69話「無人島生活④-窯作り」.
ペタペタ
泥粘土を乾かした物に再び水を足して泥に戻して木の枠に流し込み長方形のブロック状に成形する作業をここ数日続けている。
「250個位は作ったわ」
「そろそろ窯作成に入るか」
砂浜で泥レンガブロックを乾かして固めたものを運び入れて土間に広めに長方形に積み上げていく。
ペタペタ
レンガとレンガの間に泥を挟み込みぐらつかない様に固定しつつ腰程まで高さを上げる。
「良く知っているわね?」
「未開拓惑星出身だと、こういった知識も必要だったからな」
文化レベルが中世時代だと民家にある窯は泥や土で作り上げた物が多い。
15歳まで育ててくれたアンナにつくり方まで教えてもらった知識の一つだ。
「後は火を入れてレンガ内の水分を一気に飛ばす」
ボッ
下から火種を入れて燃料である乾いた枝を投入していく。
「火力が足りんな」
「そう?」
「弱い火力だとレンガ内の水分が飛びきらないから脆くなるそうだ・・・もっと燃料が必要だな」
最近手に入れた尾翼の破片を見る。
コイツはアダマンタイト製で様々な場面で使える。
枝で持ち手を作り即席の斧にする。
「フンッ!」
バキィ
一撃で幹が破壊し倒れていく。
素手でも2発以上は殴らないといけない所を一撃か・・・
「フッ」
バキャッ
丸太を短い間隔で切断し、幾本もの薪を作り出す。
「呆れるほど凄いわね」
レーズンを撫でながら俺の行動を見ているリリィ。
「道具があると無いとでは違うな」
素手でやると切り口も雑だったが尾翼斧でやると綺麗な物だ。
「火力を上げるぞ」
作り出した薪を投入する・・・
「中々燃えないな・・・」
火力は上がらなかった。
「さっきまで木だったからじゃない?」
「なるほど」
生木を薪の状態にした所で木自体に水分が含まれていて燃えにくい様だ。
一旦、火を消して後日に回すことにしよう。
2人で薪を海岸に運んで日干しにする。
・・・
舞いきり式火起こし器でも作ってみるか。
毎回俺が木のみを使った物で火を起こしている。
流石に面倒になってきたし次の段階に進んでも良いだろうしな。
舞いきり式とは、重しを木の棒に嵌め込み、更に木の板の両端に紐の両端をくっ付けて木の板の中心に穴を開けて棒に差し込む。紐の中心点を棒の上部に固定し紐を数度巻いた物だ。
木の板を下に降ろすと巻いた紐が木の棒を回転させ始める、更に重しが回転を加速させて紐を逆巻きにして木の板は上に持ち上がり再び下に降ろすことよって時計回りと半時計回りを延々と繰り返す。
重しが木の棒と摩擦部分を抑えてくれるから一石二鳥という訳だ。
今までは重しに使える物が無かったから作らなかったが、石器を作れるようになれば実用化できる。
板も尾翼斧で丸太から作り出せるようになった。
リリィには泥粘土で円盤を数個程作ってもらう様に言って、俺は尾翼斧で木を切り出して厚さ2cm程の板を作り出す。
何時まで土の上で寝るのは嫌だしな。
寝室に板を敷き詰めて行き、文化レベルを少しだけ上げる。
「靴は脱いだほうがいいかしら?」
「土で汚したくないしな」
板の間となった寝室では靴を脱ぐルールを作る。
コンコンッ
数日間干して薪の水分を飛ばし、窯作成の最終段階に移行する。
ボッ
火種から火を大きくして乾かした薪を入れて火力を高める。
「「せーの」」
薪を乾かしている間に木の枝を骨組みにして泥粘土で周囲を固めた窯の上部を覆う蓋を作り出していた。
ゴッ
窯に蓋が乗せられて、更に蓋と窯の密閉率を高める為に泥粘土で隙間を埋めていく。
ボォオオ
「コレもね」
薪を入れる場所を隠す為の木の板に泥粘土で加工を施した物で蓋をする。
空気取り入れ口以外を極力密閉させて熱を窯全体にいき渡らせる。
上部の蓋には予め2つ横に並ぶ様に円形の穴を開けており、ソコから追加の薪を投入して火力を維持する。
