
「ハイパースリープ装置の設計図や概念などは既に記録しています。ただし、材料が不足しております」
天の川銀河に渡った際に亜空間の中身も取り出せなくなったらしく格納庫に残っている幾ばくかの貴金属等しか無い。
ハイパースリープ装置を作り出すレアメタルが圧倒的に足りないと説明を受ける。
「通常のコールドスリープ装置でしたらリウイ様の腕前であれば作り出せるかと」
「コールドスリープは嫌だろうな」
ハイパースリープとコールドスリープとの違いは眠る時間の長さが特徴的だ。
コールドスリープは最長でも10年に一度は起きて身体を動かなければならい、それに比べてハイパースリープは100年眠っていても身体を衰えさせない優れものだ。
目覚めもコールドスリープは反動で胃の中身を吐き出す事もあるのに比べて倦怠感程度済む。
「ここに居てもつまらないだろうしな」
「降ろす気?」
「最低限の条件を飲めばな」
「俺たちも降りて平気なんすかね?」
「お前たちは日本人のままだから問題ないだろう。力さえ制御すれば目立たないだろうし」
「問題は私たちね・・・特に」
「私!?」
皆の視線がキャメリアに注がれた。
「お前は目立つな」
「私より目立ちそうですものねぇ」
見た目は人間に近いが長い耳が特徴のハイエルフであるスターニアもニンマリと笑っている。
「こんな時の変形マスクがあるよ」
「たしかに・・・日本人に化けようと思えば出来そうだな」
「残念ながら変形マスクではその耳を隠すのは出来ませんよぅ」
「にゃんと!?」
「耳を髪型の一部としてカモフラージュは出来ないか?」
「それならできますよぉ・・・お団子ヘアを左右に作ったように偽装すれば分からないと思うのですよぉ」
「やったにゃ!」
「まぁ、降りられなかったら俺も残るつもりだったっすよ」
「アナタ!」
「惚気けないでください」
「スターニアはどうするんだ?」
「私はここに残っていてもいいですよぉ。たまに降りて森成分さえ得られれば問題ないのですよ」
「やはりエルフだからか?」
「そうなのですよぉ。木々の香りを嗅げないのは精神が著しく低下するのですよぉ」
「わかった。リウイはどうする?」
「うむ。オレは他の大陸に降りちゃならんか?」
「日本に降りないのか?」
「オレは世界の鍛冶を知りたいんじゃ・・・大した物は見れないかもしれんがな」
「歴史を変えるような事さえ気をつければ問題ないだろう・・・言語問題はどうする?」
「幾つもの言語を覚えたんじゃ、あと数種類位覚えられるわい」
「他に日本以外に降りたい奴はいるか?または降りたくないやつは?」
・・・
「とりあえず、スターニアはココに残る。リウイは別の大陸へ降りる。俺、リリィ、リン、ツヨシ、ロイド、フェリス、ハルヒコ、ウミ、ソラ、アキヒサ、キャメリア、ランの12人は日本に降りる。キャメリアとランの2人は変形マスクで獣耳と尻尾は衣服の中に隠すようにする事。後はあの連中に聞きに行って来る。皆は降下準備をしてくれ」
コクリ
俺は遭難者達のもとへ説明をしに行った。
・・・
何度か一悶着があったが地球に降りる組は10名程となった。
残りのメンバーが降りる事を拒否したのは生活水準が落ちる事で無人島生活のような環境下である戦国時代では生きていけないと言う。
それならばこの艦の方で生きていたほうが良いらしい。
10名の降下メンバーを連れてブリッジへと向かう。
「拙者、ワクワクで御座るぞ!!あの歴史上の人物に会えると思うと興奮して眠れないで御座る」
「条件は忘れていないだろうな」
「忘れていないで御座るぞ!!歴史を変えるような行動をするなで御座るな・・・介入できないのは口惜しいでござるが拙者等の未来に繋がるならば致し方ないでござるな」
降りるメンバーは無人島生活で西の海岸線で生活していた山田のグループ6名と前田、志野、久我、入江の4人だ。
