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59話「勇者召喚」

「ジャンプドライブ起動まで3・・2・・1。ジャンプします」


ブゥウウン


これで5度目のジャンプだ・・・距離にして5万光年進んだ事になる。


スールン星系では宇宙海賊が現れない所を見ると治安が維持されている証拠である。


たまに襲われるが俺達の艦相手では返り討ちにあわせている。


「5日間は篭るからな」

「また、鉱山ですかな?」

「あぁ」


5日間のジャンプドライブ再使用時間が発生し時間の有効活用する為に鉱山で鉱石掘りをしている。


コレには訳があり俺のステータス上昇は肉体レベル、職業レベル共にカンストしてしまったからだ。

残っている物が裁縫師・薬剤師・木工師・採掘師の4つを強化する事にした。

採掘師はリウイから、薬剤師はスターニアから教わることにしている。


カァンカァン


「調子はどぅでぇい?」

「スキルレベルは中々上がらないな」

「生産系はそもそも上がりづらい傾向にあるからのぅ。オレも若い頃は滅茶苦茶掘ったからなぁ」

「何年位だ?」

「ざっと30年間、色んな鉱石を掘りまくったの」

「30は長いな・・・」

「じゃが、オッサンは要領が良いからの」

「他のスキルとの併用しているからな」


鑑定で採掘ポイントを見極めて探す手間を極力落とし、装備強化でピッケルを強化している。


「どの程度上がったのじゃ?」

「採掘師10、採掘速度上昇はLv3って所だな」

「もうレベルが上がったのか」

「早いのか?」

「たったの数日だけでLv1上がるだけで大したものじゃ。ココが良い場所なのかもしれんな」


迷宮の採掘ポイントと自然の採掘ポイントでは経験値が違うのかもしれないな。


「心なしかピッケルの振る速度が上がった感じだしな」

「採掘速度上昇はそういう効果じゃしな」

「ストックはどの位あるんだ?」

「銅は800t、鉄は300t、銀は100t、金は50t、ミスリルは30t、アダマンタイト10t、オリハルコンは500kgじゃな」

「そろそろ銀や金を掘るか」

「そうじゃな。同じ鉱石を掘り続けても経験値は入らなくなるしの」

「そこはゲームゆずりなんだな」

「雑魚敵を倒し続けてもLvが上がらない原理と一緒じゃよ」


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


コンコン


「スターニア、居るか?」

「ちょっと待ってくださぁい」


午後で切り上げて隣の森林エリアにあるスターニアの住まいにやってきた。

専用の船員室もあるのだが森の中の方が住みやすいそうだ。リウイも鉱山近くに小屋を建てて生活している。

2人の住居は俺の木工師の経験値とするべく率先的にやらせてもらった。


ガチャッ


「お待たせなのですよ。今日もですかぁ?」

「あぁ、頼むぞ」

「入ってくださいのですよ」


中に入るとガラス瓶で埋め尽くされている研究部屋だ。


現在スターニアは錬金術についての研究している為に色々と実験している為に格好も研究員に相応しく髪の毛が入らない様に帽子、薬品が顔にかからないようにゴーグルとマスク、服は溶液がかかっても溶けない特殊防護服、ゴム手袋という完全装備だ。