「ずいぶん文明的になったわね」
「そうだな」
何時間も掛けてじっくりと熱を通して窯を完成させる。
ログハウス、石釜と生活が充実してくる。
「次はベット作りか」
「別に床でもいいわよ」
寝室にはボアの毛皮を敷いた物のみでその上に寝転んで眠っているだけだ。
「他に何が必要だろうな」
まだ、必要な物はありそうだが最低限必要な物は作りだしていると思う。
「あの乾燥させた薬草はどうするの?」
「あぁ、そうだな」
時間が有るときに薬草を採取し、倉庫に入れてある。
中には殺菌作用のある薬草もありボアの肉に貼り付けて腐らせる事を遅らせている。
「明日、土器を焼く為の窯を作ったら本格的に動こうと思う」
「ソレじゃないの?」
「これは料理用の釜だ」
レンガをたくさん作った理由が2種類の窯を作り出す為だった。
・・・
よし、こっちも完成だな。
俺とリリィで土器用の釜を作り上げて火を入れる。
土器制作の方は密閉空間を強くするため、中からも泥粘土でレンガをしっかり覆う。
「かなりの高温だな」
【1,000度】
鑑定が中の温度を伝えてくれる。
「こっちも出来てきたわ」
形は歪だがリリィには皿や壷など日常で使えそうな物を作ってもらっている。
「一次乾燥後に入れてみるか」
水分が多く含まれた土器を今の窯に入れたら水分が内部で蒸発し土器の中がボロボロとなり割れてしまうだろう。
一度、自然乾燥させた後に入れるべきだ。
テストとして以前リリィに作ってもらった円盤土器を窯に入れてある。
・・・
・・・・・・
「6枚中2枚は駄目になったか」
1時間の焼きを行い、中の土器を確認したが2枚割れていた。
コンコンッ
完全に水分が飛び乾いた音が返ってくる。
「これで楽になるな」
「結局なんだったの?」
何も教えていないからリリィが首を傾げている。
「これに使うんだ、見た事あるか?」
土器の完成待ちだった舞いきり式火起こし器を見せる。
「えぇ、あるわ」
「使い方はこうだな」
土器を棒に差込み火起こしをしてみる。
シュッシュッシュッ
モワモワ
あっという間に煙が摩擦箇所から出てきた。
「面白そうね。私もやりたいわ」
「あぁ」
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ
ボワッ
火起こしが苦手だったリリィですら直ぐに出来た。
「これなら簡単ね」
「コレがあれば俺が居なくても火を起こせるだろ?」
「ありがたいわ」
俺が遠出しているとき、リリィしか家に居なかった場合は種火を消さないように注意を払って生活をしている時もあったが、コレさえあれば火種の心配は要らない。
・・・
・・・・・・
「何個か割れちまったか」
「残念ね」
土器を焼き上げてみるも殆どが割れてしまっていた。
コンコンッ
バキィ
一見、問題なさそうだと思ったが叩いたら割れてしまうものも沢山あった。
「いろいろとテストしないとな」
「沢山作るわ」
「俺も手伝うぞ」
「アオイは泥粘土を沢山取ってきて、あとワニもね」
「分かったよ」
リリィが泥粘土で土器を作っている間は俺が土器の材料となる泥粘土を取りに行っている。
採取中にクロコダインに襲われる事もしばしばあり鰐皮も集まってきている。
どうやらリリィは鰐皮の防具を作っているようだ。
俺が川上の湖でワニと戦闘しつつ泥粘土を採取し、リリィは土器作りに精をだしている。
テスト用も兼ねて沢山の土器を作り出した。
「燃料調整も必要なのかもしれないな」
温度が高すぎて割れてしまうのか?
こんどは中の様子も伺いながら焼いてみる。
【600度】
・・・
今度は低すぎたか?
温度が低かったのか表面の水分が抜けて硬くなったが内側の水分が残っている様で脆い。
【800度】
ううむ?
