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48話「リリアーナステーション②」

リリアーナステーションを出て目的地の宇宙海賊が出没する場所を目指して俺達は航行を開始する。


「海賊の宇宙船の扱いはどうなるんだ?」

「規則には討伐者に所有権が発生するようなので使える武装や素材は自由にしても良いそうです」

「炉なんかが回収できれば良いな。魔石炉だと時間が掛かりすぎる」


1光年進むだけで1年も掛かったのだ。


マッハ73万でも遅いくらいだろう・・・・


「海賊程度の所有する炉では性能は落ちるかと」

「それでも魔石炉よりは性能は上だろうな」

「確かに」

「そろそろか」


少し話していただけで目的地付近に到着した。


「近距離高精度スキャンを作動。レーダー内に反応なし」

「もう少し奥へ進む。微速前進」

「微速前進します」


微速といっても戦闘機よりも数倍早い速度で宇宙空間を進む。


ピピッ


「レーダーに反応、13時と10時のデブリの影に小型戦闘機が潜伏中」

「こっちの位置もバレたでしょう」


ピピピピッ


小型戦闘機の出現ポイントが幾つもレーダー内に赤い点となって現れる。


「戦闘準備。戦闘ドローンを順次射出」

「戦闘ドローンを射出します」


俺たちの艦の周りに戦闘ドローンの青い点が時間を追うごとに増えていく。


「戦闘ドローン50機射出しました」

「出方を伺います。このまま前進を続けるように」

「はっ」

「システムのハッキングを確認。出処は周囲の戦闘機である」

「逆ハック開始」

「逆ハックを開始する。戦闘機のシステムを掌握中」


デブリの影に隠れている戦闘機の色が青に変わっていった。


ビービービー


警告音と非常用ランプが点滅した。


「レーザー砲来ます」


ゴゴォン


「直撃」


おいおい・・・


「被害状況は?」

「自船被害なし。脆弱なレーザー砲だったのでしょう」


ビービービー


「次弾来ます」


シュゥウウ


今度は逸れていった。


「全戦闘機のシステムを掌握した」


仕事が早いな・・・戦闘機の数は24機か。


「中の生命体はどうする?」

「牢に入れておきましょう」


戦闘機が艦に近づき、牢に直結するハッチが開きアームでパイロットを引きずり込み次々に放り込まれていく。


戦闘ドローン50機と戦闘機が24機がコチラの戦力となった。


「敵の位置が不明となりました。レーザー砲の発射ポイントから位置を割り出します」


3次元計算でレーザーの威力、角度から発射ポイントが高速で割り出されていく。


「恐らく此処でしょう」

「x30、y5、z10に進路変更」

「x30、y5、z10に転針します」


艦が傾きポイントへ向けて動く。


ピピッ


「敵船を発見。小惑星の影に隠れようとしています」

「戦闘ドローンでは攻撃が間に合いません」

「20cmレーザー砲準備」

「ハッ」

「20cm砲では小惑星を破壊できません」

「貫通での攻撃を致します。小惑星の規模と成分は?」

「主に土、少量の鉄分を含んでいる模様」

「城壁をも貫通できる威力を持っているのですから問題ないでしょう。敵予測位置に合わせて順次発射」

「20cmレーザー砲、発射」


ピュンピュン


赤い線が小惑星に向かって等間隔で連射される。


「小惑星背後で爆発を検知。直撃した模様」

「x5、y10、z0で逆側から回り込め」

「x5、y10、z0に進路変更します」


ゴゴゴゴゴッ


小惑星に回りこむと艦体に幾つかの穴が開き中から煙が出ている海賊船が姿を現す。


全長50mクラスの海賊船で船体下部には戦闘機の発着場が取り付けられている。


「ハッキング開始」


直ぐに電子戦が開始され相手側のシステムを奪い取っていく。


「全システムの掌握成功。艦長」

「あぁ。降伏勧告を出す」


カタカタカタカタ


【発:方舟船長 宛:オデッセイ船長殿。貴船のコントロールは我が艦に有り。速やかに降伏せよ】


「これで送れ」

「あぁ」


メールが送り出された。


「返信が来た」

【発:オデッセイ船長 宛:方舟船長殿。降伏する】

「一人一人、戦闘機に乗り込んでこっち側に来るように誘導しろ」

「はっ」


無人戦闘機が穴の開いた海賊船に近づき一度に24名ずつ運び入れた。


合計で70名ほどの海賊が一気に確保できたという訳だ。


「戦闘終了。被害0で収めました」

「ご苦労。殆ど指示できなかったな」

「私が戦闘指揮担当ですからね」

「で、この船は如何するんだ?」

「チャリオット、船の状況は?」

「住居区画や水循環系はレーザー砲で大破。その他は無事である」

「船の情報を此処へ」

「うむ」


ウィン


海賊船の情報が映像で出てくる。


□基本性能

  艦名:オデッセイ

  艦種:戦闘海賊船

  艦体:全長50m(船型) 

  主機:原子炉F型4基 高速推進機E型2基

  補機:サブブースター8基

最高速度:154コイル

  兵装:主砲 ロングレンジ砲1門(通常弾:徹甲弾(40発))

