22話「フォース-砂漠-荒野①」
「今日から砂漠地帯での戦闘になる」
「出現するモンスターはポイズンスコーピオンです」
「名前からして毒系攻撃か?」
「一定確率で毒(中)になります」
「前衛2人は要注意だな」
「しっかりガートするでごわす」
「毒攻撃のモーションは尻尾を溜めてから2秒まって突き刺してくる。その間に離れるかガードすれば異常状態にはならねぇ」
「俺の防御術で逸らしてもいいってことか?」
「そういう方法もあるな」
「他に注意点はないっすか?」
「結構速い動きをするので、魔法が時々外れる様です」
「魔法職の圏内でもか」
「多脚モンスターは回避率が一番多いですからね」
「蜘蛛も同じ事か?」
「えぇ」
「今回は戦力になりそうもないっすから、サポート系で攻めてみたいっす」
「そうだな」
「お願いするでごわす」
「では、行ってみましょう」
南の門をくぐり抜けて砂漠地帯へと進む。
「すごい不自然な境目だな」
「ですよね」
「イキナリだもんな」
草原地帯と砂漠地帯の境目がピシッと一直線に線が見えるほどハッキリとしていた。
一歩進むと砂の感触が足に伝わってくる。
「砂場というのは非常に足が取られやすいので気をつけてください」
「沈むでごわす」
「総重量が多いと【鈍重化】になって移動速度が10%遅くなるそうです」
「なり申した」
「では、ロンドさんに合わせて動きましょう。森と違いここは視界が広いですからね。その分相手にも見つかりやすいです」
「FAはどうする?火は使えるぞ」
「サソリって通常も早いっすか?」
「観察してみましょう。そろそろ見えてきますし」
砂漠地帯に入って5分程たってモンスターの影がチラホラと見え始める。
「あれがポイズンスコーピオンです」
「でかいな」
「えぇ。ここまでのレベルになると巨大化しています」
「うぁ、早いっすね。俺の魔法じゃ当たらないかも」
「なら、俺がFAして釣る」
「遠距離攻撃者が2人もいると楽ですね」
「攻撃力を落とすか、命中率を落とすかだな」
「確実の方がいっすね」
「じゃ、行くぞ。シッ!」
ビュンッ
カンッ
「硬っ!」
「甲殻は結構硬いですよ」
「打撃系のコレ(モーニングスター)じゃダメージ入らないな。斬糸も無駄に終わりそうだ」
「行くぞ、オラァ!」
「ウォオオオ」
こうしてポイズンスコーピオンとの初戦が始まる。
ガィイイン
「うぐぉ」
「あんまり、尻尾攻撃は受けないほうがいいぜ!」
「うっす!」
戦ってみないと分からないがポイズンスコーピオンの防御力や攻撃力はかなりある。
ダークエルフ戦に慣れてしまっているからポイズンスコーピオンとの戦いにギャップを感じる。
「斬糸!」
バシンッ
「やはりダメか」
ポイズンスコーピオンの甲殻は石以上の硬さを持っているようで通常版では通らない。
「糸防御術二式」
クンッ
「助かるでごわす」
尻尾攻撃モーションに入るのを確認して攻撃を逸らす。
「アースホールっすよ!」
ボコンっ
グワッ
「なんっすか!?」
落とし穴がポイズンスコーピオンの真下に出現するが多脚を活かし、広げて落ずに留まった。
「オォオオオオ」
ロンドが押して落とそうとするがポイズンスコーピオンが動き回り回避する。
「ファイアーボール!」
スイッ
ボワッ
「またっすか!!」
進行方向に火の玉を投げ込むがポイズンスコーピオンは軽く回避した。
「回避率が高いのですよ。押さえ込んでください」
「前衛2だと囲めないな」
前衛2人だけだと後ろに回避する先がある。するとポイズンスコーピオンはそちら側に回避しようと動く。
