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26話「フィフス-二次職①」

・人形使い

 人形使いとは、人の形を成した物を糸で操り自身の代わりに戦わせる職業である。熟練した人形使いとなれば1本の糸で人形1体を操る事も可能であるが、最初は5本の糸で操ることとなる。また、生物は操れない。


・・・ふむ、分かりづらいな。


たったこれだけの説明では何処までが人形という概念が通るのか分からない。

それこそ人と同じ背丈の人形なのか、西洋人形程の小さな人形までなのかが理解できない。


まさか巨大な人形でも操れるのかもしれないと思い込ませるロマンあふれる事じゃ無かろうな?



人形使いのスキルは何が有るのだろう。



■習得可能スキル(人形使い)


・右腕操術

 人形の右腕を操る事ができる。

 前提:人形使いレベル1

    SP1の消費。

    糸1本の専有

消費魔力:1

CT:1s

 

・左腕操術

 人形の左腕を操る事ができる。

 前提:人形使いレベル1

    SP1の消費。

    糸1本の専有

消費魔力:1

CT:1s


・胴体操術

 人形の胴体を操る事ができる。

 前提:人形使いレベル1

    SP1の消費。

    糸1本の専有

消費魔力:1

CT:1s


・右脚操術

 人形の左腕を操る事ができる。

 前提:人形使いレベル1

    SP1の消費。

    糸1本の専有

消費魔力:1

CT:1s


・左脚操術

 人形の左腕を操る事ができる。

 前提:人形使いレベル1

    SP1の消費。

    糸1本の専有

消費魔力:1

CT:1s


見事に人形関連のスキルしかないな・・・


人形の手足を動かして戦わせる為のスキルなんだろう。

糸5本も占有されて1体分の人形を操るという事か・・・難しそうだな。


≪スキル:右腕操術をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:右腕操術を獲得しました≫


≪スキル:左腕操術をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:左腕操術を獲得しました≫


≪スキル:胴体操術をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:胴体操術を獲得しました≫


≪スキル:右脚操術をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:右脚操術を獲得しました≫


≪スキル:左脚操術をSP1消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:左脚操術を獲得しました≫


SP5を一気に使って人形使いのスキルを全て取得してみる。


「あ・・・」


ガクッ


肝心の人形がねぇよ


まさかorzをやるハメになるとは・・・SPのストックが沢山あって気にしていなかった。


「アオイ、こんな所で面白い事しているわね」


聞き覚えのある声に顔を上げみるとミモザが見下ろしていた。


「ちょうどいい所に」

「なによ?」

「お前、人形作れるか?」

「・・・・」


なんだか冷たい目線が感じられる・・・。


「・・・本気?」

「至って・・・あ・・・二次職が人形使いなんだよ」


ようやく視線の意味が分かった。


「なるほど・・・でも鍛冶師に「人形を作れるか?」なんて質問自体変よ。答えはNO、専門外よ」

「じゃ、人形を作れそうな人物とか居ないか?」

「う~ん。人形といえば布製ってイメージだし裁縫師じゃないかしら?」

「布製の人形か・・・」

「裁縫師と言ったらミカさんかしらねぇ?」

「そもそも人形を作れるスキルがあるのかが不思議なんだが?実用性が無いぞ?」

「馬鹿ね。女の子の部屋にアクセントとして人形があったほうが可愛らしくなるのよ」

「作れるんだな?」

「作れるには作れると思うけれど材料が中々無いわよ。中に入れる綿なんて手に入るかしら?」

「人の形をした物なら何でも言いと思う」

「それなら、木製の人形でも良いのかしら?」

「恐らくわな」

「木工師の知り合いに一人だけ居るわ」

「居るのか」

「でも、フォースに戻る必要があるのよ。彼はフォースを中心に活動しているからね」

「なるほど、コンタクトって取れるか?」

「取れない事は無いけど、彼って特殊な条件で依頼を受けているから直ぐには着手してくれるか分からないわよ」

「それでも紹介してくれ」

「分かったわ」

「後・・・コレの耐久値を戻してくれないか?」


