30話「王都-第一回武闘大会②」
「2人共スマンなぁ」
「気にするな!」
「後衛職同士で本戦に上がれただけでも良しとしましょう」
闘技場ロビーでラカンが2人に謝っていた。
「健闘した方だろ」
「えぇ。2人共、私達の弟子として恥ずかしくない戦い方でしたよ」
「あぁ。ヤハンは接近術で前衛職の1人を惹きつけられていたしな」
俺やソニーとゴウキで2人に賞賛の声を告げる。
「師匠、ワイ頑張った方なんか?」
「前衛職2人、鉄系装備で固めた相手に攻撃力が低い糸使いがアレだけ削れれば大健闘だった胸を張れ」
「しじょ~」
ポロポロ
ガバッ
お、おう。
ラカンが両目から大粒の涙を流しながら俺に抱きついてくる。
泣くこともできるのか、このゲームは・・・
そう思いながら、ラカンの頭をポンポンする事しか出来なかった。
ジトー
「なんだよ」
イロハがジト目で俺を見てくる。
「泣かした」
「泣かすような発言したか?」
「冗談」
「なら、言うなよ。台無しじゃねぇか」
暫く、ラカンが泣いた後落ち着きを取り戻していった。
「ほな、ワイ等は戻るわ。師匠達の応援には駆けつけるで」
「楽しみにしてます」
「じゃ」
ラカン達が去り、俺たちも闘技場には用が無くなり各々動き出した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『中級者ブロックの優勝者はマーリンとランスロットの円卓の騎士だぁあああああ』
2日間による中級者ブロックで優勝者が決まった。職業は前回に引き続き二人共前衛職だった。
前衛職2人の防御力と攻撃力の前では他の組み合わせより有利となるらしい。
『続きまして、上級者ブロックになりますので出場者は控えてください』
アナウンスが行われて、俺とイロハは闘技場ロビーに集まる。
ドルゥルルルルルルッルルルウ
ダダァン
数秒のドラムロール後に対戦表が出てきた。
「俺達はGか」
「明日の4回戦目」
「相手はシャーロックというチームか」
俺達の対戦チーム名はシャーロックとなっていた。
「あれ」
イロハが指さす先にはシャーロックホームズの着用している服装の男が居た。
【ホームズ】
鑑定で名前だけ見る。
「じゃ、パートナーは隣の人か?」
【ワトソン】
「リアルフレって奴かファン同士で組んでいる様だな」
『ワトソン君、私の推理からして対戦チームはあの予選でルール違反ギリギリの事を起こしたチームらしいね』
『はい。マリオネットとは随分大仰な名前ですな』
『ハッハハッハ!しかし、私達の敵ではなないようだね』
『私達の魔法連射の前では前衛だとしても防げないでしょうな』
「むっ」
2人の会話を聞いてイロハが膨れ面となる。
「気にするな。本番で見返せばいいだろ」
「ん」
対戦日時が来るまで俺達は王都観光をしながら過ごす。
『本日、最後の上級者ブロックの戦いになります。チーム:シャーロックの2人の入場となります』
司会の進行で大会は進んでいく。
ワァアアアアアアアアアア
『対するは、漁夫の利を得て本大会に出場権を奪い去ったチーム:マリオネット~』
ワァアアアアアアアアア
ウゥウウウウウウ
大歓声の中に批判する声が多少混じっていた。
『では両者、位置について開始の合図を待ってください』
5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・スタート!