俺も最初はそういう格好をした方が良いのか聞いてみたが薬剤師では高度な薬は作れないらしい。


「では、おさらいをするのですよ。この中で毒性のある物を見つけてくださぁい」


テーブルには様々な草が並べられている。

中には雑草でしかないフェイクもある。


「これだな・・・トリカブトなんか入れるなよ」

「簡単すぎましたねぇ。では、麻痺性の物はありますかぁ?」

「日々草だな」

「残念、コレは中枢神経刺激作用のある草ですよぉ」

「危険な草いれるなよ・・・痙攣も麻痺の一つだろう」

「アオイさんがちゃんと見極められるかが大事なのですよぉ。薬剤も調薬も素材を間違って入れてしまえば殺してしまう事だってあるんですからねぇ」

「鑑定持ちの俺に言うか?」

「鑑定したとしても間違った認識をしてしまったら大変なのですよぉ」

「なんどかやった事あるな?」

「ギクッ」


あまりにも熱心に言うから過去にやった事があるようだ。


「アレはちゃんと対処できましたからノーカンなのですよ」

「まぁ、失敗談は後で聞くとして薬剤に入るとする」

「では、乾燥させた薬草類を粉末状にするのですよ。因みに乾燥させるにはどういった効果があるかご存知ですかぁ?」

「薬草内にある効用を凝縮する効果がある」

「正解なのですよ。乾燥させて効力を高めるの理由があるのですよ。では、なぜ手で一々粉々にする必要があると思いますかぁ?」


ゴトリッ


薬研やげんをスターニアが机に置く。


「薬の効果を落とさない為だな。機械だと力加減が出来ずに潰してしまう」

「その通りです。ですから薬剤師や調薬師は苦労するのですよぉ」


サラサラサラサラ


乾燥させた薬草を細かくナイフでカットして薬研やげんの中へと入れる。


ゴリゴリゴリゴリ


重い石の輪を奥へ手前へと回転させて粉々にしていく。


・薬草の粉薬

 最も簡単に作れる薬。

 対象の総体力を3%回復する。


粉薬が完成した。


「ここまでが初歩の薬ですねぇ。ここに一手間を掛けるのですよ」

「まだ、この先があるのか?」

「もちろん、あるのですよ。粉末状になった薬草を少量熱湯に溶かします」


・薬草茶

 最も簡単に作れる飲み薬。

 対象の総体力を4%回復する。


「こんな簡単な事でか」

「戦闘中に熱湯は沸かせないので生活時に活躍しますよぉ。とっても苦いですけどね」


 ズズッ


「確かに」


飲んでみると薬用成分が溶け出していると同時に苦味成分も出ているようだ。


「この溶けた液体をすり鉢に入れて、粉になった薬草の残りを入れて混ぜてください」

「あ、あぁ」


ゴリゴリゴリゴリ


水分と薬草の粉末が混ざり合い玉になっていく。


「均等に混ぜ終わりましたらコレを入れるのですよ」

「コレは?」

「私謹製の結合剤なのですよ。薬草同士の結合力を更に増すのです」


白い粉を入れると余分な水分が飛び丸い玉が出来上がった。


・薬草の丸薬

 対象の総体力を5%回復する。



初級体力回復ポーションと同じ回復量だと。


「といっても薬剤ではここまでが限界なんですよぉ。後は応用なんですけれど追々教える事にしますねぇ」

「あぁ。俺はこれを作り続けるよ」

「レベルが上がらなくなったら応用を作りましょう。結合剤のつくり方も教えますよぉ」

「わかった」


今日一日で薬草から粉薬、飲み薬、丸薬を作り続ける。


・・・


・・・・・・


幾数度のジャンプを繰り返し、その度に2つの職業を育てた。


採掘師と薬剤師のレベル20になった。


薬剤師は新たに結合剤、裂傷回復丸(小)、毒回復丸(小)、麻痺回復丸(小)、石化回復丸(小)、火傷回復丸(小)の制作が出来るようになった。

採掘師は採掘速度上昇以外のスキルはなさそうだ。


「今日はコレまでにしましょうかぁ?」

「そうだな」

「お腹が空きましたねぇ」

「食堂に行くか」

「そうしましょう」


俺たちは研究所隅にある転移魔法陣から食堂の転移魔法陣へ転移する。


フッ


「あれぇ、アオイさぁん?」


食堂に現れたのはスターニアだけだった。


「スターニア如何したの?」


食堂で食事をしていたキャメリアが不思議そうな顔をする。


「先にアオイさんが来ませんでしたか?」

「来てないよ?今日は修行って奴だよね?」

「はい。今日は終わりにして一緒に食べに来たんですけどねぇ・・・なんで来てないのかしらぁ?」

「転移魔法陣の誤作動じゃない?何処かのエリアに飛ばされちゃったんでしょ?」

「暫く待ってみますかぁ」


この時、アオイが何処かに飛ばされて艦内の何処にも居なかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここは何処だ?


足元を見れば赤く光る魔法陣が浮かび上がっている。


確かに転移魔法陣に乗り、食堂に転移した筈なんだが・・・・


視界に写るのは気絶したヒューマンが3人。


少年が2人、少女が1人。


服装からして高校生の格好をしている。


「鑑定」


【鑑定】

 名前:天城晴彦アマギ ハルヒコ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業①:勇者(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 攻撃力:2

 防御力:2

 各種装備品:高校ジャケット、高校のYシャツ、高校のズボン、革靴、腕時計、スマートフォン

 所有スキル:異世界翻訳(日本語、XXX)

 状態:健康、昏倒、隷属(プロジット王位継承者)


【鑑定】

 名前:陸奥秋久ムツ アキヒサ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業①:賢者(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 攻撃力:2

 防御力:2

 各種装備品:高校ジャケット、高校のYシャツ、高校のズボン、靴下、革靴、スマートフォン

 所有スキル:異世界翻訳(日本語、XXX)