「シュバルツ、耳をかせ」
「なんっすか?」
ゴニョゴニョ
「妙案っす。それで行きましょう」
「タイミング合わせるからな」
「まずはアースホールっす」
「落とし糸」
ポイズンスコーピオンの真後ろに落とし穴を仕掛ける。
「シールドバッシュ!」
「三連閃」
ガガァン
ガキィンガァアンギィン
ロンドとゴウキも奮戦するがその防御力に斬撃が通らない。
シールドバッシュは打撃系だが多脚に衝撃が吸収され気絶状態にはならない。
「ファイアーボール!」
ババッ
ポイズンスコーピオン火の玉を投げ込むが自前の回避能力で後方に逃げる。
ズボンッ
「ハマったすよ!」
【反撃可能、スタック10秒】
「10秒間スタックしたぞ!」
「うっしゃぁあ」
「おぉおおおお!」
「魔法行くっすよ!トリプルファイアーボール!!」
ガキィン
ガァアアン
ドガガガンッ
キュウウ
シュウウウウ
遂にポイズンスコーピオンは体力を使い果たし粒子になっていった。
「ナイス、落とし穴だぜ」
「3人目の穴を埋めたでごわすな」
「なるほど、あぁいう使い方があるのですね」
「褒めないでくださいっすよ。これが土属性魔法使いの戦い方っすからね。あとアオイさんのスキルのお陰っすよ」
「穴と認識できなくさせれば避けずに着地する事がわかったな」
「攻略法は見つかりましたね」
「おう!ガンガン行くぜ」
ポイズンスコーピオンの攻略法を編み出して俺達は休憩を挟みながら着々と倒す。
・・・
モワワワワワッ
「ん?」
「どうしましたか?」
休憩中、視界に砂埃が立ち上げているのを見かけた。
「様子がおかしい」
遠視・・・
視界を砂埃が立っている場所に近づける。
「まずい、全員!立ち上がれ」
「どうしたんですか?」
「MPKだ。トレインしてやがる」
「なっ!?」
「真っ直ぐこっちに向かってくる」
「数は?」
「3匹引っ張ってきている」
「3匹は無理だ。逃げるぞ」
「プレイヤー人数は?」
「1人だ。こんな所に1人は変だろ」
「なるほど」
「間違っていても迷惑かけるプレイヤーだ。俺達の命の方が大事だろ」
俺達は街の方向へ向かって逃げる。
ズゴズゴズゴッ
「まずいな、このままだと追いつかれる」
ロンドの移動速度-10%が響いている。
「残魔力使い切ってでも落とし穴を仕掛けまくるぞ」
「わかったっす!」
追いつかれる事前提で落とし穴を十数個程設置して逃げる。
カサカサカサカサ
俺達とMPKプレイヤーの差が20mと差が縮まってきていた。
互いに視界に収められる距離という事だ。
ズボンッ
『ぎゃっ!』
MPKプレイヤーは見事落とし穴に落ちた。
10秒スタック状態はキツイだろう。
キャシャアアアア
『ギャアアアアア』
ポインズンスコーピオン3匹の集中攻撃をくらっているのを見ながら俺達は更に遠ざかる。
アクティブであるポイズンスコーピオンの視界に入り続けると俺達にも戦闘行為を仕掛けてくるからだ。
≪モンスタープレイヤーキラー(MPK)がフォースの砂漠で討伐されました。プレイヤーの皆様はご注意ください≫
全体放送が入った所をみると悪意あるプレイヤーだという事は確かのようだ。
MPKプレイヤーがモンスターによって死ぬなんてな。
「魔力が殆ど残ってないっすよ」
「一旦戻るか?」
「体制を整えたほうがいいな」
「スコーピオンの感知範囲に引っかからないように戻るか」
俺達はソロソロとフォースへと戻ることにした。
昼頃の帰還になってしまって暇になってしまった。
『MPKがフォースにも出始めたか』
『今日は砂漠に行くのよそうぜ』
『そうだな』