転職クエストで消耗しっぱなしだったガントレット指差しながら言う。


「分かったわ。鋼鉄とか使うから何時もより高いわよ」

「最初から作るより、良いだろ?あと、コレも加えてくれ」


ミスリルの糸を使用可能数分渡しておく。


「ミスリルなんて何処で手に入れたのよ?」

「ここの森でエルフと会えれば手に入ると思うぞ。特別クエスト絡みだ」

「・・・噂では森にあると聞いた事あるけどエルフ絡みなのね。特別に半額でいいわ」

「それは助かる。耐久値が戻り次第にフォースへ向かう」

「30分ほどしたら中央広場に来て頂戴」

「分かった」


ミモザとは一旦離れて、PTメンバの所へと向かう。


「おう、お前が最後だぜ」


冒険者ギルドに入るととゴウキ達がテーブルに固まって話し合っていたようだ。


「で、お前のスキルはどうだった?」

「判明した事は人形が無いと戦力外だったという事だな」

「人形使いですからね」

「人形を手に入れる所からっすか?」

「難儀でごわすな」

「という事で人形を手に入れるために一度フォースに戻ろうと思う。木の人形を作ってくれそうな生産者が居るらしくてな」

「分かりました。その間、私達は二次職に慣れておきましょうか」

「一旦お別れか」

「また、直ぐに会えるっすよ」

「待っているでごわす」


こうして俺たちはPTメンバから一時脱退してフォースの街へと向かう事にする。


「4日も掛かるのか?」

『へい、フィフスからフォースへの道程は長く4日掛かりますぜ。如何いたしやす?』


馬屋で馬を借りてフォースへの道のりを聞いてみた所、4日後だと驚いた。


往復で8日、製作期間なども考えればもっと掛かりそうである。


とりあえず、メールでソニーに長くなりそうだと伝え出発となった。


それと街と街を繋ぐ王都街道が2日間掛かる計算だったが4日や8日とか掛かるのであれば以前計算した街の数はもっと少なくなる事になるな。


・・・


グルルゥ


フィフスからフォースに続く王都街道にフォースのタイガーが1頭現れた。


「今のレベルで何処までやれるかだな」


ソロで行けなさそうであれば商隊護衛のクエストでも受けてみるか。


「糸拘束術二式」


ピシィッ


2本のミスリル糸がタイガーを拘束する。


「ストリングランス」


ズボワッ


ギャウゥン


【出血(大)】

【毒(中)】


身動きが取れない所をストリングランスの一撃を与え大ダメージを与えた。


グォァアア


クールタイムが終わる前に拘束が解けてタイガーが俺に襲いかかってくる。


「くっ」


俺の動きよりもタイガーの動きが早く左の爪が差し迫ってくる。


『危ない!』


女性のような高い声が俺の背後から発せられた。


ヒュンッ


途端に俺の真横を何かが通り過ぎた。


ギャウゥウウウウン


俺に迫っていたタイガーの左目に木の棒が突き刺さり、迫っていた爪が逸れた。


「引き寄せ!」


その隙をついて自身を遠くへと逃がす。


視野が広まり、俺の後ろに居た人物が視覚に入ってくる。


声の通り女性の後ろ姿である。


『ちょっ!?私が前衛なのぉ!!』


女性が驚愕の表情で俺に訴えかけてきた。


「助かった。が、あいにく俺も後衛なんだ」


女性の持つ武器はどう見ても弓、そしてタイガーの攻撃を逸らした木の棒は矢が突き刺さったからだ。


女性の身長よりも数段大きい弓は長弓と呼ばれる弓で間違いないだろう。


・鋼鉄の長弓

 鋼鉄で作られた長弓。

 その鋼のしなりから放たれる矢は剛矢と呼ばれるほど強く遠くへと飛ぶ。

 攻撃力:180

 耐久値:320/320

装備可能職業:弓使い、狩人

 ランク:クリエイト


鑑定にもそう出ているしな。


『お互いに後衛職なのね・・・前衛は任せられるかしら?』

「防御力的には紙だぞ?」

『分かったわ。防御面はアタシに武があるならその糸でフォローを頂戴』

「阻害系なら任せられた」


短い会話で臨時PTが結成された瞬間であった。


「糸防御術二式」


グルゥアァ


痛みにもだえていたタイガーに再び拘束術を掛ける。

今度は糸を4本加えた19秒拘束だ。


「19秒は動けなくさせた」

『十分よ!ダブルショット、トリプルショット、ホーミングショット』


女性は次々にスキルを流れるように発動しタイガーに至近距離から当てる。


「斬糸!」


ズシャァアア


負けじと動けない所に斬糸でタイガーの後ろ足の一本を切り離す。


グルゥア


ドスゥンン


あっという間に体力が0になり沈める。


『う~ん。噂以上だわぁ』


タイガーとの戦闘を終えて女性が感想を述べる。


何が噂以上なのだろうか?