 状態:健康、昏倒、隷属(プロジット王位継承者)


【鑑定】

 名前:夏風海ナツカゼ ウミ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業①:聖女(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 攻撃力:2

 防御力:2

 各種装備品:高校ジャケット、高校のYシャツ、高校のスカート、靴下、革靴、スマートフォン

 所有スキル:異世界翻訳(日本語、XXX)

 状態:健康、昏倒、隷属(プロジット王位継承者)


「これは・・・勇者召喚ってやつか?」


異世界召喚物のライトノベルに出てくる勇者、賢者、聖女の典型的な組み合わせだ・・・が、隷属?


なぜ、3人は隷属させられている?


いや、俺もだろう・・・この魔法陣を解析。


・勇者召喚の魔法陣

 異世界から適正値の高い勇者候補を3名選び召喚するもの。

 召喚された者は召喚者あるいは召喚に関わるグループに隷属する。

 召喚には魔力が大量に所有している人物を捧げる必要がある。

  


・隷属(プロジット王位継承者)

 プロジット王位継承者の願いを叶えない限り隷属は解除されない。

 願い(魔王討伐)



なんて残酷な召喚魔法陣なんだろうか・・・


コイツ等を召喚する為に誰かが命を捨てなくてはならなかったようだ。


『ん・・・』


どうやら目覚め始めたようだ。


『ここは・・・』


『何処?』


キョロキョロと3人は辺りの様子を伺い俺と目が合ってギョッとする。


『アナタは?』

『ここは何処なんだ?』

『一体何が?』


黒髪の小年が俺に誰なのか問いかけ。

茶髪の小年が俺に何処なのか問いかけ。

ロングヘアーの少女が俺に何なのかと状況を問いかけ。


ギィイイイイ


答える前に両扉が開いて豪奢なドレスを身に纏った金髪碧眼の少女が姿を現した。

背後には女騎士と杖を持った老人が控えている。


『××××××××!××××?』

『え?勇者?』

『俺たちが!?』

『でも4人って?』


俺には分からない言語だが、3人には聞き取れているようだ。


さすが異世界翻訳スキルだ・・・チート過ぎるだろう。


『××××××××!!』


少女が困った顔をして背後の老人に話しかけている。


老人も予想外の事で困った顔をしている。


女騎士だけが俺たちに警戒を解かずジッと見ている。


『×××××・・・××××××××!』


なんとか、表情を笑顔に戻して少女は俺たちに話しかけている。


『説明は王様がするようだね』

『取り敢えずついて行ってみるっきゃねぇかぁ』

『あの・・・貴方も』


少年2人が先に進み、少女が俺に振り返り声を掛けてくれる。


スッ


立ち上がって少女の後ろについていく様に歩き出す。


・・・


静粛な廊下を歩くこと10分程度で大きな扉の前へとやって来る。


『××××!』


ギィイイイイイイ


ドレスの少女が一言声を上げると大きな両扉が開かれていった。


視界に広がるのは広大な空間、煌びやかなシャンデリア、真っ直ぐに伸びた赤き絨毯、左右を埋め尽くすのはいい素材で作られたであろう生地の服を纏った人々、フルプレートアーマーに身を包んだ近衛兵達がハルバート片手に等間隔で並んでいる。


どう見ても謁見の間にしか見えないな。


『×××!』


ドレスの少女が振り向き何かを言って歩き出す。


俺達もまたついて行く形で赤い絨毯を歩く。


『×××・・・・×××××』


ドレスの少女が頭を垂れる。


奥には如何にも王様という風貌の男が座っていた。


大体歳は俺と同じ位だろう・・・


『××××!××××××××!!』


『え?歓迎』

『俺達がか!?』

『映画の中みたい』


王様が立ち上がり何かを言いバサッとマントを翻す。


それに3人の少年少女達が反応する。


『××××?』

『やっぱり4人がマズイらしい』

『よくある勇者召喚じゃ、どう考えても俺等の誰かだよな?』

『じゃぁ』


3人の視線が俺に突き刺さる。


日本語で話している3人からの情報によると、勇者召喚は本来3人までなのだろう・・・そこに4人目の俺が紛れ込んでいる事が変な事になっているらしい。


『××××××××××××』

『ステータスの確認ってなんだろう?』

『きっと鑑定の魔導具って奴だな』

『映画のセットじゃないの?』


ガラガラガラ


謁見の間に台座に乗せられた人ほど大きい水晶玉が運ばれてきた。


『××××××』

『コレに手を触れれば分かるの?』

『鑑定系の魔導具の形は色んなのがあるけど球体は良く出てくる』

『ハルヒコがやるの?』

『まぁね』


ピトッ


パァアアアア


水晶玉が光輝き天城晴彦のステータスが浮かび上がる。


【鑑定】

 名前:天城春彦アマギ ハルヒコ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業:勇者(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 状態:健康