『誰かが倒してくれたのが幸いだな』
『砂漠のスコーピオンでのMPKはマジで勘弁』
『あの速さを撒くなんてできねぇよな』
『1人だから逃げ切れるってもんだろうな』
『なんでプレイヤーキラーなんてやる奴がいるんだろ』
『だよなぁ』
あちこちで先ほどの放送について話しているプレイヤー達が沢山居る。
「スコーピオンの尻尾を貰っていいか?」
「あぁ。そんなのどうするんだ?」
アイテムドロップの中に入っていた細長いスコーピオンの尻尾を見て直感が働く。
装備のモーニングスターを取り外して、尻尾を付けてみる。
≪フレイム・ペンディラムワイヤーガントレットは猛毒のフレイム・ペンディラムワイヤーガントレットに変わりました≫
久々にアイテムが変化した。
・猛毒のフレイム・ペンディラムワイヤーガントレット
【ポイズンスコーピオンの尻尾】が取り付けられた糸使い専用武器。
【ルビー】をあしらう事で火属性の追加ダメージ。
高品質の鉄を使うことにより攻撃力と耐久値がアップ。
これまでと違い限界距離が20mと短い。
切り離すことは出来ない。
糸は最大3本まで操作可能である。
火属性ダメージ:100
攻撃力:20(+10)
防御力:10
移動速度-5%
一定確率で毒(中)を発生させる。
耐久値:300/300
装備可能職業:糸使い
ランク:マジック
品質:3
攻撃力も落ずに追加効果が付いた。
「毒(中)はえげつねぇな」
「一定確率がどの程度なのか分かりませんがキツイでしょうね」
「だんだんヤバイ方向に行ってるっすよ?」
「有利に戦えるなら手段は選ばん」
「言い切ったぞ」
「羨ましいですね」
「うっす」
「とりあえず、中途半端だが報告するか」
「あぁ」
『オーガの角27本、クエスト回数として5回分ですので10,000Gに加え、スコーピオンの尻尾72個、14回分ですので42,000Gの合計52,000Gなので一人当たり10,400Gになります』
午前中だけだから大体こんな物だな。
『なお、アオイ様はランクE+からD-へ昇級です。ロンド様とシュバルツ様はEからE+に昇級となりました。今後ともご活躍期待しています』
「これだけクエストをやっているから上がるよな」
「そういや、ゴウキ達のランクは?」
「お前と一緒のD-だ」
この日はMPKを警戒して解散となった。
・・・
スンスンッ
普段は歩かない道を歩いていたら香ばしい香りが漂ってきた。
「これは」
スタスタスタッ
ジュゥウウウ
肉の焼ける音に、醤油の焦げる香ばしい香りが強まってきた。
『いらっしゃいませ~。1本200Gですよ~』
可愛らしい声が聞こえてきて、屋台の前へとやってきた。
『ラビット肉の串焼き、一本200Gですよ~』
精一杯、声を出して客を寄せている。
「あれは?」
あの時、名乗りもせず握手を求めてきた少女であった。
今では白いコック姿で肉を焼いている。
『1本くれ』
『俺には5本だ』
匂いにつられてやってきたプレイヤーやらNPCが少女の作り出す串焼きに金を払いカブリつく。
ゴクリ
匂い、音、客の旨いという一言に涎が出てきた。
「俺にも1本くれ」
「ん」
「って、お前何やってんだよ」
少女に影に隠れて見えなかったがイロハが売り子をやっていた。
「売り子」
「そんな性格じゃなかっただろ」
「仲良くなった。それだけ」
「そ、そうか」
一本串焼きを貰い200Gを支払い店前からズレる。
ガブッ
今までの安い料理に比べて歯ごたえのある肉の食感が歯を通して感じた。
ジュワッ
その後に溢れ出る肉汁が口内に広がる。
フワッ
最後に醤油の香りが鼻を抜ける。