『アナタが糸使い様と呼ばれているプレイヤーよね?』

「あぁ、そうだが。アンタは?」

『アタシはマリネ。見ての通り狩人よ!』

「さっきは助かった」

「いいの!助けたかったのもあるからね。それより、名前は?」

「アオイ」

「アオイね。よろしく!」


なんとも元気溢れる女性だ。


「みた所、フォースに行くところよね?」

「あ、あぁ」

「それは良かったわ!アタシもフォースに向かう所なのよ」

「そうか」

「お互いにソロだし。PTを組んでいくのはどぉ?」

「構わないが、前衛も居ないぞ」

「今の戦いで前衛不要なのは確認したわ」

「わかった」


≪マリネへPTの申請が送りました。待機中です≫

≪マリネがPTに加わりました≫


「レベル48か」

「レベル44かぁ。レベル差が発生しちゃうね」


レベル差4も開いていると取得経験値なんかが変動してくる領域だ。


「レベル上げ目的じゃなから気にしない。それより安全に旅が出来れば良い」

「お、ありがたい言葉だよ。流石にソロだとキツイんだよねぇ」


レベル48でもソロでの踏破が難しいという事か?


「一人って寂しいじゃん?」


そっちか・・・


「やっぱり旅の共が居ないとねぇ」

「そうか」

「あれ?ソロでも大丈夫なクチ?」

「元々はソロだったからな。今でも固定PTから離れて動いているしな」

「ありゃりゃ、といってもアタシも普段は狩り目的じゃなくて生産してるんだよねぇ」

「そうなのか?」

「うん。調薬師のマリネって言えば有名だと思うなぁ」


大物じゃないか・・・


「生産職8連盟の一人だったか?」

「そうそう、今だとソッチで有名だと思うよー。アタシとしては好きなことやってるだけなんだけど生産職トッププレイヤーの一員になっちゃってねぇ」

「そんな人がフォースへ戻るのか?」

「うん。目的が出来ちゃったからねぇ」

「あまり詮索はしないが」

「いやいや、ここはお互いの事を根掘り葉掘りとね」

「そこまで興味ない」

「嘘ぉん。じゃ、アオイはなんでフォースに戻るのか教えてよぉ」

「教えん」

「えぇ~、まだ3日以上もあるんだよぉ~」

「そんな事より、来たぞ」


マリネの絡みを取る為に態々モンスターがやって来てくれた。


突如としてPTを組んだマリネと共にフォースの街へと目指す。


マリネは基本話したがりで色んな事をペラペラと喋る。

俺は相槌を打つ程度しか出来ない。


他愛のない雑談からフィフスの事についてなど次から次へと話題を変えて話しかけてくる。


そんな状態が2日程続いた。


「でねぇ、ミカちゃんがアタシの部屋に来たらぁなんて言ったと思う?」

「わかんないな」

「「殺風景ねぇ」だよ!仕方ないじゃん!!「部屋を飾るにしてもアタシじゃ作れないんだからぁ」って言ってみたら。ミカちゃん、アタシの部屋にさり気なく人形を置いていってくれたんだぁ。ダンディな顔なのに乙女心を分かってるわぁ」

「人形をか」

「ん?おやおやぁ~。興味沸いたでしょ!お姉さんには分かっているんだからぁ」

「そんな事はないな」

「照れちゃってぇ~。人形が気になるのぉ~」

「気にならない」

「うふふぅ。ムキになっている所がス・テ・キ!キャッ!!」


ドスゥ


「グフゥ」


ドサッ


ヒヒィン


「スマン、つい手が出てしまった」


無意識にマリネの無防備な脇腹を殴ってしまったようで、落馬した。


「たったの数日で遠慮ない暴力まで出させるアタシの才能が怖いぜ」


どうやらアホの子だったようだ。


初対面のイメージが総崩れしている。


「でね、貰った人形なんだけどさぁ」


続くのかよ・・・


「もう、フリッフリのレースを沢山つけたドレスを身に着けた西洋人形だったのよ。アタシの部屋にマッチしてて喜んだわぁ」

「西洋人形だと?布製の人形じゃないのか?」

「あるえぇ、興味なかったんじゃないのぉ」


ゲシッ


今度は蹴りを与えてやった。


「グフッ。遂には足蹴まで出させることに成功したわ!」

「もう、いぃ」


付き合っているとイライラが溜まってきそうだ。


パカラパカラ


「ちょっと!置いてかないでよ!!」


マリネを置いて馬を進めるが、すぐに追いついてまた話し始める。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