ギィイイ
10名をつれてブリッジへとやってくる。
既に降下準備を整えたリリィ達が揃っている。
「ふぉおおおお!エルフで御座る!!!」
入江が興奮してスターニアにダッシュして近づいていった。
「気持ち悪いのですよぉ!」
パシィン
「ほげえええぇえ」
スターニアは軽く平手打ちをしたつもりなのだろうが入江はきりもみしながら壁に吹っ飛んでいった。
「あら?御免なさい!」
スターニアが慌てて入江に近づく。
「手加減をしたつもりなのですよぉ」
グッ
「拙者の一生に一辺の悔いなしで御座る」
ガクッ
入江がスターニアの膝枕を受けて死んでいった。
「ネタに走るなよ」
ゴフッ
久我が入江の脇腹を蹴り上げてたたき起こす。
「アオイさん。彼等は?」
「今日まで会わせなかった理由そのものだな。言っただろう俺達は地球人ではないと」
「確かに・・・この艦以外に驚かされましたな」
前田機長を初めとして漂流メンバ達は固まって動けないでいる。
「コイツ等も俺程では無いにしろ、お前達を軽く殺す事が可能だ。お前達も手加減を極力忘れるなよ」
「確かにそうっすねぇ。レベルが違いすぎるっすから」
「君は日本人かね?」
「そうっすよ!俺とハルヒコとウミは異世界に勇者召喚されたっす」
「天城晴彦です。元勇者です」
「夏風海よ。元聖女をやって居たわ」
「そんで持って元賢者の陸奥秋久っすよ。皆さんよろしくっすね」
「勇者召喚なんて現実にあったんだなぁ」
「何処のライトノベルかって話だよ」
漂流組からしたら俺達の存在はファンタジーなんだろうな・・・
「この中で一番攻撃力が弱いのは・・・」
「私だな」
ロイドが艦長席が立ち上がる。
「始めまして、ロイドと言う。この艦の艦長を務めている者だ」
「前田と言います。機長をして居ました」
互いに風格のある者同士で握手を交わす。
「アオイ殿、私はなにをすれば?」
「力の差を見せれれば良い、マザー」
「ハイ、なんでしょうか?」
!!?
漂流組みがブリッジ後方を見て驚く。
「アレがこの艦の全てを管理しているマザーだ。マザー、鋼鉄の棒を送ってくれ」
「畏まりました」
シュンッ
ブリッジに鋼鉄の棒が送られてくる。
「これが本物であるか確かめてくれ」
鋼鉄の棒を前田機長に渡して漂流組全員が鋼鉄の棒を持って硬さ等を確かめる。
最後に前田機長からロイドに棒を渡される。
「曲げてみろ」
「分かった」
グニャ
大して力を加えていないが簡単に棒は円を描くように曲がった。
それを再び漂流組に渡して確認してもらう。
「ロイドが俺達の中で一番弱いんだ・・・これ以上は説明不要だろう?軽いスキンシップ程度で死にかねないからな」
コクコク
漂流組は頷いてくれる。
「拙者は死に掛けているでござるよぉ」
「自業自得だ・・・とにかく互いにも注意してくれ。でだ、俺達が降下する場所の選定だな・・・このリスト上で何処に行きたい?」
メインモニターに名家の一覧が並ぶ。
「ここは一番有名な織田家でしょ?」
スッ
リリィの一言に過半数の人が手を上げた。
「他の武家に潜り込むのとかどうっすか?」
「俺達はあくまでもこの時代の日本の片隅でひっそりと暮らすんだ。特に漂流組みは生涯をこの時代で終わる事になるからな」
「固まって動きましょうか?」
「そうね」
ハルヒコとウミが団体行動にするべきと推す。
「その方が動きやすい。降りたら移動手段は馬か徒歩でしかない時代だ・・・何かあっても対処が難しくなるだけだ」
「賛成だな」
他のメンバも頷き俺達21名が日本に降り立つ事となった。リウイだけが別の大陸へと降りる。
日本が夜中になるまで待ち、各人が戦闘機ソロゥ12機に搭乗して大気圏突入を果たす。
ゴォオオオ
織田家の領地、尾張の山中にステレスモードにしたソロゥ11機が着陸して手早く地上に降りて自動着艦モードになったソロゥに別れを告げて俺達は戦国時代へと降り立った。