「美味い」
周りの連中も表情を崩して笑い食べ終わった串を屋台横にあるゴミ箱に捨て去っていった。
トスッ
「なんで、隣に座るんだ?」
「別に、少し休憩」
ハムハム
イロハが俺の隣に座り、串焼きを頬張る。
「醤油なんてあったんだな?」
「私が調合した」
「・・・たしか、生産職の幅が広がったらしいが」
「ブイッ」
本当のことらしい。
「よく再現できたな」
「リアル材料なんか全然違うけどスクロールがたまたま手に入ったから」
「スクロールか」
スキルを覚える為の手法の一つスキルスクロールの事だ。
「塩が高いからあまり作れないけどね」
「そうか」
『イロハちゃ~ん、手伝ってください~』
「今行く。じゃね」
「あぁ」
イロハが売り子に戻る。
パチッ
少女と目が合う。
コクリッ
コクッ
互いに会釈をしてこの場を去る。
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【美味しいメシ】各レベル帯の料理人よ【求む】その1
001:ルールは以下の通り
・次スレは>>950を踏んだ人が立てる事
・荒らしに触らない、NG推奨
・荒らしが自作自演する場合があるので、触ってる人もNG推奨
002:1おつ
003:おつ
004:とにかく、美味い料理が食いたい。
005:味の薄い料理に飽きたわぁ
006:ここに来て料理人の大切さが分かる俺達
007:どなたか、お客様の中に料理人の方はいませんか~
008:携帯食料も飽きたよ~
009:水以外の飲み物をプリーズ
010:コーヒーがある
011:アレは苦いだけ
012:紅茶もある
013:砂糖は何処へ行ったんだ?
014:そもそも食材アイテムがなさすぎる件について
015:14>肉ならファストでゲットできるぜ
016:15>肉に味が無いだろ
017:アップデートで調味料とか調合できるようになったんだろ?
018:そもそも、SP使ってまで調薬師が調味料の調合スキル使うか?
019:18>え、料理人のスキルじゃないのかよ?
020:19>ちゃんとアップデート内容見ろよ
021:20>本当だ・・・サーセン
022:つまり、なんだ?
023:調薬師が生産できる調味料が足りないって事か?
024:サードの街に塩は売ってたぞ。くそ高いが
025:塩だけじゃ足りんだろ
026:現代に生きる俺達の舌じゃ塩だけだと物足りんよ
027:せめて胡椒とかあればな
028:王都に行かないと手に入らないレベルだろ
029:28>なぜ王都だと?
030:29>護衛した商人に聞いてみたら胡椒は貴族たちがこぞって買う物だから庶民には回ってこないという事だ
031:30>くそ!胡椒が買い占められているだと
032:31>胡椒がある事を喜ぼうぜ
033:32>だな
034:おい、朗報だ!
035:どうした!!
036:フォースの街で醤油味の串焼きが売ってるぞ
037:なん・・だと!
038:なぜ、急激に醤油が出てくる??
039:くそぉ!フォースには行けるレベルじゃねぇし
040:マジでうまかった!醤油だけで作っているとは思えないクオリティだったぜ。
041:それより、気になったのが美少女2人の売り子だ。片方は分からないが1人は荊棘姫だったぜ!
042:俺、初めて無視されなかった・・・(涙)
043:なにぃ!?
044:荊棘姫って調薬師のだろ?
045:つまり、荊棘姫が醤油を作ったってことか?
046:俺、フォースに戻るわ
047:おい、戻るな!攻略はお前がいねぇと進まねぇんだよ
048:死ぬな。あばよ!