水分は抜けきっている用だがやはり脆い・・・別の要素かもしれない。
「アオイ、これも割れたわ」
火おこし器に使用した土器も半分に割れてしまっていた。
「材料が泥粘土じゃ駄目なのかもしれないな」
温度でなければ、土器の素材から見直さないと駄目のようだ。
森の土、川辺の土、湖付近の土、バナナ園の土、砂と様々なところから素材を持ってきて水を含ませて土器を作る。
森の土・・・どの温度でも割れる。
川辺の土・・・土器の形にすらならず。
湖付近の土・・・どの温度でも割れる。
バナナ園の土・・・どの温度でも割れる。
砂・・・土器の形にすらならず。
1ヶ月間試してようやく土器が土器として形を保っていられる組み合わせを発見をした。
ベースは泥粘土、1割森の土と砂を混ぜて1週間以上乾かす期間を設ける。
水分を極力抜けさせないと焼いている途中で内部崩壊が起こっていしまう要因となっていた。
釜の温度は600度で仮焼き、温度を最大火力である1,000度で本焼きをする事で割れづらくなる。
土と砂に含まれているガラス結晶が溶けて土器をより強固にする事が分かった。
「ようやく、ヤシの実食器はお役御免となったか」
ずっと食器としてヤシの実を半分にした物を使用していたが土器の完成でその役目を果たしたようだ。
「それは何?」
食器の他に生活に欠かせない物を作り出した。
一つは細長く深い溝が掘られている薬研、薬草をすり潰す為の車輪に太い枝を通したもの。
ゴロゴロゴロ
薬研の中で車輪が上手く回っていることを確認する。
薬草を粉末状に粉砕する道具も作り出していた訳だ。
「薬研といった道具だ。この中に乾燥させた薬草を入れて粉末状にする。水を加えればペースト状になる、湯煎すればお茶も飲めるようになるぞ」
「嗜好品かしら?」
ずっと水かココナッツミルクのどちらしか飲めないこの島で3つ目の飲み物はありがたい話だ。
「薬草茶になるから、苦いと思うがな」
「えぇ~」
「中には疲労回復も見込めそうな物もあるしメリットはあるんだぞ?」
「苦味が抑えられたお茶がいいわ」
「・・・どこかしらそう言った葉はあるだろうが後でな」
「分かったわ。土器はこれで足りたかしら?」
「土器レンガを作り出してくれないか?」
「土器レンガ?」
「そろそろ、泥レンガ窯が悲鳴をあげている頃だ。土器レンガでなら耐火制も上がるだろう」
「確かに・・・分かったわ」
リリィには土器レンガ制作に携わってもらう・・・所詮泥レンガでは耐久性が弱いのだ。
1ヶ月使ってみた泥レンガ窯であるログハウスの窯もボロボロになりつつある。
ガラガラガラッ
ログハウス内で薬草の粉末化を勤しんでいたら外で崩れるような音が聞こえてきた。
「壊れてしまったわ」
外にでると、泥レンガ窯が形を保てず崩れていた。
「土器レンガは?」
「十分に作れたわ」
日に日に数を増やしていった土器レンガのブロックが家の隣に積み上げられている。
「これで、土器レンガ窯を作り直すぞ。ブレッド、パンも手伝ってくれ」
ミィャ
土器車輪を作り出し、小さいながら台車を既に作っていた。
ブレッドとパンの首元に紐を回して、その先に台車を取り付ける。
台車の上には小さなカゴを乗せて、崩れた窯の残骸を入れていく。
ズシッ
俺とリリィ、ブレッドとパンで川辺へと運んでいく。
ガタガタガタ
「悪路だと上手く運び出せないな」
台車がガタガタと揺れて乗せてあるカゴが不安定である。
「でも便利よね」
「せめて、川辺と砂浜までの道を整備できればな」
「限界があるわよね・・・コンクリートを作るにしても材料も時間も足りないわ」
「こればかりは仕方ないか」
時間に余裕があれば良いのだが俺達にそこまでの余裕はない。
・・・
「土器窯の完成したな」
「私の方も完成したわ。着てみて」
土器窯を作り出している間、リリィはワニ革の防具制作が終えた様だ。
ズシッ
ボアの毛皮の上に重ね着してみるが流石に鱗があるぶんずっしりと重い。
「ちょっと試しに・・・はっ!」
牙槍で俺に攻撃を仕掛けてくるリリィ。
ギッ
「危ないだろう?」
牙槍はワニ皮のベストによって止まっている。
リリィの攻撃力でも貫通はしなかったようだ。
「本当に大丈夫か試したかったのよ。これでボア戦も安心できるわ・・・あなたはいつも素手で戦うんですもの」
「それは心配させたな」
油断しなければボワやワニ戦は問題ない・・・リリィは油断した際の保険が欲しかったのだろう。