「やっと着いた~」


マリネが大声で両手を上げて叫ぶ。

むろん、周囲のプレイヤーやNPC達が注目している。


「さてと」

「ちょっと!何処へ行くの!!」

「目的地へ付いたんだ、解散で良いだろう」

「アタシを捨てるのね!」

「人聞きの悪いことを言うな。フォースの街までが俺達の約束だろうが」

「一つ屋根の下で寝た中なのに!」

「宿の屋根の下、別々の部屋で寝たな確かに」


マリネが叫びながら言うものだから殺気のこもった視線を感じた。

性格を知らなければマリネは美人の部類だ。

勘違いを起こしそうな発言に一々弁解をしないといけない事になるとは。


「お前にはお前の目的があるんだ、俺には俺の目的があってフォースにやって来た。別行動になるのは自然の流れだろう」

「もうちょっと、名残惜しそうにしてよぉ」

「急いでるんだ」

「せめて、フレンド登録だけはしよ?」

「それなら」

「そこは素直だね?」

「しないなら良いが」

「嘘嘘!」


マリネとフレンド登録を交わして別れることにする。


ピピッ


≪ミモザからコールされました。受けますか?≫


YES


【もしもし、アオイ?】

【あぁ】

【そろそろ、着く頃かと思ってね】

【さっき到着したばかりだ】

【それは良かったわ。さっきコンタクトを取って中央広場に緑色のスカーフをつけた男の人よ。名前は木工師ダビットソンよ】

【わかった。ありがとうな】

【これくらい大した事ないわ。じゃ、次会えるのを楽しみに待っているわ】


フッ


早速中央広場に向かい緑色のスカーフを身につけた男を探してみる。


『お!お兄さんが僕に会いたいって人かい?』


探している途中で話しかけられた。


振り向くと、オーバーオールを着込んだ男がニコニコ笑いながら立っていた。


『僕はダビットソン。ミモザさんから話は聞いているよ』

「俺はアオイ。人形使いだ」

「なるほど、木製の人形を所望ということかな?」

「そうだ」

「人形について木製で製作可能の物は一つだけさ。人と同じ大きさまでできるマネキン。本当の用途はリアルと同じで裁縫師達が作り出した服なんかを着させてどんなものか買い手側に伝える奴さ」

「なるほど」

「ただ、それは鑑賞用レベルで恐らく耐久値が戦闘向きじゃないと思うよ」

「そうなのか?」

「見てみるかい?」

「あぁ」


ヒュっ


ダビットソンがストレージから等身大の木製マネキンを取り出して見せてくれた。


・木製マネキン

 木で出来たマネキン。

 服を着させる事が可能。

 人形使いで操る事が可能。

 170cm

 耐久値:25/25  

 ランク:クリエイト

品質:2


「25じゃ、前線じゃ使い物にはならないな」

「そもそも、戦闘用じゃないしね」

「試してもいいか?」

「その為のマネキンだからね。でも壊さないでね。6箇所のスキルを使った一品でね弁償してもらうよ?」

「マネキン一つで6つのスキルが必要なのか?」

「頭部、胴体、右腕、左腕、右脚、左脚の系6つのスキルを取得して作っているんだ。SPも1だったから6の消費」

「人形使いも殆ど同じで頭部意外を動かすには各パーツ毎にスキルを必要としている。しかも5本も専有されるしな」

「1本じゃないんだね」

「操り人形も複数本の糸で操っているだろ?アレと同じだったって事だ」

「なるほど」


ダビットソンから木製マネキンを借り受けて早速人形使いのスキルを使ってみる。


ピタァ


5本のミスリルの糸がマネキンの各部パーツに張り付く。


「スキルは発動しているようだが動かし方が分からんな」

「説明もなし?」

「あぁ。糸を動かせばいいのか?」


操糸を発動して木製人形の右腕を無理やり動かしてみる。


ブンッ


「わっ!」


急に動いたことで近くにいたダビットソンが驚く。


「すまん」

「動かす時には動かすって言ってくれないと」

「動かせたけれど、無理やりって感じだった」

「別のスキルで動かしたなら今使っているスキルが訳わからないよね?」

「あぁ。操術という名のスキルだからコレだけで動かせる筈なんだよな」

「僕からは思いつかないね」

「イメージって奴か?」

「どういう事?」

「俺の場合ノンターゲッティングバトルを主体としているだが、糸を操る時はイメージで動かしている事が大多数だ」

「ノンターゲッティングって凄い事しているね。イメージか・・・人形にこう動けとイメージして操るって事?」

「恐らくは・・・試しにやってみる」


目の前の木製マネキンが歩く動作をする様にイメージする。


ピピンッ


繋がったミスリルの糸が点滅を繰り返し始めた。


だが、木製マネキンは動き出さない。


「ググッ」


動け!