開始の合図と共にホームズとワトソンが駆け寄ってくる。
装備と発言内容からして両者共に魔法職のコンビという事だ。
ガチンッ
「魔力強化二段階、斬糸!」
シャァアアアアア
左右のガントレットから3本ずつミスリル糸が発射されて駆け寄ってくる2人を挟み込むように振るう。
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:45
職業①:人形使い(Lv20)
職業②:裁縫師(Lv5)
SP:7
体力:2,670/2,670
魔力:1,582/1,582
攻撃力:408(+60)(脚+30)
防御力:364(+101)(手+20)
状態:健康
称号:ウルフハンター,ドッグハンター,エルフの友人
ランク:D-
・ミスリル糸のペンディラムガントレット
【ポイズンスコーピオンの尻尾】が取り付けられた糸使い専用武器。
【ミスリルの糸】によって魔力消費量は半減する。
鋼鉄製により攻撃力と耐久値がアップ。
限界距離50m。
切り離すことは出来ない。
糸は最大5本まで操作可能である。
攻撃力:60
防御力:20
移動速度-5%
一定確率で毒(中)を発生させる。
耐久値:350/350
装備可能職業:糸使い
ランク:マジック
品質:3
単純計算で468(総攻撃力)×4.0(魔力強化スキル)×1.5(欠損一段階)×2.5(飛距離(40m))=7,020の攻撃力になった筈だ。
ブワッ
ミスリルの糸が2人を左右から挟み込み通り過ぎた。
シャァアアアアア
視界の先でミスリルの糸が通り過ぎた後で2人が同時に転送されているエフェクトが残された。
『瞬殺ぅううう!!まさに寄せ付けない一撃で後衛職のコンビを倒しきりましたぁあああああ!!!』
ワァアアアア
至る所から大歓声が上がるが、プレイヤーと思われる集団は驚き固まっている。
「予想外過ぎだろう」
まさか、アレで終わるなんて終わっていなかった。
「ログを見て」
イロハに促されてログを見た。
「ナンダこれ」
・チェインコンボ
同程度の攻撃をタイミングよく5回以上連鎖させると発動。
5連hit:総攻撃力×5.0追加ダメージ
6連hit:総攻撃力×5.2追加ダメージ
7連hit:総攻撃力×5.4追加ダメージ
8連hit:総攻撃力×5.6追加ダメージ
9連hit:総攻撃力×5.8追加ダメージ
10連hit:総攻撃力×6.0追加ダメージ
「なるほど」
連続ヒットすると新たなボーナスが発生するのか・・・
同程度という事は一人で与える連続攻撃限定でのボーナスになりそうだな。
5hit目と6hit目は5倍以上の35,100が入ったって事か・・・
「オーバーキル」
「そりゃアッサリ終わるって事だな」
バキャァアアアン
・ミスリル糸のペンディラムガントレット(大破砕)
【ポイズンスコーピオンの尻尾】が取り付けられた糸使い専用武器。
【ミスリルの糸】によって魔力消費量は半減する。
鋼鉄製により攻撃力と耐久値がアップ。
限界距離50m。
切り離すことは出来ない。
糸は最大5本まで操作可能である。
攻撃力:60
防御力:20
移動速度-5%
一定確率で毒(中)を発生させる。
耐久値:0/350
装備可能職業:糸使い
ランク:マジック
品質:3
両手のガントレットが粉々に砕け散った。
「やっぱりこうなるか」
「やりすぎ」
「ミモザに代わりを用意してもらわないとな」
幸い、糸だけは回収できるから土台のガントレット部分を用意するだけである。
・・・
・・・・・・
なんとかミモザには代わりのガントレットを用意してもらった。
・ミスリル糸のペンディラムガントレット
【鋼鉄の鏃】が取り付けられた糸使い専用武器。
【ミスリルの糸】によって魔力消費量は半減する。
鋼鉄製により攻撃力と耐久値がアップ。
限界距離50m。
切り離すことは出来ない。
糸は最大5本まで操作可能である。
攻撃力:54
防御力:20
移動速度-5%
耐久値:350/350
装備可能職業:糸使い
ランク:クリエイト
品質:2
鋼鉄の鏃で攻撃力がダウンしたが問題ないだろう。
『本日、2回戦目は前衛職コンビのチーム:ラウル』
ワァアアアアアアアアアア
『対するは、必殺一撃死で相手を沈める糸使い率いるチーム:マリオネット~』
ワァアアアアアアアアア
『では両者、位置について開始の合図を待ってください』
5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・スタート!
開始の合図と共に対戦相手が駆け寄ってくる。
『あの光る糸には気をつけろ』
『あぁ!』
前衛コンビではあるが、その手には鋼鉄製の大盾が握られている。
盾職2人のコンビという訳か・・・
俺の斬糸は最低でもマジックアイテムの武器でないと鋼鉄は破れない・・・
「魔法準備!射程距離になったら足止めする」
「ん」
ガシャガシャガシャッ
鋼鉄製の全身装備を揺らしながら2人は近づいてくる。
「糸拘束術二式!」
ピシッ
【反撃不可、拘束4秒】
『か、体が』
『動かん』
魔法使いの攻撃範囲に入った途端に2人の進行を強制的に止める。
「トリプルファイアーボール!」
ドガガガァン
『かぁああ!』
『効かぬわぁ!!』