オオォオオオ


会場から歓声が上がる。


更に陸奥秋久と夏風海も水晶玉触れる。


【鑑定】

 名前:陸奥秋久ムツ アキヒサ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業:賢者(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 状態:健康


【鑑定】

 名前:夏風海ナツカゼ ウミ

 レベル:1

 種族:ヒューマン

 職業:聖女(Lv1)

 体力:100/100

 魔力:50/50

 状態:健康


2人のステータスも大よそ予想通りといった形で会場が沸き立つ。


最後に俺の番となった訳だが・・・


スッ


「斬糸」


ヒュオッ


目に見えない速度で水晶玉を斬糸で斬りつける。


ズズズズズズッ


バキャァアアン


水晶玉は手が触れる前に自壊し崩れ去った。


『×××!×××××××××!』


王様らしき人物はその光景に驚きながらも冷静に片付けさせ始める。


『×××!』

『××××××!』


ドレスの少女が俺達に声を掛けて退室するよう促される。


『なんで?』

『今、何か見えたような?』

『とにかく出ましょう』


3人がドレスの少女に着いていく形で出て行く。


チラッ


謁見の間から出る祭に崩れた鑑定水晶を見てから一緒に出て行く。


『×××××××××』


ドレスの少女によって俺達は応接室のような広い場所に案内された。


長いソファーに3人が固まるように座って、俺はドッカリと対面のソファーに独占する形で座らせてもらった。


『一体、何がなんだか分からないよ。アキヒサは何か分かるかい?』

『この展開はまさしく召喚する人数は3人だった。けど、不具合で4人目も連れてきてしまった展開だぜ!でも、普通は俺たちの近くに居た生徒とかなんだけどこんなオッサンは居なかったしな?』

『ちょっと、失礼でしょ!』

『別に俺達の言葉は分かってねぇだろ?どう見ても外国人のオッサンなんだしよ』


相手の事を知らないが故の過ちだろう。

それにしてもアキヒサという少年はこう言った展開について詳しいな・・・


『それで、僕達はこれからどうなる展開なの?』

『王道ファンタジーの展開的にもう一度王様に呼ばれて、なんで召喚したのかが説明されるぜ。そんで復活した魔王から救ってくれ~と言われるに違いない』

『ド○クエ的な?』

『そういう感じだ。俺は賢者。ハルヒコは勇者、ウミは聖女だから。すでに勇者パーティーは揃っているもんだな』

『酒場とかで仲間集めは?』

『要らないんじゃないか?』

『でも、私達はLv1なんでしょ?弱いって事じゃない?』

『潜在能力が全然違うって。レベルアップすればそこら辺の人より強くなるから焦んなくてもいいんじゃね?』

『つまり纏めると、僕たちは勇者パーティーとして呼ばれて、魔王退治のお願いをされる予定って事なんだね?』

『そういう事。まぁイレギュラーなのがこのオッサンが誰なのかが分からないって事だよな。間違って外国人を召喚にしちゃ訳がわかんねーよ』

「一つ、忠告するが話は通じているぞ」

『『『!!?』』』


3人が驚愕する。


『なっ!なんで黙っていたんだよ!』

『よかった、話が通じるんですね』

『てっきり、日本語が通じないのかと思ったわ』

「君の言う、日本語は分からない。俺の話しているのはスールン星系共通語だ」

『・・・ん?』

『ハルヒコ、どういう事だか分かるかい?』

『このオッサン・・・っと、すんません。この人は俺達とは違う地球外の星から召喚された人だ』

「俺はあのドレスの少女や王様らしき人の言葉は分からなかった」

『つまり、言語が全然違うって事だ。俺達はどちらの言語が分かっているのは、そういったスキルを持っているからだな』

「恐らく」

『ひょ~、俺が読んできた中でも異ルートじゃん』

『どういう事か説明してよ』

『悪い悪い。コレが地球、そしてコレがこの星、で、この人の住んでいた星だ。勇者召喚魔法陣とやらで俺達とこの人は別々の星から召喚された。いま、3つの言語が揃っちまった訳だな』