もっと強く動くように念じてみる。


ピピピピピンッ


点滅が早くなり光量も増えた気がした。


ギギギギッ


木製マネキンが軋み音を発しながら遅いながらも全部のパーツが動き始めた。


グググググッ


グラァッ


が、木製マネキンがバランスを崩して倒れそうになる。


「おっとと!」


見ていたダビットソンが木製マネキンを倒れる前に支えなおす。


「ゼェハァゼェハァ」


今の動きだけでかなり集中力を使った。


「動いたことは驚いたけど、大変そうだね」

「まったく動かせるとは思えない」

「そもそも、レベルは?」

「1だ」

「1じゃ、この大きさは無理なんじゃない?」

「そうなのか?レベルってあんま関係ないようだと思うが」

「レベルって重要だよ。スキルの威力なんかは変わらないけど使いやすさなんかは実感してくる物なんだけどね。多分レベル不足だと思うよ」

「そうか」

「まだ、小さな人形が精一杯だと思うね。時間をくれれば練習用の赤ん坊サイズのマネキンを用意をするよ」

「いいのか?たしか特殊な条件が必要だとか?」

「確かにね。でも僕も久しぶりにワクワクしているんだ。あの有名な糸使い改めて人形使いに会えたのだからね」

「俺と会えたことで条件はクリアって事か」

「じゃ、僕は工房で作ってくるよ。夕方位には出来上がっているからそれまで待ってて」

「わかった。フレンド登録いいか?」

「もちろんだよ」


≪ダビットソンへフレンド申請を送りました。待機中です≫

≪ダビットソンがフレンドに加わりました≫


「じゃ」

「またな」


一旦、ダビットソンとは別れて今日の宿を探す。


・・・


フォースに来たんだからまたアソコに行くか。


フォースの人気食べ物である串焼きだ。


ジュウウゥ


屋台のある場所に向かえば、肉の焼ける匂いと醤油の香りが漂い始める。


どうやら、屋台はやっている様だ。


「そんな事言わずに教えてよぉ」


つい最近まで聞いたことのある声が混じってきた。


『嫌なものは嫌です。仕事の邪魔なので帰ってください』


なにやらトラブルらしき会話だ。


「誰が作り出したかだけでも情報が欲しいんだよぉ」

『嫌です』


屋台に近づくと屋台の中に料理人の少女とカウンター外からマリネが対話していた。


「醤油のレシピは何処で手に入るのかなぁ?」

『知りません!』


事情は知らんがマリネが料理人の少女に醤油について聴き迫っている感じだ。


「串焼き、1本くれ」

『はい、毎度です!』


そんな雰囲気は構わないで目的のものを購入する。


「変わらず美味いな」

『有難うございます』

「アオイもそう思うでしょぉ。だから醤油の作り方を広めてどこの街でも食べられるようにしたいんだよねぇ」


俺の感想にマリネが乗っかってきた。


「人が教えたがらないのは理由あっての事だろ?無理やり聞くのは生産職内のルール違反って奴じゃないのか?」

『そうですよ!』

「しかし、この味をいろんな人に食べさせてあげたいのがアタシの目的だよ。だから醤油を作り出した調薬師の人を紹介して欲しいんだよ」

『何度もいいますが嫌です。彼女は私の料理人としての道を切り開いてくれたんです。だから軽々しく教えたくありません』

「そんな事言わずにさぁ。せっかくフィフスからやって来たんだし」

「そこは彼女には関係ないだろ?」

「アオイはどっちの味方なのさ?」

「料理人の彼女だが?」

「裏切り物め!」

「普通に考えたら勝手にやってきてレシピ教えろなんて都合が良すぎるだろ?まずは互の事を知り合ってからとか段階踏まないとダメだろ」

「ぐぬぬ」

『そうですよ。私とアナタは今日初めて知り合ったばかりです。アナタは有名人かもしれませんが関係ありません』

「確かに一理あるわ。お姉さん頭に血が昇りすぎちゃったみたいね出直してくるよ」


マリネがションボリと屋台から離れていく。


『有難うございました』

「大した事はしていない」

『これ、サービスです』

「あぁ」


串焼きを一つ貰い受けこの場を去っていく。


・・・


「お待たせ、出来たよ」


夕方頃、待ち合わせ場所に向かうとダビットソンが時間通りに現れた。


「西洋人形になっちゃったけどね」


ダビットソンが取り出したのは木製の西洋人形だった。


「服は別の誰かが作ってくれたのか?」


木工師では西洋人形用の服は作れないだろう。