ここに来て、俺やリリィの攻撃力や防御力について考え直してみたが普段の行動ではその力を発揮しないようだ。
でなければあらゆる物がどんどん壊れていく力を持っていることになるからな。
あくまでも攻撃、防御の意思がなければ反映されないようだ・・・
先ほどの突きもヒヤヒヤしたがちゃんと俺の防御力が上乗せされて防いでくれた。
逆にレーズンと戯れている時、引っかかれたり噛まれた場合は怪我をする。
・・・
ゴリゴリゴリ
「これくらいの細かさで良いのかしら?」
「そうだな」
リリィに薬研で乾燥させた薬草を粉末にさせている間に俺は各種粉末にした薬草を薬として昇華させる作業をしている。
・頭痛薬
頭の痛みを緩和する。
・解熱薬
発熱の痛みを緩和する。
・胃腸薬
消化器官の機能を整える。
・切り傷薬
切り傷に塗る事で直りを早くする。
・解毒薬
毒性物質の中和が出来るが強力なのは解毒不可。
・止血薬
血液の凝固作用を促進させて出血多量を防ぐ。
カポッ
「こんな物だろう」
リリィに薬の効果を説明しながら、土器で作った器に入れて棚に置く。
「薬なら何でも作れるの?」
「簡単な物ならな。漢方薬程度だから絶対ではないぞ?」
「なら・・・アレ作れる?」
「アレ?」
「そのね?生理痛が」
「あぁ」
何ヶ月も一緒に居ればリリィの周期も分かってしまうのも無理はない。
「効果があるか分からないが作ってみる」
「ありがとう」
そろそろだったか・・・
俺は湖に生理通に効きそうな効果がある薬草を採取しに向かう。
・レモングラス
血行促進の効果有り。
レモンの香りがする。
関係ないが、ハーブティーとして使えそうだな。
・ペパーミント
鎮静効果がある。
鎮静か・・・痛み止めになるか?
とりあえず、それらしき物は見つからなかったがこの2つを持ち帰ってみた。
「レモンの凄い香りね」
「ハーブティーを作ってみたんだ。乾燥させてないから成分が出たかは分からんが」
「香りだけでも楽しませてもらうわ」
ズズッ
レモングラスティーを飲んでみる。
香りはレモンだが味は殆ど無いに近い。
「ペパーミントもあるぞ」
「入れるの?」
「そのまま食べる」
「口の中がミントの香りが広がったわ・・・でもレモンとミントは合わないわ」
「どっちとも香りが強いからな」
・・・
「生理痛が来ないのよ」
「来ない?」
「生理は来ているんだけど痛くないの」
「ペパーミントの鎮痛効果か?」
「そうなの?」
「そういった効果が有るらしいからな・・・」
「有難う」
「男の俺に気軽に相談できる物じゃないだろ?」
「アナタだからよ。何でも出来るから頼りにしてるんだからね。次々に便利な道具も作り出すしね」
どうやら頼られているようだ。
俺の持っている知識は多岐に渡るからな・・・そのお陰で助かっているわけだ。
・・・
ふぅ
日課になっている夜の風呂だ。
「そろそろ変え時だな」
何も加工もしていない丸太で作り出した壁は雨風の影響でボロボロになっている。
いつ崩れてもおかしくはない状態だ。
その内、土器レンガの壁でも作るか・・・
ギィイ
ん?
背後の扉から開く音が聞こえてブレッドでも入ってきたのかと思い視線を向ける。
んん?
「どうした?」
「その、日頃の感謝を込めて背中を流しに来たの」
リリィが恥ずかしそうに扉の前に立っていた。
ヤシの繊維タオルで体を隠しているが月明かりでハッキリ体のラインが見えてしまっている。
ハイホビットに進化した体は全体的に色白で艶やかだ。幼児体型だった体は大人の女に成長し、みずみずしい健康な体が表れふっくらしたやわらかみを帯びている。
月明かりに照らされたロングのブロンドヘアーがキラキラと輝き、俺を見る目は恥ずかしさで潤んでいる。
「そうか」
ザバァ
「ちょ、隠してよ」
「お互いそんな歳じゃないだろうに?」
外見は20代後半だが中身は60のオッサンだぞ・・・お前も少女のような歳じゃないだろうしな。
「昔のアナタだったらね。今はその・・・カッコイイから」
「なんだ?」
「いいから、背中を向けて頂戴」
「ん」
温泉の淵に腰掛けてリリィに背中を向ける。
ここでヤンデレ系だったらヒロインにグサリだな。
ゴシゴシッ
以外に力強く背中をタオルで擦り始めた。
(大きい背中・・・)
「ふっ・・・・んっ」
力を入れる度に吐息が首筋を通りくすぐったく感じる。