『なんで僕たちはソレを理解できるのさ?』

『異世界言語翻訳系のスキル持ちじゃなきゃ説明が出来ないぜ。俺達は普通に話していても相手にはちゃんと、向こうの言語で理解されている事だ』

『じゃぁ、私達は日本語を話していても、そこの人のスールン星系共通語やあの王様達の言葉にも変換されて伝わっているのね』

『そういう事。って、自己紹介がまだだったな。俺は陸奥秋久ムツ アキヒサ、アキヒサって呼んでくれ』

『僕は天城春彦アマギ ハルヒコだよ。ハルヒコでいいよ』

『私は夏風海ナツカゼ ウミ。できれば苗字・・・ファミリーネームのナツカゼで読んで欲しいわ』

「俺はアオイ。アキヒサ、ハルヒコ、ナツカゼ。よろしく頼む」

『アオイって日本人っぽい名前な』

『失礼だろ』

『そうよ』

『悪気は無かったんだ』

「構わない。俺はよくわからないがアキヒサなら色々知っていそうだな?」

『この手の展開なら俺に任せて!』

「じゃあ、一ついい事を教えてやろう。信じるか信じないかはお前たち次第だ」

『なになに!』

『良い事ですか?』

『なんだか、悪い予感しかしないんだけど』

「俺も含めてお前たちはこの国に隷属されている」

『・・・ん?もう一回』

「隷属されているんだ。奴隷だよ」

『え?は!?』

『奴隷って?』

『・・・嘘?』

『おいおいおいおい!そりゃ、聞いていないぞ!奴隷って事は』

「あの王様・・・王位継承者には逆らえない立場だ。つまり、拒否権は無いって奴だな」

『アオイさんは何でソレを知っているんですか?』

「悪いが起きた時の状況を確認するために勇者召喚陣に対して看破を使わせてもらった」


お前達にもだがな・・・


『看破スキル持ち!?じゃあ、本当のことかよ!』

『看破ってなんだい?』

『鑑定の上位スキルだよ。より詳しく調べられるって事だぜ。くそっ、浮かれていたのばバカみたいだ』

『アキヒサだけが分かっていても仕方がないよ?』

『アオイさんの言う事が正しければ、俺達はこの国の奴隷だ。しかも勇者やら賢者やら聖女なんかの激レア職付きのな・・・それだけ強力な魔法陣なら魔王も相当ヤバイ奴だな』

『アオイさん、どうすれば良いか分かりますか?』

「まず、騒がず。向こうの出方を待った方がいいな。そもそも魔王討伐が召喚理由なのかが分からん」

『そう言えばアオイさんは妙に落ち着いてるよね?』

「君たちよりも年配だしな冷静な判断は俺の仕事だ」

『魔王という言葉にも抵抗がなかったって事はアオイさんの居た世界にも?』

「あぁ、居たぞ。モンスターと呼ばれる存在や魔族やドラゴンもな」

『ゲゲッ・・・魔族やドラゴンかよ』

『居たら困るのかい?』

『魔族は魔王の配下になりやすいし強敵が多いと思う。ドラゴンなんか作品によっちゃ守護竜レベルで勝てっこない相手にもなりうる。弱いはずがないぜ』

『アオイさん、ソチラの世界で何をしていた人なんですか?』

「冒険者だな」

『冒険者!キタコレ!!って、はしゃいでいる場合じゃないか』

『その年までやっていたという事は相当お強いのじゃないかしら?』

『冒険者ならランクとか無かった?』

「あったぞ、俺はAランク冒険者だった」

『Aランク!』

『それって凄いの?』

『作品によって幅は変わるけどAは大抵上から2番目に強い冒険者の人だよ。アオイさんが居れば怖いものなんて無いぜ』

「あんまり、期待しない方が良い。退役間近だったからな」

『それでも現役Aランク冒険者なら強い筈だぜ』

「褒めるな。俺より強い連中は沢山居るのだからな」


魔族とかも含めてな。


『総合すると、僕達の出来る行動は相手の出方を伺い、その後に方針を決めればいいって事ですか?』

「いいか、俺達がこの国の隷属状態になっている事は言わない方がいい。鑑定水晶でも出なかったという事は隠したかった理由でもあるのだろう」

『それも知っているんですよね?』

「まぁな。だが、君たちには落ち着いてから話す。今はダメだ」

『分かりました』

『くっ、聞きたいけど年長者に賛成だ』

『うん』


コンコン


『××××!』

『やっぱり何を言っているのか分からないのですか?』

「分からん」

『分かりました。僕たちは事情を説明しておきます』


再びドレスを来た少女がやってきた。

どうやら、この国第一王女殿下らしい。


王女に連れられて謁見の間へと通される。


既に鑑定水晶は片されている。


『××××、××××××』

『王様、ひとまず彼の現状を話させてください。僕たちはどうやら異世界の言語を無意識下で理解し話せる様です』