     副砲 なし

     対宙砲 30cmレーザー単装2基2門

     ミサイル発射管 なし 

  防御:耐ビームコーティング特殊鋼装甲板

電子兵装:光学観測装置F型、広域通信機F型、アンテナF型

特殊兵装:クラス5戦闘機・CT8-87352ソロゥ24機


反応炉4基か・・・


「捕まえた海賊の機関士か船長とコンタクト出来るか?」

「はっ。少々お待ちください」

「繋げます」


ウィン


牢の中にひしめき合っている海賊達が映し出される。


『俺が機関士だ』


ゴツイ狼種の獣人がアップされる。


「原子炉4基の性能が知りたい。速度は何処まで出るんだ?」

『はんっ、海賊風情の原子炉に興味あるのかい?金なんてたんまり持っているんだろう?』

「この船の外装にでも目がくらんでいるんだろうが金の装甲版はお前たちを釣るための餌だ。所持金なんざ殆どない。質問に答えろ」

『4基全可動の最大速度154コイル出る』

「コイル?」

「1コイルをマッハ1万としての計算でマッハ154万の事です」

「つまり?」

「1年程掛けて来た私達の船に比べて半分で来れる性能です」

「俺たちの船よりも高性能エンジンって事か」

『ありゃ型遅れの原子炉のジャジャ馬よぉ。お前さん方に扱える代物じゃねぇよ』

「ご忠告どうも、性能はウチより格段にいいんだ貰っていくぜ」

『お前さん方の炉が知りたくなった。ウチより性能が弱いってなんだよ・・・1年って言ったな?』

「こっちは古竜魔石炉って奴だ」

『おやっさん、聞いた事ありやすぜ・・・なんでもモンスターのコアを使った炉だって噂だ』

『俺もある・・・そんなぶっ飛んだ炉を積んでやがるのか』

「どういう事だ?」

『魔石炉っていやぁ制御が難しく暴走を始めたら止められず爆発を起こして船をオシャかにしちまう最も危険な炉だ。そんでもって速度がでねぇ』

「そうなのか?」

「私の制御は完璧です。この1年間暴走させた事もありません」

『その1年間というのが変なんだ。歴史的に魔石炉を研究し続けているんだが爆発までの時間は長くもって3時間が限界だって話だ』

「ウチの制御が完璧なんだろう」


ピッ


「主機だけは貰っていこう、使えるものも亜空間に仕舞えるか?」

「ドッキング開始します」


ガシャァアン


艦の先端が4つに割れて大きな顎を開く。


全体がダンジョンであるこの艦は変形が可能でどんな形にもなれる。


「主機に食らいつきます」


ガギィン


バキャアアアア


海賊船の後ろから4つの顎が襲い掛かり反応炉毎機関室を飲み込んでいく。


傍から見たらモンスターが獲物を喰らう様に見えただろう。


「機関室の原子炉を飲み込みました。魔石炉を収納し交換を完了・・・解析開始します」

「その他、使えるものを分解整理した後に亜空間に仕舞います」


暫く待って新たに手に入れた反応炉の解析が完了する。


「解析完了、出力の調整・・・安定を確認」

「燃料とかは違うのか?」

「主にウランとプルトニウムの2つが燃料となります。燃料庫には暫くの蓄えがあった模様」

「核燃料って事なのか?」

「はい」

「熱暴走爆発や放射能汚染の心配は?」

「たっぷりの冷却水と対放射能合金で覆われており両懸念はクリアしています。艦体を貫通して直撃を受ければ木っ端微塵というリスクは変わりありません」

「狙われる心配はあるか?」

「0ではありませんが30cmレーザー砲でも貫通しなかったバリアを突破するには大出力のレーザー砲等がなければ難しいかと」

「それに加えて小ささで避けきれるか」

「レーザーの指向性を変えることは困難ですからね。発射のタイミングを感知すれば問題ないです」

「今回の吸収で主機、補機、対宙砲、特殊兵装が新しくなりました。新たに燃料庫が加わりました」


アルテミスがそう報告してくる。


□基本性能

  艦名:方舟

  艦種:戦闘民間船

  艦体:全長50m(船型) 

  主機:原子炉F型4基 高速推進機C型2基

  補機:サブブースター8基

最高速度:221コイル

  兵装:主砲 オリハルコンストリング砲1門

     副砲 なし

     対宙砲 30cmレーザー単装2基2門

     ミサイル発射管 なし 

  防御:アダマンタイト装甲板

     対光学兵器防御膜シールドD型

電子兵装:光学観測装置C型、広域通信機C型、高性能アンテナC型

特殊兵装:戦闘用・回収用ドローン×50機(予備450機)、亜空間停滞収納C型、クラス5戦闘機・CTL-40165リィンカーン1機、クラス5戦闘機・CT8-87352ソロゥ24機