049:回復はお前の担当だろうがぁあああ
050:そして 48> は帰ってこなかったのである
051:50>不吉すぎるぞ
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既にあの店について拡散されていた。
たしかに食材アイテムという物はラビットの肉位しか見たことがない。
野菜や果物の類を見たことがなかった。
『へい、らっしゃい!』
ズズッ
目の前に八百屋を発見した。
少し足を滑らせてしまった。
速攻で八百屋の存在を掲示板に載せてやった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「さて、今日も頑張るぜ」
「うっす」
「あぁ」
「MPKが来ないことっすねぇ」
「もう嫌ですからねぇ」
砂漠地帯も落ち着いた筈だし、他のMPKプレイヤーが居たとしても向こうも警戒しているだろう。
「そこだ!」
「うぐぅ!」
「アースホール!」
「落とし糸!」
「ヒール」
ギョワァアア
シュゥウウウ
「結構、連携がスムーズになったよなぁ」
「ですね。やっぱり落とし穴と落とし糸のコンボが戦闘を有利に運んでくれます」
「あざっす!」
「AI搭載と言っても見えない所には気を配れないという証明にもなっているしな」
「思考が人に劣るようですね。私でしたら地面が白いという時点で警戒しますが」
そう、戦闘中では糸の上に砂を被せる余裕がないため糸で蓋をしている程度で白い違和感がある。普通なら警戒して落ちるはずがないのだがモンスターのAIはそこに地面があると勘違いしているらしい。
それが幸いして戦い易くしているようだ。
≪アオイのレベルが36に上がりました≫
≪SPが1増えます≫
≪糸使いのレベルが32になりました≫
≪裁縫師のレベルが2になりました≫
≪スキル:注視のレベルがMAXに達しました≫
≪SPが2増えます≫
≪スキル:鑑定が派生しました≫
それから数日間の狩りをし続けて砂漠の適正レベル帯を抜け出す。
少し前にゴウキとソニーがレベル36を超えている。
「うっし、全員レベル36になったな」
「荒野地帯の攻略に行きましょう。ここからは私達も知らないモンスターがいますので動きをよく見ていきましょう」
全員が荒野の適正レベルに入り砂漠での狩りは終了となった。またもやユニークボスとの戦いは無くなった。
次は全員がその資格がある状態で挑めそうだ。
・・・
ジュウウウゥ
あれから串焼き屋は1週間毎に一回は開いており大盛況を果たしている。
「1本くれ」
『はい、毎度有難うございます』
「あぁ」
今日はイロハの奴が売り子をやらず、少女が売り子兼焼き手を担当している。
次々にプレイヤーたちが列を成して串焼きを購入しに行く。
「おう、アオイ。お前さんもココ目当てか」
「お前達もか」
「味の濃い物はココしか無いですからねぇ」
ゴウキとソニーが俺の存在に気がつき隣に座りながら手に持つ串焼きにカブリつく。
「うめぇ!」
「この醤油の香りが堪らないですねぇ」
「なんで、1週間に1度しか店を出さないんだろうな?」
「食材や材料の問題だろ」
「食材?」
「現実と違って、なんでもかんでも直ぐに手に入るわけじゃないからな」
「肉、調味料の醤油に串焼き用の串を用意する手間ですね」
「ラビットの肉はファストに行かないと手に入らない、往復して12日も掛けてしまう」
「醤油もいつでも作れるわけじゃない見たいですからね」
「よく見てるなぁ」
「少し考えれば予想は着く」
「ですね」
「テメェら、俺を馬鹿にしただろう」
「そんな事ないですよ」
「あぁ」
ゴウキをからかい俺達は自然と離れていった。
野菜の存在があり多少は料理人がポツポツと現れ始めているが俺達現代社会人の舌を唸らせる物は醤油味の串焼きしか今のところは無い。
是非とも料理人たちには切磋琢磨して貰いたいものだ。
・・・
≪スキル:鑑定をSP3消費して取得いたしますか?≫