『×××』

『彼は僕たちとは違う世界から召喚されたようです』


ザワザワザワ


『僕たちは彼の言語をちゃんと理解できますが、彼はこちらの言語が分からないそうです』

『×××?××××!』

『あの魔法陣にはそのような?』

『おい、アオイさん。王様が言うには魔法陣には異世界言語翻訳スキル付与もあるそうだぜ?』

「なら、俺がイレギュラー存在だからと言ってくれ。異世界言語翻訳スキルは3人しか付与出来ないんじゃないか?」

『彼が言うには彼自身がイレギュラーな為で異世界言語翻訳スキルは3名までしか付与されない。つまり僕たちにしか付与されていないそうです』

『××××!』


王様も納得の様子だ。


『話をまとめますと、彼はこの国の言葉が分かりませんが僕達は彼の言葉がわかりますので通訳としては一緒に行動させて貰えないでしょうか?』

『×××』

『有難うございます。彼の話によれば彼はAランク冒険者と言っております』

『×××?』

『冒険者を知らないみたいだぜ?』

『××××××?』

『はい。アオイさん冒険者がどういった者なのかを教えてください』

「冒険者の仕事は大きく分けて3つ。1つ依頼者によって護衛する。2つ依頼者によってモンスターを討伐する。3つ依頼者によってアイテムを採取してくるだ。ランク毎に分かれていて上から2番目に位置してた冒険者だ」

『仕事は3つに分かれているそうです。護衛依頼、討伐依頼、採取依頼だそうです。彼、アオイさんは上から2番目位置にある実力者だそうです』

『××××・・・×××』

『え?』

「どうした?」

『実力を見てみたいそうだぜ・・・なんだか演習場に移動するそうだ』

『×××』



・・・


王の一言でその場にいる全員が演習場へと移動した。


俺が中央に立って相手するのは王女殿下の背後にいた女騎士である。


敢えて鑑定などで相手のレベルは見ておかないことにしておく。


『××××!』

「なんて言ってるんだ?」

『なぜ、武器を持っていないのかと』

「武器は不要だと伝えてくれ」

『武器は不要だそうです』

『×××××!××××××!!』


なんだか逆上してしまった様だ。


『「王女殿下護衛騎士に対して何たる侮辱か」と言ってます』


なるほど、護衛騎士としての立場であり素性もしれない相手をして尚且つ武器すら持っていないのなら名折れって奴か。


「分かった・・・」


一度、その場を離れて近くにいた兵士からロングソードを借り受ける。


「これで満足だろう」


ロングソードを構える。


『×××××!』


まだ、何か怒っている。


『「なんだ、その構えは!緩みきった剣で私の攻撃を受け止めるつもりか!」と』

「こっちは純粋な剣士じゃないんだ。武器が無いと怒って、武器を持ってきてみれば怒って、何が言いたいんだ?」

『たぶん、アオイさんの実力を見るには本来の武器が必要なのでは?』

「そうは言ってもな」


傀儡師としての力なんて、ペンドラゴン達が居ないと本領発揮できないしな。


もう一つの方だろう・・・


ロングソードは兵士に返却して王女殿下の背後に居た老人が手に持っている魔法杖を借りる。


『×××××?』

『「魔法使いなのか?」と』

「そういう事だな」

『×××××!』


なんで怒るんだよ?


『「騎士相手に魔法使いごときが相手なんぞそれこそ侮辱だ」と』

「お前は子供か。そんなに俺が相手なのが嫌ならさっさと宮廷魔術師でも連れて来い」

『×××!×××××!』

『「コケにして。そこまで望むなら相手をしてやる。後で泣いて詫びても後悔するな」と』

「ようやくかよ」


態々、人の力を見たいのに時間が掛かりすぎだろう。


『×××××!』


ずっと黙っていた王様の一言で開始の合図が入る。


ザッ


先に動いたのは女騎士だ。


当然といえば当然だ魔法使い相手に距離を開けておく道理は無い。


だが・・・


この距離を詰めるにしては遅いな。


「ファイアーボール」


ボッ


俺の真上にファイアーボールが出現する。


その光景に目を見張る女騎士。


「行け」


ドシュゥッ


ファイアーボールは女騎士に向かって放たれる。


ササッ


向かってきた勢いを殺し真横へとズレる。


「それで安心か?」


ファイアーボールが直進するものと勘違いしているようだが・・・


ギュンッ


途中で軌道を変えて女騎士に向かう。


ギョッ!?