特記事項:物資500トン程。収容人数20名(MAX40)、牢屋100名



「海賊達が奪ったと思われる物資は格納庫にて保管中。主に食料品です」

「それはギルドに提出する」

「進路はデブリ回収ポイントですか?」

「ここでのクエストは終わったしな。デブリ回収ポイントに向かってくれ」

「了解しました。デブリポイントへ向けて発進します」


ゴッ


一瞬だけ体が揺れる。


「モーションキャンセラーの許容範囲外の衝撃を感知。修正しました」


どうやら新たな原子炉の出力がモーションキャンセラーが許容範囲に収まらない衝撃だったようだ。


明らかに魔石炉とスピードが違っていた。


「原子炉安定・・・到着予測時刻4分後です」

「流石マッハ154万だな」


暫くして目的地へと到着した。


「至るところに色々浮かんでいるな」

「最近、この近くで海賊団と傭兵団の戦いがあったらしくデブリ回収クエストが発生したらしいですね」

「使えるものを回収しろって事か」

「その様で」

「デブリ回収作業を開始します」

「レーダー良好」

「敵影なし」

「回収ドローンを展開していきます」


デブリ回収等はドローンで行う。


細かいデブリでも使える金属などを拾ってくる為だ。


「あんなデカイ船体も放置されているんだな」


海賊か傭兵団のどちらかは分からないが船体の半ばしか無い金属の塊が浮かんでいる。


「基本的な素材は鉄と鋼鉄・・・お金にはなりませんね。レートが低すぎます」


鉄や鋼鉄等は溢れていて買取価格も低い。


回収ドローンで回収してくる貴金属の方がよほど高く売れる。


ピッピッ


「レーダーに反応アリ・・・生存者です」

「救助要請依頼は有るのか?」

「傭兵団クエストになし。恐らく死亡されたと見なされてたのでしょう」

「回収ドローンで回収。空いている部屋に運んでおけ」

「はい」


回収ドローンが壊れた船体からたった一人だけ生き残った生存者を回収し居住区に運び入れる。


デブリ回収を開始して5時間が経過して粗方回収を完了する。


「リリアーナステーションに帰るぞ」

「針路リリアーナステーションに変更。到着予測時刻5分」

「救助者の意識は戻ったか?」

「戻っておりません。数日間、宇宙服の生命維持装置のみで生き残っていた様で衰弱しております」

「この艦には医務室はないからな。ステーションで聞くか」

「医務室を作り出すポイントが足りませんね・・・」

「ジャンヌの回復魔法はどうだ?」

「外傷等は回復しますが、衰弱したスタミナを戻すことは出来ません」

「スタミナまで戻せたらそれこそ生ける屍になるからな」


傷ついた体を癒す事を目的とする回復魔法でスタミナまでもが回復したらチートだろう。


俺達はステーションに着き海賊達を憲兵に引渡し回収したデブリを指定されたポータルに入れてから傭兵団ギルドへと向かう。


今回会得したポイントは72名×5P×5時間で1,800ポイント増えただけで何か施設を買うことは出来ない。

良くて家具の1つ程度だそうだ。



『傭兵団ギルドへようこそ』

「クエストの完了報告だ」


ギルドカードを提示する。


『少々お待ちください』


受付にいたのはオッサンではなく豹種の獣人だ。