さすが盾職だけあってダメージがそこまで通っていない。
ブゥンッ
「糸防御術二式!」
グインっ
攻撃は俺の糸でイナして不発に終わらせる。
重武装故に動きが鈍く、攻撃の軌道は読みやすい。
「イロハは離れろ」
俺が前面に出て、イロハが後ろから援護攻撃するスタイルで戦いは進行する。
『糸使い様が出てくるかぁ!』
『こりゃ、光栄だねぇえ』
2人共武器を振り回して俺に集中攻撃をする。
くっ
ラカンと違って接近戦前提のスキルを持っていないから辛い。
「糸防御術二式」
危険と察知した攻撃のみスキルで安全を確保する。
「アオイ」
「引き寄せ!」
俺は2人から引き寄せで距離を開ける。
「トリプルファイアーボール」
ドガガガァン
『まだまだぁ!』
『魔力切れさえすれば勝機は俺たちにある』
なるほど、防御を高めて俺たちの魔力切れを狙っているのか。
イロハの魔力は余裕はあるが、俺の魔力は元々が少ないから無駄なスキルを使えない。
【イロハ、次は2人の意識外にツインを放ってくれ】
【なんで?】
【意識外からの攻撃力はクリティカルが入りやすいんだ】
【わかった】
また2人の気を俺に引きつけてイロハからの攻撃をタイミングを待つ。
「ツインファイアーボール」
今度は俺が2人から離れずイロハからツインファイアーボールが放たれた。
『何処を狙ってる!』
『避けるまでもねぇ』
2人はイロハが放ったファイアーボールが自分たちに向かっていないことを感じて俺へと目線を戻す。
フッ
ツインファイアーボールは俺たちの頭上を通り抜けていく。
「誘導」
シュルルッ
糸2本で通り過ぎたファイアーボールを絡めとり背後を気にしていない2人に放ちなおす。
ドガァアアアン
『『グハァア』』
背後、盾の防御力が全くない所での攻撃で2人は前のめりに吹っ飛ぶ。
きっちりとクリティカルが発動している。
『な、なんだ!』
『後ろから攻撃されたぞ!!』
2人は驚きながらも起き上がる。
「糸拘束術二式」
【反撃不可、拘束4秒】
『『ぐっ!』』
「トリプルファイアーボール」
ドガガガガァアン
防御姿勢もままならない状態で拘束し、イロハのトリプルファイアーボールで追撃する。
【火傷(中)】
状態異常が入ったかようだ。
『っくそ~』
『まずは魔法使いからだ!!』
『ダメージソースはアイツだからな!!』
2人はイロハに攻撃対象を切り替える。
「行かせるわけないだろ。転倒!」
シュルルル
ドタァン
2人の足に操糸で操った糸を足に絡ませて転ばせる。
「ツインファイアーボール」
転んだ所でイロハの追撃が入る。
残り3割と言ったところか。
対するこっち側は1割程度しか削れていない。
タッタッタッ
イロハが2人との距離をとるも意地でもイロハを倒したいらしく起き上がりダッシュを開始する。
『二連閃!』
『スマッシュ!』
直剣の攻撃範囲に入り2人がスキルを発動する。
「引き寄せ!」
イロハに攻撃が当たる直前で俺の手元へと引き寄せて回避させる。
『なんて奴だ!』
『これが糸使い様の実力ってやつか!!厄介だぜ』
スキルが空振りした2人が俺を睨みつける。
【イロハ、奴らを場外に叩き出す。トリプルは出来るか?】
【あと一発】
イロハの度重なる魔法の行使で魔力が100も無い。
「ストリングランス!」
4本のミスリルをより合わせた槍が2人に向かって飛ぶ。
『『無駄だ!』』
ガイィイン
大盾を2枚重ねで防いで来た。
いくら貫通力があるストリングランスだとしても盾2枚は抜けない。
「操糸」
シュルルルゥ
弾かれたストリングランスを解き、拘束スキルでなく2本ずつ相手プレイヤーに絡める。
『動けるぞ』
『クールタイム中だぜ!』
俺の意図する事を気にせず前進してくる。
「準備出来た!」
「あっちに向けて撃ってくれ」
「トリプルファイアーボール!」
『防御体制!』
『おう!』
近づいてきた2人が大盾を構える。
ビュォンッ
3つの火の玉はあらぬ方向へ発射された。
ヒュンッ
その先にミスリルの糸が4本漂っている。
ギュンッ
火の玉とミスリルの糸が接触、勢いに引っ張られて糸が張る。
ズサササッ
引っ張られる力は俺へと伝達され引きずり出される。
「引き寄せ!」
残った2本で俺の体が持っていかれないように固定する。
『なんだ!』
『強い力で引っ張られる』
相手側も俺と同じく引っ張られ始める。
装備の重量もあるが引きずられてる。
タッタッタッタッタ
イロハが大きく迂回して2人の背後に回り込む。
「ウィンドカッター!」
イロハの風の刃が2人の背後を襲う。
『初級魔法じゃ』
『俺たちの体力は削れられないぜ!』
ガンっ
『うぉっ』
『んなぁ!』
ウィンドカッターは2人の膝後ろ関節にヒットして無理やり踏ん張る力を奪う。
『うぉおおおおお!』
『馬鹿なあああ!!』
ガガガガガガガッ
踏ん張りのきかなくなった2人は糸に引っ張られて引きずられていく。
ボオォオン
トリプルファイアーボールは空中の結界に阻まれて爆発するが、2人を引きずり場外へと吹き飛ばす勢いは着いた。
『ガハァアア』
『場外狙いだったのかぁあああ』
2人は場外へと落とされていった。
カンカンカンカンッ
『ラウルが場外に落ちたことに勝者チーム:マリオネット~』
ワァアアアアア
お疲れ様でした。