YES
≪スキル:鑑定を獲得しました≫
ようやく俺にも鑑定を手に入れることが出来た。
戦闘職プレイヤーの殆どは鑑定を持っていない為、戦闘時にモンスターの体力がどれくらい削れたのかが感覚でしか分からない。
唐突に戦闘が終わることなんてザラだ。だが、鑑定があれば見える。
「それじゃ、荒野に行くか」
「事前情報としてタイガーと呼ばれる虎が出てくるそうです」
「まんまっすね」
「うす」
オーガを倒しながら荒野へと歩きつつ情報を軽く見る。
【鑑定】
名前:NoName
レベル:31
種族:オーガ
体力:2,500/2,500
魔力:15/15
状態:健康、アクティブ
道中、オーガを鑑定してみればモンスターの情報が手に入る。
名前が無いのはネームドと呼ばれる個体ではなく従来通りのオーガだという事だ。
ネームドモンスター情報は稀にしか現れない。現れたらプレイヤーに様々な恩恵を与えてくれるが手ごわいとされている。
「ここからが荒野だ」
「結構いるな」
タイガーと呼ばれるモンスター視界内に十数頭見えている。
「釣りっすかね?」
「情報によるとタイガーはアクティブ、遠距離リンクです」
「げっ・・・・」
「リンクするでごわすか」
「セカンドの虎版かよ」
「下手に刺激できないっすよ」
「しかし、こちら側には超アウトレンジファイターがいますから」
「落とし穴が使えなくなるぞ。それかサポートチャンスを1つ減らすか」
魔力糸の分をLT糸に変えればリンク率を極端に下げて釣ることができる。魔力糸を健在のまま釣るとなるとワイヤーのどれかを外す必要が出てくる。
「今回は落とし穴は辞めておきましょう。セオリー通りに戦ってみてダメでしたら考え直しましょう」
「リーダーとしての意見は?」
「リンクの恐れがなくなるなら落とし穴は後回しだ」
「わかった。少し待て」
カチャカチャとLT糸をセットする。
「FAは担当するが何時もどおり前は頼んだぜ」
「おうよ」
「任せるでごわす」
シッ
グサッ
最も近い(30m先)タイガーにLT糸で攻撃を仕掛ける。
【毒(中)】
【鑑定】
名前:NoName
レベル:37
種族:タイガー
体力:3,230/3,400
魔力:20/20
状態:毒(中)、アクティブ
うまく毒状態になった。
ドッドッドッ
タイガーは俺にターゲットし迫り来る。
シッ
「トリプルファイアーボール」
20mキッチリのタイミングで俺とシュバルツが追撃の攻撃をする。
グサグサグサッ
ドガガガァアアン
【火傷(中)】
【ステータス】
名前:NoName
レベル:37
種族:タイガー
体力:2,340/3,400
魔力:20/20
状態:毒(中)、火傷(中)、アクティブ
さすが一次職三段階目の魔法だ。大幅に削れた上に火傷(中)も発生させている。
俺の攻撃は微々たる物だからターゲットが当然のようにシュバルツに切り替わる。
「ウォオオオ」
前衛の位置、5m付近でロンドが挑発を発動し、ターゲットがロンドに切り替わりタイガーが襲いかかる。
ガァアアン
【鑑定】
名前:ロンド
レベル:36
種族:ヒューマン
職業①:剣士(Lv30)
体力:1,900/1,900
魔力:475/475
状態:健康
しっかし、同レベル帯でこんなにも体力に差がでるとは・・・
【鑑定】
名前:アオイ
レベル:36
種族:ヒューマン
職業①:糸使い(Lv30)
体力:1,320/1,320
魔力:475/475
状態:健康
自分を鑑定してみると糸使いの脆弱さが身にしみる。
【鑑定】
名前:シュバルツ
レベル:36
種族:ヒューマン
職業①:魔法使い(Lv30)
体力:1,030/1,030
魔力:1,490/1,490
状態:健康
【鑑定】
名前:ソニー
レベル:36
種族:ヒューマン
職業①:僧侶(Lv30)
体力:1,030/1,030
魔力:1,200/1,200
状態:健康