『近隣エリアの海賊討伐クエストとデブリ回収クエストの完了を確認しました。強奪品の回収及び海賊の引渡しもありますので特別報酬と合わせて120万コルンになります』

「たった2クエストで120万も行くのか?」

『クエストの報酬内容では両クエスト共に基本報酬50万コルンと設定してあります。特別報酬とデブリ回収内容が良品質という事もあり20万コルンの上乗せ金が発生しております。明細に関してはデーターで送られております。ご確認をお願いします』

「詳細データが載っております」


ペンドラゴンが持っているタブレットには今回のクエストについてズラッと並んだ明細の一覧が表示されている。


「デブリ回収で要救助者を助けたんだが扱いはどうなるんだ?」

『バイオメトリックデータはありますか?』

「バイオメトリック?」

「生体情報の事です。私達の艦には読み取れる装置がないのです。救助した人物と破損した船の一部データがありますので照会して貰ってもよろしいですか?」

『データを受信しました・・・少々お待ちください』


直ぐに結果は出たようだ。


『名前はキャメリア・クルン・・・傭兵団「明け星」の一員だったようですね。あの宙域に発生した戦いで戦死扱いされて居ますが取り消し申請を出しておきましょう』

「俺達はどうしたらいい?」

『そちらの船に医療機器がないのでしたらコチラで引き取ります。幸い親が存命中の様なので引取りに来てもらいましょう。何かあればご連絡しましょうか?』

「引き取られた程度なら不要だ」

『畏まりました』

「他に海賊退治かデブリ回収系は無いか?」

『それでしたら・・・』


俺達は近場のデブリ回収と海賊退治で金を稼ぎつつ近隣情報を集めていた。


「【地球】の情報は今の所見つかりません。伝承や伝説等で時折出てくる程度ですね」

「人種発祥の地としか分からないか」

「これ以上探すとなると軍の機密データレベルの物となります」

「他に候補は無いのか?」

「恐らくスールン星系軍側にはあるかと」

「やっぱり、アチラ側も行かないと駄目か」

「アラムド連邦の版図は既に把握済みです。スールン星系に向かうにはおよそ32年は掛かるかと」

「そんなに掛かるのか?」

「移動距離にして96光年先です。1光年4ヶ月の我々の船ではそれだけ掛かってしまうのです」

「たしか長距離移動用のゲートがあった筈だが」

「ゲートの使用許可は今の我々では降りません。アレはギルドでも限られたAランクギルド員でなければ使えないのです。使用料も1回のジャンプで10億コルンも出すのです」

「地道に行くしかないのか・・・」

「今の所、ありません。道中ランクを上げてゲートの使用許可が降りた所で短縮できるでしょう」

「ゲートの中継地点は把握済みか?」

「ここから12光年先のコロニーにあるそうです」

「4年後に着くのか」

「途中のステーションで寄り道とかしないと行けませんが」

「道のりは遠いか・・・」

「リアクターが良い物に換装すれば早くなるんですが早々売っている訳じゃありませんからね」

「道中、今より格上のリアクターを見つけたら換装するぞ」

「ハッ!」


今後の目標地点を決めて俺達はリリアーナステーションを出る事に決めた。

お疲れ様でした。

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