宇宙戦艦方舟は月の裏側にて待機するようだ。ある程度地盤が固まり次第ハイパースリープ装置を載せた衛生艦が下りてくる予定である。
ザッザッ
「無事に降りられた様だな」
「怪我した人は居ないわね?」
全員が無事に降りられた。
「今日から現地調達でのサバイバル生活となったわけだが、あの無人島生活と違うことは驚異に人も含まれることだ。山賊、盗賊、野党なんでも居る時代だからな。何処かに所属している武家なんかも地位が高く理不尽な暴力も当たり前の様に振るってくる輩もあるだろう。現代知識の常識がここで通用すると思わない事だ。それを念頭に置いて動いてくれ」
「次は何を目標にするのかね?」
「うむ。まずはこの地を拠点にするべきだろうな。もしかしたら何処かの領地内かもしれんが知ったことじゃない」
「野営の準備をしましょう」
皆が分担して野営の準備を行う、手には松明を持っての作業だ。
持ってきたのものはこの時代でも浮かない和服に見立てた衣服だ。
しばらくの間は保つだろうが早めに衣服くらい買える様にしないとな。
それと各々には武器となるものを持ってもらっている。
主戦力は俺、フェリス、ハルヒコ、ウミ、アキヒサの5人、副戦力としてキャメリア、リリィ、ロイドの3人だ。漂流組は戦力外である。
俺の武器は180cmの刃渡りを持つ決して刃こぼれせず、折れず、曲がらない斬馬刀である。
ハルヒコは勇者時代の金と銀の両刃剣、ウミは聖女の錫杖、アキヒサも賢者の杖だ・・・地球にない金属武器という事になるが奪われなければいいな。
フェリスは持ち前の合気道、キャメリアが弟子入りして同じく合気道で応戦するようだ。
リリィとロイドには取り回しのし易い短刀を渡してある。
ザザザザッ
「さっそくお出ましか・・・」
複数人の気配を感じ取り
俺たちの野営地に招かれざる客が現れた。
『ゲヘヘ、こんな山奥に団体さんたぁな』
『俺達はついてるぜぇ』
十数人にも及ぶ山賊か野党の集団が現れた。
皆、着物を着崩して何日も風呂に入っていないのか酷い匂いだ。
手には獲物を握り締めて俺たちをカモだと油断しきっている。
「打ち合わせ通りに陣形を組め」
俺の一言で非戦闘員である漂流組を囲うように陣形を固める。
『見たところ侍の一人もいねぇ、旅商人って所か?』
『荷馬車はねぇが、上玉がゴロゴロいるじゃねぇか』
『男どもは殺せ、女は奪え』
ハァ
目の前の金目の物を奪えると思っている様だ。
「とりあえず死ね」
ブッ
ズガンッ
目の前で武器をチラつかせていた野党の一人に向かって無造作に背中から取り出した斬馬刀を大上段から振り下ろす。
ズシャァアアア
頭から股下までに掛けて一刀両断し縦に人体を割りながら絶命した。
「1人位生かしておけ」
ザッ
俺の合図でハルヒコ・アキヒサ・ウミの3人が動き出した。
あっちの世界でも同じことが行われていて慈悲をかければ自身が死ぬ恐れがあるのだ。
道徳心なんて既になくしているからこそすぐに動き出せる。
フェリスも武術の心構えを持っているが対人戦は初めてのようで足が若干震えている。
キャメリア、リリィ、ロイドは下手に動かず非戦闘員を守りに入ってくれているな。
3人の働きで瞬く間に俺達を囲っていた野党たちを亡き者にしていく。
『人数では俺達が上じゃねぇか』
『なんて早さだ!!』
『弓が狙えねぇ』
『くそぉおお!』
周囲の地形を上手く生かして3人は次々に一撃必殺で打ち倒していく。
にしてもワラワラといるもんだな・・・
最初に囲っていた連中よりも後から続々と野党どもが現れている。
たったの十数分で50名近くが死んでいった。
「もう来ないようですね」
「まったく鬱陶しいわ」
「これも弱肉強食の世界って奴っすね」
1人だけ残して殆ど3人で片付く。
ドサッ
『ひぃいいいい』
「何を怯えている?お前たちは絶対的優位の立場にいたんだぞ?」