同じ後衛職の2人も見るが体力は大差がなくても、魔力で大幅に差が出ている。
前衛の魔力に後衛の体力という悪い成長率であるのが糸使いだった事になる。
グルァア
ガィイン
ズサッ
「うぐぅ」
「うりゃぁあ!」
「ファイアーボールっす!」
ゴウキの一撃とシュバルツの魔法で徐々に削っていく。
「糸防御術二式、糸拘束術二式」
ポイントポイントのタイミングで前2人のサポートをしつつ、LT糸の先に付いた毒尻尾でチクチクと毒状態を狙う攻撃を密かにしている。
状態異常ダメージは相手の防御力関係なく固定ダメージを与えられるから良いのだ。
グサッ
ギャァオオン
ドサァ
【転倒】
俺の攻撃がタイガーの右目に直撃し倒れ込んだ。
「アースホールっすよ!!」
ガォオン
すかさず、シュバルツが落とし穴に落とす。
【反撃可能、10秒スタック】
「ナイスですよ!」
「豪腕一閃!」
「スマッシュ!」
「ファイアーボール」
ここぞとばかりにスキルで畳み掛ける。
ガォオオオン
シュォオオオ
タイガーは耐え切れず倒れ伏し、粒子へと変わる。
「さっきのは良かったですよ」
「アオイさんのお陰で落とし穴を使うタイミングが出来たっすよ」
「たまたまだ・・・目を狙ってみる」
「転倒なんてするんだな」
「うっす」
今の戦闘を基にして俺たちの連携方法を変えていく。
ガォオオオン
シュォオオオ
「こんどは楽に戦えたな」
「サポートが優秀でごわすな」
「連携が良いだけだ」
「そんな事ないっすよ、落とし穴が使えるんっすから」
「さ、次を釣りましょうか」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
1日の殆どをタイガー狩りに費やしてレベル上げに勤しむ。
「基本攻撃は殆ど同じ、体格は通常個体より大きいと攻撃力と防御力も高い設定か・・・」
「何を見ているんだ?」
「荒野のユニークボス情報だ」
「おいおい、行く気か?」
「ユニークボスの1体は倒しておきたいだろ?」
「そりゃまぁな。だが今のAI機能がその情報通りとは限らんだろ?」
「たしかにな、怒り状態の攻撃パターンは全然違うだろ」
「でも、レアドロップアイテムは欲しいっすね」
「私もそう感じますね。王虎の毛皮と言えば我々後衛職のマントになるそうですから」
「俺は旨みを感じられないんだよな」
「おいもですな」
前衛には不要な素材だしな。
やるなら砂漠のユニークを倒したかっただろう。
「次の山岳地帯は無理そうっすよ」
「なんでだ?」
「怪鳥ハピネスは空飛ぶみたいっすね」
「遠距離系でPT固めねぇとな」
「近接系は難しい相手でごわすな」
「俺の引き寄せで落とせばいいだろ」
「それもあったな」
「空を飛ぶ相手にも使えるですか」
「レアドロップは怪鳥の羽根っすか・・・何に使うんっすかね?」
「羽根素材は初めて聞くぜ」
「何に使うのかまでは誰も知らないようですね・・・」
「さっ、今日もレベルアップに勤しむか」
・・・
「怪鳥とエリアボスは一緒なのか?」
「違うっすよ」
オーガを倒しながら俺はとある疑問を投げかけた。
「怪鳥は山頂に向かうっす、エリアボスは山岳の向こう側に下る途中でいるらしいっすよ」
「なるほどなぁ」
・・・
ガォオオオン
シュォオオオ
≪虎皮を入手しました≫
「そう言えば虎皮は後衛職の防具になるのか?」
「なりますね。ただ、虎柄の装備になるので中々作る人はいないそうで」
全身虎柄の冒険者か・・・
「作れる職人が居るかだな」
「作る気ですか?」
「防御力が上がる分にはいいだろう?」
「それはそうですが」
「コレ(ワーウルフクローブーツ)の前はラビットクローブーツだったぜ?」
「な、なるほど」
服飾師はミカ位しか知らないが態々ファストに戻るのも面倒だな・・・フォースに服飾師が居ないか探してみるか・・・
フォースにも職人プレイヤーのマーケットは存在する。
たまにイロハがポーション販売をしているからな。
お疲れ様でした。