「もう十分じゃないか?」
10分間も丹念に背中と腕の汚れを落として貰った。
「ちょっと、見ないで」
「悪い」
「もぅ」
ザバァ
温泉のお湯が肩から掛けられる。
「もう、良いわ」
ザブッ
暖かい温泉に方まで浸かる。
チャプッ
一人分くらい開けた所にリリィが身体を洗って温泉に入ってくる。
「ありがとうな」
「言ったでしょ日頃の感謝だって」
「そうだったな・・・」
「ねぇ・・・アオイは何を考えているの?」
「いろんな事を考えているぞ」
「例えば?」
「生活基盤をどうやって上げるかとかな」
「その先は?」
「アイツ等が無事見つけてくれるのを待つばかりだな」
「もしも、もしの話なんだけど何年も何十年も待つことになったら、どうするつもり?」
「そうだな・・・お前と一緒に何十年も暮らし続けてるんだから結婚したも同然だな」
ドキッ
「それって」
「悪い、気を悪くしただろう?」
(そんな事は無い・・・)
「気にするな・・・俺は先に出る」
「あっ・・・」
ザバァアア
俺は赤面するリリィを後に出る。
ミヤァ
「なんでここに居るんだ?」
ブレッドとパンの2頭が温泉の外で伏せていた。
「もう少ししたらリリィも出てくるから待ってろよな」
2頭の頭を撫でてログハウスへと戻る。
「鈍感・・・アピールが足りないのかしらね?」
一人取り残されたリリィは温泉に顔半分まで浸かり不機嫌になっていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「土器が充実してきたな」
「そうね」
土器が作れるようになり生活水準がグッと上がってきた。
「最近寒くなって来てない?」
「たしかに」
この島に来てから半年以上は過ごしている・・・常に暖かいかと思いきや肌寒くなり始めた。
「秋になりつつあるのか?」
「冬は勘弁して欲しいわね・・・暖房に対してなにも準備してないわ」
ログハウスは素人が作っており熱が逃げ放題だ・・・冬が来ようものなら凍死すらありえる。
「今からレンガの家を作っていても材料も時間も人員も足りないから間に合わない。少しでも隙間風が入らない様に泥粘土で囲おうか」
「そうね」
泥粘土を大量に運び入れてログハウスの壁に泥粘土を塗り、丸太と丸太の間に存在する隙間を埋めていく作業を延々と進める。
作業を開始してから数日が経過し寒さが増していった。
ガチガチガチガチッ
「寒い・・・わ」
「あぁ」
1ヶ月前までは暖かい島だったが本格的に寒くなり初めて周囲の木も枯れて来はじめていた。
流石に環境適性能力があっても寒さまでは耐えてくれそうにない。
家の隙間をなるべく塞いではいるが、屋根の部分がまだで熱が抜け始めている。
「私達、このままで大丈夫かしら?」
「火の前にいれば何とかなるだろうが・・・火が消えたらもっと寒いだろう」
「これから冷え込むのかしらね?」
「何かしら対策を立てないとな」
昼間は日があるから寒くは無いが夜になると急激に冷え込んでくる。
「そっちに寄ってもいいかしら?」
「あぁ、火に近づかないとな」
「そうじゃなくてね」
リリィが立ち上がって俺の前に座り背中を預けてきた。
「この方が寒くないわ」
「う、うん」
俺はリリィの体温を感じながら包み込むように座っている。
「毛皮布団がもっと必要ね」
「あぁ」
「アオイは暖かいわ」
「リリィもな」
互いに温め合い俺達は自然と眠りに付いた。
・・・
「・・・」
朝起きていたら互いに向かい合って寝ていた。
視線を下にズラすと可愛らしいリリィの顔が寝息を立てている。
「起こすのは無粋だな」
朝も寒いし暫くこのままの状態でいるか・・・役得だしな。
「んぅ」
朝日が昇り初めた頃にリリィが目を覚まし始めた。
「おはよう」
「おはよう・・・え?」
リリィが予想以上に俺たちの距離が近い事に驚き顔が赤くなる。
「もう大丈夫か?」
「え、えぇ」
赤くなりながらもそそくさと体を離すリリィ。
「この方法なら凍死せずに済むな」
「でも・・・嫌じゃない?」
「何を言ってるんだ?お前見たいな美人と一緒に寝れて嫌がる男がいるとでも?」
「それって?」
「さ、耐寒について考えるか」
(もぅ!)
暫くは互いに抱き合いながら眠ることになりそうだが致し方ないな。
本格的に冬が到来する前に耐寒装備を整えないと温め合っているだけの対策じゃ死ぬ。
お疲れ様でした。