生き残った一人をロープで縛り尋問タイムである。
ハルヒコ達の活躍で後ろではワイワイと楽しそうだ。
『勘弁してくれえぇえ』
「ハハハッ、何を言っているんだ?お前は勘弁してと言ってきた相手に勘弁してやったのか?やっていないよな?なら、その発言は横暴という物だ」
『ヒィイイイ』
ジョボボボボッ
「あまり俺を怒らせない方がいいぞ・・・お前たちの根城としている場所は何処だ?吐けば許してやらんでもない」
『ほんにか?』
「お前次第だなぁ?」
『わ、わかったで!教えるから』
「嘘を教えたら分かるな?」
『嘘なんて言わねぇよ!!』
シュルッ
ロープを外して立たせる。
「ハルヒコ、俺と来い・・・アキヒサとウミは使えそうな物を奪っておけ」
「うぃっす」
「手が汚れるのは嫌なのよね」
「我慢だよ。僕は行くからね」
案内役の野党を先頭にして俺とハルヒコが後に続く。
『ここでさぁ』
「案内ご苦労だったな」
『じゃぁ』
「これで自由だ」
ゴッ
野党を一刀のもとで絶命させる。
「殺す必要あったんですか?」
「この時代で野党なんかやっている方が悪い。逃がした所でまっとうに生きられる環境なら最初からなってないだろ?」
「怖いですね」
「さ、行くぞ」
ゲラゲラと笑い声が漏れる洞窟へと足を踏み入れる。
見張りの一人も居ないなんてズサン過ぎるな。
ザッザッザッ
『ぐへへへへっ』
『オジキ、向こうの連中もそろそろ帰って来やすぜ』
『いつから居たんだがしらねぇが、この山をノコノコと越えようなんざ俺様達が許すわけねぇだろう』
『さすが、オジキですぜ』
岩陰から覗き込んで広間に十数人の野党がいる事を確認する。
「俺が注意を引く、お前は後ろから回りこめ」
「了解」
スッ
俺が松明を持って広間へと堂々と歩いていく。
影を利用してハルヒコが足音を立てずにリーダーらしき者の背後へと回る。
ガリガリガリガリ
斬馬刀を地面に引きずりながらワザと音を立てて注目を集める。
『誰だテメェ!』
『侵入者だ!!』
『こんな時に間抜けな野郎だぜ』
『全員武器を持て!!』
十数人の野党たちが武器を抜き構える。
「お前たちが何者か知らないが襲いかかってきたのだから反撃しに来た」
『つまり、テメェは部下が襲いに行った奴らか!?』
『50人で向かった筈だぞ』
『それを倒しただと!?馬鹿を言え』
「ここは安全じゃないからな・・・死んでもらう」
『たった1人で何がでぎぃ』
ブシュウウウ
奥で喋っていた奴が途中で事切れる。
「油断大敵ですよ」
『なっ!?オジキ!!!』
背後に回っていたハルヒコが殺した。
敵から目を離すとは所詮はこの程度か・・・・
ザンッ
近場にいた野党を切り殺す。
あっという間に俺とハルヒコで野党の集団を倒す。
懐から金目の物を奪って洞穴の外へと運び出す。
ボワァアアア
燃えるものを集めて野党の死体を焼く、あのまま放置していたら疫病を招きかねないからな。
「ここを俺たちの第一拠点にするか」
「血だらけですよ」
「幸い桶とかあるから水を運んで洗い流せばいいな」
「近くに川があって助かりますね」
洞穴の近くに川があり助かったというべきか。
ヒックヒック
気にしなかったが広間には奥へと続く道があり啜り無く声が微かに聞こえた。
「聞こえるか?」
「えぇ」
コクリッ
奥へと足音を立てずに進む。
ボワッ
松明の光が奥の道を照らす。
ヒックヒック
ボォ
道の奥には小さな空間が広がり十数名の人間が縄を巻かれて座らされていた。
老若男女関係ない用で捕まっていた様だ。
「おい」
『ひぃい』
近くの若い男に話しかけたら怖がられた。
「アオイさん、血だらけなんですから怖がられますよ」
「それもそうか」
俺やハルヒコは返り血を浴びている。
とりあえず縄を切ってやるか・・・
ザクザクッ
2人で縄を切る。
「どこへなりともいけ」
『野党じゃないのか?』