「知り合いに話してみたらノリノリで作ってくれたよ」

「費用はどれくらいだったんだ?」

「うーん。無料にしたい所だけどフレンド引きって事で15,000Gでいいよ」

「値が張るもんだな」

「希少価値も付与すればね。西洋人形の欲しい女性プレイヤーは結構いるし」

「そうなのか」

「今回は楽しかったよ。本格的に戦闘用が欲しくなったら相談に乗るよ」

「あぁ。近いうちに連絡する」

「楽しみに待っているよ」



・木製の西洋人形

 木で出来た西洋人形。

 服を着させる事が可能。

 人形使いで操る事が可能。

 50cm

 耐久値:10/10  

 ランク:クリエイト

品質:2


これで人形使いの一歩って所だな。


早速、5本の糸を人形に張り付かせる。


「むむむっ」


西洋人形にイメージを送り立ち上がらせようとする。


ギギギッ


軋ませながらも西洋人形は立ち上がった。


「はぁはぁ、マネキンより確かに動かし易いな」


ギギギギッ


右足を持ち上げさえ前へ、左足を持ち上げさせ前へ



グラグラグラグラ


一つ一つの動作を頭の中でイメージしながら命令を送り歩き出すがギクシャクして恐ろしくも感じる。


1時間程練習をし日も完全に落ちたところで今日の宿へと退散する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【人形と】糸使い様がご乱心だ【戯れている変態だ】その1

001:ルールは以下の通り

   ・次スレは>>950を踏んだ人が立てる事

   ・荒らしに触らない、NG推奨

   ・荒らしが自作自演する場合があるので、触ってる人もNG推奨


002:1乙

003:乙

004:とりあえず、kwsk

005:例の糸使い様がフォースの中央広場で西洋人形と戯れていた

006:え?

007:目が変になったか・

008:たしか、そいつ男だったよな?

009:男が西洋人形と戯れていた?怖っ!!

010:どんな勇者だよ。公衆の面前で人形遊びとは

011:俺もソイツ見たぜ。タイガー装備のやつだろ

012:うわwアレ着てるのかよ

013:性能はいいんだけどな。柄が目立ちすぐる

014:装備についてはこの際どうでもいい。>005の説明が雑すぎる。アイツは西洋人形を操っていたと思う

015:操っていた?話が変わってきすぎだろ

016:あ!二次職の人形使いだろ?

017:恐らくな

018:って、糸使い様はフィフスに行ったってことかよ。早すぎじゃねぇか。俺なんかサード止まりだぞ

019:>018それはお前が遅いだけだろ。

020:つまり糸使い様は人形使い様に昇格したと?

021:見ている限りだとな。人形が手も触れていないのに動き出していたところをみると練習しているとしか見えなかった

022:何故に?

023:それは、知らん

024:あ、俺は昼間に見たな。ダビットソンとマネキンについて話し合っていた所だったようだが

025:マネキン・・・最初はそれを操ろうとしていたのかもしれんな

026:マネキンを操るってどんだけだよ。つか、そんな物操れるものなのか?

027:人形使いについての職業特性は分からんが「人形」ならなんでも操れそうな感じがするが

028:会話を聞いている限り戦闘人形がどうとか言っていたな

029:バリバリ、人形で戦う気まんまんだな

030:人形使いになったからだと思うが、そんな事が可能になったらどうなるんだ

031:そりゃ、人形使い様と人形の2人・・・ん?

032:数が増えるって寸法じゃねぇか

033:そもそも人形に武器とか防具とかつけられるのかって話だぞ?

034:服は着用できるらしいな。装備とかまでになると元の素材次第だと思うが

035:これは面白くなってきたな

036:また、とんでもない進化をしたもんだ

037:戦力が増えるってヤバイだろ。つか、PT上限とかどうなるんだよ?

038:武器(人形)が上限に引っかかるとでも?

039:やべぇって話しだぞ

040:様子見の必要があるな

041:こりゃ、少し荒れるかもな

042:バレずに観察してくれ

043:頼みの綱はフォースの同士たちだ


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お疲れ様でした。


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