女騎士は驚きつつも更に後方へジャンプして避ける。


ドォオン


ファイアーボールは女騎士の居た地面に着弾し爆発する。


モワモワモワ


爆風で土埃が舞い上がるのを見て女騎士は俺のほうを見る。


「隙だらけなんだよな」


ボッボッボッ


俺の頭上に3つのファイアーボールが浮かび上がる。


「上手く避けろよ」


ドシュッシュシュッ


3つのファイアーボールが女騎士を囲むように放物線を描いて飛来し何処にも逃げ場が無い状況を作り出す。


『×××××!』


左手に備え付けている円形のシールドで一発目を弾き飛ばし前へと前転して残り二発を避ける。


立ち上がり直ぐさま俺へと向かって肉薄する。


ブゥン


大上段からの斬りつけ。


スッ


必要最低限で避ける。


ギュンッ


振り下ろしから滑らかに振り上げに切り替えてくる。


グルンッ


ザッ


バク転で顔ギリギリまで迫った剣を避ける。


ブゥン

ブォン


流れる様に剣が俺に迫る。


こいつ、激情するから大したこと無いと思っていたが結構やるな。


『×××××!』


ヒィイン


女騎士が何かを叫び剣の周囲に魔力らしき物が宿った。


アレは何だ?


ブッ


ォオオン!!


剣の速度が倍以上にも加速して油断していた俺の反応速度よりも上回った。


ドガァアアアン


地面を削り砂埃を舞い上がらせる。


ブシュッ


っつ!


右手の人差し指と中指の間の肉が切れ流血する。


久しぶりに攻撃を受けたな。


女騎士は信じられないといった表情だ。


『×××!××××××』


女騎士は一言王様に何かを申す。


『××××』

「何て?」

『試合は終了です。力は示されたと言っています』

「そうか」


アレだけで俺の実力が分かる訳が無いだろうな。


良くて騎士にすら引けを取らない魔法使い程度の見解だろう。


・・・


場所は移り変わり再び謁見の間である。


『×××!×××××××!!』

『魔王討伐の為に俺等が召喚されたらしいぜ』

「俺は巻き込まれた感じか?」

『そこは分からないですね』

『××××××!!×××××××!!!』


ガラガラガラ


『宝物庫から勇者が身に付ける鎧と剣だそうですね』

『賢者の杖や聖杖もあるそうだ』

『どれも一級品だそうよ』


ハルヒコは勇者の剣と鎧を、アキヒサは賢者の杖を、ウミは聖杖を受け取る。


因みに俺は何もなかった。


本来なら3人の勇者パーティーに対して宝物庫から下賜されるそうで、イレギュラーな俺は現地調達と言われた。


ハルヒコが護身用の武器の一つでもと言い、一本のダガーを受け取った。


扱いが酷い差だな。


「元の世界に戻る帰還方法を聞き忘れてるぞ?」


そう助言するとアキヒサ達が王様に聞くが、重苦しそうな表情をして帰還方法は魔王の心臓が必要だと告げた。


つまり、どう転んでも魔王を倒さなければ帰れないという事だ。


俺たちの意思は関係ない形の展開であった。


そこで一旦、謁見は終了としてコレからについては王女から説明を受ける事となった。


この世界についての説明をアキヒサ達の通訳を受けつつも聞く事となる。


この世界は1つの大きな大陸があり人の領域と魔の領域とで二分割されている。

人の国は大きく分けて4つ、勇者召喚が成されたプロジット王国、魔法が栄えているマギ王国、世の中の叡智と信仰を集めたバット神聖国、魔の領域に一番近いガルド帝国だ。


魔の領域には様々な種族が存在しており、人を殺しまわっている極悪非道な連中だとか・・・


こりゃ、裏が普通にありそうな世界だな。


『まずは、マギの国ですか?』

『××××××』

『なるほど、魔法を』

『×××』

『アオイさん見たく出来るんか?』

『××××?××××・・・』

『アレは無理なの?どうしてかしら?』

『×××・・・××××』

『魔法の系統が違うんですか・・・』

『じゃ、俺はアオイさんに教えてもらえば良くね?』

『×××!×××××××』

『え?アオイさんの魔法は異端?なんでよ??』

『××××!×××××』

『魔族の・・・魔法』


詠唱魔法が魔族の魔法って何だよ。


『×××!!』


俺の表情に王女は頭を下げる。


『××××!××××××!!』

「とりあえず、話を進めてくれ」


なんだか責めている気分だ。


『分かったよ。俺は魔法の国で学べばいいんだな』

『次は私ね。神聖魔法はバット神聖国で学べばいいのよね?』

『×××!!×××××××××』

『最後に僕がガルド帝国で剣術をね』

『××××!!1ヶ月××××』


ん?