「俺達は襲われた側だ。今は野党を壊滅させたらから外は安全だ。逃げたければ逃げろ。行くぞ」
返り血を落とす為に川へと向かう。
バシャバシャバシャッ
「昔の僕じゃ考えられない事ですよ」
「ライトノベルの主人公も楽じゃないな」
高校生が唐突に異世界に召喚されていきなり戦える訳がないだろう・・・
「あの頃が懐かしく感じます」
「お前も45か」
「えぇ」
「そう考えると織田信長よりずいぶん年上なんだな」
「今の時代はどの程度なんですか?」
「たしか、今年あたりで織田信長が家督を受け継ぐはずなんだ」
「えっと18位の時でしたっけ?」
「記憶が正しければな」
「20未満の子供が家どころか国を背負うんですか」
「この時代じゃ15で元服・・・成人扱いだ」
「そうでしたね」
「行くか」
「えぇ」
あらかた血を洗い流したら洞窟へと戻る。
「アンタら、逃げなかったのか?」
『この夜じゃ出歩けねぇだよ』
『あんがとぉな』
『兄ちゃん達はお武家様の人でか?』
はて?
「忘れていたが俺達は若くみえるんだったな」
「忘れてましたよ・・・僕達は武士でもないですよ」
『ほんなら旅人か?』
「その様な物だ。お前達は何処に者だ?」
『オラ達は武田様が納める村人じゃぁ』
「ここは織田家の領地のはずだが」
『オラ達の村さ野党に襲われただ。ここに居る者意外がおっ死んじまっただ』
「つれて来られたという訳か」
『もうオラ達の住む村すらねぇだ・・・だから帰ぇれねぇよ』
「そうか」
『兄ちゃんらは何処へ向かっておるん?』
「特にはな」
目的地がここだったからな・・・
『助けてもらった所悪いんですが、暫くワシ等を匿って貰ってもえぇですか?』
「こんな所に武田の者がいたら困るんじゃないか?」
『本当に少しの間だけでえぇです。ワシ等にも考える時間を与えてくだせェ』
「あまり、食料とか分けてやれんぞ?俺たちも大所帯だからな」
『構わねぇです』
「とにかく暫くはいてもいいが、いづれ出て行ってもらうからな」
『へへぇ』
一旦、みんなの所に戻り事情を説明して洞窟を拠点にする事を決めた。
「この山の中は危険が多いな」
村の代表に来てもらい、情勢を聞くことにする。
『へぇ、この山一帯を野党共が牛耳っているんだべ。滅多に行商人達も通らねぇだ』
「織田軍は何をしているんだ?」
『野党程度で動かさねぇと思うだで』
「そうなのか?」
『野党がいる事で武田様も織田様も軍を出すのを躊躇っておるでの』
野党を放置しているのは進軍されない為の壁か・・・
「殺しちまったもんはしょうががないな」
『ワシ等にとってはありがてぇ事です。野党はどっちの領内に入っては村々を襲っていたのじゃ・・・この前がワシ等じゃった訳で』
「状況はわかった。戻ってもいいぞ」
『へぃ』
男を奥に帰して俺達は集まる。
「さて・・・今後どうするかだな・・・」
「ここに居ても何れはバレますね」
「早く安寧の地を探さないとな・・・」
「せめて家がある場所で過ごしたいわね。子供たちの教育に悪いし」
「だな・・・マザー」
《如何なされましたか?》
通信機を使ってマザーと通信をする。
「家を確保できそうな村や町はあるか?」
《少々お待ちください・・・・該当0件です。尾張領では人不足にはなっていない模様》
「そうか」
《どこかしらの武家に入るのが良さそうです》
「というと?」
《近々、尾張内で実力者を集う織田家御膳試合なる物が開かれる模様です》
「内容は?」
《裸一貫で対戦者を土俵の外に落とす戦いの模様》
「相撲か。勝利の褒美は?」
《織田家当主、織田上総介信長の家来になれます》
「ふぉおおお!ついにきたでござる!イベント発生で御座るな!!!」
「煩いぞ」
ゴスッ
テンションが上がっていた入江を久我が黙らせる。
「家来になった所じゃ俺達を受け入れられないだろう?」
21人を簡単に住まわせる場所を用意するのも一苦労しそうだ。
城主ならば簡単なんだろうが・・・一族までが限界だろう。
「とにかく家の確保が優先だな・・・俺とハルヒコでその試合にでるか。此処は任せてもいいか?」
「任せてくださいっすよ。今の俺達なら大軍じゃなければ負けないっすよ」
「任せて頂戴」
アキヒサとウミが答える。
朝を待ち、俺達は織田家御膳試合が開かれる那古屋城を目指した。
「いい子にしているんだぞ」
「うん」
「行ってらっしゃい、アナタ」
「行ってくるよ」
「パパ、頑張って」
「行ってらっしゃい」
リリィ、リン、ツヨシに一言挨拶を済ませて洞穴出て行く。
ハルヒコもウミとソラと挨拶をして出てくる。
「行くか。マザーナビゲーションを頼むぞ」
《畏まりました》
ナビゲーションマップを表示しながら俺達は山を降りる。
・・・
・・・・・・
ザワザワザワ
2週間を歩き通して俺達は織田信長が居城としている那古屋城の城下町へとたどり着いた。
さすが当主の住まう城下町だ、途中で立ち寄った町とは全然違う。
「活気がある町ですね」
「あぁ」
「注目されていますね」
「何処も同じだったろ」
この時代、外国人は珍しい。
俺の姿は和服を着ているが、日本人とはかけ離れた人種だ。
故に道行く人々は俺をみて驚く。
「僕も結構注目されていますね」
この時代の平均身長は150行くかどうか・・・180オーバーのハルヒコは俺ほどでは無いにしろ目立っている。
ザザザッ
『その方等、しばし待たれよ』
俺たちの背後から声を掛けてくる人物が現れた。
振り返ると上等そうな衣服をまとった人物が数名の武装した人物たちを引き連れている。
『貴様は南蛮から来た者だな!』
「いかにも?」
『何用があってこの城下町へ訪れたのだ!』
「織田家御前試合に出るためだが?」
『なっ!?南蛮人が織田様の元で働きたいと申すか!!』
「なにか問題でもあるか?聞くところによると出場資格は成人した者だけとしか聞き及んでいない。南蛮人が出場資格が無いならば儲けるべきであろう?」
『しばし待って貰えぬか!今、確認をする。それまで何もするでないぞ』
タッタッタッ
一人が城に向かって走っていく。
どうやら俺達は免れざる客という訳か?
・・・織田家当主織田信長の執政室にて・・・・・
『なに、南蛮人がワシの御前試合に出場したいと?』
『はっ!追い返しますか?』
『ハッハッハッハッ!良い、その南蛮人はどこにおる?』
『城下町の大通りにて待機させておりまする』
ガラッ
襖を開き城下町を眼下に収める。
『あの男たちであるか?』
『はっ』
『面白いのぅ。出場資格は成人した者であれば、老若男女たとえ南蛮人でも構わぬわ!そう伝えておけ』
『はっ!失礼します』
『して、その南蛮人なにか奇妙な武器は持っておったか?』
『背丈と同じ刃渡りはある肉厚の刀を持っておりました』
『目測でかまわぬ、背丈は何貫あるのじゃ?』
『大よそ7尺かと』
『なんと7尺(211cm)であるか!随分大柄の男じゃのぅ』
『もう一人は6尺(181cm)の日の本の者かと』
『もう一方も大きな男じゃな。その者は何を持っておった?』
『見たこともない装飾された刀・・・おそらく剣と呼ばれる物を2本携えておりました。一方は金、もう一方は銀の武器です』
『ほぅ、この時世に狙われやすい武器を持つか。面白い男たちじゃな。すぐに伝えよ』
『はっ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『資格有りと確認が取れた。出場するならば名前を聞いておこう』
「アオイ」
「天城晴彦と言います」
『あい分かった。御前試合は3日後に執り行われる。それまでに準備をし城門前まで来られてたし。この割符を門番に渡せばよい』
「あぁ」
「分かりました」
割符を受け取り、男達は去っていった。