いま、一部だけ聞き取れたような。


『1ヶ月ですか』

『頑張るぜ』

『はい』


ペコリ


説明が終わり王女は部屋を出て行った。


『ふぅ。で、これから如何するよリーダー』

『え?僕がリーダー!』


アキヒサの言葉でハルヒコが驚く。


『勇者なんだからリーダーだろ?』

『いや、僕よりアオイさんの方が』

「俺に頼るな。本来ならお前達だけで行動する事になる案件だ」

『そうよ。私達3人、何時も一緒に行動していたじゃない。アオイさんに頼るのは駄目だと思うわ』

『分かったよ。あんまりこう言った事は苦手なんだよね』

『生徒会長が何を言ってやがるんだか』


一見気弱そうな少年のようだが生徒会長だったか。


『副会長も居るんだし心強いしな』

『会長を支えるのが私の仕事なんだからね』

『2人ともありがとう。アオイさん、何か意見があったら遠慮なく言って下さい』

「あぁ」


基本的にはこの3人で考えさせる事にする。

俺がアレコレ言うのはお門違いという奴だ。


コンコン


『失礼します』


ん?


また、こっちの言葉が聞き取れたようだな。


ガチャッ


入ってきたのはメイド服に身を包んだ少女だ。


『×××、マリア××××。××××××××××××××』

『ほ、奉仕って』


メイドの名前はマリアか?


パシッ


『馬鹿ヒコ、私達の世話をする人よ』

『殴る事は無いだろう』

『あはは、それで君は何をしに?』

『×××××××××××××××××××××××。×××××××××××××××××』

『確かに夕食時だね』


窓の外を見ると夕暮れだ。


『案内して貰えるかな』

『××』


俺達は立ち上がり夕食へと案内された。


食堂は広く、長テーブルに合わせた純白のテーブルクロス。


等間隔に置かれた燭台で部屋は明るくされている。


4人分の皿にナイフとフォークが数種類置かれている。


『げ、テーブルマナーなんて知らねぇよ』

『あの、僕たちは向こうの世界では一般人だったのですが』

『×××××××××××××××××』

『良かったわ。私もナイフとフォークはあまり使わないから』

『お嬢は和食料亭の娘だかんな』

『お嬢って言わないでよ』


ウミは和食料亭のお嬢様らしいな。


『とりあえず頂くとしようか?』


俺たちは席に座り食事を開始する。


穀物と野菜中心で肉らしき物は一切出なかったヘルシーな夕食の内容だ。


・・・


『なんだか、物足りないなぁ』


再び応接室にて待機、各個人の部屋を用意する為だと言う。


『王城の食事ってもっと豪華かと思ったけど、内容がヘルシーだったね』

『タンパク質が足りないわ』

「事情があると思われる。後で聞けばいいだろう」

『それじゃ、イチャモン付けている様な感じじゃん』

『何だかね』

『気が引けるのよね』


日本人気質なんだろうな・・・


「よく考えて見ろ、お前たちは無理やり元の世界から拉致されたんだぞ。しかも魔王という強大で情報皆無すぎる敵と戦う事になる立場なんだ。世界を救う人間の活力を落とす事をする方がどうかしているぞ


?もっと欲を出せ。それが無理なら自力でなんとかするしかないぞ?」

『確かに』

『何でだろうな?』

『全然、そう思わなかったわ。アオイさんの言葉でそう思えるようになってきたわ?』

「恐らく、これが隷属化の効果なんだろう。文句を言わせない、無効の要求を無条件で飲むって奴だ。帰還方法すら頭に無かったようだしな」

『これが隷属化・・・なんて恐ろしい効果なんだよ』

『どうしたらいいんですかね?』

『皆目検討も付かないわ』

「俺はお前たちより魔法に対する抵抗力があるから然程効果が無いようだ。恐らく抵抗力を上げれば自然と隷属化の力は弱まるだろう。暫くは辛抱するしか無さそうだな」


コクリ


3人は頷き、ノック音が響きマリアが現れた。


そこで3人とは別れ、各人に用意された部屋に案内される。

お疲れ様でした。

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